レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

恐妻家、愛妻家

2008-04-27 06:35:04 | 歴史
 このまえ『サザエさん』で、「恐妻家ってなに?」「奥さんをだいじにする人のこと」という会話があった。・・・・・・それなら「愛妻家」のほうが適切だろう!? 物好きにも検索してみた。「恐妻家」という言葉がウィキペディアに載ってるのは笑える。「愛妻家」が照れて「恐妻家」と自称してみるなど、けっこうごっちゃに使われる傾向はあるらしい。そりゃ、両方ということもあるだろうけど。「恐妻家」の有名人の例も挙がっていて、歴史上の人物では、大カトー、頼朝、秀忠などの名があった。「愛妻家」の項目にはこれら、たとえばどういう人という例がないのはヘンだ。私が挙げるとすればまず、フランツ・ヨーゼフ、ロンメル将軍、マルクス・アウレリウス、明智光秀。アウグストゥスは両方に出てきてよい。
 「愛妻家」という言葉があるのに「愛夫家」がないのは、物事の視点が男の側に偏っていることの反映だと思う。「恐夫家」がないのは・・・シャレにならないからではなかろうか。

 恐妻家だろうと亭主関白だろうと、本人たちが幸せならばハタが口出しすることではない。秀忠&お江の関係について面白おかしく取り上げるとき、お江が三度目だ年上だとうるさく揶揄していると、やかましい!と、私は怒鳴りたくなる

2017.6.12に付記。
「愛夫家」の例を挙げるならば、北条政子、マリア・テレジア、イサベル女王、ヴィクトリア女王。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『残照の記』

2008-04-24 15:06:57 | ローマ
 BLジャンル、日本文芸社KAREN文庫から出た『ローマ、残照の記』、まえにここで予告を転載した。出たので買って読んだ。
 名門貴族の美青年が権力者セイヤヌスに目をつけられ、弟を人質にとられて散々蹂躙されまくる。彼の幼なじみで立場上セイヤヌスに仕える士官は、アントニアの訴え状をティベリウスに届け、セイヤヌスは処刑される。
 まぁ・・・、権力者にいたぶられる美少年、このテの話の設定としてはありがちなのだ。セイヤヌスなんてローマ史になじみがなければ有名ともいえないが、あっても、こいつならどんな悪い役をふってもたぶん苦情は出るまい。
 「先々帝カエサル、先帝アウグスティヌス」なんてミスにツッコミいれたくなるのは仕方あるまい。
 それよりも私がひっかかった点は:主人公の容姿が、ギリシアの血ゆえの黒髪に小麦色の肌がエキゾチック、というのはいいとして、金髪なんて珍しくない、という設定になっていること。そりゃ、世界都市にはいろいろいるだろうけど、ギリシア人だって明色の髪はあるはずだけど(ゲルマン人たるドイツ人だって金髪碧眼ばかりいるのでは決してないし)やはりどちらかといえばダーク系が多数派ではないのか。私がこう思うのは、アウグストゥスの金髪・灰色の目を特徴的なものだとしておきたいからでもあるけど。
 ティベリウスとアントニアは名前しか出なかったな。ひたすらいやらしい悪役のセイヤヌスしか実在人物がおらず(私が知らないだけでチョイ役にいたかもしれんが)、歴史ものという気分になれない。
 さてこの本、売れるのかどうか。
 BLでもライトノベルでも、史実を生かした面白いローマものが出てきてもらいたいものだ。幸か不幸か、スキャンダラスな題材にだって事欠かないし。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

太陽は偉大なり

2008-04-21 14:54:36 | 雑記
天気がいいので布団を干した。湿気が抜けたおかげで出したときよりも軽くなっている。乾いて温みが出て、たいへん気持ちいい。「日の本」の住人であることのありがたさを思う。太陽の下で洗濯物・布団を干すというこの習慣を廃れさせてはならない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

後期、末期

2008-04-20 06:42:14 |   ことばや名前
 「昭和」のころ、みなもと太郎が、ヤクザ映画が決まって「ーー昭和初期」と始まることをもじって、とあるギャグで「昭和末期」とやったら変えさせられたそうだ。
 いま話題の、正確に言えば不評の「後期高齢者」。正直私の感覚でも、たかが75歳程度では「後期」に思えない。65歳から「初期」高齢者、ちょっと年寄り。75歳は「中期」、ふつうの年寄り。せめて85歳くらいはいかないと、けっこう年寄り、には思えない。40代で「初老」なんていってた時代とは度台違う。
 「熟年」ーーまだ使われているのだろうかーーという言葉は、老人扱いは80からでいい、それまでの60代70代は人間が熟していく「熟年」と呼ぼう、という主旨で始まったはずだ。それなのにその言葉の指す範囲はそれよりも下、「中年」とたいしてかわらんようになってしまった。発祥からすれば「熟女」は、ズバリいえば「おばあさん」のはずなのだが、小娘ではない大人の色香を持つ女、といった感じである。 

 大学院での「後期博士課程」という名称(いまもあるのだろうか)、「前期」があるのではなく、そのまえは単に「修士課程」なのに、この「後期」は余計だろう。そういえば、上記みなもと太郎が、「私立探偵」からには「公立探偵」があるのだろうか、とツッコんでいたことを思い出す。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

星新一

2008-04-18 05:42:19 | 
 縁あって、星新一のお父さんが創設者である大学で講義を頂くようになった。図書館には星新一の本がずらっとある。
 私がそれまで読んだことのあるのは、『ノックの音が』と『城の中の人』だった。前者は、30年くらいまえ、友だちがうちに忘れていったのをせっかくだからと返すまえに読んだのだった。すべて「ノックの音がした」の文で始まり、その部屋の中で終わる物語という趣向で面白かった。後書きによると、作者の「出不精な性格」の表れだそうで、それの極めつけが、珍しい歴史小説『城の中の人』、豊臣秀頼を主人公とした作品だということだった。のちに別の本で、この小説が紹介されているのを読んだ。「美の殿堂」大坂城で、美しくないのは父秀吉だけ、という凄まじい説明が印象に残ったものである。
 ところで。本にせよ映画にせよ、それを紹介したものや人からきいた説明であれこれ想像がふくらんでしまい、いざその作品にあたってみたときに拍子抜けする、ということがままあるものだ。例えば、私はヘッベルの戯曲に対して、文学史の本で粗筋を読んで腹を立てつつ勝手に心の中で続きをでっちあげていたりした、しかし、実物のほうが盛り上がれなかった。
 上記の『城の中の人』、のちに読んだのだが、実は覚えていないのだ。せっかくなので、そのうち再読してみよう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ヘタリア』

2008-04-15 05:51:05 | ドイツ
 『ヘタリア』というマンガがある。わりに評判らしい。私は本屋で見て買った。NY留学中の作者による、各国の擬人化キャラによるコメディで、サイトで発表されたものの単行本化。絵は可愛い。かつては世界を支配した「ローマ帝国」をじいちゃんに持ちながらまるでヘタレ、ぐうたらで女好きで逃げ足は速いイタリア、そんなイタリアに迷惑かけられっぱなしの規律正しく勤勉なドイツ、彼らと同盟結んでる技術大国日本、妙に元気でおめでたい、人の話をきかないアメリカ、等々。国民性ジョークの一種といえる。『エロイカ』や『アステリックス』などとも共通した要素があるだろう。
 そういえば(?)、『ヒトラージョーク』という本に載ってたな、「イタリアがエチオピアに最後通牒をつきつけた、--降伏しなければドイツ軍を呼びますぞ」
 
 『エロイカ』好きな人にはお勧め。そして世界史に詳しいとなお面白がれるに違いない。
 なぜこれをドイツカテゴリーに入れたのか、絶対の理由はない。

 このマンガは「ハンガリーさん」のみ女の子キャラであるけど、女キャラメインでならばどういう感じだろうと想像するのも楽しい(すでにどこかでありそうだけど)。
 あるいは、この『ヘタリア』ではだいたい絵の上でカワイイキャラだけど、もっとリアルな絵ならば、「ドイツ」はカーンみたいなんだろうか、「イタリア」はうんと濃い顔なのかとか。
 そういえば、かつて2chの世界史板の「こんなゲルマン民族大移動は嫌だ!」で、「全員カーンのそっくりさん」という答えがあった。この場合、「嫌だ」は「ハマリ過ぎ!」ということだろう。そんなんだったらさぞ怖い。そりゃローマ人負けるよ。

 こんなマンガが国外に出たら・・・?
 ドイツで買ったマンガで、軍隊や戦争をおちゃらかしたギャグのシリーズがあった。第二次大戦時のドイツ軍の話だけど、作者はイタリア人。しかし、別にどこの国の軍隊でもよさそうな話だと思うんだが、なぜドイツにしたんだよ作者? それを訳してるドイツ人もなんなんだろう。「パパのドイツ国防軍はこんなだった」なんてアオリまでつけてる。 ・・・ンなわけないだろって。
 そういうこともあるくらいだから、『ヘタリア』で少なくともドイツ人は怒らないだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マスクの不思議

2008-04-13 06:59:30 | 雑記
 この季節、マスクをしていると、「風邪?」と「花粉症?」の二つの可能性が考えられる。私は特に風邪ひき状態でなくても、ノドが弱いので寒い季節には欠かせない。
 どこかの教室で、マスクをかけるように要請する注意書きの絵で、鼻は残したまま口元のみ覆った絵が描いてある。実際にもたまに見ることがある。 口から悪いものを吸わないためには口を閉じていればいいが鼻はそういうわけにもいかないので、どちらかといえば鼻を覆うほうが理にかなっているのではないのか?なぜ口だけ?  もっとも、鼻だけガーゼで隠していたらかなりヘンな状態であろうな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ライトノベルと西洋史

2008-04-09 15:11:29 | 歴史
 こういう話は、「歴史」と「本」のどちらに入れたものか迷う。

 ライトノベル(私はBLも含めて考えている。「ハーレクイン」の類も)で、少数派ながらも歴史ものはある。コバルトでは、主に鎌倉ものを描いた倉本由布が長い。中国だと、朝香祥の三国志(シュウユ)があった。西洋史ものはやはり少ないほうだ。講談社の「ホワイトハート」の榛名しおりが、4世紀のゲルマンとローマを舞台にした長編を書いていたけど、これは刊行が中断してしまった。公式サイトで続きが発表されているけどまだ読めていない。ルネサンスもので3冊、アレクサンドロスで7冊の長編を書いた過去があるけど、『ゲルマーニア伝奇』はわりに背景がマイナーなせいだろうか。デビューは、フリードリヒ大王より何代か前のブランデンブルク選帝侯国が舞台で、これまたずいぶんマイナーどころだったのだけど。
 徳間書店の「Chara文庫」(BL)には、松岡なつき『 FLESH&BLOOD』がある。日本人少年がタイムスリップしてしまって、イングランドとスペインの争いにまきこまれる(それにしても多いねこの時代!)。エリザベスやフェリペ、シェイクスピアにマーロウ、セルバンテスまで登場してくるのが嬉しい。
 同じ作者が新書館ディアプラス文庫で、同時代のフランス、ヴァロア朝末期を舞台にした『華やかな迷宮』全5巻も書いていた。(イラストよしながふみ) 

 コバルトの新刊、須賀しのぶ『帝冠の恋』は、19世紀ウィーンの宮廷が舞台、バイエルンから嫁いだ大公妃ゾフィーと、ライヒシュタット公(ナポレオン2世)の抑えた恋の物語。このゾフィーは、シシィの姑として悪役イメージの強いひとだけど、ルートヴィヒ1世の「美人画廊」に加えられている美女だし、若いころ、上記のロマンスもあり(だから次男マクシミリアンは不義の子では?との疑惑あり)、これはこれで充分ヒロインたりうる存在だということは私も知っていた。--やるな、須賀さん! かつて、『天翔けるバカ』では、第1次大戦のレッド・バロンやらその部下のヘルマン・ゲーリングをワキで登場させてくれた。このとき後書きで、次回作は『砂漠駆けるアホ』だと冗談で書いていたけど、それも読みたいな、アフリカ戦線舞台の話も。
 ところで、シシィの姑が主人公の話が刊行されたことは、大河ドラマが『篤姫』だということに関係あるのだろうか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

先祖と子孫の戯れ

2008-04-07 15:25:21 | マンガ
『エル・アルコン』つながりでいろいろなことが頭に浮かぶ。
青池保子の「帆船もの」として最初が『エーゲ海の鷲』、最後が『トラファルガー』。『トラファルガー』は、19世紀初頭、フランス革命で離れ離れになった義理の従兄弟の二人が、一方は英国海軍士官、片方はフランス軍狙撃手として英仏海軍の戦いの中で再会するという物語。歴史に名高いトラファルガー海戦を背景にした友情と闘い、こういう、まさにドラマティックロマン!という世界は昨今の少女マンガで減退気味で淋しいことである。(あのころは青池さんの絵もまだ少女マンガ性を残していたしね)
 それはそうと、私は『エロイカ』系FCに多数はいっていたので、そこで読者による二次創作(当時は「パロディ」とひっくるめられていた)の世界に開眼した。別のマンガへとあてはめたダブルパロもよくあった。こういうのは、両方を知っていないと完全には理解できないので読者を限定してしまうのだが、わかるときの効果もまた格別なのだ。
 『トラファルガー』へのあてはめもあった。ユージン(英国士官)とマルソー(フランスの狙撃手)に少佐と伯爵。原作での(ユージン→マルソー視点)「りこうそうな目をした少年だった 私は彼が好きだった」→「いやらしい目をした少年だった 俺は奴がだいっきらいだった」  
 マルソー「ではあのときの艦長は君だったのか よく助かったな、おれに撃たれて」→「ではあのときの弾は当たったのか よく当たったな、私が撃って」
 無類の銃器類オンチである伯爵が狙撃手の役などということですでにギャグなのだった。
 同じ描き手で、『あさきゆめみし』ネタもあった。源氏に伯爵、藤壺に少佐、しかしここで最高だったのは、桐壷帝=サバーハで、「死んだ桐壷に似ているので妻にしたが、よく見るとまるで違っていた」。
 この、ティリアンと少佐が顔の似た先祖・子孫という設定はギャグにも使われる。『パタリロ!』では、『パタリロ6世と8世』といったかな、8世(本編の主人公)がタイムスリップして先祖のところへ行く、そこではバンコランの先祖に攻撃されているところという設定の話があり、なつかしの『少○通信』ではこれへのあてはめをやっていた。
 ほか、「紫を着る男」(つまりティリアン)が絵から抜け出してきて子孫(少佐)をからかうというネタも、私がはいっていたサークルの周辺ではあった。ティリアンが少佐を、自分の最期の場面に連れていくと、そこに伯爵の先祖・ルミナス(レッド)の子孫の幽霊たちもいる。「私たちの先祖の最期を見ようとツアーくんできたら、本人の幽霊と子孫がいるじゃないの、それがなんと、私たちの天敵のそっくりさんなんだもの」  そうか、400年もあの金髪巻き毛遺伝子、黒髪サド目遺伝子は発揮され続けてきたのか、楽しいなあ。 私も、伯爵の甥(姉が3人もいるから)の画学生がトレドでファルネーゼ家の青年士官に出逢って恋するという話を妄想したことがあった。やはり、血縁でそっくりさんを設定してみたくなるのだ。(美形に限る)

 読者の二次世界を表で話題にすることがどの程度かまわないのかという疑問はあるけど、・・・うもれてしまうことは惜しくてたまらない。あのメンバーたちはどうしているのだろう、「みんなどこへ行った~~」のフレーズがふと浮かぶ(いまでもネット活動してるところは知ってるけど)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

浮かれたいのは山々

2008-04-06 15:41:28 | 雑記
 近所にささやかな花見に行き、そのあとスーパーへ。講義で使うプリントのためにアイヒェンドルフ作品等のコピーをとる。数年前までは、すぐ近くにコンビニがあり、週に1回くらいは自転車で気軽に資料のコピーに行くのも習慣だったのに。あの店がつぶれて不便になった。
 部屋の物置を探って、探し物は出てこないけど、思いがけず鉛筆2ダースが見つかった。これで、未使用の鉛筆が4ダースくらいあることになる。とうぶん買わなくていいな。春には、新学期用として文房具が店頭に並ぶけど、たいていは小学生用なので、2BとかBの柔らかい芯の品だ。それに、1ダース単位だと手を出しにくい。バラ売りならばカラフルに買ってみたくなるだろうけど。
 でも、筆記用具はたいてい足りている。あるものから使って部屋の密度を下げたい・・・。

この週末は、立川の記念公園も花見客が多かったことだろう。
 今日変更したテンプレートも引き続きピンク。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする