3日目はまるごとの解剖体を用いて腹腔内探査の実習。
馬の獣医師でも網嚢孔を触れる人は多くない。
おなじように、
馬の獣医師でも肘関節の位置と構造を正確に把握している人は多くない。
馬の獣医師でも上腕二頭筋滑液嚢をしげしげと観たことがある人は多くない。
そういう機会があるかどうかだし、そういう経験はいつか役に立つことがあるはず。
これだけ知っていれば名医、という知識などない。
名医とは、数多くの知識や技術や経験の蓄積からなるのだと思う。
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近位指節関節固定手術やTieback喉頭形成術もやってもらった。
飛節の浅屈腱脱位について説明した。
球節の輪状靭帯切断術について説明した。
それでやや4時。
みなさん満足されたように感じた。
ただの馬解剖学ではなく、馬臨床解剖学実習と呼んでいい1日になったと思う。
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今回、動物園の獣医さんが参加されていて、いろいろな動物園動物の話を聴けて面白かった。
テナガザルやチンパンジーは不器用なのだそうだ。樹上生活に適応しているので、親指を掴む目的に使えない。
ライオンの橈尺骨骨折が、内固定もキャスト固定もせず後遺症も残さず治ったそうだ。野生動物スゲー!
ゾウに襲われるととっても危なくて怖いそうだ。音も無くしのびよる、あるいは突進する・・・・
キリンもシマウマもバクも、診療の対象にするのはとても難しいそうだ。バクの開腹手術はちょっとやってみたいかも。腸に詰まっているのは夢のかけら?
われわれ獣医師は動物の医者だと思っているが、家畜やペットについてしか学んでないし知らないんだな。
いつも先生のブログを読んで勉強させて頂いています。
去年から今回ユキちゃん(セン馬でしたがこう呼んでいました)が研究馬としてこの日を迎えることを知っていました。とても可愛い馬でした。ユキちゃんが関西から最後に繋養されていた牧場に来てから何年かの付き合いでした。沢山思い出があり大好きでした。
蹄骨の状態がどうだったか。それが気になります。乗馬としてもう使えなかったのか。
痛みや不安なく最後を迎えられたか、どんな思いをしたか、大丈夫と分かっていてもそればかり気になります。不謹慎なコメントだったらスミマセン。だけど写真で顔をみたらどうしてもコメントせずにはいられませんでした。
今コメントしているスマホにもここ何年かの彼の写真が沢山入っています。
競走馬として生まれ最後の日まで人のために仕事をしてくれてありがとう。ユキちゃんの命がこの先沢山の命を救うことに繋がりますように。沢山君のことを愛した人達がいること忘れないで。
感情表現豊かな鼻先も愛嬌のある目付きも、風に吹かれて気持ちよさそそうな顔、くいしんぼうだったこと、忘れられません。これも大切な仕事なんだと頭でわかっていても、涙がでます。
本当に変な、迷惑なコメントスミマセン。
ユキちゃんの命が、沢山の命を救うことにどうか繋がりますように。
今年も実習馬は葦毛でした。メラノーマがあるからだそうです。それぞれ蹄葉炎と蹄骨骨折と聞きました。
合掌。
ユキちゃんは蹄骨骨折でした。
先生のコメントで救われました。
今日も仕事頑張ります。