レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

図書館での予約に対するワガママ

2012-02-29 06:44:09 | 
 私の地元の図書館では、一度の貸出冊数は6冊、予約は10冊までとなっている。貸出が6冊に不満はないけど、予約に関して不便を覚えることがある。
 予約本もいろいろある。
1.希望者が多くて、確実に数ヶ月待つことになる本。
2. 希望者が数人の本。
3.市内の図書館にあり、いま貸し出されてもいないので、一週間以内に確実に届く本。
4.ここの図書館の書庫にある本。
 4の場合は、PCで「予約」をしなくても、カウンターで申し出れば、しばらく待っていればそれでOKなのである。しかし、その待ち時間をはしょるためには、行く予定日の1、2日まえにPCで予約をしておいたほうがこちらは面倒がないのである。
 このところアガサ・クリスティにはまって、地元図書館にある本からまず読んでいる。棚になくて書庫にはいっているぶんがわりにあるので、そこからも利用。上記4に属する。
 一方、1,2の本も常になにかある。いま、小路幸也のが2冊、人気あるので「1」。柳広司『怪談』(古典アレンジ?)は「2」。『ヒトラーに愛された女』(エヴァ・ブラウンね)と『テンプル騎士団の聖戦』上下 は私は2番目、ドイツ産のミステリー『この世の果てまで、よろしく』は次に私の番。 だから、いま「予約」できるのは3冊。 「4」での希望は10冊近くある。 いや、あと「予約」できるのが3冊あるなら充分じゃないか、カウンターで待てばすむならば文句いうことないじゃないか、と言われたらもっともなんだけど。
 「1」と「4」とが同じ「10冊」制限枠にはいっていることがなんだか不公平な気もしてくるのである。
 上記の1~4のほかに、市内になくて「県内」に捜索が広がっているので長くかかる、という種類もある。

 ところで、予約者の数と、待たされる時間の長さは必ずしも比例しない。読むのに時間のかかる本・かからない本がある。借りた人の律儀さにもよるだろうし。
 歌人穂村弘氏のエッセイ『君のいない夜のごはん』は、私の前の前の人は確実にひと月止めていた。私の前の人も明らかに延滞していた。 食べ物に関する話題を集めた、ごくお気楽な本である。時間がかかるとも思えない。繰り返し読んでしまうのだろうか、それとも、ほけほけしたムードが伝染して迅速に返却する気合をそぐのだろうか? 私は1週間以内に返したが。
 カレーライスはカレーかご飯のどちらかが冷えているほうが好きだと著者は書いている。ーー冷えたご飯に熱いルーをかけるのはまだしも、その逆は私は気乗りしないなぁ。気の抜けた炭酸飲料、これはわかる。 飲食に関する変わった好み、多くの人になにかしらあるのではなかろうか。
 のんきな本を手にしたい時にこの本はお勧めである。ーーでも返却は遅れないでね、図書館活用ならば。
 (小路幸也の本はわりに回りが早いような気がする。) 


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最悪な色彩

2012-02-26 12:20:08 | 雑記
 うちにある某ドーナツ店のタオル、おまけの品だったのだろう。 半分は朱色と白のチェック柄、半分はオレンジ色と薄紫の柄。ーーこれ、どちらかだけにしておいたほうがよかったと思う。

 たぶんこれももらいもののハンカチ。地が赤紫に近い濃いめのピンク、縁が朱色、中に緑がかった青のハートの柄。
 私の趣味では、朱色と紫(特に赤寄りの)とは最悪の組み合わせだ。それが、それぞれ薄くなったものつまりオレンジ色と薄紫(上記のタオルの半分のような)ならばヘンではない。しかしこれはダメだ。おまけに青緑のハートだって・・・。
 イタリア語と思われる名前がはいっているので、それなりにブランドもののイタリア製なのか。イタリアンなセンスと思えばまぁ納得はいく。 私の趣味でないことには変わりないが。
 (ドイツの旅の途中、寒かったので買ったセーターはおとなしいピンクの可愛い品だけどイタリア製だった。)

 ハートで思い出したこと。
 20年以上まえ、「プリンセスコミックス」のカバーは、上下に金の帯、そして上方にはピンクの帯がついているデザインだった。ピンクの帯の中にタイトル。まったく単純な無趣味な色のピンク。上下の金の帯はいまでもあるけど、当時はその中に、ピンクと青のハートマークがびっちりと並んでいた。一部でたいへん不評なデザインだった。

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4月の発売リストをチェックすると

2012-02-24 15:47:28 | マンガ
「BOOKS index」で4月のコミックス発売リスト(不完全)が載ったので、いま目を通した限りでは、
ひらのあゆ『島の人』  『壬生義士伝』4  『チェーザレ』9
ーーが私の購入対象。
 『チェーザレ』は嬉しいが、同じ講談社の『秘身譚』2 は、ま~だ出てない!

 今日書店に行き、日丸屋秀和『ちびさんデイト』2 や「まんがタイムスペシャル」を買ったことは予定通りであるが、新刊棚で、宮部みゆきのホラーっぽい時代劇『あやし』のマンガ化を発見したことはチェックもれだった。絵は皇なつき。これまで見た宮部作品マンガ化の中ではいちばん美麗であろう(私の好みとは違うけど)。

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ノリオさん

2012-02-21 07:15:55 |   ことばや名前
 先日、新聞の死亡記事に「○○野里夫」という作家が出ていた。本名は「○○徳郎(のりお)」だという。「徳郎」で「のりお」という読み方、あるにはあるんだろうけど、あまり多数派ではあるまい。「トクロウさん?」「ノリオです」という訂正を繰り返してうんざりしていたのだろう。でも「ノリオ」じたいは活かしたいので「野里夫」とあてたのだろう、少なくともこれは読める。ご本人がこの宛て方を気に入っていたらしいことは、「喪主は長男・野里光(のりみつ)氏」であることから伺える。でも、ノリミツさんはどうなのだろう、則とか典とかもっと普通の字がよかったと思ったかもしれない。それとも、ユニークでいいと思うだろうか。 私の周囲にいたら、「野」「里」なんてのどかでいいじゃないか、と言うだろう。ーー少なくとも、昨今珍しくもないキラキラネームよりもずっとまともだ。

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アリス 漱石 次に買うアントワネット本

2012-02-19 11:06:28 | 
『アリスへの決別』 山本弘
 ハヤカワ文庫の「100冊」にはいっており、カバー絵がわりにきれいで(ロリ趣味はないが)、大学の生協においてあったので購入する気になった。
 「非実在青少年」なんたらかんたら、その類の抑圧への風刺。 
 努力をダサいとする風潮への批判、かつそういう軽薄さへの反動もまた危険になりうること。
 日本において○○は、ノーブレス・オブリッジとして半ば非人間的な扱いをされていること。
 私はSFが苦手だけど、こういう寓話(?)は読みやすかった。

『自転車に乗る漱石 百年前のロンドン』 清水一嘉  朝日選書 2001
 1900に渡英した漱石の過ごし方をたどりつつ、当時の英国の事情も紹介した本。筆者の、漱石に対する愛着も伝わってきて好ましい。 当時の英国は絵葉書が大ブームであったという話は、便箋・葉書の好きな私にとってもたいへん興味深い。漱石のたくさん買いこんで、12枚続きで病床の正岡子規に書き送ったりしたというのは心がなごむ。


 私は元々角川文庫で『文鳥・夢十夜・永日小品』を持っていた。先月友達Dさんから送られてきた本の中に、新潮文庫『文鳥・夢十夜』があった。  本棚の奥を点検すると、岩波文庫の『夢十夜 他二篇』があった。 でも併録にはズレがあるからなぁ。

 次に外出したら、宮部みゆきの新刊と、中野京子さんのアントワネット本を買う。

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左右田一平さんに合掌

2012-02-17 05:45:24 | 新選組
読売新聞、2月16日の朝刊の片隅の死亡記事に、左右田一平さんが写真つきで載っていた。10日にガンで81歳で亡くなっていた。テレビドラマ『新選組血風録』の斎藤一で人気が出た、と書かれている。
 私が熱烈な愛を抱いている一連の時代劇、栗塚旭主演・結束信二脚本による作品群で、栗塚&島田順司&左右田コンビは活躍していた。『血風録』のころ、斎藤一に関してわかっていることが乏しかったので、この作品での斎藤の人物像は、一平さんのキャラクターを採用して描かれたという。 栗さんの場合、ハードでクールな役柄と、ソフトでフレンドリーな地と大きなギャップがあると有名であるけど、一平さんの場合は確かに、スクリーンで見るのと、ご本人に接しての感じとは一致していた。私と母は『血風録』上映会で毎度お目にかかっていた。2,3年まえまで(母に)年賀状が来ていた。

「燃えよ剣ミュージックファイル 」
 上記のCDのリンクはついこのまえも貼った。「試聴」の「裏通りのテーマ」、これはそもそも短いものなので、ここで聴けるのが全部である。 『燃えよ剣』でのオリキャラ、「裏通り先生」。試衛館時代からの付き合いの町医者(蘭方らしい)で、江戸から京都、伏見、大阪まで付き合って、そのあと江戸に戻る。その後、新選組について書き留めることを意図していた。
 殺伐ともなりうる新選組事件簿の中で、飄々としたあのキャラクターは暖かみを添えてくれていた。
 その他、『用心棒シリーズ』の品田万平、『天を斬る』の権田半兵衛。
 東京大空襲を題材にしたシリアスな舞台もあった。映画『戦争と青春』にも出ていた。
 舞台『ふぉん・しいぼるとの娘』では二宮敬作で、『暴れん坊将軍』では青木昆陽で何度か登場していたので、蘭学に縁があると笑ったものだった。

 愛すべきキャラクターたちをありがとう。合掌。結束さんや伝蔵さんと再会してらっしゃることだろう。


 新選組つながりで。
 朝日文庫の新刊、『司馬遼太郎の幕末維新Ⅰ 竜馬と土方歳三』
 圧倒的に竜馬のパートが多いが、新選組の関係者(?)で知ってる人がちらほらと出ていて嬉しくなった。菊地明さん、本放送で『燃えよ剣』を見たことがきっかけだという。「二十話以降は毎回泣いてました」ーーそうだろうそうだろう。資料を駆使しての研究で、これは創作、史実はこうだったろう、ということを書いていても、物語としてあの世界を愛していらっしゃることがわかると握手したくなるというものだ。
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1997年の日本人イメージ

2012-02-15 06:38:35 | 地理
 確か1997年だったと思う、『驚天動地! ウンナンの 世界から見た日本人』という番組があった。外国での日本人に対するイメージを調査したものも報告されており、4カ国でのアンケートが行われていた。
 これの結果のメモが本棚を整理して出てきたので、話のタネにここに書き写す。ブログ内検索してもまだ書いていないようなので。

 アメリカ NY100人 LA100人 シカゴ80 ワシントン80
1、よく働く 2.金持ち 3.車ばかり作っている 4.見た目がかっこわるい 5.家が小さい 6.独創的 7.ブランドものに金を使う 8.NOと言えない 9.知的に見えないけど知的 10.車の運転が下手
  外見イメージ 七三分け・カメラ・メガネ・裸足・出っ歯

ブラジル サンパウロ120 リオデジャネイロ80 ブラジリア50
1.努力 2.正直 3.インテリ 4.伝統を重んじる 5.暗い(仕事のしすぎ、我慢強い、ほとんど笑わない)、内気
6.几帳面 7.疑い深い 8.サンバが踊れない 9.テクノロジー 10.優越感が強い

トルコ イスタンブール110 アンカラ80 チャナッカル50
1.勤勉 2.礼儀正しい 3.時間に正確 4.だましやすい 5.頭が良い 6.まじめ 7.伝統を持っている 8.商売がうまい 9.目が細い 10.冷たい人

フランス  パリ120 リヨン70 ニース50
1.伝統文化を重んじる 2.働き者 3.金持ち 4.親切 5.まじめ 6.かっこいい 7.責任感がある 8.強い 9.長生きする 10.蟻

 これはもうひと昔以上まえなので、変化していることはあるだろう。当時はまだ「クールジャパン」なんて言葉は出てきてなかった(私の知る限りでは)、でもアニメやマンガの進出はこの番組でも紹介されていた。
 トルコの「時間に正確」、「目が細い」には笑うしかない。
 ドイツ・デュッセルドルフの「サムライグループ・タケダ」はここで初めて知った。映画『影武者』をきっかけにして戦国武将にハマった原住民のおじさんたちのグループで、鎧兜も手作りしてコスプレしている。
 アメリカのドラマだか映画だか、「カブキマン」などというわけのわからん代物もあった。
 この番組、何度か授業で見せたけど爆笑されていた。
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ドイツ語で門と塔と扉は紛らわしい

2012-02-12 12:35:09 | ドイツ
 『先生と僕 夏目漱石を囲む人々』by香日ゆら で知った話である。
 漱石は弟子の森田草平に、新連載小説の広告の連絡をすることを言いつけた。内容は決まっておらず、題はテキトーでという。
 森田は困って、弟子仲間の小宮豊隆のところに行く。それで、そのへんにあった本『ツァラトストラ』(小宮はドイツ文学者なので原書だろうな)をぱらぱらとめくって指差したところにあった言葉から「門」にした。

 ところでこの「門」は、das Torだったのだろうか。

 das Tor (ダス・トーァ) 門
der Turm(デァ・トゥルム)塔
die Tür (ディー・テューァ)ドア
 「トーァ」と「塔」とドアがそれぞれ別、うう紛らわしい・・・。
(ついでに言えば、中性名詞das Torは門だけど、男性名詞 der Tor は「愚か者」)

 ドイツ話題でついでに。
 先日、私はいつものように海外旅行の新聞広告をひやかしていた。某ドイツのパックツアー、あちこちの町を慌ただしくまわるもので、ルートじたいはまあまあ妥当で、ケルンとボンがはいっているのは結構である。しかしひっかかるのは、ワイマルとフランクフルトとミュンヘンが、宿泊地にはしてあるけど見物が設けられていない! フランクフルトは初日に泊まるだけというツアーはよくあるので驚きもしないけど。ミュンヘン、せめてビアホールくらい行けるのだろうな(私は飲んでないけど)。酒に注目するならばフランクフルトはリンゴ酒がある。そういう点でヴァイマルは、ゲーテやシラーやリストなんて関心もないならば万人向けのセールスポイントがいま一つなのかもしれない。強いて言えばチューリンガーソーセージか、でもそれはヴァイマルだけではないし。

 リストといえば、『緋色の楽譜』byラルフ・イーザウ は、リストの残した楽譜をめぐって、白・黒の秘密結社が戦う話ーーというとまるでライトノベルのようでもあるな。主人公はフランス人の美人ピアニスト。とある音楽評論家から、リストにそっくりだと言われたので、実は亡母が子孫だと言っていたと語ったらそれがマスコミに評判になってしまったという身の上。ーーあれが先祖だったら遺伝子と戦う必要あるまい、似ていてラッキーだろう。晩年までモテモテ(死語?)だったというし、あちこちに子孫がいてもおかしくない。
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「完訳版」と小公女の謎

2012-02-10 14:32:33 | 
 私はこのごろアガサ・クリスティをどんどん読んでいる。なにしろ数が多いので、なるべく図書館を活用する。地元図書館になにが置いてあるのか、文庫の棚ではたいていなにか貸出中なので、行ってみないとわからない。図書館に置いてあるPCでは、「市内」に広げるか、そこにあるぶんだけで探すかを選べるが、自宅PCで見るHPでは「市内」まるごとになってしまう。
 児童書のコーナーにもかなり置いてある。ただし、こういう本だと全訳かどうかが疑わしい。「講談社青い鳥文庫」のような、小中学生向けのレーベルだと、多少はしょってあることがある。どこかで出ている藤本ひとみ版『三銃士』とか、角川から去年出ていた(映画便乗で)志麻友紀版(『マスケティア・ルージュ』の作者にこれをやらせるとは、意外性ゼロの人選である、いや構わんけど)などは、元々の長さとかなり開きがあるので、縮約してあることはすぐにわかる。
 私が借りている「偕成社文庫」だと、『アクロイド殺人事件』なと数冊の長編には「完訳版」とわざわざ銘打ってある。ではそれのないのはカットありなのか? ほかから出ているぶんはどうなのだろう?
 
 ここで思い出すのは『小公女』。
 私が小学生のころに読んだのは、絵本ではないけどいくらか児童書レベルのものだった。岩波少年なんとか、そのくらいの感じ。セーラの友達が親から勉強のために贈られた『フランス革命』byカーライルを、セーラが先に読んでそれを持ち主に語り聞かせるというくだりで、「人々はランバール姫の首を槍に突き刺してそのまわりで踊ったというの。美しい金髪が風になびいていたそうよ」などというグロテスクなシーンが妙に印象に残ってしまった。
 2,3年まえに、新潮文庫で『小公女』を読んだが、上記のシーンはない。コンデンスミルクをなめることの好きな伊藤整氏の訳で、読者(児童であることを意識している)への後書きでは、完訳だと書いてある。 児童書でわざわざ残酷シーンを付け加えるとも思えない。完訳だというのは少し嘘だったのか、それともそのシーンのある版とない版がそもそも存在するのだろうか。

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源平つれづれ

2012-02-07 11:05:09 | 歴史
 かっこつけたタイトルにしてみたけど、源平合戦とそのあとの時代については、史実というよりは『平家物語』のほうがなじみが深い。いくらかのフィクション、『吾妻鏡』のマンガ化(竹宮恵子)、永井路子さんの本くらいである。「壇ノ浦」の「およそ能登守教経の矢先にまわるものこそなかりけれ」以下しばらく暗記しているけど、ほんとはこれより早く討ち死にしていたから完璧にフィクションだということは知っている。谷口幸男さんの『エッダとサガ』の序で寺田寅彦の随想が引用されており、『サガ』の合戦描写で『平家物語』を連想したというくだりがあるので、では『緋色い剣』のリューの大立ち回りで上記の能登殿みたいと思った私の感性は正しかった!と悦にいった。それゆえに私は寺田寅彦という人物に対して親愛の情を抱いている。
 
 いま手元にある年表を見ると、「1156 保元の乱」「1159 平治の乱」 「1167 平清盛太政大臣となる」 「1180 源頼政・源頼朝・源義仲が平氏打倒のために挙兵」 「1185 平氏滅ぶ。 源頼朝、守護・地頭を置く」、平氏一門の栄華は短いし、いわゆる源平合戦の時期はなお短い。でもその短い期間の激動が後世の人々の想像力を刺激して、様々な物語を生んでいる。
 10年以上まえ、教育テレビの『時代劇と日本人』とかいう講座で、最終回が幕末ものにあてられ、そこで新選組を「大衆化された平家物語」と呼んでいたので、我が意を得たりと喜んだものである。集団のドラマということで「忠臣蔵」が引き合いに出されることはそれまでにもあったが、個人的趣味でむしろ平家のほうがしっくりくると思っていたので。
 新選組は庶民から出てきているのに対し、平家は貴族化して東国武者に押されてしまったような印象が強くなってしまっているが、そもそもは平氏だってワイルドに力を伸ばしていた時期があったはずなのだ。そのあたりを出そうとして、くだんの大河は「汚い画面」呼ばわりになったのだろうか、見てないので追及はしないが。
 (新選組の場合、雅になった時期はなさそうだ、舞台が都なので雅な風情を添加することは大いにできるけど。)
 新選組つながりでもう一つ。
 「忠度都落」の場面で、俊成に自作の歌集を預けて去っていくとき、俊成に忠度の詩吟(?)が聞こえている。ここで私の脳裏には、『燃えよ剣』の『沖田総司』クライマックスで歳三が総司との今生の別れのあとに響かせている馬の蹄の音がオーバーラップする、すでに条件反射である。(この場面はBGMがまた極上、珠玉なのである。
「燃えよ剣ミュージックファイル 」、「視聴用サンプル」の38番がその場面。)これまた史実よりも後世の文学でのイメージであるなぁ。

 年表には、「1140  (文化) 佐藤義清出家して西行となる」とも書いてある。
 清盛も「北面の武士」だったということは、やはり美男だったのだろうか。

 少女マンガにおいては、河村恵利、佐久間智代の旧作源平ものの復刊があった。大河のコミカライズは今年はどうなっているのだろう。「少年マンガ大河」という声も目にしたし、少年マンガでするという可能性もあるが。

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