レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

ご長寿マンガ家?

2017-04-29 11:06:30 | マンガ
 ブログの更新なんて義務じゃないからいくら開けたっていいんだーーとはいえ、1週間超だとなんとなく気がひけるので一言二言書こう。

 先日mixiで紹介されていた記事二つ。

 一つ目は、「連載40年、全62巻。少女マンガの名作『王家の紋章』で自宅にいながら大冒険へ」という題がつけられたもの。
 これを目にして、--終わったのか?と思うのは私だけではなかろう。タイトルをつけた人間の責任である。本文は正しく「既刊62巻」と書いてあるし、和久井さんによる真っ当な紹介である。だからといって読む気にはならないけどね。

 もう一つは、「ご長寿マンガ家」ランキング。上位3人は
1位 藤子不二雄A
2位 楳図かずお
3位 さいとう・たかを
 という結果になった。これは単に投票数の順位であって、必ずしも高齢の順ではない。理代子さんが細川さんよりも上になっているくらいだし。
 それにしても、『ベルばら』の紹介でマーガレットコミックスのあの表紙を出されるとやめろ~~!と言いたくなる。この絵では単にお姫様の話にしか見えない。同様の恥ずかしさは『エロイカ~』にもあてはまる。
 ・・・そこへいくと、『王家の紋章』は1巻でもまったく違和感がないのはすごいぞ。あと『ガラスの仮面』ね。読者の寿命も心配されているという共通点がある。

 ついでに。
 
 今月買ったコミックスの新刊は、『北斎のむすめ。』1巻 『ちはるさんの娘』3巻 だけだった。あ、~の娘が偶然に共通している。前者はいちおう歴史もの。娘も絵描きであったのは史実。「史実をもとにしたフィクションであり、史実とは異なる箇所があります」って、実録をうたっているわけでもないのにこんな注意書きが必要なほど読者がバカなのかクレーマーに神経質なのか。
 
 『ヘタリアAxis Powers歴史読本  ヘタリア的世界遺産Ⅲ フランス革命から21世紀まで』も売り場はコミックスと同じだった。
 亀さんの『世界史の問題児たち』は「サブカルチャー」だった。歴史の棚のほうが適切だと思うんだが。
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エノーラ・ホームズ

2017-04-20 09:39:01 | 
ナンシー・スプリンガー『エノーラ・ホームズの事件簿』

 私は二次創作というものが好きであり、ホームズ・パスティーシュにも関心があるので以下の本を入手した。
「シャーロック・ホームズ・イレギュラーズ 未公表事件カタログ」

「ジュブナイル」に分類されている『エノーラ・ホームズ』を知った。
「エノーラ・ホームズの事件簿」
 ホームズの身内に関しては兄マイクロフト以外は判明していないが、この作品では、母が高齢出産した年の離れた妹を設定している。エノーラの14才の誕生日に母ユードリアが姿を消す。急ぎ戻ってきた兄たちは、使用人のほとんどいない屋敷、レディ教育をまるで受けていない妹の状態に驚愕する。ユードリアは婦人参政権論者の変わり者(当時としては)で、その点保守的な息子たちとはそりが合わなかった。夫の死後領地の管理をしていた。家庭教師の費用、馬車の費用等々、マイクロフトから金を送らせていたが、それらを着服ーーしかしエノーラの考えでは、領地管理をしていたのは母なので母にも受け取る権利はあるーーしていたことになる。ともかくマイクロフトはエノーラを寄宿学校へやろうとするが、閉じ込められることを拒否するエノーラも家出してロンドンに行く。母は暗号が得意で、それによってエノーラの資金も用意してあった。兄たちの追跡をかわしながら、「人探し屋」を始めるのだった。
 「ルルル文庫」という少女向けのレーベルながら、ロンドンの繁栄の影の貧困とか、女性たちの不自由さとか、ある意味では原作よりもシビアな要素がある。ファッションの描写に気を配っているあたりは少女マンガっぽくもある。
 2007~09に5巻まで出た。そのあとがきに、6巻で終わりでもう原書原稿は手元にあると書いてあるーーのに、その6巻は邦訳が出なかった模様。訳書が少し出ただけならまだしも、あと1冊なのに途絶えたというのは悔しさが増す。いまからでもなんとかならないものだろうか。
 直接に登場していない母の行方は不明なままだし、21歳の成人まで14才の少女が切れ者の兄たちをまききれるのも無理があるし、なにか譲歩し合うことが必然だろうけど、どういうふうに結末をつけたのだろうかと気になる。

 それにしても、ライトノベルも私は視野にある程度入れているし、小学館ならば目に入りやすいし、ホームズものとなると注目していてよさそうなのに、私がこれの存在を知らなかったのは我ながら不可解である。


北原尚彦『ホームズ連盟の事件簿』『ホームズ連盟の冒険』『シャーロック・ホームズの蒐集』
 これらはふつうにまだたぶん買えるくらいの本。前者二つは脇役たちのスピンオフ。『蒐集』は「語られざる事件」(原作中に○○の事件と名前だけ挙がっていて作品にはなっていないもの)を扱った正統派。
 ワトスンがホームズに誘われて出ている間に、妻メアリを昔の雇い主が訪ねてきて心配事をうちあける、それでメアリが探りに行って・・・という話で、「タイビリウス屋敷」という名前に「ティベリウス」?と思ったらやはりそうだった。
コメント (2)
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『地球絶景紀行』の宣伝

2017-04-15 10:34:36 | ドイツ
「地球絶景紀行」

 このまえと同様、BS-TBSの『地球絶景紀行』(いまは水曜になっている)で次回ドイツなので宣伝。ドレスデンやマイセンはけっこう紹介されるけど、「ザクセン・スイス」はあまり機会がない。エルベ河畔といえばハンブルクは大都市でよく出てくる。
 「花とゆめ」初期に忠津陽子の『エルベの王冠』という未完の連載があったらしい。タイトルだけでもいかにも「ロマンチック」である。
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駄作 仔羊の頭 アイム・トラベリング~ ホームズの気晴らし

2017-04-13 09:51:39 | 
ジェシー・ケラーマン『駄作』  2014ハヤカワ文庫
 アメリカ産ミステリー。借りた本の巻末の広告で面白そうだと思ったので。
 アーサーは、過去に1冊の小説を出したきり売れず、大学で創作科の講師をしている。長年の親友ビルは売れっ子作家で、密かに嫉妬を感じている。そのビルが事故死した。アーサーは、ビルの未完の遺作を、結末を書き足して自分の名前で発表して大ヒットするが、意外な方向へと引きずりこまれていく。
 実は~~だった!が二転三転して、こっちももうなにが正しいのかわからんようになってくる。
「本書には奇想天外な展開があることを警告しておきます」と裏表紙にわざわざ書いてあるが、・・・確かに奇天烈である。怒りやしないけど。でも二人の作家の間にある屈折した友情は読みどころ。


フランシスコ・アヤラ『仔羊の頭』 現代企画室 2011年
 現代スペインの作家(ただしすでに故人)。内戦後にアルゼンチンにまず亡命し、その後あちこちへ居を移したあと帰国した人物。
 内戦に絡んだ短編集、とはいえ直接に戦争が出てくるいうわけではあまりなく、それを痛手としてひきずっている人々の鬱屈が描かれる。最も印象に残ったのは『帰還』、亡命していた主人公が叔母に手紙で頼まれて帰国する。自分の逃亡のあとで友人が裏切っていたことを知り、再会を恐れながら町をさまよい、そして裏切りの原因を考えてみる。悩みや怒りや恐れの入り混じった心理の変化が面白かった。
 ところでこの本、私の個人的な「スペインイヤー」のころに岩波文庫で出た『スペイン文学案内』に載っていたリストで存在は知っていたが、市内の図書館になく、市外・県内に広げてもなかった。ところが、私のメモした『子羊の頭』が誤りで、『仔羊の頭』が正しいということを発見、それで検索したらなんと県内どころか市内にある本だと判明した。なんて融通のきかない機能だろう。


サムエル・ビョルク『オスロ警察殺人捜査課特別班 アイム・トラベリング・アローン』 ディスカバー・トゥエンティワン
 ノルウェー産ミステリー。
 ミア・クリューゲルは、有能な刑事であるが、ある事件ゆえに問題視され、本人も鬱屈を抱えていた。
 いっそ死のうと決めていたところで、幼い女の子たちへの猟奇な殺人事件の捜査に引き込まれる。
 ところでこの副題は、殺された女の子についていた「一人旅をしています」を意味する航空会社で使うタグからとっている。なんとかならんのかこのカタカナそのまま手抜き題!


ルネ・レウヴァン『シャーロック・ホームズの気晴らし』 国書刊行会
 フランスの作家によるパスティーシュ。正統派。
 シェイクスピア=フランシス・ベーコン説等文学・歴史の題材が多いことも興味を引く。
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ナマ顔

2017-04-06 13:55:41 |   ことばや名前
「ナマ足」という言葉が出てきたころ、新聞の投書欄に、「素足」というまともな言葉があるのに「ナマ足」なんて不快な言葉だという内容の声があった。

 私は、「素足」は足袋やソックスを履いていない「足」で涼しさや清潔さをイメージするし、「ナマ」はタイツやストッキングで覆っていない「脚」でムキ出し、涼しいというより寒そう、のニュアンスを感じる。


「素顔」は通常、化粧しない顔を指す。「スッピン」という言葉は、私は嫌いである、品がないと感じる。しかし、「素顔」に好ましいニュアンスをこめて使いたいので区別してスッピンが出てきたのだろうか。とはいえ「スッピン」を使っていても非難の意図が常にあるとも言えない。「ナマ顔」という言い方は出てこないだろうか。

 今日は風が強く、喉の弱い私がマスクなしでいたら自殺行為だと感じる勢いだった。
 私は、マスクしない状態を「ナマ顔」と呼びたい。昨今、化粧なしをごまかす目的でマスクを乱用する女が増えているらしい。反対する気はさらさらない。すると彼女たちは(あくまでも私が想定した上記の用法)ナマ顔であってナマ顔ではないということになる。

 マスクはまだまだ手放せない。

 
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4月の恒例行事

2017-04-01 09:34:49 | 
 行事ではないが、地元図書館では4月の1週間が蔵書整理のため休館になる。まぁ、買った本で未読のものの手元にたっぷりあるから、図書館が閉まるからといって大量に借り出しておかなければならないというものではないけど。

 手元の未読本は、
・集英社文庫の「ポケットマスターピース」のトルストイとドストエフスキー
 デュッセツドルフのFさんの配偶者はロシア文学がお好きなようなのでお送りするという名目で購入。そのうち、注文したチェーホフ(1,2年前に出た忠孝文庫)も届くだろう。
・角川文庫の『犯罪者』上下 太田愛さんは『相棒』の『最後のアトリエ』で感動して以来注目している。
・アマゾンで中古で買ったホームズパスティーシュが複数。
 これだけでも1週間で読めない。

 最も気がかりなのは、「予約」した本が届いて「取り置き済み」状態で休みに突入してしまわないかということ。日曜の午前に図書館に行って、そのあと届いたら、「取り置き済み」で火曜日まで待つことになってしまうのはうっとうしいけど、それが1週間もになると最悪である。特に、市外の本はけっこう夕方にはいってくることがある。目下、市外から取り寄せ待ちが3冊もあるのだ。来週の水曜から休館で、たぶん火曜の午前に私は行く。今日明日の間に少しは届いてもらいたい。
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