真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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ザ・ONANIE倶楽部3 変態OL篇
新田栄
/
2012年05月07日
「
ONANIE三昧 秘書もOLも貝いぢり
」(1990『ザ・ONANIE倶楽部3 変態OL篇』の2011年旧作改題版/製作:新映企画株式会社/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:池田正一/企画:伊能竜/撮影:千葉幸男/照明:田端功/編集:酒井正次/音楽:レインボーサウンド/助監督:山内健嗣/スチール:最上義昌/録音:銀座サウンド/効果:時田グループ/現像:東映化学/監督助手:毛利安孝/撮影助手:倉田良夫/照明助手:名取貴一/出演:高樹麗・大島ゆかり・水鳥川彩・神坂広志・石神一・山科薫・小林夏樹)。企画の伊能竜は、向井寛の変名。
兄宅に同居する和美(高樹)のシャワー・シーン噛ませて、翌日から長期出張で渡米する兄・秀人(山科)と、兄嫁・圭子(小林)の名残も惜しんだ夫婦生活。を覗き見ての、和美の自慰を矢継ぎ早に畳み込む辺りは、新田栄が密やかに誇る開巻の出足。カット明けるとそのスピード感は再加速、一欠片の段取りもスッ飛ばし、出し抜けに会社の保養所が取れた旨和美が圭子に電話で報告したかと思へば、義姉妹は千葉県は御宿町へとチャッチャと移動。物件的には「
痴漢と覗き 体育会系女子寮
」(1992/脚本:亀井よし子/主演:泰葉)でも見覚えのある、今田商事厚生クラブに入る。天候には正直あまり恵まれない中、付近を散策する和美と圭子は、野外で事に及ぶ奈保(大島)と則夫(石神)のカップルを目撃、当然目を丸くする。その夜、圭子が律儀に持ち歩く秀人のスナップ―宣材と思しき、二枚目を気取る若き山科薫が微笑ましく小憎らしい―がオカズの人妻オナニーを経ての翌日。翌朝一人で散歩に出た圭子は、則夫と遭遇。邪欲も剥き出しに石神一が再登場するや、チャーンチャーンチャーンと大仰に鳴り始める、往年のホラー映画風の劇伴が今となつては笑かせる。1990年当時、既に十分やらかしてゐたのではないかといふ気もするが。随分と無造作にも則夫がいきなり圭子に襲ひかゝつての修羅場、そこに自称カメラマンの卵―後に大学生であると判明―の田坂(神坂)が通りがかり、圭子は危ふく事無きを得る。姉妹に感謝された田坂は、厚生クラブの宿に迎へ入れられる。
新東宝公式によると、後述する「女医三姉妹篇」がデビュー作であるとの水鳥川彩は、人妻でありながら田坂を援助する千尋。和美が、千尋が逗留するみかど旅館に田坂が向かつた件を聞き出す厚生クラブ管理人は、案の定新田栄。地味に出たがりなこの御仁に、ピンク映画界のヒッチコックの称を戯れに冠したい。
新田栄同年第一作の「
ザ・ONANIE倶楽部 女子大生篇
」(主演:美穂由紀)が余程好評を博したのか、「ザ・ONANIE倶楽部2 女医三姉妹篇」(主演:小林夏樹/未見)を挿んでの、全て池田正一とのコンビによるザ・ONANIE倶楽部最終第三作。本筋らしい本筋の清々しく存在しない始終を、憚りもせずザックリ改めてトレースしてみると。プロポーションは綺麗な反面、ルックスは正直散らかり気味の主演女優の裸見せで順当に幕を開け、ひとまづ美人ではあるものの些か華に欠き線の細い小林夏樹の絡みと、畳みかける高樹麗のONANIE初弾。ノー・モーションで舞台を御宿に移し、三番手の青姦。今度は小林夏樹のONANIE第二弾を置いての、続く翌朝のレイプ未遂、と神坂広志イン。とりあへずはハンサムを姉妹が取り合ふ図式が成立し、その夜の和美逆夜這ひと、それを覗いての圭子再ONANIE。更に翌朝、ジョギングに出た圭子と、それを追ひ駆けた田坂との青姦第二戦。更に更にその夜、意図的に圭子は酔ひ潰しての、厚生クラブ庭に出ての和美と田坂の青姦第三戦、既に空が青くはないけれど。そして劇中最終日、姉妹を幻滅させるべく飛び込んだ水鳥川彩と、神坂広志の青姦第四戦。フィニッシュを飾るその夜の義姉妹Wオナニーは、画は和美のみ。首の上下を問はず他を圧倒する水鳥川彩が、ビリング最後塵を拝する釈然としない不遇にさへ目を瞑れば、無駄に物語を追ふ労を殆ど一切廃してみせた分、一息に観させる裸映画の水準作ではある。ザ・ONANIE倶楽部といふよりは、ザ・青姦倶楽部と思へなくもない点に関しては、御愛嬌の範疇に放り込んでしまへ。ところで、ONANIEにせよ青姦にせよ、そこは定冠詞が“ザ”ではなく“ジ”にならないのか?といふツッコミに対しては、それでは流石に字面が悪い。
再びところで、和美が今田商事のOLであるのは兎も角、秘書といふのが誰を指すものやらサッパリ判らない。最大限好意的に推測すると、別に子供もゐないのに秀人と一緒にアメリカに行かないのが不自然といへば不自然な、圭子が何処かしらで秘書の職にでも就いてゐるのであらうか。エクセス―のつける新題―だから、といへばそれまでの話でもあれ。
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