真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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義母35才 息子が欲しい
新田栄
/
2009年06月01日
「
性恥母 義母に責められて!
」(2000『義母35才 息子が欲しい』の2008年旧作改題版/製作:サカエ企画/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:岡輝男/企画:稲山悌二《エクセスフィルム》/撮影:千葉幸男/照明:高原賢一/編集:酒井正次/助監督:加藤義一/スチール:佐藤初太郎/音楽:レインボー・サウンド/監督助手:北村隆/撮影助手:前井一作/照明助手:原康二/効果:中村半次郎/録音:シネキャビン/現像:東映化学/出演:川島由佳・葉月螢・里見瑤子・村井智丸・丘尚輝・久須美欽一)。出演者中葉月螢が、少なくとも今回新版ポスターに際しては略字。
三十路バツイチの古川志穂(川島)は定年間近の立花聡一郎(久須美)と再婚、聡一郎の息子・達也(村井)と三人で生活してゐる。聡一郎の前妻はどうしたのかといふ点に関しては、確か語られない。
白亜の洋館
での平均以上の生活を手に入れた志穂ではあつたが、年齢的に仕方もない聡一郎のセックスの弱さには正直不満も覚え、若く精悍な義息に対し、秘かな欲望を抱かなくもないでゐた。達也には結婚を見据ゑた恋人・神崎美波(葉月)がゐたが、土壇場に来て達也の方から結婚後の生活に対して疑問を感じ、二人は関係を拗らせる。ある休日、志穂が達也に抱かれる妄想での自慰がてら午睡から目覚めると、庭のプールでは、草野球から戻つた達也と、招かれもしないのに遊びに来てゐた志穂の妹・麻子(里見)が水遊びに興じてゐる。実は前夫との離婚事由は麻子を交へた三角関係であつた志穂は、妹との間に確執を抱へてゐた。
といふ訳で丘尚輝は、これは回想に登場する、麻子を手篭めにしたとの志穂前夫に違ひないと踏んだ脊髄で折り返した予想は、まんまと外した。ならば再び丘尚輝は、直截なところどうといふこともないワン・カットにのみ登場する、何しに出て来たのかよく判らない達也の同僚・宮内優。志穂の元夫も、最終的に全く登場しない。
言ひ寄られた麻子に加へ、何だかんだで達也は志穂とも関係を持つ。何気に姉妹丼は、今作に於いては一切フィーチャーされない。そんなこんなで整理すると、概ね何の不満もない新生活ながら、老夫との性交渉には満たされず、義息に道ならぬ視線を向けてしまはざるを得ない義母。対して義息も恋人との仲が縺れる中、薮蛇気味に隣の花が赤く見える義母に対し、何時しか複雑な感情を抱くに至る。手堅く纏められた義母ものに、独自色として姉妹の相克を絡めた展開は意外に充実しても見えた、のだけれど。確信犯的に筆を滑らせてのけるが結局如何に物語を落とすのかといふと、超えた禁忌は棚に上げ、出世の決まつた達也は体面を重んじよくいふと順当に、そのまゝいへば済し崩すやうに美波と結婚する。一方志穂はとなると、バイアグラを服用した聡一郎との夫婦生活に即物的に御満悦。などといふのは、中盤まではそれなりに磐石に積み重ねておいて、ネタを振り逃げるにもほどがある。いやらしくも溜めておいた新田栄&岡輝男コンビのルーズな破壊力が、最後の最後で炸裂するや、そこまで付き合つて来た観客の腰も粉と砕く一作。描き損じた岸可奈子のやうな、川島由佳は首から上は綺麗に曲がつてもゐつつ、伸びやかな肢体はアグレッシブな濡れ場演出の力も借り銀幕に映え、桃色の威力としてはひとまづ不足はないのだが。
久し振りに触れてみるが、新日本映像(エクセス母体)公式サイト内にて紹介されてある、今作のストーリーがあまりにもハチャメチャ。志穂いきつけスナックのママ、なんてことになつてゐる麻子のキャラクター設定から先が、殆ど別の物語である。それと、新題中の“性恥母”といふのも、最早何が何だか判らない。
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