レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

『テルマエ・ロマエ』にヒロインなど不要だった

2013-06-29 14:54:29 | マンガ
『テルマエ・ロマエ』のラストである6巻が出た。読む前にある程度結末に関してきいてはいて、かなりひどいと思ってはいた。実際読んでみたところ、予想していたほどの気分の悪さではなかったのであるが。

 ここからかなりのネタバレなので、嫌な人は飛ばすことをお勧めする。

 さつきに「愛している」と告げていきなり消えたルシウス。(ここまで5巻)
 さつきは、ルシウスを追うためにバイアエの発掘に行こうとするが資金不足。そこで祖父鉄蔵が人脈を駆使して援助をかき集める。
 入浴中に鉄蔵はローマへタイムスリップ。そこで整体師の腕を発揮して、噂をきいたアントニヌスに連れられてハドリアヌスのもとへ。先が長くないことは承知しつつ精一杯の腕をふるい、礼に腕輪をもらって日本へ戻る。
 バイアエで温泉の遺跡発掘にあたるさつきは、シャンプーハットその他を発見、湧いている湯にはいっていって、念願通りに古代へ。
 かどわかしにあいそうなところをマルクス・アウレリウス少年に助けられる。
 ルシウスは、余命いくばくもないハドリアヌスのために浴場建設に力をそそぎ、完成した風呂を味わいながら皇帝は息をひきとる。
 海辺で泣くルシウスのまえにさつきが現れる。
 新皇帝アントニヌスを祝福する群衆の中にいる二人。さつきは子のできたことを告げる。
 男児誕生、「きっと世界を癒す子となろう」
   Fine (終わり)

 
 実のところ私は、さつきというキャラじたいを激しく嫌っているというわけでもない。
 しかし、こうまで(本人たちにとって)めでたしづくしの終わりでは余韻があまりにもない。せめて、遺跡からあるいは新資料からルシウスの名を発見して涙ぐむとか、そういう結末ならばストーリーとしてまだ受け入れられたと思う。ルシウスがローマで仕事に励むように、現代人のさつきは現代日本でこれからもローマ世界を求めて精進する!と、とうぜんそういうことになると疑わなかったよ・・・。すべてふりすててあちらへ行ってしまうというのはなぁ・・・。

 だいたい。あのマンガにヒロインなんていらなかった、ロマンス要素なんて求めてなかったんだ! 仕事に没頭して妻に逃げられた男はますます仕事に没頭するストイックなやもめでよかったんだ~~!!
 ヒット作を終わらせてくれたことには感謝するけど、芸者を出す指示についてはやはり編集長を恨むぞ。ローマ通を出すならばおっさん学者という作者本来の案でいってくれたらどんなによかったか。そして、おっさんの幼馴染とか姉貴分のベテラン芸者(若くないことがポイント)でも出す。「平たい顔族」の文化としてまじめに鑑賞するルシウス。

 ゲイシャに対する安直なイメージを打破したいというせっかくの主張がマンガの中で活かされていなかったことも残念。翻訳ではエッセイ部分もきちんと訳されているのだろうか。
 ケイオニウスのそっくりさんももっと生かしてほしかった。「あれは悪い男ではないぞ」とせっかく言わせてるのに。
 新連載では脇の人たちがまた出てくるそうだから、そちらでなにかフォローがあるのか。スピンオフは長引かせないで、まえに予告していたマイナーな時代のローマものも忘れずに描いてもらいたい。

 ローマへとんでしまったのが、馬のハナコであったら微笑ましく見送れたのに~~~!!!
 
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ローマ、話題というのも小さすぎる3つ

2013-06-25 05:59:02 | ローマ
 ローマカテゴリーに小さい話題をいくつか。

 地味に続いているらしい『アド・アストラ』の4巻が出た。次の巻も予告付き、うらやましい。
 
 図書館で借りた『ローマ歴史散歩』という本は、アイルランドの作家エリザベス・ボーエンのエッセイ(英文学の棚にあった)。アウグストゥスxリウィア夫妻の好きな人は必読なので報告。

 サラさんの情報提供から再び紹介しておこう。
「 アマゾン アウグストゥス」
 白水社からはペーパーが来るので、その時の同封葉書の申し込みで少し安くなるのだったかな。待ってみよう。

 7月17日に付記。
 ペーパーは来て、7月中旬刊と紹介されている。 しかし、同封ハガキで申し込んでも(1000円以上は)送料タダなだけで値段は変わらん。ならばわざわざ通販する意味はない、あとで払いに行かなければならないだけ損である、地元書店で買ってポイントためたほうがいい。
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駒倉さん新作その他

2013-06-23 06:30:04 | マンガ
「 教師諸君!」
駒倉葛尾『教師諸君!』が終わったので、掲載誌「まんがタイムファミリー」(芳文社 17日発売)は購読をやめるはずだった。ところが、すかさず新作がもう出たので結局まだ買うことになる。いや、結構なんだけど。なんだか扱いが今回は小さいよ、先月号の予告に載ってたっけ?
 『ダ・ヴィンチ系女子高生』ーーなんと、タイムスリップものでストレートにレオナルド登場! ミラノならば雇い主はイル・モーロか? ほかのメンバーが楽しみだ~!
(付記。レオナルドがミラノにいたのは30代と50代で、イル・モーロはその前者の時期、このマンガではレオナルドはすでにおじさんなのであとの時期である)

 双葉社の『まんがタウン』では『居間には今外国人がいます。』連載中。海外勤務の両親と離れて日本の婆ちゃん家に戻ったマキ、しかしそこには多くの居候外国人たちが住み着いていた。 今回は、たぶん初の中間デストであろう、散々な成績で落ち込んでいるマキ。  
 マル印、バツ印、チェックマークの彼我の違いが話題になっている。私も「正解」「よくできました」は○のほうが好きだな。

 「まんがタウン」掲載作品で気に入った西炯子『ちはるさんの娘』の単行本1巻をBOで入手。ちなつさん(38)のたまに出てくる幼少期はたいへんラブリー、いまだって可愛いけど。  ちなつさんは『カルバニア物語』のタニアに似ていると気がついた。性格では、恋愛に積極的でないところが共通。
 同誌の『光の大社員』の3巻を入手(4巻まで出ている)。「心の読める怪人」サトリや、日本になじみすぎのヘンリーさんはまだ登場していないようだ。

 
 『チェーザレ』の「特別編」である『二人の巨匠』が、「期間限定書店販売」として店頭に出ていたのでこの際さっさと購入。レオナルド展とミケランジェロ展とのコラボ企画だそうだ。チェーザレ自身はもう過去の人となっているが、二人の巨匠の対決未満の背景として語られるというたいへん贅沢なもの。絵も美しい。
 架空キャラであるアンジェロはこのころどうしているのだろう。
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ハンバーグ、ハンブルク

2013-06-19 12:30:02 | ドイツ
 ドイツの北の港町ハンブルク。ドイツから見所都市を1ダースくらい挙げるとなるとたいていはいっているだろう。ただし私は行ったことはない。(最北はベルリンである) 行ったことはないけど、紀行番組などでたびたび見る機会はある。なつかしの『エロイカ~』では、番外編『ロレンスより愛をこめて』1で舞台になったこともある。名所は多いが、日曜の朝の魚市場と、歓楽街レーパーバーンという、健康なものと教育上悪いものと極端なものが存在するということを知識として知ってはいる。

 「ハンバーグ」とはそもそも「ハンブルクステーキ」であり、遡るならばモンゴル系のタタール人が馬肉を柔らかくして作っていた「タルタルステーキ」が元であり云々という話はそれなりに有名である。先月のBS朝日「ヨーロッパ食堂」でやっていた。それが来週再放送もされるので、このさいここで宣伝しておく。
「ヨーロッパ食堂 」

 もし私が行くとすれば、ブラームス博物館だろうか。メンデルスゾーンの出身地でもあるからなにかあるはず。
 わ、「エロティックアートミュージアム」なんて代物もある、さすが歓楽街の有名な都市、ロレンスが「ふっふっふっふ」と飛んで行きそう。
 ハンブルクといえば、ベルリンに対して「カリーヴルスト」の本家を主張しているという話もあるな。では少なくともおいしい店はあるのだろう。

「ドイツ」話題がないので苦し紛れでもある。ほんとは先週渋谷の「アンペルマンショップ」に行って改めてそれを話題にする予定であったのだけど。

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言葉の区切り方

2013-06-15 07:33:53 |   ことばや名前
 通勤の電車内から見える沿線風景に、コーポなんとかというアパートがある。フランス語のその名称は、日本風には「海荘」である。しかし文字に間をあけずに書いてあるので、子供が見ればたいていコーポラ○○○だと思うのではなかろうか。

 東京に来たころ、「下高井戸」という駅の名前はどうも「下田街道」のように聞こえていた。

 「ユーゴスラヴィア」という今はない国名、ユーゴス、ラヴィアのように聞こえていたけど、意味からすれば「ユーゴ・スラヴィア」のはず。

 『きけわだつみのこえ』という題名も、内容を知らなかったころには、いったいどこで切るんだろうと謎であった。

 以下のぶんは、別に書いておいたけど、内容上まとめて投下。

 「ツリーと共に1年」なんて記事を新聞で目にする。「東京スカイツリー」が1年経ったということでこのごろわりに話題になっている。
 抵抗を感じるのは「ツリー」という言い方。
 「サンタクロース」を「サンタ」、「クリスマスツリー」を「ツリー」という類の切り方に私は異議があるのだ、そこで切っては意味をなさないだろう、と。「メール」も同様だが、いつのまにか定着してしまっているし、それぞれ慣れの問題にすぎないのであろう。
 そして新たに出てきた「ツリー」・・・。敵意を持つ理由もないが、ちょっとヘンだなと言うくらいはしてもいいだろう。

 「ハイジャック」は飛行機限定で、バスジャックだのシージャックだのはそもそも間違いのはず。
 「クロワッサン」も、「ツナワッサン」とか「オレンジワッサン」とか、「クロ」だけとばすことに意味はあるのか? 
 ところで、三日月型がクロワッサンの欠かせない要素であるはずなのに、「オレンジワッサン」は確か三日月ではないのもへんである。

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延滞者よ早く返さんかい

2013-06-12 07:43:52 | 
 地元図書館で、貸出冊数が6冊から10冊に増えた。それはそれでけっこうであるが、私はむしろ、予約冊数を増やしてくれたほうがもっと良かった。10冊もあれば充分だろうと言われそうだが。
 「マイページ」でいちいち確認しているので、待ち順にあまりに長いこと進展がなくて、誰か延滞しとるなバカモノ、とムッとすることも多い、うるさい利用者なのである。阿刀田高『源氏物語を知っていますか』はもうかーなーり延滞だぞ、いいかげんにせえ! 市内になくて市外・県内で予約した某歴史ものBLは相当に待たされている、近いうちに続刊も出てしまう。いくら、市外の場合はあとからでも市内予約者が優先されるとはいっても、あまりに遅い。「マイページ」には単に待ち順(市内では)「1」としか出ないことがいっそうイライラを募らせる。 読むには1時間程度しかかからないのに。

 本の情報サイトで、7月の文庫新刊案内はまだ見かけない。
 ところで、文庫やコミックス以外の本のそういった案内のページはないのだろうか。「6月 新刊」で検索すると、すでに出た本についてはまあある。しかしそういうのは新聞広告などでもある程度わかる、これから出るぶんについて知りたいのだ。「近刊 6月」でやってみると、勝手に「次の検索結果を表示しています:金環 6月」  日食のことなんかわたしゃきいちゃいねえっ!!
 数年前までは、「これから出る本」という冊子が書店に置いてあったものだけどいつのまにか見なくなった。

 さしあたりわかっているぶんでは、6月に出る新刊で購入するものは清水義範『考えすぎた人 お笑い哲学者列伝』
新潮社。これはファンサイトで知った。(こういう企画ならば川原さんと組んでもらいたかった・・・)
 図書館購入をあてにするのは、創元推理文庫『消滅した国の刑事』ヴォルフラム・フライシュハウアー  作家の名前からしてドイツ語なので。
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物語の設定を移すこと

2013-06-05 16:56:28 | 
 年末から春休みにかけて、地元図書館からビデオやDVDを借りてオペラを見まくった。その感想はぼつぼつと書いているが、そのまとまりのない一部をここで書こう。
 ゲーテ原作のオペラで有名なものはなぜかドイツでなくフランスの作品であるらしい。『若きウェルテルの悩み』(見ていない)、『ファウスト』、『ミニヨン』、確かに作曲家はフランスだ。
 『ミニヨン』についてはすでに書いた、ハッピーエンドがけしからん、(私の見たものでは)ミニヨンが可愛くない!と。
 『ファウスト』に関して。(本当はオペラの感想ならば、いつどこの劇場で、誰が指揮・監督、出演による上演なのかなどを明示すべきなのだろうけど私はあまり覚えていない)
 音楽は美しくて良かった。筋もオーソドックスで抵抗がない。・・・しかしそれだけに、パリ万博を意識したキラキラの背景はひっかかった。あれのせいでむしろ19世紀も後半のように思えてしまう。「グレートヒェン悲劇」は、中世の重苦しさをひきずっている時代設定だからこそ成り立つ(ただし作品の直接のモデルになった事件は18世紀後半)のに。嬰児殺しで死刑なんて19世紀前半ですでに過去のものになりつつあったのに。陰鬱な事件と近代性とは不調和だと私は感じた。

 物語の背景を原作から移すことは時々ある。中野京子さんの本によると、ディケンズの『大いなる遺産』の某映画化はその失敗例だそうだ。
 宝塚で『カルメン』を男女逆で現代アメリカ(このへん記憶があいまい)にした例があるらしいが、「女でジプシーという二十に差別されるカルメンが自由を求めるところに意味があるのにこの設定ではだいなし」だという批判を読んだ。

 『リチャード三世』の映画は、ローレンス・オリヴィエの正統派のもの、バックステージものである『リチャードを探して』、そして、時代を1930年代に移したものを見たことがある。この移し替えにはさほど抵抗を感じた記憶がない、ほとんど覚えていないけど。

 19世紀末~20世紀初の『アルト・ハイデルベルク』は、小国のプリンスがハイデルベルクでつかのまの自由を謳歌し、下宿の娘と恋をする、ノスタルジックでセンチメンタルな、昔の日本人好みの戯曲および小説である。明治時代に、児童文学者として知られる巌谷小波が『ああ京都』として翻案している。華族の子息が京都で下宿の娘と恋をする話になる。ただし、原作で重要な要素である「学生団」(出身地別になっている)が、そういうものが当時日本になかったので取り入れることができなかった、と解説には書いてあった。

 設定の移し替えは、こけるとムゴイことになるけど、試みる過程で、なにがその物語の肝なのかということを考えることになるので、少なくとも大いに関心は持っている。
 (「女体化」という趣向もあるいはそれに通じるかもしれない)

 でも、コスプレものはやはりきちんとコスプレものとして見たいのが原則。

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mixiのつぶやきネタ

2013-06-01 16:39:34 | 雑記
このごろ凝っているのは、mixiの「つぶやきネタ」に応じてつぶやくことである。もちろん気乗りしないものは無視。
 それらのうちで、ここでも繰り返したいものをいくつか。

 「三人組といえば?」
・栗塚旭、島田順司、左右田一平。または栗塚歳三、島田総司、舟橋元近藤。
・アウグストゥス、アグリッパ、マエケナス

 「五人組といえば?」
セーラー戦士。

「なってみたいキャラクターは?」
 羨ましいのは「しばわんこ」。『教師諸君!』の西名っち。

「リメイクしてほしいものは?
・『リボンの騎士』が数年前リメイクされて大不評だったらしい。私の好きな作家ではTONOさんを希望する。
・『鷲は舞い降りた』をかっこいい絵の日本アニメで。
・『ベルばら』のアニメと実写。実写は劇場映画よりもじっくり時間をさけるほうにテレビ用で。フランス語で!
・『エロイカより愛をこめて』の1巻。『アラスカ最前線』前後あたりの絵を再現できて、読者の希望をよく理解している人に。エスパー三人組の存在、戦車を持っていかれる展開、AとBが逆だったことを抹消して、アキレスのスカートの件にカタをつける。

「癒されるものは?」
柴犬。

「これだけは許せないことは?」
沖田総司を「美剣士」扱いすること。
『ベルばら』を『ベルバラ』と書くこと。

 真面目に答えるならば、「許せない」なんてことを軽々しく使うことは嫌いである。そこを敢えてくだらないこと(関心のない人にはどうでもいいこと)でいまのところは書いているけど。
 「○○だけはやめてくれ」なんていう場合も、その○○より悪いことたくさんあるだろう!?ということはしばしばある。
 かつて、まるでネロの死とウェスパシアヌスの即位の間の1年のように(一部にしか通じない例えだ)、日本の総理大臣がころころ交代した時期があり、そのときの「ツトムちゃん」の「省エネルック。「それだけはやめてくれ」という声を新聞かなにかで見た。いや、そこまで嫌がることだろうか。
 嫁不足に悩む農家で外国人を迎えてうまくいっているケースの報道で、嫁さん側の悩みは「教会に行かせてもらえないこと」で、「それだけはやめてくれ」という言葉が載っていた。ーーいいだろうが教会くらい行ったって! なんで「だけは」なんて言葉がここで出てくるか。これに関しては私はマジメに「許せない」と思った。

 「つぶやきネタの募集」もしているので私もいろいろとリクエストしているが、まだ採用されたことはない。
 購読マンガ雑誌は?
 部屋にあるカレンダーはどんな品?
 これはない、と思ったキャスティング
 ハマり役!と思ったキャスティング
 通勤通学時の楽しみ
 好きなCMは?

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