レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

「男優」

2018-07-28 09:58:25 |   ことばや名前
 mixiの記事に「また共演してほしい男優・女優は?」というアンケート結果が載っていた。私は芸能人に詳しくないし、テレビドラマや映画をあまり見るほうでもないのでそのテーマじたいに関心はないし、名前を挙げられてもわからん。
 それよりも気になったのは、コメント欄の「男優なんていうからAVかと思ったら」、「AV以外で男優なんて言うか?」という類の感想。
 まえに、酒井順子本の感想ついでに書いたことがあるが、「男優」という言葉がポルノを連想させるという感覚は存在するらしい、それはいちおう知ってはいた。しかしな、この文脈は「女優」と対にしての使い方である、それで「俳優と女優」なんて書いてあるほうが不自然だろう、少なくとも私はムカっとする。「俳優」は男女含んでいるはずで(歴史的にそうでない時代・文化圏はあるが)、女優も込みなのかどうかわざわざ明記が必要なことのほうがおかしいだろう。
 その点なぜか「声優」は両方があたりまえで、どちらかに限定するならば「男性」「女性」がいずれの場合にもつけられているという印象がある。
 「俳優」で思うのが男に傾く現状はなかなか変わらないとしても、
せめて、「男優」=エロに使う言葉、という認識くらいは薄れていってもいいのではなかろうか。

 それとも、「男優」という言葉だけで、エロと察してくれ、という思いやり要求なのだろうか?

 しかし、ずばりと言いにくいという決めつけもまた失礼かもしれない。

 難しい。


 私が言いたいのは、人間=男ではない、多くの職業名は男に連想が傾いていることは不当だ、といういつもの主張なのであるけど。
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オリンピア・キュクロスその他歴史ものマンガ

2018-07-21 14:43:13 | マンガ
ヤマザキマリ『オリンピア・キュクロス』1巻 集英社

紀元前400年ごろのギリシア、海辺の村の絵付師デメトリオスは、運動神経抜群だが争いごとの嫌いな「草食系オタク」青年、村長の娘で親友の婚約者の美女アポロニアにひっそりと片思い。
 そんなシャイな奴が村のもめごとのために運動勝負を受けるハメになってしまい、壺にこもって苦悩していたら落雷にあって、そして目にした世界はーーー

 やってきたのは1964年の東京。
 言うまでもなく、『テルマエ・ロマエ』ふうのノリである。
 二番煎じと言われることは充分すぎるほど承知のうえだろう。
 しかしいまの時期だとよけい注目される設定であろう。
 いくら新しくても面白くなければしかたない。
 そして面白い、確実に笑える。

 なんといっても、デメトリオスが真っ先に出会い、案内役になってくれるのが爺さんであるということ! 元選手で招致に尽力したという「巌谷先生」、古代ギリシア語がわかるのだから本業は学者だったのか? 「こうあってほしかったテルマエロマエ」という声を某掲示板で見たが、同感である。



 まえにCuevie『エルジェーベト』に言及したが、同じ作者の『ひとはけの虹』全3巻もこの際買った。ラファエロがあちこちの時代をとびまわって画家たちと関わる。ハダカ成分多し。

 買ってあったけど読んでなかった『アリアドネの冠』ヤングジャンオウコミックス全3巻 島崎真里 も勢いで読んでしまった。若い日のロレンツォ・ディ・メディチと、ジプシー(今日では差別語扱いでロマと言われる)の少女の関わり。奔放な天才レオナルド等も登場している。

 大久保圭『アルテ』徳間書店ゼノンコミックス既刊9巻
5巻まで読んだ。ルネサンスより少しあとのイタリア、画家を目指す少女が主人公。


 --どうしてこういうの少女マンガでやってくれないんだ!
 『ひとはけの虹』は(『エルジェーベト』と同じく)「月刊少年シリウス」増刊「Nemesis」での連載だそうだけど、でももし少女誌での企画ならばハダカ控えめにして、できない内容ではなかろうに。

 戸川視友さんが『白のフィオレンティーナ』等を連載した「いちラキ」も休刊。いまの連載『天と献上姫』は次の最終巻は描きおろしということだけど、あとは出るのだろうか。 
コメント (8)
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夏は文庫フェア

2018-07-15 15:58:25 | 
 夏の祭典といえばいくつかあるが、文庫フェアもやはり注目する。
「カドフェス 2018」
「新潮文庫の100冊 2018」
「ナツイチ」

 角川は、「かまわぬ」ブックカバーがちょっと欲しい気はするが、そのために買おうという本がない。ためになるとお勧めするならば『怖い絵』、面白い小説ならば『幻夏』。

 新潮文庫は、景品の「キュンタしおり」がぜんぜん欲しくない。司馬遼太郎から『燃えよ剣』でなく『人斬り以蔵』になっている点に多少注目。過去に読んだことはあるけど。
 「ロングセラー20」は全部読んでいる。最も面白いと太鼓判押すのは『点と線』、好きなのは『あすなろ物語』がトップ。

 集英社文庫は、「よまにゃ」しおりはかわいいと思う、しかし買いたいほどではない。同じタイプの絵でイヌのキャラならば強いて選ぼうとするだろうけど。


「明治150年に読みたい岩波文庫」
 ↑こういう企画も書店で知った。
 気乗りするのは『上田敏全約詩集』『汗血千里の駒 坂本龍馬君之伝』等数冊ある。3冊買ってクリアファイルがもらえるので応募したい。



「講談社文庫 平成の100冊フェア」
 こういうのも見つけたので貼っておこう。
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「可憐な花のような女キャラ」・・・

2018-07-12 09:29:17 | マンガ
 前にも書いた気がするが、30年以上まえ、「まんが情報誌 ぱふ」で「かわいいキャラクターベストテン」という人気投票があり、投票者が男女でたいへんな違いがあった、女は老若男女すべて「かわいい」の対象にしているのに対し、男は、自分がカノジョにしたいようなかわいい女の子に集中していたという。この時の結果を詳細には覚えていない。竹宮恵子『私を月までつれてって!』のニナが上位にはいっていたこと、少佐が13位くらいに名を連ねていたことくらい。

 先月、mixiの「つぶやきネタ」で「可憐な花のような女キャラと言えば」というお題が出た。私は「好きなのは オスカル、ヴァレンチーノ、エヴァンジェリン姫、ミリアム・トッド、セーラージュピターまこちゃん、咲久子&卯乃、タニア&エキュー、・・・ここで求められている条件とはなんか違う。西名っち、菱沼さん、有野りん子さん、ますます違う。 」

 とまず書き、

 改めて、「性格だけでいいならばチョビ最強」と書いた。
 つくづく、己の趣味の偏りを感じた次第である。

 かわいいキャラ・・・しばわんこ。でもあれは性別決まってないしね。

 上に挙げたキャラに関して言えば、

・ベルばらの扉絵で描かれた少女オスカルのドレスアップ姿はかわいいと言ってよい。(この絵はコミックス等で使用されていない。だいたい、扉絵に数回あったO&Aツーショットの絵はあまり使われていない。イラスト集で初めて見て、なんでこれが通常コミックスにないんだと不満に思ったものがいくつもある)

・ヴァレンチーノは、番外編で出てきた子供時代よりも大人になってからのほうがむしろかわいげはある。

・エヴァ姫は、三次元に移して想像すればたいへん可愛らしい容姿に違いない。来日すればさぞ騒がれるだろう。

・ミリアムは、実は記憶がもどっている状態で、ダグラスの背中に「すりすり」してるのがとてつもなくかわいかった。

 「可憐な」でなく「華麗な花」ならばだいぶ違う、これならば南部咲久子は問題ない。
 
 あ、タンポポみたいなタイプでいいのならば川崎苑子作品のキャラたちが挙がるか。



『四季の歌』に私は常々ツッコミを入れているが、
「春を愛する人は心清き人 スミレの花のような 僕の友だち」
ーー豊玉宗匠をスミレの花のようなと言っていいものかどうか。
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モンク ディケンズ タタール 課題図書歴史もの

2018-07-05 10:50:47 | 
アン・ペリー『護りと裏切り』
 歴史ミステリーということで探して出てきた作品。ヴィクトリア朝を舞台としている。
 看護婦ヘスター、弁護士ラスボーン 元警官の私立探偵モンクの登場するシリーズの3作目。(と思ったが、第1作目を見るとこの3人のうちモンクしか出ていない)
 ヘスターの友人イーディスが持ち込んだ事件。イーディスの兄である将軍が友人宅で変死した。骨董品の槍に貫かれて死んだのだが、妻アレックスが殺害したとして逮捕され、本人もそれを認める。単純には浮気への嫉妬と見られるが、なにかが隠されている。
 実を言うと、真相はけっこう推測できたけどね。
 夫の浮気に嫉妬しての殺人では世間の同情を引かないに決まっているという前提がなんとも腹立たしい。
 歴史上の事件・人物が特に出てこなくても、現代とは違った空気を色濃く背景に持っていれば「歴史」もの扱いすることはよくあるし、そういうジャンルでヴィクトリア朝は多い。日本で言えば江戸の時代劇みたいなものだろうか。


ウィリアム・J・パーマー『文豪ディケンズと倒錯の館』 新潮文庫
 新刊というわけではない、ディケンズ絡みで知ったミステリー。
 実在の人物を探偵役にする趣向のもの。ワトスン役はこれも実在の作家ウィルキー・コリンズ。
 事件に遭遇してわくわくしているらしい様子がホームズを連想させるけど、それは意識してのことなのだろう。
 この邦訳は2001年、その時点で原書は既にシリーズ4作まで、しかし訳書はこれっきりのようで残念。


『タタールで一番辛い料理』
 ロシア出身でベルリンに住む作者による。
 語り手「私」ロザムンダはタタール人の自意識の強いタフな女。娘は母と違って容姿も頭も悪く、それなのになぜか未婚の母になって女児を産む。孫娘の世話にもしゃかりきでたいへんなローザや、精神状態がおかしいくせに子供連れていなくなった娘に、私が個人的に知っている人たちを思い出してけっこう身につまされて読んだ。


『太陽と月の大地』コンチャ・ロペス=ナルバエス 福音館書店
 課題図書の棚を見ていたら、中学生用の本にこれを見つけた。
 16世紀のグラナダーーといえば、すでにレコンキスタは完成したあと。
 本来、信教の自由は保障されてグラナダは明け渡されたはずだったのだが、それはだんだんに反故にされていったことは歴史上の事実。
 領主の娘と、モリスコ(イスラム教徒から改宗したキリスト教徒)の少年との交流が軸だが、彼らの祖父にさかのぼる友情の要素も読みどころである。
 同じ作家の『約束の丘』はこれに先立つユダヤ人追放の時期を扱っていて邦訳もされているそうだから読んでみよう。
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きっと愛され女子になる! 迷宮書架 Amazonで検索したMANGA

2018-07-01 07:05:05 | マンガ
瀬戸口みづき『きっと愛され女子になる!』1巻 芳文社

 「まんがタイムファミリー」連載中のヒット作で私も好きな『ローカル女子の遠吠え』の姉妹作。静岡県東部(あとで沼津と出てくる)で総菜屋をしている30才独身の佐東さゆり、美人で料理上手だけど愛嬌がないと言われる。そこに、キャバクラ勤めの24才塩原志摩が料理を教えてほしいと飛び込んでくる。店で手料理をふるまう日に惨憺たるデキでお客を取られてしまったので、男性の胃袋をつかめるようになりたいという。愛嬌は抜群の志摩はパートに雇われるが、料理の腕は壊滅的、惚れっぽいタチで次々と客相手に失恋を繰り返す。
 物堅い性格のさゆりは『ロー女子』のりん子に近いけど、恋愛・結婚に願望ゼロというわけではなくてそれなりに夢はある。(ほほ笑むのが苦手という点では『笑って!外村さん』by水森みなも と共通するか) 愛や結婚を難しくあれこれ考え過ぎるという点は『頭巾の姫』byTONO のお姫様みたいである。
 志摩はバカで人がいい。店での手料理の日のためにカレーをさゆり指導のもとで練習してなんとかまともなものを作り、それをさゆりのアイディアでカレーパンにしてもらい、初めて好評を得た際、協力先としてしっかりさゆりの店の宣伝をしているあたり、手柄を独り占めしない姿勢が正直で好ましいと思う。
 さゆりの従姉の翔ちゃん32才エステ経営者は結婚願望ゼロ、サバサバボーイッシュでかっこいいおねえさん。お客様がきれいになって喜ぶのが幸せというし、美しさをだいじにする気持ちは大きいけどそれと恋愛とが結びついていないところが面白い。それに、自分は願望がなくてもひとのそれを見下さないのは偉いと思う。

 沼津は行ってたことがあるが、「みしまコロッケ」は知らなかった。


「かつくら」
 ひらのあゆといえば、『ラディカル・ホスピタル』が代表作であろう、いまだに連載は続いている。大人は年とらず、子供は生まれて成長している、時事ネタもばんばん盛り込まれている、思えば矛盾が激しいのに〇〇と違って揚げ足取る気にならない。
 私が初めて読んだのは、「ぱふ」の『星のズンダコタ』だった。まんが情報誌「ぱふ」から分離独立して「活字倶楽部」が生まれた。--マンガを熱心に読む人間は活字に対しても抵抗がないのだ、むしろ読むことに貪欲なのだ、マンガが活字離れの元凶などと抜かすのは勘違いもいいとこなのである、と私は心から主張している。
 --でその「かつくら」で、ひらのあゆの4コマが掲載されている。本のジャンルごとに分けたその扉部分に、そのジャンルにひっかけたネタで。
 この『迷宮書架』、1巻目が出た時にコミックスは買ったが、その続きも出ていることをつい先日某BOで知った。あらかじめ知っていたら普通に買った。


 このまえ、『薔薇王の葬列』がドイツでも出ているという件を書いた。
 この際だからと、Amazonの「洋書」で、ほかの作家のも検索してみた。
 青池保子は『エロイカ~』が英訳されていて途中で途絶えているとはきいたことがあった(私も一時持っていた、『来た、見た、勝った!』のあたり)。
 いま見ると、中古がやたらと高値になっている。

 池田理代子は、ベルばらを別にすると、英語が『クローディーヌ・・・!』、イタリア語が『おにいさまへ・・・』『妖子』『栄光のナポレオン』『女帝エカテリーナ』、スペイン語で『オルフェウスの窓』が出ている。もちろんここに挙がっているのが訳された全部というわけではなく、『天の涯まで』がポーランドで出たことは知っている。

 氷栗さんは『天使の棺』(皇太子ルドルフが主人公)も独訳されているのだな。
コメント (2)
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