レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

読み違え源氏物語

2007-03-07 05:46:16 | 
 清水義範の新刊。タイトルで想像できるように『源氏物語』のパロディ短編集である。

 最初に置かれているのは(明らかにホームズのノリを真似している)、現代の読者が『源氏』を推理小説に見立てて、夕顔は実は死んでなかった!と主張している。--こういう真相ならばいっそ痛快だろうな。
 大会社「源産業」の一族で、若社長「朱雄」の愛人の美女「月子」が社長の腹違いの弟「光一」と恋に落ちるとか、既に若くない女優「六条ゆかり」が年下の恋人「光用陽一」をめぐって嫉妬に苦しむとか、状況を移したバージョンもある。ネーミングも笑いを誘うし、誰を模しているのか当てる楽しみもある。
 アメリカの田舎で、モテ男が冴えない娘にちょっかいをかけてしまうーーといえば、もちろんこれは末摘花。ダサくて善良な彼女が報われる結末はほのぼの風味で良い。

 ところで、源氏が空蝉の弟を可愛がっているのは男色だと研究者が言ってると『夕顔殺人事件』に書いてあるけどどの程度本当だろうか。そりゃ私も実は、あのあたりを読んで、なんなんだこの男は、と思ったけど。
コメント
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