レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

ピンクの話

2007-03-04 15:02:36 | 雑記
 父が見ていた某サスペンスドラマ(消防士の話)、人物名が、クレナイ、コムラサキ、ミズノ、シライ、・・・色の名前で統一してる?戦隊もの意識してるのだろう。
 「レッド」はヒーローにも許されるのに、「ピンク」は女のものとされる根拠はなんなんだろうな。
ーーと私が書きためていたら、『ブスのくせに!』に面白いことが載っていた:日本ではピンクがセクシーな色だが、英語では左翼がかったという意味を持つ。色彩心理学では赤が性欲促進・興奮作用を持つことになっている。多くの日本の男は、強烈な色気に腰が引けるので、赤を薄めたような色であるピンクが程よい「お色気」の色になったのではなかろうかーーという仮説。そんなことはあるかも。
 戦隊ものでメンバーにカラーがつけてある場合、「ピンク」は紅一点というのがお約束。男ばかりのグループだとその中での「女役」がいるのも常で、『聖闘士星矢』の場合はアンドロメダ瞬、この「アンドロメダ」というネーミングからして女役だが、ピンクのヨロイもけっこう目まいのするシロモノである。
 
 昔の川崎苑子作品『サマームーンだより』(単行本未収録)で、主人公が新しいピンクの服を着てみて家政婦さんに「似合う?」と尋ね、「似合いますよ麻子さんは色が白いから やはりピンクというのは色が白くないとね」と言われる。
 川崎苑子改め北村夏(でも作風は変わってない)『私に似た人』では、ある若い母が、わが子にピンク着せて喜んでいるよその母の行動を「 あの子にピンクだけは着せちゃいけないと思うわ、あんなに色黒なんだもの」と思う。
 この作家は、ピンクは色が白くないと似合わない、と昔も今も思っているのだろう。たぶんこの感覚は一般的。だから私は、ドイツの作家ミヒャエル・エンデ(『ネバーエンディング・ストーリー』というなんとかしてほしいタイトルを持つ映画の原作その他)の『ジム・ボタン』で、黒人の赤ん坊を育てるおばさんが「赤ん坊が黒いのも嬉しいことでした。ピンクの服がよくうつるからです」と書いてあったことには驚いた。そういう感覚もあるのか。黒くて似合うのはもっと別の系統だと思うけど。

 厳密に言えば、色の名前も言語によってズレがある。鈴木孝夫さんの本によると、例えば「オレンジ」色は日本語でよりも幅が広くて、オレンジ色がかった茶色も含むそうだ。だから「オレンジ色の猫」はいる。
 でもまぁ、レッドが赤、ブルーが青、というようにおおざっぱには決まっているけど、その点「ピンク」は名称が曖昧ではなかろうか。桃色、桜色と言ってもほんとのそれらと一致するとも限らない。「ばら色」然り。そういえば『マリみて』にもあった、赤い薔薇は紅薔薇、白なら白薔薇と言えるのに、ピンクの薔薇を「桃薔薇」なんて失礼な言い方だというセリフが。「薄紅色」くらいならば失礼ではなさそうだけど。
コメント
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