駒場公園内にある「日本近代文学館」で、いまは「花々の詩歌」という企画展をしている。
「 日本近代文学館」
小説とは違って短いものが多いので、いくつか気に入ったものを書き写した。
佐佐木幸綱「満開の桜ずずんと四股を踏みわれは古代の王として立つ」
よほど貫禄のある桜の木なのだろう。
漱石『あるほどの菊投げ入れよ棺の中」
大塚楠緒子の死によせての句。
有島武郎 「明日知らぬ命の際に思ふこと 色に出すらむあぢさいの花」
絶筆。
加藤克巳 「子を産みてうつろなひとみアネモネのむらさきいろよりさらに恋ほしき」
『エスプリの花』(1953)
これは初めて知った作者。検索したところ、これは長女(すでに次男までいたが)の生まれた年に出た歌集に収録されている。「うつろなひとみ」はなにやら官能的に見える。
同じ展示に出ていた漱石の「修善寺大患」あとの漢詩の「日は三春に似て永く心は野水に髄って空し」は、「空しい」はネガティブではなく、とらわれていない晴れやかな様を意味している(「則天去私」を目指しているのか)ので、関係はないけれど、この歌の「うつろな」も、それ相応に魅力を伴うものとして使われているという気がする。
芥川の『水虎晩帰之図』という河童の絵は不気味で怖い。
この文学館にあるカフェで、ランチメニューの「森瑤子のヨロン丼」を食べた。オイルサーディンを乗せて、細かいネギと唐辛子をふって、すだちをしぼってかけて食べる。ごくシンプルだけど美味い。
「 日本近代文学館」
小説とは違って短いものが多いので、いくつか気に入ったものを書き写した。
佐佐木幸綱「満開の桜ずずんと四股を踏みわれは古代の王として立つ」
よほど貫禄のある桜の木なのだろう。
漱石『あるほどの菊投げ入れよ棺の中」
大塚楠緒子の死によせての句。
有島武郎 「明日知らぬ命の際に思ふこと 色に出すらむあぢさいの花」
絶筆。
加藤克巳 「子を産みてうつろなひとみアネモネのむらさきいろよりさらに恋ほしき」
『エスプリの花』(1953)
これは初めて知った作者。検索したところ、これは長女(すでに次男までいたが)の生まれた年に出た歌集に収録されている。「うつろなひとみ」はなにやら官能的に見える。
同じ展示に出ていた漱石の「修善寺大患」あとの漢詩の「日は三春に似て永く心は野水に髄って空し」は、「空しい」はネガティブではなく、とらわれていない晴れやかな様を意味している(「則天去私」を目指しているのか)ので、関係はないけれど、この歌の「うつろな」も、それ相応に魅力を伴うものとして使われているという気がする。
芥川の『水虎晩帰之図』という河童の絵は不気味で怖い。
この文学館にあるカフェで、ランチメニューの「森瑤子のヨロン丼」を食べた。オイルサーディンを乗せて、細かいネギと唐辛子をふって、すだちをしぼってかけて食べる。ごくシンプルだけど美味い。