夜中0:05に生まれた子馬。
初産で、安産だった、とのこと。難産によるダメージの可能性は少ない。
後産は1時間ほどで落ちた、つまり早すぎない。すなわち早期胎盤剥離だったとは考えにくい。
そのうち自力で起きて、午前中も乳を飲んでいたとのこと。そこまでは異常なし。
ところが昼から立てなくなった。
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夕方、新生仔集中治療のために来院。
37.7℃とやや体温は低い。
口粘膜はやや赤い。
横臥しているが、眼も動くし、耳も反応する。
しかし、起立意欲はなく、吸引反射もない。
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どうやら新生仔脳症のようだ。
しかし、無反応ではないので、いまのところ重症ではない。
生まれてからどれくらい哺乳できていたかわからないので、持続点滴を始める。
脱水、低血糖、電解質異常、を警戒してのことだ。
60あまりとやや酸素分圧が低い。しかし、動くので押さえつけてまでは酸素吸入しなくて良いと判断した。
尿カテを留置した。2時間後、抜けたので再留置した。起立不能の仔馬は膀胱破裂を起こしやすい。
鼻カテーテルは留置しないで、その都度、カテーテルを入れて50-100mlずつ乳を投与することにした。
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プロペシア1mg錠を4錠すりつぶして乳といっしょに投与した。
新生仔脳症を引き起こしている異常な神経ステロイドを抑えてくれるのだそうだ。
この数年使っていて、良い感触を得ている。
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約3時間後、仔馬は自分で起立した。
夜中3時、別な入院馬の処置のため厩舎へ行って、ついでに様子を観たが、ぐっすり眠っていた。
朝、入院厩舎へ行ったら、自力で起きて、母馬のところへ行って乳を飲めていた。
プロペシア(フィナステリド;男性型脱毛症の薬)が新生仔脳症に効いた、と私は感じた。
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夜中、何度も起こされた翌日の今日。
2歳馬の喉頭形成・声帯切除。
急患で2歳の外傷。
もう1頭急患で2歳の外傷。
そこへ繁殖雌馬の疝痛の急患。
結腸捻転で、小腸の捻れていて、さらに小結腸の腸間膜が大きく破れて腸管のほとんどがそれをくぐっていた。
まだ2月というのにちょっと忙しすぎるんじゃないの?
ならしかたないか・・・・・・
初めての出産だと、お母さんも不安だったでしょうね?
初産馬は神経質で、仔馬を寄せ付けなくなったり、仔馬に近づく人を襲ったりするのも居るのですが、落ち着いた馬でした。
乳を搾るのは、最初だけ鎮静剤が必要でした。
酸素分圧60だと何かしたくなっちゃいそうですが、全身状態よく見てあわてずに判断して結果もよくてよかったですね。
以前から禿の薬、となんどか記事にも登場していましたが、試してもいたのですね。
もし長時間活性代謝産物が排泄されるようだと、使いにくいでしょうけど、そういうお薬でもないようですね。
それから神経症学的に観察します。
2年前からですかね。好感触を持っています。