晩秋の候
土曜日。
午前中はTieback&cordectomy と準備をしていたが、来院して内視鏡検査をしたら左側の披裂軟骨炎だ。
まったく動かなくなっているし、小角突起の変形もかなりなので、もうTiebackの対象ではない。
急遽、披裂軟骨切除に切り替える。
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その前に、8歳の繁殖雌馬の疝痛を診てほしいとの依頼が入っていた。
来てみたら、超音波検査で右の肋部で結腸動脈が見える。浮腫性に腫大している。
結腸壁の肥厚はない。
よく疝痛をする馬で、1週間前にも疝痛を起こし、4日前にも疝痛で、2日前からはずっと痛い、とのこと。
高張食塩液の投与で飲水したし、軟便が出てはいる。
PCV50%、乳酸値1.9mmol/l。
「もう開けた方がイイです」
開腹手術したら、結腸変位などというものではなく、結腸捻転だった。
どうやら便秘のあげくに捻転したらしい。
しかし、結腸にチアノーゼはなく、結腸壁の肥厚もなかった。
colopexyして閉腹。
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その前に、他の地区から当歳馬の外傷も頼まれていた。
「連れて行ってもイイですか?」と訊かれたので、
「忙しいけど、連れて来るなら診ます」と答える。
中間種(重種系の雑種)で、飛節の遠位が擦れたように裂けている。
中足骨と伸腱が見えている。
全身麻酔して、洗浄して、縫合した。
擦ったような、挫滅した傷で、しっかりした縫合はできない。
バラ線(有刺鉄線)で怪我したとのこと。
「バラ線で怪我すると、肢に巻きついてもっとひどいことになるよ?」と訊いたら、
「そんな丈夫なバラ線ではなく、すぐに切れる傷んだ鉄線だ」とのこと。
ナルホド。
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午後に予定していた関節鏡手術は延期してもらった。
夕方には大手術が待ち構えている。
4時から始めて、片付けも終わったのは8時だった。
新生子牛の上腕骨骨折プレート固定。
技術的なことは、いずれ詳しく。
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土曜の朝は冷え込んでいた。
もう晩秋だね。
馬の下部消化管の通過障害でCl-はどの様に動いていますか。
牛の四胃変位ですと低クロールの原発がこれですから投与理由が明確で脱水と全身状態の改善は明確です。
これで変位がたまたま治れば幸運ですが。
乳酸アシドーシスに極端な高クロール補液は2元的にアシドーシスを増長しませんか。
だからと言って重曹投与するべきだなんて安直な見識と経験は持っておりませんけれども。
下顎短小和牛ですね。
もしかしてG北海道種雄某ではありませんか。
牛は上顎前歯がないおかげで不正嵌合が不良形質として意識されません。
当座不都合なければそれでよくないかと言われりゃそれまでですが。
先生は、一年中、手術真っ盛りですね。
馬の腸閉塞ではクロールはほとんど動くことはありません。しかし、疝痛の馬に高張食塩液を投与して水を飲ませるのは乱暴だと思います。胃破裂する危険が大きいでしょう。うちの医療センターではやりません。
この子牛は名血だそうで、受精卵移植でホルから生まれました。で、代理母に踏んづけられたようです。
「盛夏」と言いますが、「仲秋」なんですね。そろそろ暇な季節になってもらいたいです;笑