ちょっと、診療予定も余裕ができてきて・・・・
朝、出勤したら前夜からの入院馬の診察中。
分娩後4日目の繁殖雌馬。
口粘膜は斑状不潔感、帯黄。
直腸検査したら、右奥に内容の少ない結腸、そのさらに奥に膨満した盲腸を触った。
結腸は押すとへこむ程度の固さ、盲腸はへこまない程度の固さ。
周産期の盲腸便秘だ。
内科治療してみる方法もあるが、盲腸便秘に内科治療で対応すると、それなりの率で破裂してダメになる。
子馬が付いているので、治療に日数もかけていられない。
絶食を続け、下剤をかけ、としていると、乳量も減るし、へたすると乳があがってしまう。
子馬の成長も遅れる。
開腹手術しましょう・・・・・だが、その診察中に別な繁殖雌馬の疝痛の依頼。
-
前夜、分娩した繁殖雌馬が朝飼いを食べてからひどく痛い。
来院したら枠場で立っていられないくらい痛い。
でも、超音波で結腸壁の肥厚を確認できた。
PCVは40台だが、口粘膜は帯黄貧血色。
こちらを先にやる必要がある。
開腹したら結腸は結構なチアノーゼ。
若い先生二人でやってもらうが、結腸を引き出すのは結構たいへんそうだった。
臨時雇用獣医師の先生が結腸切開創を閉じる。
粘膜は壊死はしていなかった。
腹側結腸の色調は完全には回復しない。
まだ根部で捻れているのだ。
整復するには一旦腹腔内へ結腸を戻すと直しやすい。
結腸を術創外へ出していると、捻れたものを引っ張っている状態だからだろう。
腹腔の右奥へ結腸の根部から押し込むように戻す。
そして、盲腸を引っ張り出して、
盲腸結腸ヒダを確認して、
そこから腹側結腸を引っ張りながら、結腸全体を創外へ出す。
と、捻転が整復され、それを確認できる。
盲腸と結腸根部が入れ替わるように捻れていて、
それは、結腸で言うと前回り、
尾側から馬の右腹腔を観ると時計回り、
仰臥の馬の腹腔を天井側から見ると反時計回りなので、
先ほど書いたように結腸を一旦腹腔へ戻して、盲腸を引っ張り出すことで、その捻転(前回り、時計回り、反時計回り)を直せるのだ。
あとは、colopexy。
-
交代で昼休憩をして、
午後から盲腸便秘の手術。
盲腸便秘としてはひどくなかったので、
盲腸は傷まず、
腹腔を汚さず、
内容をほとんど完全に排泄させることができた。
そのまま退院して、子馬のもとへ帰ってもらう。
-
夕方、結腸捻転の馬を診たら表情もあるし落ち着いていた。
乳も張っている。
子馬を連れてきてもらうことにした。
おかあさんはたいへんだ。
///////////
夜明けが早くなった。
2頭ともまた子馬との時間に戻れてよかったですね。
足の問題も回復手術も競走馬として生きることを諦めずに生かす可能性を残せる時代なのですね。適時受診をすれば。
夕暮れが遅いのもうれしいことですが、夜明けが早くて過ごしやすいです。まだ朝晩は冷えますけれど。
そうなんです。適時受診をすれば、です。