レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

大好きだった!少女マンガ 80年代篇

2016-03-27 07:26:46 | マンガ
「大好きだった!少女マンガ」

 まえに、双葉社から出た「大好きだった!少女マンガ 70年代篇」をここで話題にしたことがある。それの80年代篇がやはり出たことを知った・・・しかしmixiで紹介された記事はほんの数日前、出ていたのは1月なのだ、もう店頭にないので取り寄せたよ。欲しい本が見つからないならば注文する手間を惜しんではならないと思う。
 大きく取り上げてある作品で読んだものが意外に少ないことに驚いてしまう。表紙を最も大きく飾っている『ときめきトゥナイト』とやらは全然といっていいほど読んでない。表紙に載っている11種(11人の作家の作品)のうち、全部読んだのは『あさきゆめみし』 『エイリアン通り』(本誌連載で) 『空の食欲魔人』『甲子園の空に笑え!』  『BANANA FISH』 だけで、部分的または途中まで本誌で読んだのが『ぼくの地球を守って』 『CIPHER』。 人気あると知ってはいたけど興味のわかなかったジャンルは当然あるものだ、ここでは紡木たく等。 
 80年代というと私は高校時代~大学~修士課程に相当する。 私の愛読していたのはララ、花ゆめ系列で、マーガレット系や講談社系には縁が薄い。小学校高学年では別マにハマっていたけどね、当時の看板は美内すずえ&和田慎二で、ということは波乱万丈ドラマチック系が目立っていたというわけで、そういう好みはいまも私の中で健在なのである。
 この本の後半は(まえと同様に)、一人1ページか半ページを当てて紹介してある。それぞれの作品に「ロマンチック度」「イケメン度」「ギャグ度」「ハートウォーミング度」「ファンタジー度」「キラキラ度」「ドラマ度」が5段階評価の星で添えてある。
 「イケメン」という言葉を私は嫌いなので「いい男度」にしてほしかった。では「ハートウォーミング」は「ほのぼの」のほうがすっきりする。
 「ドラマ度」とは、星5つになっているのが『アルカサル』『ツーリング・エクスプレス』『口紅コンバット』『バジル氏の優雅な生活』等であることから見ると、波乱に満ちてスリリング、ぐいぐい読ませる、非日常的、異世界を見せてくれる(中には「ありえねー」というツッコミも含んで)、そんな感じを指しているようだ。
 私が首をかしげるのは「ロマンチック度」。私自身読んではいないけど解説では学園ラブコメと思われるものに星5つついていて、文月今日子がゼノビアを描いたものが星二つ。
 そもそも「ロマンチック」とは18世紀にできた言葉である(もっと前からあったが18世紀にポジティブな意味を持ったと説明した本もある)。インテリの言葉であるラテン語に対して、そこから派生した俗語であるフランス語、イタリア語、スペイン語等を「ロマンス語」という。そういう言語で通俗読み物が書かれた。物語の中で起こるようなこと、冒険、幻想、そういうのをさして「ロマンチック」と呼んだ。だから、おおざっぱにいえば「ドラマチック」とかなり重なっているのではないのか。(「ドラマ」とは「劇」のことであって小説ではないし「劇的」とはなにかという議論もあるけどここでは難しいことは言わない)
 そして、「ロマン」というと雄々しいが、「ロマンチック」といえば少女シュミだというような誤解もあるのではなかろうか。
 私はひかわきょうこさんは大好きであるけど、『千津美と藤臣君』が星5つで『アルカサル』(愛着ないけど)に一つは納得いかないし、『ミルクタイムにささやいて』の星5つはもっとおかしい。これはむしろ「ラブラブ度」とでも呼ぶべきだろう。
 木原さんの『夢の碑』(ごく一部しか読んでいないけど)、こんなのこそ「ロマンチック度」最高点でよさそうなものだ(3つ)。

  『動物のお医者さん』は、ロマンチック2、イケメン2、ギャグ5、ドラマ4 というナゾの採点になっている。

 載っていない、私の好きな作品で言えば:
『緋色い剣』はドラマ度とロマンチック(私の考える)度とファンタジー度が星5つ、イケメン度が4つか3つというところか。
 『カルバニア物語』はすべての要素が3つ星以上そろっている。
 『陽の末裔』は、ドラマ度5は言うまでもない。
 『セーラームーン』はロマンチックとファンタジーが高い。
 『土曜日の絵本』は「ハートウォーミング度」5、ファンタジー3、ギャグ3.

 あっ、70年代に「河あきら」が載っているのに、「市川ジュン」はどちらにもない、けしからん! 美内&和田が別マの看板だった時代にそれに次ぐ位置にいた双璧なのに!

上記の作品紹介に、星ランクのほかに「ジャンル」として、恋愛、学園、ギャグ、スポーツ、青春、SF、家族愛、ミステリー、歴史、ファンタジー、職業・自立 という分類がある。
 「恋愛」「家族愛」があるのに「友情」がないのはけしからん。(少年マンガならば「恋愛」よりも「友情」が大きく出るだろう)
 「冒険・アクション」なんてあってもよさそうなものだ。
 『動物のお医者さん』はこれらのうち、恋愛、学園、ギャグ、青春、家族愛、ファンタジー、職業・自立 が挙げてある。 「ファンタジー」? それに、このマンガの良さとして恋愛要素のなさを挙げるファンも少なくない(と思う)のに、「恋愛」がはいっていることも大いに嘆かわしい。

 ツッコミをいれることを含めて、同好の士たちと一緒に楽しみたいムックである。 
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4月からの紀行番組はどうなるのだろう

2016-03-23 14:41:44 | 地理
 半年まえにも似たようなことを書いていた。

 3月と9月は多くのテレビ番組が終了する。そういうことは各局のHPでまとめて情報を載せてくれていいのに、なぜかそうでもない。
 私は複数のBSの紀行番組を見ている。本数の多いのはBS日テレ。現在見ているのは『大人のヨーロッパ街歩き』『世界水紀行』、ドイツのときのみ『世界温泉遺産』。
「BS日テレ」
 「温泉遺産」はもう終わりだと明記されている。このところ「アンコール」になっていたから意外ではない。
 「大人~」は、今後の放送予定が3月までしか書かれていないことからしてまた終わるのかもしれない。土曜にやっていた「アンコール」は、木曜に移って続く。(4月3日に付記、やはり本放送は終了する)
 2番目に好きな「水紀行」は、これも3月までしか予定が出ないので心配していた。同じ時間帯に松平健の出る日本の紀行が始まる情報を見つけて残念に思っていたら、「世界水紀行セレクション」として、これまで「大人の~」の「アンコール」に充てていた時間に放送があるのでいくらかほっとした。#126「ライン河」を見損ねたし、もっと古いところでは「バーゼル」「プリンスエドワード島」を見たい。
 アイスランドやってほしかったな。北欧はほかの4か国は出てきたのに。
 ドイツは、モーゼル河畔(コブレンツ~トリーア)、ネッカー河畔(ハイデルベルクやエーベルバッハ)、ボーデン湖畔(コンスタンツ、マイナウ島、メーアスブルク、フリードリヒスハーフェン、リンダウ)、ドナウの源流(ドナウエッシンゲンとフルトヴァンゲン)、見たいところがまだまだあった。
 全然見ていないけど「小さな村の物語 イタリア」って相当長くやっていて、ま~だ続くのか!

 BS-TBSでは「世界一周!魅惑の鉄道紀行」を原則毎回、「地球バス紀行」「地球絶景紀行」はドイツのみ見ている。しかしこの局では、次回放送ぶんしかHPで予告されないので、4月にあるかどうかはまだわからない。
「BS-TBS」
 付記、いずれも続く。

「世界ふれあい街歩き」
 ドイツだけ見ている。これはまだ続く模様。


 BSフジの「欧州鉄道の旅」「路面電車で行く 世界各街停車の旅」「ヨーロッパ空中散歩」をまとめて「空と大地の欧州紀行」の中で交互に放映する(新作と再放送が混ざる)、という方式に半年前に変わった。まぁ、まだ続くであろう、それを希望する。
 一つの国を2か月ずつというやり方で、これまでにスイス、イタリア、いまはスペイン。「欧鉄」は先週今週に新作。この老舗番組は2001年に開始したが、いまは年に2回くらいしか新作をしない、あとは再放送。・・・私が見ていないパートならば再放送で全然かまわんのだけど、録画済のところばかりなのが腹立たしい、というグチを何度も書いている。古いところを見たいというファンはほかにいないのか~?


17.06.07に付記。
BS日テレでは、『温泉遺産』は終わっている。『大人の~』は「アンコール」(つまり再放送)が、『水紀行』は「セレクション」(再放送)が続いている。
BS-TBSでは『地球バス紀行』は終わっている。『世界一周!魅惑の鉄道紀行』は現役続行中。『世界絶景紀行』も続いている。
NHK-BSプレミアムの『世界ふれあい街歩き』は続いている。
BSフジでは、『空と大地の欧州紀行』はとっくに終わったが、『欧州鉄道の旅』はなぜかいままた再放送中。
「欧州鉄道の旅」
 『絶景』『ふれあい街歩き』は、かつてはドイツの時しか見ていなかったが、いまはヨーロッパの時には見ている。
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『占領都市ベルリン』

2016-03-16 08:46:52 | 
ピエール・フライ『占領都市ベルリン、生贄たちも夢を見る』 
「アジアミステリリーグ」
 例によって上記のサイトで知った、ドイツ産ミステリー。
 ドイツが戦争に負けて共同統治にある、ただしまだ壁はできていない時期の話。連続殺人が起き、被害者は金髪碧眼の若い美人で米軍基地に勤めているという共通点がある。ドイツ人警部と米軍の青年将校が捜査にあたる。
 殺人が起きた後で、その被害者のそれまでの人生が語られる。身を売った過去もあり、手を血に染めた者もあり、ソ連兵に凌辱された者ももちろんあり。それでも少なくとも根柢の良心は失くさず必死に生きてきた女たち、過去の恋人に再会したり、捕らわれていた父の釈放が間近だったり、これから幸せになろうとしていたところで・・・。なんとも切ない。
 警部の息子は闇市に出入りしたり、アメリカ人記者をだまくらかしてタバコをせしめていたりするけど、作者自身の体験の反映かもしれない。
 いい作品なのに、--下記のレビューでも指摘しているように、表紙がよくない。凄惨な殺人事件だけどことさらにグロテスクに描いてあるわけではない、内容よりも下品すぎる表紙絵。
 もしも手にする機会があれば、表紙にだまされないでねと言いたい。
「占領都市ベルリン」


マックス・ベントー『羽男』  角川文庫
 これまた上記サイトで知った。そしてこれも舞台はベルリン(現代)。そして、連続殺人の被害者が金髪女だという共通点もなぜかある。
 (金髪女が殺される役というのもステレオタイプの一つであるらしいけどね)

 面白かったけど、ミステリーとしての難点は

           ネタバレ行あけ




 犯人は早くから登場しているべしというルールに反して、半ばも過ぎてから出てくる、「主な登場人物」にも出てないし。
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上野のアンペルマン ケーキにフォーク

2016-03-13 13:27:09 | ドイツ
 先日、上野に行く機会があった。帰りに、山手線で新宿に行くホームの階段脇の店に目をやると、なじみのある「アンペルマン」のキャラクターが目にはいる。「Rezept」という店で扱っている。これは知らなかった。ノートとトートバッグを購入。いま大学に持っていく手提げは、ベルリン博物館島展で買った品である、もう10年くらい使っている。もし替えるとしてもやはりタイプの近い品がよかろうと思って、黒地で縦長(に見えた)を買った。アンペルマンのエコバッグはいくつか持っているけどトートは初めて。どうも私はこういうのが好きである、余っているくらいなのに。(ヘタリアのトートも複数あるよ)
 久々に「アンペルマン」の店のHPを見たら、渋谷の店はなくなっていたことを知った。
「アンペルマン」

 こういう本が出たことも、郁文堂からの情報で知ってはいた。今日新聞で紹介もされていたのでアマゾンから貼っておく。
 「アンペルマン 東ドイツ生まれの人気キャラクター」

 ベルリンといえば、『ダーリンは外国人』のシリーズで、『まるっとベルリン3年目』が出た。
 ベジケバブ、鮭ケバブ、食べたい。
 最後の4コマに最も注目した。
 「カフェのケーキはよくフォークが刺さって出てきます 運ぶとき落とさないためらしいけど たまにはタテにも刺さってくるという・・・」
  数年前、あずみさんのサイトの「日記」かなにかで、ドイツのカフェでケーキにフォークが刺してあったので驚いたという話が出てきた。ドイツに行ったことのある読者数人(私含む)は見たことなくて謎のままだった。そうか、そういうことなのか。
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レジ横の冊子

2016-03-05 10:14:22 | 
 書店のレジ近くに出版社の冊子が置いてあることがしばしばある。新刊・近刊案内やエッセイや小説が載っている。ああいうのをもらってきて読むことにハマった時期がある。たくさん置いてある店にもう行く機会がなくなったし、愛読していたけど廃刊になったものもあるし(光文社『本が好き!』、徳間書店『本とも』、幻冬舎『星星峡』)、面白くなくてやめたものもある。現在、物好きにも定期購読しているのは、ポプラ社の「asta」と小学館の「きらら」。地元店に置いてあるのでもらってくるのが角川の「本の旅人」。

 「本の旅人」は月末に出る。今月の1日の朝になくて、4日に行ってもなかったので、「もうなくなったんですか?」と尋ねたところ、「いまは置いてない」という答えで、でも、まだなのか、もう届いてなくなったのかはきちんと覚えていない感じであった。たいてい1日2日でなくなってしまうというものでもないし、けっこう不規則でもある。

 ああいうのは書店から働きかけるのではなくて先方から持ってくるものであるらしい。もう置かないようになったならばそれはそれでいい。ぽつねんと1回だけ抜けるのは悔しいのだ。

 「本の旅人」

HPを見ると、バックナンバーを買うということもできるようなので、もし今回逃して次号はまた入ったならば、どうしてもということならばBNを買えばよかろう。

 でも正直なところ、いま、逃したくないというほど愛読している連載があるというわけではない。
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死体絵画 狼の王子 シンデレラたちの罪 人形遣い

2016-03-01 06:37:16 | 
『死体絵画』アストリット・パプロッタ  講談社文庫 2006年
 舞台はフランクフルト、ホームレス連続殺人事件が起きる。
 イナ・ヘンケル警部とその上司シュトッカー警視のシリーズの3作目だそうだ。しかしいまだにこれしか出ていないようである。
 常に丁寧な口をきくインテリ上司は右京さんを連想しながら読んだ。
 センスが散文的なイナ、
「学校で劇場に行くようにと急かされるたびに、わたしは、ほとんど死にそうになりました。ともかく、ああいうのは駄目なんです。ああいう古典的なものは。タイツをはいたゲイの王子ばかり出てくるようなのは。そういう劇の一つで、王子が思想の自由についてわめき立てるのがありますが、あれを巡って、そのあと何時間も、どういう意味が含まれていたのかと反芻させられたんですけれど、どういう意味かなんて、明々白々じゃないですか?」
 --少佐みたい。草葉の陰でシラーが泣くよ。ところで「思想の自由をお与え下さい」という有名なセリフは、王子ドン・カルロスではなくて腹心のポーザ侯爵。ドン・カルロスは父の妃(3度目)と密かに想いあっているけどエボリ公妃に懸想されているのでややこしくなる。ポーザ侯爵は王子にもフェリペにもだいじに思われていて、・・・このへん深読みすれば、「ゲイの王子」よばわりもさほど無茶な感想でもない気がしてくる。
 その彼女が唯一感動した劇がビュヒナーの『ヴォイツェク』で、これが本筋にも絡んでくる。


クリスチャン・モルク『狼の王子』  ハヤカワミステリ
 デンマーク産だけど舞台はアイルランド。
 叔母に監禁されていたらしい若い女たちの死体が郵便局員に偶然発見された。そして彼女たちの遺した日記が、画家志望の若い配達人の手に渡る。興味をひかれた彼は過去を追い始める。
 ファンタジーのようなタイトルは、日記に登場するさすらいの語り部の物語による。臆病者の王子が勇敢な兄を殺害して王となり残忍な所業を重ね、その罰として狼に化してしまう。そしてこの(広い意味での)劇中劇も本筋と無縁ではない。


クリスティーナ・オルソン『シンデレラたちの罪』 
 スウェーデン製。初邦訳作家。
 ストックホルムへ向かう列車の中、ほんのわずか母親がホームにおりていた間に幼い娘が消えた。そしてさらに被害者が出る。
 犯人の罪は充分に大きいが、そういうふうに歪ませた元凶、虐待していたババアが彼に報復で殺されていることがこの話の救いである!


ライナー・レフラー『人形遣い  分析官アーベル&クリスト』
 創元推理文庫、去年の刊行。
舞台はケルン。猟奇連続殺人事件。有能で変人のマルティン・アーベルがはるばると呼ばれ、若いハンナ・クリストがその下につかされる。第一印象最悪でのちに~という点はラブコメの定番でもあるが、もちろんラブコメではなく陰惨な事件である。コンビの二人がそれぞれ家庭の不幸な過去をかかえていて、あとでまだまだ出てくるらしい。
 これも、虐待されていた犯人(ということは初期からわかっているので書いてもよかろう)が、元凶をぶっ殺している、この点はぜんぜんかまわん。いやむしろ元凶だけにしておけよと言いたい。(宮部みゆき『模倣犯』の犯人その2にもそう思う。母親だけ殺しておけばよかったんだよあの犯人は!)
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