レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

ミルヒライス

2007-08-31 16:55:59 | ドイツ
 現役大学生のころ、私は弁当持参だったので、学食はほとんど使わなかった。
 いまも似たようなものである。行きつけの美味いうどん屋さんがなくなってからは余計に。
 98年秋-99夏の1年弱、フライブルクに留学中は、よく利用した。当時は1食3.9マルク(300円くらい)。在籍していた語学学校が大学と提携関係にあり、そこの生徒は大学にも在籍できたので、授業に出ることも学食を利用することも権利があった。
 メンザMensaとはラテン語でテーブルの意味、これが学食の意味で用いられる。
 語学学校のガイダンスでメンザに行って初めて食べたときには、多い・・・と思ったのに、2度目にはもう慣れていた。
 「メニュー(定食)」が2種類、肉ありと肉なし。メインの肉もの、スープ、野菜、ライスまたはジャガイモまたはパスタ(イモは主食の扱い)、デザート(ヨーグルトかとろとろ型プディングが多かった)が一皿に乗っている。金曜日に魚と決まっていたのはカトリックの習慣のせいだろうか。
 これらメニューのほかに、生野菜コーナーやカツ+揚げイモのセット、一品料理があった。--この「一品」が、金曜日は「ミルヒライス」だった。訳すと(?)「ミルクライス」、牛乳がゆである。私がドイツへ行く直前に通っていた会話教室の先生がかつてフライブルクの学生であったので、この話はきいていた。ハガキでもわざわざ「ミリッヒライスを食べて下さい、健康によいと思います」と(日本語で)書いてきたので、さほど気乗りはしなかったのだが、友人三人で一皿注文してみた。その日のはシナモンかけ。結論から言えば、味は悪くはない。少しばかり、おやつのように食べるならばいいだろう、これが米だということを頭から追い出して。しかし、これがどかっと盛られた皿を食事として食べつくすことは苦行であると思う、たいていの日本人にとっては。
 すでに懐かしい過去になっている。カケラほどならばまた試してもいい気もする。たくさんはいらん。

 なお、ふつうのメニューにはいっていたライスは、やはり洋ものの味つけになっていたと思う。
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カルバニア物語11巻

2007-08-29 18:56:59 | マンガ
 今月はTONOさんのコミックスが2冊出た。

『カルバニア物語』は早くも11巻。ついにエキューは王国初の女公爵になる。初の女王陛下タニアとは親友で、感慨深く任命式。うーむ、うら若いうるわしい二人が主役の式典、さぞかし鑑賞にたえるだろうなぁ、私も見たいものだ。
 生理ネタが健全に絡んでくるあたり、作者お得意のノリ。
 それにしても、エキューがほんとに妊娠してたのなら、・・・相手はライアンしかありえなかったので、さぞかしキレイな子だったろうなと少しはもったいない。色好み宣言したけどまだエキューはほかの男とはつきあってないですな。あとひとりふたりは出てきたほうが話として収まりがいいような気がする。

『ラビット・ハンティング』2巻。
1巻を借りて読んだのがだいぶまえのことで、登場人物その他を全部は覚えていない。FTではない現実世界だけど、名前が不統一なので、どこの国だと特定不要。少年少女のモデルがぞろぞろ登場し、変質者の被害にあったりする美しさの持つ危うさも、羨まれるほどの幸福も、淡白なタッチでさらっと表現される。
 この作家の世界では、美貌礼賛が決して否定もされないが、だからといって、それが唯一の尺度ではないこと、不器量さを蔑むことがどんなに罪深いかということもきちんと描いてみせている。「少女マンガ」が持つべき要素である。

 実のところ、この作家の絵もそれほど美麗!というガラではないのだけど、美形という設定が白々しく見えないオーラがある。
 非美形やオッサンも浮かないというのは物語の厚みを出すためには大きな強みだ。
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オマケならでは

2007-08-27 16:20:17 | 
 講談社文庫は折り返しのマーク10枚で特製ブックカバーがもらえる。このお知らせがいつも載っている(オビに)わけではないが、結局毎年やっているようだ。去年まであった3種類、いまもある5種類、--ついにそろえた!サイズや手触りのしっくり感、色の落ち着きなど、ほかのフェア品(この夏の新潮のアロハ)や、市販の品と比べても、やはりコレが最上の使い心地なのだ。
 私のマンガ遍歴を振り返れば、(「学級文庫」で読んだ程度で)「フレンド」「なかよし」といった雑誌を自ら買ったことはほぼなく、若干の好きな作家がいた程度で、講談社系列とは馴染みが薄い。義理を感じる理由もない。
 だから、上記ブックカバーを誉めることにお世辞は皆無である。

 壇ふみ『どうもいたしません』を読んだ。美容院でマッサージしてもらうと幸せになるので、ある旅行先でホテルでマッサージをよんでもらった、しかし上手いのにどうもなにかが足りない。--「グリコのおまけ」みたいなもので、おまけだけ売っていても楽しくない、オマケだからこそいいのだ、とわかった。
 という話があった。
 確かにそれは言える。出版社のPR誌をもらってくることも、ついでの気軽さがおトク感になるのだ(決して店に行かないようになったら、・・・一部のものは通販するかもしれんけど)。で、上記カバー。同様の質で、デザインの好みの品で買えるものが出来たら、・・・やはり買うかもしれんが楽しさは減るだろう。

 ところで、壇ふみさんといえば、私は見たことはあまりない。大河『春の波濤』の福沢諭吉の娘フサの役くらいなものだ。
 この人を乗せたことのある柳川の船頭さんが、キレイな人は多いけど、あんなに頭いい!と感じさせられた人はいない、と話していたらしい、又聞きの又聞き。

 ついでに言えば、壇さんとしばしばごっちゃにされる紺野美沙子さんは、--慶応で間近に見た人は、背高い!細い!顔小さい!キレイ! と断言していた。
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「玉砕」

2007-08-24 14:14:07 |   ことばや名前
 手元にある辞書『三省堂国語辞典』では

1 信念や道義を守り、潔く敗れること。
2 忠節をつくし、または手柄を立てて死ぬこと。
3 全力を尽くして負けること。

広辞苑では
「玉のように美しく砕けること。名誉や忠義を重んじて、いさぎよく死ぬこと」

 戦時中の話だとこれが「全滅」のほとんどごまかしに使われているが、辞書にも載っていないとは知らなかった。
 現在、「恋を告白して完璧にフラレること」の意味で誰が使い出したのやら(いや、ほんとに今の今も使われているのか知らんけど)。それでしか知らん人は、水木しげるの古典名作(私は読んでないけど)『総員玉砕せよ!』なんてタイトルに接してなんだと思うのだろうか。
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ふつうの真夏日

2007-08-19 15:26:25 | 雑記
 テンプレートを秋扱いで白に変更。まずは涼しげなところで。 

 今日の首都圏は、並の真夏日のようだ。このところの猛暑酷暑というほどではない、たぶん。今日ビッグサイトへ行った後輩たちのためにも、やたらな暑さではないことを願っていた。甲子園と違ってぜんぜん誉められもしない集まりだけど。
 
 机の上には鉛筆立てがいくつか並んでいる。れっきとした品と、マグカップ(ほかにもたくさんあって正しい出番がないので)と、紅茶のティーバッグ箱を適当に切ったもの。使用中の鉛筆は何段階かに分けていて、既にかなり短いもの、汚れていたりハゲてたりするものを、集中的に使って早く終わりにしたい。硬い下敷きを使ってその上の紙で鉛筆が磨り減っていく感覚が気持ちいいのだが、書き味にもやはり差がある。「鴨○シーワー○ド」のお土産品は、イルカ模様はかわいいけど、書き心地も削り心地も悪い。とうぶん鉛筆の新しいのは買わなくていい程度にある。
 学校などで出たプリントの余りを裏紙としてせっせと使っているけど、減ったころにはまた新学期でどっと出るのだろうな。学習用ならばまた使う機会もあるが、シラバスの残りはほんとに空しい。
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どちらのリウィア?

2007-08-17 17:33:22 | ローマ
 『カンタベリ物語』を読んでいたら、『バースの女房の話』で、夫たちを語る女の言葉でこんなのが出てきた。
「彼はわたしにリヴィアのことやルシアのことを話してくれました。彼女らは二人とも夫を殺したのです。一人は恋のために、他の一人は憎しみのためだったんです。リヴィアは夜遅く夫を毒殺しました。なぜなら彼を憎んでいたからです。」

その注は
「夫ドルーススを情夫セヤーヌスのそそのかしにより毒殺する」

 え、アウグストゥスの妻ではなくて、ティベリウスの息子の妻のほう? 憎むほどの理由ならばむしろアウさんの妻のほうがあってよさそうだと思うが。それに、知名度もありそうだし。ほかの訳では違う注がついていたりしないだろうかと気になるけど、まだ見つけていない。これは岩波文庫のほうでのこと。図書館で筑摩の全集は見たけど注がなかった。詳しい方ご教授下さい。
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コミックス新刊・近刊

2007-08-14 19:34:22 | マンガ
 最近出たものについて若干。

やまざき貴子『LEGAの13』1巻 
元来「ララ」、白泉社の作家だけど、「フラワース」に断続掲載。
16世紀後半、ヴェネチアが舞台。調剤師の息子レガーレは密かに錬金術に励んでいる道楽者。魔女の嫌疑が父に、ついで本人にかかるが、謎の男ポポーロの手引きにより、元首から研究を命じられて命は助かる。軟禁状態からの息抜きに、ポポーロに伴われて女装で謝肉祭に出たおり、男装で来ていた元首の娘アルフォンシーナと出逢う。
 美青年と美少女が、女装と男装で初対面というのもなにやら倒錯的なんだが、彼らはノーマル、「お約束」通り恋におちる。学問好きの変わり者であるアルフォンシーナは縁談をかわすためにとりあえず尼僧院へ。このまま退場のはずはなし、いまは刺客になっているレーガの旧友の復讐の行方も気になるし。
 中々期待している。

堀江蟹子『Q-ping』1巻
新書館の「ウンポコ」という変わった名のギャグオンリー誌掲載。単行本を偶然目にした。同人誌で知ってる作家。ナチスドイツやら2・26事件やらの本を出していた。そーゆー人らしく、以下のような会話:
「きついぞ」
「エル・アラメインの戦いくらい?」
「つらいぞ」
「砂漠で貴重な水つかってイタリア軍がパスタゆでちゃったときのロンメル将軍くらい?」
・・・この比喩の理解できる私は、特に軍オタというわけではないんだが。(少なくとも「エル・アラメイン」という名前は少佐ファンにとって懐かしい(?)はずだ)

 近々出るので楽しみなコミックスは、TONO『カルバニア物語』の続き、来月の葉月陽子『阿倍晴明』。葉月さんのギリシア神話ものもまとめてほしいところだ。
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夏のつぶやき

2007-08-12 14:48:31 | 雑記
 残暑お見舞いというよりは「猛暑お見舞い」のほうがふさわしいこのごろ。夜中に目が覚めた時でさえ蒸し暑さが漂っているのは気分がよくない。冷凍庫からアイスノン(の類似品)の替えを取り出して寝直す。早寝早起きのぶんシェスタでもしたいくらいだ。

 テンプレートがしばらく金魚続き。今年(4月からの区切り)は「青春朱夏白秋玄冬」がテーマカラーにしており、でも「朱」は暑苦しくて気乗りしない。その点「金魚」は色が近くて、でも涼しくてありがたい。
 もう立秋は過ぎたので、次の日曜からは「秋」扱いで白テーマに切り替えよう。
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月名からの名づけ

2007-08-10 15:23:26 |   ことばや名前
 生まれた月にちなんで名前をつけるということはよくあるだろう。日本人の場合、昔の名前が風流なものが多いので役立つ。
1月の「睦月」は・・・「おムツ」とからかわれそうなのでそこがナンだ。
2月の「如月」はありそうだ。
3月で「弥生」は問題なし。「三月」で「みつき」も可愛い。「マルスの月」と思えば武ばった名前もあり。
4月の「卯月」は、別の言葉を連想されそうな危険がある。「アフロディテの月」なので、苦しいシャレで「美奈子」(※)。
5月の「さつき」、「メイ」、「まい」(ドイツ語)。
6月「水無月」、これで「ミナ」でもよい。「ジューン」だから「ジュン」、簡単だ。いっそ「ユノ」ならば珍しいかも。
7月「文月」で「ふみ」、「ユリウスの月」だから、「ゆり」、「ゆうり」
8月「葉月」、これも名前になりうる。9月23日生まれでこの名前だったら出世するぞ。
9月「長月」、ちょっと思いつかない。
10月「神無月」で「カンナ」。
11月「霜月」、「霜」の字面はわりに風情があるので「霜子(そうこ)」、・・・あまり明るくなさそうなヒロインの名前って感じだ。英語から採るならば「のぶ」。
12月「師走」、・・・思いつかない。

 ネーミングの遊びは楽しい。日本人にカタカナ名とか、逆に異人に日本名とか。昔の宝塚みたいに、和歌からつくってみるとか。自分で名乗るのは気がひけても、作中人物につけるならという前提であれこれと考えてみる。

※ 大昔、『悪魔(デイモス)の花嫁』で、デイモスが妹ヴィーナスとそっくりな人間の少女を発見して、「しかも名前さえ同じ美奈子」と言ってたことが理解できなかった。ずーっとたって、『セーラームーン』の「謎本」で、「美奈子=びーなす」と解説していたので初めてわかった。後者は冗談でいいとしても、デイモスのは、あれはギャグの場面じゃないだろ・・・。
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Dankeと「ありがとう」

2007-08-08 14:52:11 | ドイツ
 本屋に置いてある出版社のPR誌をもらってくることが好きだ。その一つであるーー正確な誌名等を書こうとして、既に手元にないことに気がついたーー某誌に載っていたエッセイ。工事で通行人に不自由かけることを謝っているはずの看板に「ご理解ありがとうございます」、誰にありがとうと言ってるんだ? 列車が遅れることのアナウンスで「暖かい声援ありがとうございます」、声援なんかしてないぞ、「ありがとう」はいい言葉だけど、使い方間違ってるだろ!ーーという主旨のものがあった。
 そこで思い出すこと。
 ドイツで、駅やホテルで注意書きの張り紙は、結びがVielen Dank!である。
 これを「ありがとう」とするとたいへんおかしい。これはむしろ「よろしく」だろう。「ありがとう」は、不確かな未来のことに言うと上記エッセイの例のように図々しくなってしまうことがあるが、Dankeはそうではないということか。
 戦争映画で命令を伝えたあとで上官が部下に言うDankeも「ありがとう」では合わない、「ご苦労」「以上だ」「下がってよし」といったところだろう。
 言葉は必ずしも1対1の対応ではないという例。
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