馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

子牛の陰睾

2015-08-21 | 牛、ウシ、丑

5ヶ月齢の短角牛。

陰睾のようだということで、全身麻酔して手術室で去勢することになった。

放しっぱなしの育て方なので、半野生とのこと、つないだままキシラジン投与して、鼻環を着ける。

キシラジンで浅く麻酔して、伏臥にして気管挿管。

牛の気管挿管は馬より難しい。

(というか馬ほど気管挿管がたやすい動物はない。大量の空気を吸い易いようにできているのだろう。)

手術中はプロポフォールで麻酔。

気管挿管しているので、嘔吐しても誤嚥する心配はない。

痛がって暴れたりもしない。

右は鼠径部近くに精巣が見つかった。

これは術前の触診でもわかった。

左はまったくの腹腔内停留精巣。

精索が短く、充分には創外へ引き出せない。

鉗子をかけておいて、結紮して摘出。

牛の陰睾は、馬よりもやっかいだ。

腎臓そばの脂肪の中に埋まっていたりもするらしい。

それを見つけて摘出するのは至難の技というか、現実には無理ではないだろうか。

                    /////////////////

オラもタマはないよ

でもとうちゃんにマウンティングするよ

シッコは脚あげたり、あげなかったり

散歩したらマーキングするよ

 

 


9 コメント

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Unknown (Unknown)
2015-08-21 09:57:03
>>とうちゃんにマウンティング
シッコは脚あげたり、あげなかったり
散歩したらマーキング

オラ君、LGBTが増えた今は少しずつ権利も確立しつつありますよ。
オラ君は隠れTかな?
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Unknownさん (hig)
2015-08-21 20:25:29
う~ん、どういう分類になるんでしょうね。

マウンティングは序列を上げようとする行為だから許してはいけない、という意見が多いですが、必ずしもそうでもないかなと今のところ思っています。
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Unknown (zebra)
2015-08-26 06:57:21
むりやり増頭しようとして保留と1x2親子交配とかすると陰睾でてくるでしょうね。
短角は(省力化のため笑)サラなみの本交要求が存在するためにただでさえ遺伝資源絞られてますから。
精巣が見つからなければ去勢証明出せないですからね。
オタク的というか過剰要求だと思います。
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>zebraさん (hig)
2015-08-26 19:08:53
近親交配で陰睾は増えるのですか?知りませんでした。この牛は国有財産なのできちんと血統管理されていると思います。

陰睾が片側でも残っていると肥育効率が悪いとか、肉質に影響するとか、データがあるんでしょうか・・・・・
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Unknown (zebra)
2015-08-29 09:19:21
単純には言えないかもしれないですね。
ただ牛の陰睾に関しては兵庫がプロです。
父系の近交だけでは単為発生に近づかないはずですが、和牛に限らず牛は母系の近交も盛んですからそのうち両性具有なんてことになるかもしれません。
ホルモンの関係で肥育はダメでしょうね。ただ子牛肉という高級食材のカテゴリーがありますから、スモールの段階で摘発して本格的な肥育に回さなければいいのかもしれません。
TPPでホルオスの行き場がなくなりそうですが(判別精液があるからいいのでしょうが)これを利用した子牛肉が出てくると思います。
熟成肉の次はこれか(笑)
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>zebraさん (hig)
2015-08-29 19:30:07
子牛肉ですか・・・私が学生の頃からあったようですが、メジャーにはなっていませんよね。あまりおおっぴらにコマーシャルできないのではないでしょうか。ラム肉なども「子羊」とはイメージされていないように思います。
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牛のプロポフォール (船倉栄)
2015-09-28 23:35:11
お忙しい中、申し訳ありません。牛へのプロポフォールの投与量はいかほどでしょうか?。また投与方法は持続点滴でしょうか?。子牛の急性腹症をトリプルドリップで実施してますが、呼吸抑制が強く数例の死亡を経験しております。プロポフォールはトリプルドリップより安全でしの代替えに成り得るのでしょうか?突然すみません
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>船倉栄さん (hig)
2015-09-29 19:07:43
最初に2mg/kg、あとは0.1mg/kg/minで持続点滴、だそうです。トリプルドリップよりプロポフォールを最近は使っています。ご指摘のとおり安全性を期待してです。

麻酔外科学会で牛の麻酔のセッションもあります。お楽しみに!
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Unknown (船倉 栄)
2015-09-29 19:44:25
先生の講義を実際に聞けるのが楽しみです。実家は上士幌町で酪農を営んでます。よく畜大の学生が実習に来てました。野生動物研究会の方が多かったです。今から尊敬する先生のお話しを聞くのが楽しみでワクワクします
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