閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

ジャムを聴く

2009-06-15 08:50:13 | 日々
摘んで、洗って、すぐ冷凍庫にいれてあった桑の実は、
900グラムずつ出して、解凍しながらジャムにする。
摘む作業と煮る作業を、なかなか一日のうちにできないので、
最近はこうすることが多い。
900グラムというのは経験上の微妙なラインで、
1キログラムになると、うちの鍋ではふきこぼれ率が高くなる。

ジマーのサウンドトラックをまだ全部聴きとおせていないので、
ちびウォークマンをポケットに入れてきて
(そう、昨冬に、とうとう買っちゃったのです、4ギガバイト! 便利!)
きょうはジャムを煮ながらじっくり聴くことにしましょう、
時間もちょうどそれくらいだし、と思ったのはいいが、
これがどうもあまりうまくいかない。

換気扇を回したり水を使ったりする音がけっこううるさい。
音量を上げる。と、目の前の鍋が奇妙に実在感をなくす。
立体の厚みが1割くらい減ってややひらたくなったような感じ。
それに薄いラップをかけ、その上から見たり触ったりしている感じ。
いつもの道具で、いつものレシピで、いつものジャムを煮ているのに、
何となく自信がもてず不安だ。
ほんとにこれでいいんだろうかと、たびたびのぞきこむ姿勢になる。

イヤホンの音楽のせいで、ジャムが「聴こえない」のだ。

「まだまだー」とか「もうすこしー」とか、
ジャムが喋るわけではないのだが、煮詰めていくにつれ、
ほんのちょっとした音の変化もあったりする。
目で見て、混ぜる手ごたえで感じて、そして耳でも聴いて、
総合的に判断していたんだな、ということがわかった。

イヤホンを外す。
換気扇の音と、ガスの火の音、鍋の中のつぶやき。
ぶくぶくぶくぶく、ぶつぶつぶつぶつ。

「もういいかい」
「もういいよー」


上の写真はお隣のアジサイ。
(アジサイ…ですよね?)
赤い花が珍しい。右奥は普通のガクアジサイ。

コメント
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