レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

「知的」に見える小説家?

2019-07-28 12:18:42 | 
mixiに載っていた記事「合コンで知性派キャラを演出!「好きな小説家」の模範解答9パターン」(オトメスゴレン)にツッコミを入れずにはいられない。
 ところどころ省略しながら引用。いちいち「略」を書かない。

「趣味は読書」と言うだけでも、知的な雰囲気が漂うものです。では、どんな作家を読んでいると、男心をつかみやすいのでしょうか。『スゴレン』男性読者の意見をもとに「『女性がコレを読んでたら知的でいいな』と男性が思う『小説家』」を紹介します。
1】独自の世界観にファンが多い「村上春樹」
「伏線が多いから洞察力が鋭そう」(10代男性)というように、伏線が絡み合う『ノルウェイの森』などの代表作がある「村上春樹」が好きな女性に、輝く知性を感じるようです。
【2】本格ミステリーからファンタジーまで「宮部みゆき」
「話題が豊富で話しやすそう」(20代男性)というように、さまざまなジャンルが揃う「宮部みゆき」作品を読んでいると、男性が話しかけやすいようです。
【3】誰もが知る近代小説の父「夏目漱石」
「読書が苦手だから、純文学を読む子は尊敬する」(10代男性)というように、近代文学を読む女性は、活字が苦手な男性には憧れの対象となるようです。『羅生門』の「芥川龍之介」や日本初のノーベル文学賞作家「川端康成」など、名の知れた文豪であれば同様の効果が期待できそうです。
【4】世界的ベストセラーを産んだミステリーの女王「アガサ・クリスティ」
「ミステリー好きな人って物知りそう」(30代男性)というように、『名探偵ポアロ』シリーズで知られる「アガサ・クリスティ」などのミステリーを好む女性に、博識な印象を抱く男性もいます。
【5】独特なオカルト系推理小説を生み出した「京極夏彦」
「作中によく出てくるうんちくが好きそう」(30代男性)と、推理小説にオカルトを織り込んだ『百鬼夜行』シリーズが人気の「京極夏彦」作品を読む女性を、男性は雑学好きだと感じるようです。
【6】今も語り継がれる名作を残した「シェークスピア」
「持ってるだけでカッコイイ」(20代男性)というように、「シェークスピア」などの古典作品を読む女性を、尊敬の眼差しで見る男性もいます。『ハムレット』などは演劇もよく上演されているので、「一緒に行こう」と男性をデートに誘ってはいかがでしょう。
【7】コメディ要素を含んだサスペンスで話題に「東川篤哉」
「本の話で一緒に盛り上がれる」(40代男性)と、男性にもファンが多い「東川篤哉」作品で語り合いたい男性もいます。ドラマ化された『謎解きはディナーのあとで』を読んでいれば、「それ知ってる」と男性が話しかけてくれるかもしれません。
【8】爽やかで飾らない作風が人気の「有川浩」
「恋愛小説を読む子って文学少女っぽくていい」(20代男性)というように、恋愛モノをマンガや映画でなく小説で読む女性に、男性は図書館にいそうな素朴さと賢さを感じるようです。
【9】現代人の心の機微をリアルに描く「飛鳥井千砂」
「落ち着いた大人な女性っぽい」(20代男性)と、『タイニー・タイニー・ハッピー』など繊細な人間関係を描く「飛鳥井千砂」作品を読む女性に、穏やかさを感じる男性もいます。人の弱さを知っているからこそ共感できる話も多いので、深い人間性を感じさせるのかもしれません。

合コンで「『女性がコレを読んでたら知的でいいな』と男性が思う『小説家』」には、ほかに誰がいると思いますか? 皆さんのご意見をお待ちしております。(有竹亮介/verb)


引用終わり。
 小説を読むのは知的自慢のためではないとわかりきったことを言うだけ虚しいし、ここで挙がった作家の多くはそれを挙げたからといって「知的」というガラではないと思うし(この点で納得できるのは漱石くらいか)、むしろ、話のタネにしやすいから合コン向けと言われるほうが納得できる。
 私自身は、少しだけ読んだのは1と7、全部~あらかた読んでいるのは2,3,4,6. 全く読んでないのは5,8,9.

 しかし、この記事の最悪な点は6である。好きな「作家」は?という質問ならば答えが「シェイクスピア」でも問題ないが、「小説家」と限定しているのにこんなこと言ったら、「知性派」どころか、こいつ読んでないだろ・・・となる。劇作家なのだから、演じられたものを見たことがあるならば、「読んだ」よりもむしろ正しい鑑賞法と言えるかもしれないが。

 私が質問するならば、・・・例えば、難解と言われているジェイムズ・ジョイスなんて理解して熱く語ってしまえる人がいたら尊敬のまなざしを向けるだろう。(私は読んだことはない)
 『戦争と平和』byトルストイは面白いとは思うが、筋とあまり関係しない作者の主張部分までとばさずに読む人はえらいと思う。私はとばした。
 『特性のない男』byムージルなんて題だけで読みたくなくなるが、あんなものを読みこなせるならばそれはすごい(たぶんに偏見)。
 ある意味で悪名高い、賛否両論の『晩夏』byシュティフター、あれをきちんと読み込むのもえらい。

 「知的」になるかどうかは、なにを読むかよりも、どのように読むかだろう。
 ハーレクインロマンスをクールに読んで鋭い考察をする人もいるだろうし。
 古典で萌えを追求する人もいるだろうし。←でもたいていの物語にとっては、考察されるよりも感動してもらうほうが正当な扱いなのではなかろうか。
 戦後のドイツの小説家のハインリヒ・ベル(『アダムよ、おまえはどこにいた』等)は、--私が語学学校の授業できいた話によると、わかりやすく書き過ぎることで文学研究の対象にされない作家だという。でも、読まれるほうがずっといいと思う。
 
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『オリンピア・キュクロス』『聖おにいさん』新刊

2019-07-24 12:51:56 | マンガ
『オリンピア・キュクロス』3巻 ヤマザキマリ
 故郷を出て大都会アテネに来たデメトリオスはテレビとマンガ哲学者プラトンに出会う。今回の落雷でスリップした先は東京、しかも2020年・・・っていまのところ未来だ。巌谷先生はもう故人で、あのころ子供だった孫がそっくりになって同業者(古代ギリシア研究)で通訳役も引き継ぐ。――色気抜きのキャラ配置でいいなぁ!!


『聖おにいさん』17巻
 「仏語」といえば、大昔新聞に載っていた投稿の逸話を思い出す:、「仏のポルノ論争」という記事にばあちゃんが「いやあねえ仏様まで」  罰当たりなのか信心深いのか判断に困る発想である。
 現代日本では、「シャカの語った言葉」よりもフランス語のほうがなじみのある人が多いのではなかろうか。
 「聖母マリアフィルター」は意味深いお宝ではなかろうか。私は読んでないけど清水玲子『月の子』(だったっけ?)で主人公が、好きでもない男に触られると少年の姿に変身してしまうという特質を持っていて、これは対セクハラで理想ではないか!と論じられていたことを思い出す。
 サラダ専門店でのペトロの「じゃシメのラーメン行こうぜ!!」にとっても親しみを感じる・・・。


 ついでに、mixiで紹介されていた記事から、メモ代わりにここで引用しておく。  
 

フランス 「ル・モンド」が発表 「日本の傑作漫画20選」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190708-00000002-courrier-cul
『NARUTO─ナルト─』岸本斉史(1999年)
『関東平野』上村一夫(1976年)
『銃夢』木城ゆきと(1990年)
『風の谷のナウシカ』宮崎駿(1982年)
『アドルフに告ぐ』手塚治虫(1983年)

『鉄コン筋クリート』松本大洋(1993年)
『NANA─ナナ─』矢沢あい(2000年)
『らんま1/2』高橋留美子(1987年)
『DEATH NOTE』大場つぐみ・小畑健(2003年)
『MONSTER』浦沢直樹(1994年)

『SLAM DUNK』井上雄彦(1990年)
『ドランゴンボール』鳥山明(1984年)
『ベルサイユのばら』池田理代子(1972年)
『BECK』ハロルド作石(1999年)
『ラブひな』赤松健(1998年)

『GTO』藤沢とおる(1997年)
『CITY HUNTER』北条司(1985年)
『AKIRA』大友克洋(1982年)
『クイーン・エメラルダス』松本零士(1978年)
『HUNTER×HUNTER』冨樫義博(1998年)

 私が読んだものは『アドルフに告ぐ』『スラムダンク』『ベルサイユのばら』、ごく一部だけは『らんま』『HxH』。


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ダビデ君完結 あさぎ伝復刊

2019-07-17 15:30:38 | マンガ
『思春期ルネサンス!ダビデ君』
 3巻4巻が続けて出て完結。
 3巻の体育祭の話の時に出てきた「ネロ」、「鬨の声」要因まで用意してあるあたり、リサイタルでの各種サクラを彷彿させて中々。 ナルキッソス先輩はキザなわりにけっこういい奴(どうしてもこのテのキャラの声は花輪クンの声が耳に浮かんでしまう)。
 収まるべきところに収まって大団円。これまでの美術品ネタがまとめて紹介されているのもお得感あり。
『チェーザレ』も『セスタス』も新刊が出た、順調に進んでいるのはよいことだ。
セスタスの側の話つまり拳闘試合だと、あまり実在キャラが絡んでこないけど、出場者たちに味があって読ませる。

 亀さんの『まんが 偉人たちの科学講義 天才科学者も人の子』がいつのまにか出ていた。技術評論社、1680円+税。 これは科学本の棚に置いてあった。ご本人のサイトに載ってなければ私の眼にはいるはずがなかった。(『世界史の問題児たち』は、地元の有隣堂では「サブカルチャー」の棚だった、これも世界史のほうがよかったのでは? 『レキアイ!』はふつうのコミックスだった、値段もいちばんとっつきやすかった)
 物理はできなかった、というよりも、そもそもこの科目をとったのかどうかすら覚えていない、地学や生物がダメだったことは覚えているのだが、もう一つできなかった理系科目は化学だったか、それすら覚えてないレベル。
 「科学者の人の子」、人となりを示すエピを楽しみつつ、アインシュタインの説明くらいはもう少し努力して読んでみよう。

マンガの話題だとこれも貼っておこう。復刊ドットコムからは情報が来る。

【3】沖田総司が新撰組を結成するまでを描いた、和田慎二『あさぎ色の
   伝説』(541票)が、秘蔵のカット等も収録し、2ヵ月連続刊行!

和田慎二版新撰組である『あさぎ色の伝説』を2冊にまとめ、2ヵ月連続で
刊行決定です!

――ということなんだけど、高いんだよね~。売れてほしいとは心から思うけど、迷っている。
 「沖田総司が新撰組を結成するまでを描いた」には激しくツッコミたい!

 『俺の新選組』は再開の望みがなくなった。『ひなたの狼』はどうなるのだろう。
 木原さんの『天まであがれ!』は、予定よりも短くされたので大きくすっとばしたとはいえ、物語の最後まで描かれてよかったほうなのだろうな。

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録画保存のレーベルの都合による展覧会への希望

2019-07-08 09:48:24 | 雑記
 かつて「飽和状態」と言われたこともある、BSでの紀行番組。私も週に5本くらい見ていたことがある(ほぼドイツ限定・ヨーロッパ限定だけど) それも様変わりして、いま、少なくとも外国を扱う番組はほとんどなくなっているのではなかろうか。いま頭に浮かぶのはBS日テレの『イタリア 小さな村の物語』くらいか、私は見たことないが、ずいぶん長く続いているようである。
 日テレは『世界水紀行』と『大人のヨーロッパ街歩き』の再放送は続いている。(「水紀行」、ライン河の時に見損ねているので待っているがまだやっていない!)
 4月から、BS-TBSで平日朝7時台に紀行の再放送になって嬉しい、とここに書いた。『地球絶景紀行』では、紹介されることの少ないホーエンツォレルン城やザクセンスイスを保存し損ねていたので期待していたのに、4月だけでそれが終わり、5月に『世界一周!魅惑の鉄道紀行』になってしまい、これはほとんど見ていたし、ぜひとっておきたいパートは録画保存もしてあるので有難みがなかった。また『絶景~』になってほしいと思っていたのに・・・7月はその紀行枠ですらなくなってしまった。「がっかり」という言葉は好かんのだが、がっかりどころか怒りを感じている。『絶景~』でなければほかには『地球バス紀行』でも悪くなかった。
 上記『絶景~』の再放送も全部とってあるわけではなく、やはりヨーロッパ。ブルーレイディスク1枚に11時間くらい入れられるがその半分もない。たくさんの番組を見ていたころには、番組ごとに分けていたけどそのうち一緒くたになっていた。でもこれは『絶景~』で統一したい、せめて同じ枠の番組で埋めたい、と思っていたのだが、待っていてもムダか。
  いまは、BDへの保存は大きく2種類、音楽・美術系と、歴史・紀行系に分けている。そしてレーベルには、ある程度内容を示す写真等を貼る。観光パンフをもらってきて切り取るのがいちばん簡単。美術展のチラシや値引き券も役に立つ。
 ところで、美術展はたいていお知らせHPができるものだが、そこで、テレビでとりあげられることの予告情報を明記してくれないだろうか。もしかすると、ツイッターまで細かく追っていけばわかるのかもしれないけど。同じ特集の番組はなるべく同じディスクにまとめたいのだ。プラド美術館展の時にこれを気にかけずに分散されてしまったことが大いに残念だったのである。
 だから、去年の大々的なフェルメール展では、『日曜美術館』『ぶらぶら美術・博物館』『美の巨人たち』と3種類で放送され、この3本は同じBDに収め、さあこれでもうよかろう、と思ってそのBD(レーベルには値引き券の「牛乳を注ぐ女」の絵をデカデカと貼った)はほかので埋めたのに・・・、まだほかで特番が組まれてしまった。だから上記の値引き券を少し縮小かけたコピーを貼った。
 「ラファエロ前派」展、モロー展、あちこちの番組でとりあげるかと思っていたらそうでもなく、前者は(私が発見した限りでは)『ぶら美』だけだった。後者は『ぶら美』と『日曜美術館』だけ。
 しかしクリムト展と「ウィーン・モダン」展は、『ぶらぶら美術・博物館』『日曜美術館』『新・美の巨人たち』の全部で取り上げた。正直言って私はクリムトは好みではなく、むしろ、金箔とエロスでクリムト節になる時代よりまえのほうが好きである、エミーリエ・フレーゲの少女時代の肖像なんてたいへん美しい! ピカソもそうだけど、ヘンテコな絵で成功するのは、正統派の絵だって上手にこなせてこそなのだとここでも思う。型を破るためには型を守ることを学ばねばならないということ。奢侈と怠惰で名を馳せたペトロニウスは仕事しても有能だった、みたいなもの(私が使いたくてうずうずしている比喩)。『斜陽』のお母さまみたいに(あんな人身近にいてほしくないが)根っから優雅な人ならば作法から外れていいみたいなもの。
 話がそれたが、繰り返す:
 展覧会のHPでは、特集を組むテレビ番組の情報もなるべく載せてほしい。私の場合は実際に行く予定はほぼないとはいえ、番組を見て、行こう!という気持ちが刺激されることは大いにあるはずだし。
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夏、文庫フェア

2019-07-05 09:55:34 | 
 さあ、夏の恒例行事が始まった。

「新潮文庫 夏の100冊 2019」
「カドフェス 2019」
「集英社文庫 ナツイチ 2019」

 景品は、角川のミニクリアファイルが欲しかったので、『空想科学読本』『英語の謎』を買って、3種類のうち2種もらった。『天気の子』と『罪と罰』と「ハッケン君」のうちあとの二つ。『罪と罰』をまた読まなければいけないような気分になっている。
 新潮と集英社の景品はしおりで、たいして欲しいものではない。
 新潮文庫では、『燃えよ剣』がはいっていることじたいは新しくないが、装丁が変更されている。映画化のせいだろうか。その映画の出演者をもってこなかったことはけっこう(?)。別にこちらの出演者に悪意をぶつける気はないが、メディアミックスにのっかりすぎると諸刃の剣になる。(『風が強く吹いている』がアニメの絵をカバーに使ったので私はまた買ったけど)
 「限定カバー」の対象に川端康成『眠れる美女』がはいっているのはいかがなものか!?中高生をおおいに意識した企画なんだろう、『雪国』や『伊豆の踊子』を定番すぎるからはずすとしても、ほかにもっと無難なのがあるだろ!?
 「ナツイチ」、私はネコ派ではないけど、ここのキャラのネコはなかなかかわいい。「ねこじゃらしおり」、自分では使わなくても猫好きの甥(中学生)におしつけようか。「よまにゃノート」にもちょっと気乗りする。使わなくても以下同文。
 読みたいと思うのは原田マハ『リーチ先生』。限定イラストカバーで小池真理子『怪談』は面白そうだと思うけど、――内容と比べてネコの絵がかわいすぎるのでないか?
 
 夏フェアではないけど、創元推理文庫でもフェアをやっている。
「創元推理文庫60thフェア」
 キャロル・ネルソン・ダグラスのアイリーン・アドラーのシリーズの3作目『ごきげんいかが、ワトスン博士』上下が出た、まえのはカバー絵がマツモトヒロミさんのかわいい絵だったが、今回の「アオジマイコ」さんのは影があってかっこいい。
 フェアの一環として特別カバーもあり、『オリエント急行』が久世番子さん、知らない人だけど『レイチェル』byデュ・モーリア が気になっている。


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トリック ひつじの村

2019-07-01 08:06:37 | 
エマヌエル・ベルクマン『トリック』 新潮クレストブック
 ドイツ作品。
 20世紀初頭のプラハに生まれたユダヤ人少年モシェが、母の死後、家出してサーカスに飛び込む。
 21世紀初頭、ロサンゼルスのユダヤ系家庭のマックスは、両親の離婚をくいとめたいと願い、伝説のマジシャンの行方をたどる。
 この両者の物語がしばらく並行して、交わり、ひいてはナチス時代のモシェの苦難、魔術師の復活と奇跡が語られる。重苦しくならずにしみじみとした読後感。
 

リース・ボウエン『巡査さん、事件ですよ』『巡査さんと村おこしの行方』 原書房コージーブックス
 「英国王妃の事件ファイル」というよりも「貧乏お嬢さま」シリーズと呼ぶほうが適切ではなかろうかと思う物語の作者の別シリーズ。気になっていたがめでたく図書館にはいってくれたので早速読んだ。こちらは「英国ひつじの村」がシリーズ名にされている、それにふさわしくカバーイラストはひつじも描かれていてかわいい感じ。主人公は「コージーミステリー」には珍しく男、これまで都会にいたが、故郷のウェールズの村に戻ってきた警官エヴァン・エヴァンズ。30歳まえ、たくましくハンサム。下宿先の女将は良い人だけど、たっぷりの食事を食べさせたがりすぎるのと、自分の孫娘と結婚させたがっているのが玉に瑕。おまけに近所のウェイトレスもしきりにアタックしてくる、でもエヴァン本人は、聡明な教師のブロンウェンが気になっている。そういう個人的な小さなやっかいごとに、たまにある殺人事件でキレを見せるエヴァン。
  これも楽しみなシリーズ。

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