真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「生でドピュドピュ注射して…」(1993/受審:新東宝ビデオ株式会社、の筈/監督:浜野佐知、の筈/出演:松下英美)。
 薮中―博章―劇伴に、嬌声が乗る。看護婦の松下英美(ハーセルフ)が秘裂に指を這はせ、暗転して松下英美のみのクレジット。平本一穂に吹く尺八で繋ぎ、再暗転タイトル・イン、アバンはアバン。
 整形外科の入院患者・平本康介(平本一穂)の個室を英美が訪ね、風呂に入れぬらしい平本の代りに体を拭いてあげる。恐ろしく無造作に下半身も剥かれると、平本は勃つ。続けて本格的に一戦交へるのは、英美が辞したのち、マスマスのつてゐた平本のイマジン。
 最早息を吐くが如くクレジット的には等閑視される配役残り、ジャンク斎藤は、あゝだかうだ屁みたいな方便で英美に手をつける医師・金沢。アダルトビデオにして初めて辿り着き得た知見として、この御仁、結構小さいのではあるまいか。何が?ナニが。栗原良は固有名詞不詳の英美彼氏、ハモニカを吹くカットに際しては、ほぼ真上から抜く俯瞰が出し抜けに火を噴く。
 多分これで全部の、公開順に浜野佐知1993年第一作「超いんらん 色情不倫妻」(脚本:山崎邦紀/主演:美咲舞/二番手)と、珠瑠美同年第三作「若奥様 不倫漏らす」(主演:中上絵奈/二番手)。珠瑠美1994年第一作「熟女スワップ 獣のやうに」(主演:珠瑠美/三番手/二番手に二階堂美穂)に、浜野佐知同年第九作「水沢早紀の愛人志願」(脚本:山崎邦紀/主演:水沢早紀/二番手)。ピンクに四本出演してゐる、松下英美を擁した一作。“私のCTスキャンで貴男のジュニアを診てあげる”、パケに踊る下らなさが最高な惹句に心温まる。
 看護婦は男の体に対する耐性がついた結果、羞恥心をなくしてしまふだの。セックスをすると女を取り戻すだとか、あるいは男は幾つになつても子供。取つてつけたやうな看護師の匿名証言―実際取つてつけたのだらうが―で最低限の体裁を整へた上で、松下英美の対平一、対ジャン斎、対栗良。平本との再戦に、金沢も加はる巴戦までを滔々と連ねる。ザクザク切り刻むのでなく、フェードでヌルヌル繋ぐ濡れ場に映画的な旨味は特に見当たらないが、あまりにもぞんざいなカッティングに戦かされることもない以上、ひとまづ落ち着いて女の裸を愛でてはゐられる。金沢のへべれけさに可笑しみを見出す余地も決してなくはないのかも知れないが、そもそもジャンク斎藤に一欠片の魅力も見出さない見出せない、当サイトにはそれも叶はなかつた。

 付記< 仏流炒め物、もといさて。藪から棒に火蓋を切つた、浜野佐知AV戦の初戦に於いては“諸事情につき”と言葉を濁してみたが、とうに上梓されてゐるゆゑ、勝手にカミングアウトしてしまへ。先般出版された浜野佐知の自伝通り越した戦記、『女になれない職業』(ころから刊)巻末のフィルモグラフィー作成に、山﨑邦紀監督から乞はれ微力の彳部程度協力させて貰つた過程で、浜野佐知のアダルトビデオが、相当数配信で見られる僥倖に直面、すはと喜び勇んだものである。とかいふ顛末はどーでもよく、グーグル先生も知らない、出雲静二と秋山和夫が同一人物なる衝撃の新事実始め、読み応へ過積載のエモーショナルな一冊につき、当サイトにお立寄りの諸賢にも、御購読をお薦め致す次第


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