2005AAEPでのG.A.Perkinsの講演のつづき。
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馬の診療にもっとも良く使われる14Gカテーテルでは最高流量は5?/時間で、これでは治療効果が限られるし、しばしば輸液量が不足する。
太い輸液管と10Gカテーテルを使えば20?/時間あるいはそれ以上を投与することができ、患馬を安定させ、牧場で治療を続けるか、近くの外科・救急病院へ搬送することができる。
この講演の目的は、患馬の治療における輸液プランをいかに確立するかと、野外環境で急速静脈内投与を行う方法を見当することにある。
(つづく)
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日本では10Gの留置針や静脈カテーテルは簡単には手に入らない。
私は持続点滴をしないのであれば、14Gの留置針を使って1時間に8-10リットルほどの輸液をすることが多い。
ほとんどの馬はそれで排尿する。
腎機能が働くことは恒常性の維持にとても重要だ。
その1時間に疝痛のようすや、腸蠕動や、一般状態の推移を観察できる。
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フルニキシンに反応せず来院。
鎮静剤を投与しても不穏感。
PCV54%。
乳酸値は0.8mmol/?以下。
心拍50-60回/分。
まず高張食塩を2?。
それから乳酸化 リンゲルを11?。
高張食塩を入れ始めて蠕動音が聞こえだした。
飲水欲が少し出た。
輸液中に食欲が出た。
輸液後排尿した。
疝痛は治まって帰っていった。
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午後は、繁殖雌馬の歯科治療。
牧場で歯を擦ったがあまり改善されなかったとのこと。
311、411が内側に倒れて、過長歯になっていた。
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その後、2歳馬のDDSPのTieforward手術。
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Naを積極的に摂る必要はないので、塩気をうまいとは感じない。
汗もかかないので、汗で水分を失わない。
その分、ハーハーするし、
ヨダレはすごい。
今日みたいな日は、もう暑かった。
オラ君、なんだか しゅっ! と体がすぼまってますね。
20リットル入れるのに2時間はかけていられないでしょ。それなら10Gのカテーテルを使って1時間で入れてもも構わないわよ。ということでしょう。
輸液は1リットルずつ吊るせばいいのです。写真の伸縮性の物干し竿、いいですよ。
犬、猫 診てますが、皮下補液のときには加圧バックを使っています。
500 ml 以下のバックしかつけられないので、もっと大きい
のがあれば馬にもつかえるのかしらんと思いました。
また、大型犬で出血性胃腸炎や、胃捻転などでヘマチクリットが70%超えそうなときには、私のところでは2本取りといって、左右の前肢に留置して急速点滴することがあります。
馬では左右2つの頚静脈に留置するのは血管炎おこしやすかったりしてだめなのでしょうか。
なんとか、フィールドで、大量輸液がやりやすい方法ができればいいですね。
加圧バックは1リットル用のものがあります。牛ではカルシウム剤を皮下投与することがありますが、馬は皮下織がゆるいせいかやる人はいないようです。
ヘマトが70-60-50%を超えるような病態では輸液量と時間が勝負ですよね。まだその認識がない馬獣医師が多いのが残念です。
脱水を過剰に評価してこの投与速度を与えると相当な心負荷になると思いますが如何でしょう。
高張食塩水も使用は安易ではないでしょう。妊娠子宮から多少は水を引っ張っているでしょうね。
ご紹介のようにフラッシュ的に高張食塩水を用いることは末梢循環の改善に相当な効果があると見受けます。
しかし炎症などによって血管外へのイレギュラーな漏出が想定される場合、ここへのダメージも与える諸刃の剣であるようです。
NSAIDを併用しているのがプラスになっていると思います。
牛では汎用しがちですが、補液療法が巧く行かずそのあとで開腹すると結構おかしなことになっています。
1時間に10?程度入れている経験からすれば、腎不全とか肺水腫とかの問題を抱えていなければ問題ないのでしょう。
高張食塩水もまだわかっていないことが多いようですし、それはいろいろな症例での副作用などが報告されて積み重ねられる必要があると思います。しかし、すでにEquine Internal Medicineなどの成書にも方法として挙げられています。
輸液シリーズ、大変勉強になっております、ありがとうございます!
>馬の診療にもっとも良く使われる14Gカテーテルでは最高流量は5?/時間で、これでは治療効果が限られるし、しばしば輸液量が不足する。
と書かれていますが、先日、競技場で、脱水と疝痛症状の馬で行ってみましたところ、日本で一般的な大動物用輸液セット14G針で、50分で8Lは輸液できました!
私も今まであまり急速にいれるのは、と、4~5L/hにしぼっていましたが、
書かれているとおり、脱水状態の馬で、ラインの限界まで早くしても、馬は呼吸など早くならず大丈夫であることがわかりました。
馬の心臓機能の強さでしょうか^^*
このとき、150センチのチューブぎりぎりまで、台に登ってバッグを持ってくれた女の子は、50分間”自由の女神”状態でがんばってくれました^^;
ところで質問ですが、一般的に、乳酸加リンゲル以外に、一般診療目的ではどういう輸液剤を用意しておくとよいと思われますでしょうか。
つまらない質問ですが切実です。
ご意見よろしくお願いいたします。
14Gなら1時間で5リットルしか入らない。と講演しているのはP.Wilkins先生です。ひょっとすると馬のそばで腕を上げているのでは、という条件かもしれません。
伸縮性のステンレスの物干し竿を買っておくと良いです。1000円もしません。3-4mにまで伸び縮みします。軽くて丈夫です。端には輸液をぶら下げるフックをつけるための穴が開いています(笑)。
使うであろう頻度順に、乳酸化リンゲル、5%ブドウ糖液、酢酸リンゲル(乳酸アシドーシス時に)、生理食塩液(傷の洗浄・高カリや低クロール時にも)、高張食塩液(投与後飲水させられる時、循環血液量を急いで増やしたい時)、があればひととおりの対処はできるのではないでしょうか。