真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「露出願望 見られたい人妻」(2014/製作:フリーク・アウト/提供:オーピー映画/脚本・監督:国沢☆実/撮影:佐久間栄一/編集:有馬潜/録音:シネキャビン/助監督:江尻大/監督助手:増田秀郎撮影助手:鈴木靖之・春木康輔/スチール:本田あきら/効果:梅沢身知子/現像:東映ラボ・テック/協力:生方哲・岡輝男・佐倉萌・周磨要・武田浩介・鶴岡和輝・中村勝則・藤木吾呂/出演:あいださくら・美咲結衣・伊沢涼子・前沢健太・村田頼俊・中川大輔・山科薫)。
 雑踏の中立ち尽くすあいださくら、トッ散らばつたタイトル・イン。野外露出を何者かに写真に撮られるのは、朝食中の西脇美優(あいだ)の白日夢に似た妄想。度々上の空となる妻に、夫の凌一(中川)は半ば匙を投げてゐた。ここで中川大輔は田中康文の「痴漢電車 夢指の熱い調べ」(2012)で乗客要員に見切れてゐなければ、直近の出演作は池島ゆたかの「超いんらん やればやるほどいい気持ち」(2008)まで遡る案外御無沙汰。夫婦生活に悩みを抱へる美優はある雨の日、何でそんなロケーションをホッつき歩いてゐるのかは兎も角、川原の橋の下で青姦に燃えるカップル(美咲結衣と前沢健太)を目撃、思はずその場で自慰に突入する。美優と目が合つた美咲結衣は、挑戦的に笑ひかける。美優の箍はその一件で外れ、開巻に繋がる野外露出。写真を撮られ逃げ出した美優は公衆トイレにて着衣後、なほも後を尾ける男の気配にカウンターで金的を叩き込むと、それは七年ぶりに再会した、高校時代の教師・犬飼保(山科)だつた。屋外なり照明を満足に当てられると幾分マシとはいへ、赤黒い顔色は矢張り心配。教へ子を強姦し教職を追はれた犬飼は、カウンセラーとしてメンタルサポート「オアシス」を開業してゐた。蟻地獄に捕はれた蟻の如く、美優は犬飼の治療を受ける。
 近作に於ける内藤忠司との相性があまり芳しく感じられなかつたゆゑ、2009年第二作「OL空手乳悶 奥まで突き入れて」(主演:成田愛)以来、気づくと結構間が空いてゐた単独自脚本といふ点に期待してみた国沢実2014年第一作。と、したところが。切れが悪ければ抜けもしない堂々巡りに、一時間付き合はされる苦行。直截に筆を滑らせると最も駄目なのが、カウンセリングの最中、犬飼が一切の脈略をスッ飛ばし凌一と和服がサマになるママさん(伊沢)の不倫を美優が想像してゐる点を、薮から突き出た棒に竹を接ぎ指摘する件。当然そこから強引にあるいはズルズルと伊沢涼子と中川大輔の濡れ場に繋がる訳だが、最早国沢実は、三番手の裸も満足に見せられないのかと軽く絶望した。二番手に関しては美優の背中を押す全体的な構成上の役割と、作中最も若く即物的ないはゆるナイス・バディは問題ないとして、今度は劇団玉の湯(主催:石動三六)所属の前沢健太が、壊滅的に拙い腰の振りで激しく水を差す。事後女にキスをする際の顔の角度さへ覚束ない、素人を連れて来るなら連れて来るで、入念に演技指導して貰はないと困る。商業娯楽映画と、木戸銭を落とした観客とを嘗めてゐるのか。過去の悔恨だ愛せない愛する資格がないだと、ある意味国沢実裏定番の陰々滅々路線ともいへ、心許ない主演女優を筆頭に伊沢涼子を除き脆弱な俳優部に無策に連動し、暗く歪む決定力にさへ事欠く始末。国沢実が厳しいなあ、何度さうした心境を懐けば済むものやら。その翼が再び力強く羽ばたくのは何時の日のことなのか、それとも終にまゝならぬまゝなのか。

 配役残り、登場順に協力隊―国沢実やEJDは当然として、クレジットレスの鎌田一利も―が、犬飼に点火され派手な公然露出を敢行する美優の、集団視姦要員。武田浩介の顔を知らないのは仕方がないにせよ、岡輝男を見落としたのは口惜しい。村田頼俊は、同じく電車―セット―内でM字開脚の眼福に与るサラリーマン。その後美優に付き纏ふも、山科薫のワンパンに圧倒される。それと、ボーカル入りのトラックが使用される不用意にハードコアな選曲は一体何なのか。本篇の薄さを誤魔化すつもりならば、それは通らぬ相談だ。

 以下はex.DMMに目を通しての付記< 便利な時代を実感、衆人環視要員のオカテルを確認した。最初のカットでは左から中村勝則・武田浩介と並んだ一番右の、スカジャンみたいなキャップの男。


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