真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「熟母・娘 乱交」(2006/製作・配給:新東宝映画/監督:深町章/脚本:河西晃/企画:福俵満/撮影:長谷川卓也/編集:酒井正次/助監督:佐藤吏/録音:シネキャビン/スチール:AKIRA/現像:東映ラボ・テック/出演:藍山みなみ・里見瑤子・しのざきさとみ・岡田智宏・川瀬陽太)。 
 ボンボン社長の章太郎(岡田)と、章太郎の幼馴染兼社員の半蔵(川瀬)が雑誌を手に、あるいはうたゝ寝しながらのんびりと湖畔で釣り糸を垂れる。双眼鏡を覗く半蔵が真夕美(藍山)と、その母・美佐子(しのざき)を見つける。真夕美の可憐な美しさに章太郎と半蔵が双眼鏡を奪ひ合ひしてゐたところ、真夕美が倒れてしまふ。章太郎は、慌てて真夕美をひとまづ家に連れて帰る。真夕美は、療養所から外の空気を吸ひに出てゐたものだつた。数日後、美佐子が章太郎を訪ねて来る。真夕美は、余命三年と医者からは宣告されてゐた。男を知らぬ娘を不憫に思ひ、章太郎に真夕美を抱いてやつては貰へまいか、といふのである、章太郎は生唾を飲む。一方半蔵は妻の峰子(里見)と、最近の章太郎の様子の変化について語り合ふ。章太郎は、随分とやつれてゐた。峰子いはく、女でも出来たのではないか。それならばと、半蔵は深夜の章太郎宅に忍び込んでみる。成程、章太郎の寝室からは男女の睦み会ふ気配がする。ところが半蔵が覗き込むと、章太郎が抱いてゐたのは、浴衣を着た、女の・・・・!
 ド真ん中に直球をズバリと投げ込む、正調怪談映画。母娘の初登場シーン、真夕美に心を奪はれる章太郎に対し、半蔵は美佐子の方に萌える。巧みに張られた伏線も効果的に、肉と金に対する欲、悲恋、母親の何もしてやれなかつた娘への想ひ。六十分を一欠片も忽にすることなく、様々な情念が丁寧に渦まく、ベテランの名に恥ぢない佳篇である。ネタバレになるゆゑ詳しくは書けないが、真夕美が母に初めての我侭を訴へる台詞は胸を打つ。純然たる濡れ場要員にも関らず思はぬ健闘を見せた前作「淫絶!人妻をやる」に続き、深町章作品での藍山みなみの快進撃が続いてゐる、次作以降にも俄然期待が膨らむ。
 ところで、次第に度合を深めて行く章太郎の消耗メイクは、流石に幾ら何でも判り易過ぎやしないか。あれでは章太郎がゾンビである、些かトゥー・マッチであらう。もしかすると、観客を笑かせるつもりであつたのかも知れないが、さういふ小細工は今作には最早不要であつたやうにも思はれる。


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