絶頂onanie もつと強く

　「巨乳妻　恥態丸出し」（1993『絶頂onanie　もつと強く』の1999年旧作改題版/企画：セメントマッチ/製作：オフィスバロウズ/提供：Xces Film/監督：池島ゆたか/脚本：五代響子/撮影：下元哲/照明：隅田浩行/編集：酒井正次/スチール：津田一郎/助監督：高田宝重/監督助手：森山茂雄/撮影助手：小山田勝治・中尾正人/照明助手：渡部和成/録音：シネキャビン/現像：東映化学/協力：民宿水上荘/『悲しい宿』《劇中歌》作詞：五代響子・作曲：藤本淳/出演：一色麗矢・神戸顕一・しのざきさとみ・森純・杉原みさを・井上あんり・杉本まこと・《子役》荻窪たろう・山ノ手ぐり子・もりやましげお・的場研磨・池島ゆたか）。出演者中井上あんりと、荻窪たろうから的場研磨までは本篇クレジットのみ。杉原みさをが、ポスターには杉原みさお。
　山々のロングを連ねて御馴染水上荘、新婚早々旅館組合の慰安旅行に三泊四日で出発する主人の一郎（池島）を、若女将のマリコ（一色）が送り出す。てな塩梅で、一郎が置いて行つたピンクローターが火を噴くマリコの早速絶頂onanie。一色麗矢が覚束ないルックスはさて措き、蕩けさうな肢体がかつダイナミックにうねうねよく動く。カメラが軽く引いてタイトル・イン、なほ二分費やし大完遂した麗しきタイミングで、一郎は時期的に客など来ないと高を括つてゐた水上荘に、ドサ回り営業に憂身をやつす一発屋の演歌歌手・星野すみれ（しのざき）と、「サンライズ・ミュージック」の担当マネージャー・徳永武彦（森）が現れる。大先生風を吹かせ倒すすみれに不安を覚えるマリコが、絡みの挿入がてら一郎が求婚時に語つた旅館の心得を想起してゐると、今度は気難しさうな一人客・原口（杉本）が宿を求め水上荘の敷居を跨ぐ。
　配役残りイコール五代響子（現：五代暁子）の山ノ手ぐり子は、マリコが休日招聘する水上荘仲居・マサヨ。マサヨが魚辰に刺身の注文をしてゐる最中水上荘に到着する杉原みさをも、矢張り一人客のエミ。エミが恨み節をぶつける、スナップのコーヘー氏は不明。軍団メンバーの森純共々、正直不自然にビリングの高い神戸顕一は、水上荘に野菜を持ち込み出入りする農夫・健次。山本淳一の「マジカル・セックス　淫ら姫の冒険」（共同脚本：大畑晃一）の助監督に、自身の大傑作「あぶない美乳　悩殺ヒッチハイク」（2011/脚本：佐野和宏/主演：みづなれい）以来で飛び込んで来る平仮名表記のもりやましげおは、すみれの大ファンな健次が風呂を覗くのに連れて来る、田吾作仲間。そして演出部全員出動、高田宝重の変名である的場研磨（a.k.a.的場研魔）は、すみれが全くヤル気を出さない公民館コンサートの興行主・高木。井上あんりと荻窪たろうは、マリコが水上荘に呼び寄せる原口の妻子・弥生とヒロシ。
　露天風呂の湯船にて巨乳妻が右手で右乳を揉みしだき、左手は観音様に突つ込み大きく仰け反る新版ポスターが激しく煽情的な、池島ゆたか1993年最終第七作、ピンク限定だと第六作。主人不在の手薄な水上荘に銘々役者が揃ひ、諸々湧き起る大騒動。いはゆるも何も、正しくホテルならぬグランド旅館的な大風呂敷が何やかや手広く広げられつつ、そこは池島ゆたかと五代暁子のコンビだけあり、決して盤石の強度を以てして万事が見事に畳み込まれるといふ訳では必ずしもない。ないものの、濡れ場に突入するや俄然輝きを増す主演女優のそれはそれとして馬鹿にならない底力も借り、始終はそこそこつゝがなくそれなりの大団円に軟着陸する。戯れに口遊む「悲しい宿」を耳にし飛んで来た徳永と全裸で鉢合はせる程度で、寧ろ杉原みさをは純然たる男女の絡みはこなさないまゝに、オッパイ・ストリーム・アタックも何気に撃ち抜く三本柱が、三者三様の絶頂onanieを各自適宜披露する構成は看板を偽らず強靭。戻つて来たかと思へば今度は泊りがけのゴルフコンペで再び水上荘を空ける一郎が残した、今度はパワーアップしての電動バイブにマリコが燃える、開巻を加速したクライマックス。ここで「もつと強く！」のシャウトも繰り出し、手堅く仕上げられた裸映画が盤石に締め括られる。となると逆に、何の意味もない文言を適当に並べただけの、無作為な新題の酷さが際立ちもするのだけれど。

　風呂場でのしのざきさとみの電動歯ブラシ自慰を、神戸顕一とわしわしマスをカキながら覗く森山茂雄の楽しさうな姿を観てゐると、単なる一観客の分際で、古き良き時代を懐かしむかのやうな甘酸つぱい気持ちに何故だかなつて来る。いかんいかん、前を向け前を向け。