レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

コーヒーと眠気と栄養ドリンク

2012-05-31 05:28:05 | 雑記
 先日、ある夜のこと。眠れなくて困った。その前の夜・前の前の夜にたっぷり寝すぎたせいなのかとも考えたが、夕食のあとで勧められるままに栄養ドリンクを飲んだことが悪かったのだと気がついた。日頃そういうものを飲む習慣はないけど、風邪などひくとたまに使う。しかし、夜に服用するものではないということをその時忘れていた。
 『ヘタリア』の『羊でおやすみ』にもあった。不眠対策として各国が提案する、イタリアは「シエスタ」、ドイツは規則正しい生活、中国はお茶、そして日本は「いっそ寝ない」、眠れないなら栄養ドリンクをのんで仕事を片付ける! 
 しかしその夜私は頭痛もしていたので、起きて活動する気にもなれず、実に腹立たしい気分で無駄な時間を過ごしてしまった。なにやらわけのわからん夢を見た記憶があるので、まったく眠らないわけではなかったろうが。 次の夜には早々と睡眠導入剤をのんで8時にもならないうちにさっさと床について不足を取り戻したのだった。

 話はまったく違うようだけど、『きのう何食べた?』6巻。シロさんが47歳の誕生日の前の夜、もうじき日付が変わるという時間帯に風呂から出て、同居人(同棲といってもよかろう)ケンジが「ウフフフ じゃあ今コーヒー淹れるね(はぁと)」 そしてしばらくおしゃべりしたあと、日付が変わって「ハッピーバースデー」とオトメチックなことを言う。
 私がたいへん驚いたのは、ーー夜中にコーヒー!? もちろんカフェインレスなんかわざわざ使ってないよなぁ。
 私はコーヒーでてきめんに眠れなくなるタチで、カフェインレス以外は朝しか飲まないことにしている。でも、夕食のあとで飲む人も珍しくないようで、いろんな人がいるものだと思う。(『まる子』の間のココアのCMでも、夜にココアを飲んでいたし)
 ところでこの巻の見所はいろいろあるけど、私にとって印象深いのは、上記のコーヒーの驚きと、近所の所帯染みたおつきあいの主婦の佳代子さんがくれたエコバッグに喜んでいる(ケンジの3万円の傘よりもウケている)シロさん。私自身もエコバッグやトートバッグは関心の対象なので。  ゲイ友の草野球見物にシロさんのつくっていった、茶色メインで彩りの可愛くない、でもおいしいお弁当も面白かった。私はああいう、実用本位の食べ物好きだ。

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イシュタル 薔薇ジョゼ

2012-05-24 14:46:25 | マンガ
大和和紀『イシュタルの娘』5

 戦国という極めてポピュラーな時代なので、脇にも有名人がぞろぞろ。
 出戻り状態のお江与が、家康からよこされた長丸をいじめてみるあたりは、さすがに多くの読者がニヤリとできただろう。
 小田原攻めの際の、北条方の「忍城(おしじょう)」の成田氏長の娘「甲斐姫」のエピソードは、これだけでも単独長編ができてしまうくらいーーといっても私自身も単に『忍城の姫武者』で読んだだけであるけど。
 太っ腹な北政所、華麗な茶々、それぞれに個性が描き出されていて落ち着いて読める。さすがベテランの貫禄。
 秀吉と利休の対立や、秀次と妻子たちの処刑など、この先悲惨なことが待っているので、そのへんは不安があるけど。


いがらしゆみこ『薔薇のジョゼフィーヌ』1  プリンセスコミックス
 
 「薔薇ジョゼ」と縮めると「ふみふみ」を連想する。
(私が勝手にそういう略し方をしているだけのことである、念のため)
 のちにナポレオンの妻として「ジョゼフィーヌ」の名で歴史に知られる、それまではローズと呼ばれていた植民地育ちの小貴族の娘を主人公にしている。 あとで出てくるナポレオンヨイショのためなのか、前の夫アレクサンドルの描き方が悪過ぎないだろうかとひっかかる。私とて、藤本ひとみさんの本でしかほぼ知らないけど。
 従姉妹のエイメ、この人がのちにトルコのハレムで~という話は信憑性が怪しいらしいけど、たぶんこのマンガでは採用されるだろう。
 正直なところ、絵が少々子供っぽすぎると私は思う、でもコスプレものに合ってもいる。 少女マンガでの歴史もの枠の存続のために、ほどほどに続いてもらいたい。
 テレジア・タリアンとか、ジュリエット・レカミエとか、華やかにしようと思えばメンバーはうんといる。
(美女でなくてもジェルメーヌ・スタールも重要人物。)

 来月は、芳文社から『孔明のヨメ。』1 が出るのも楽しみ。
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モンゴメリのパット

2012-05-20 06:09:04 | 
 『赤毛のアン』が最も有名なカナダの作家L.M.モンゴメリの別シリーズ「パット・ブックス」が角川文庫から新訳で『銀の森のパット』『パットの夢』として出た。
 パットは、自分の家・家族に対する愛の強すぎるところが好きになれないーーと前に書いた覚えがある。今回読んで、その点の反感はやはりあるけど、まえほどは気にならずに読めた。
 幼馴染のヒラリー(これ、男女共通の名前なのか)が遠くに行っている間に、あれこれとBFはできるけど、結局は幼馴染と結ばれるという王道展開。
 自然描写が魅力という点はいつものモンゴメリ節。映像化した際の大きな強みだろう。
 
 ところで、カナダの作家でほかに日本で知られた人は誰だろう。私は全然知らないのだ。
 ついでに言えば、アイスランドの作品では『魔女遊戯』しか読んでない、エッダやサガ以外では。あ、今思い出した、『赤毛のオルムの冒険』があったか。
 デンマークの有名どころはアンデルセン(などと表記するのは日本だけだろうが)。
 ノルウェーはイプセン。
 スウェーデンはストリンドベリ、ミステリー分野も強い。
 フィンランドは、カレワラ、ムーミン。
 それぞれ、もっとほかにもいるぞ~!と詳しい人は言いたいことだろう、私が少女マンガでメディアミックスされてなくて海外進出しにくい名作を推薦したいみたいに。ノーベル文学賞は逃しても井上靖作品のほうが川端や大江よりもずっと好きなように。

 日本にどういう外国作品が紹介されているかは情報が氾濫しているけど、逆に、日本の作品の他国への紹介事情、どの作品がどこの国で翻訳・出版・放映・上映されているかを網羅したHPや冊子があってもいいのに。宣伝にもなるだろうに。

 世界文学名作大系の類はいろいろあるけど、国で言うとかなりの偏りがあるとは思う。大半は西洋文学。 こういう全集ものはよその国でもあるのだろうか。


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尊大

2012-05-17 11:00:36 |   ことばや名前
 とあるマンガで、テレビで立派な演説をしている友人に対して「こんな尊大な心の持ち主とは思わなかった」と言う場面があった。
 「尊大」は、手元にある小さい辞書には
「自分がえらいと思って人を見下すようす」と書いてある。つまりは、傲慢、偉ぶった態度を指し、ネガティブな意味を持つ。文字の上では「尊」も「大」も好ましいのに奇妙なことである。 上記のシーンは、からかい気味に言っていることからしてたぶん誤用だろう。
 ドイツ語でHochmut という言葉がある。 hochは「高い」、 Mutは「心」、「勇気」などの意味であるが、くっつけると「高慢」になる。しかし古い時代には、文字通りに立派な心を意味したこともあるのだ。では「尊大」も、尊く大きいだったことがあるのだろうか。 広辞苑をひいた限りではそういうのは載ってない。辞書にはしばしば、いまではもう廃れてしまったほうの意味も載せてあるけど。(「悪女」は元来「ブス」とか) そして、辞書に載っているかとうか、その説明は、必ずしも万人を納得させるものでもないけど。
 私個人の感覚では、「尊大」は、ある程度地位や身分のある人、つまり、偉そうにふるまってもまあ違和感はない人について似つかわしい言葉だと思う。大臣や社長が「尊大な態度で記者たちを見渡した」なんて言い方はおかしくないけど、「客に尋ねられた店員は尊大な調子で答えた」、「飼い主が近づいても犬は尊大に顔を上げただけだった」はヘンだろう。
 そんだい、う~む、やはりいばっているような言葉だ。そして、「いばる」ということはむしろ滑稽さを伴いやすいのだろう。(「西根家のヒヨちゃんはあいかわらずいばっている」などは極めつけ)

 辞書といえば『舟を編む』が売れている。オビやしおり(書店のカウンターに置いてある)のマンガ絵は時々変更されるけど、ああいうのはまとめて掲載される場があるのだろうか。


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ディケンズ ネルのバカ祖父

2012-05-13 05:25:21 | 
 19世紀英国の小説家チャールズ・ディケンズをあれこれ読んでいる。市内の図書館にあるぶんはこれでほぼ読了した。
 
『骨董屋』
 タイトルに偽りありだと思う。骨董屋の老人が、溺愛する孫娘ネルのために若干はある財産を増やそうとして、よりにもよって賭博に手を出して、悪徳高利貸しからの借金も返せずに店を売り、ネルと共に逃げるように流浪の身となる。 その間にいろいろある。、蝋人形の見世物をしているおばさんのところに雇われて、客がネルにくれたチップはネルの取り分にしてくれるような良心的なおばさんなのだけど、ここでも祖父は賭博にハマる。ネルの金まで持ち出すので、このままでは雇い主の金まで盗みかねないと恐れたネルは祖父を連れてそこも出て行く。
  このいたいけな少女の薄幸ぶりが読者の紅涙を絞ったらしい。 アンハッピーエンドは始めから知っていたので、せめて悪い奴らに天罰がくだってくれますようにと思いながら読んでいた。
 私は正直言って、悪い高利貸しよりもネルの祖父のほうに腹がたった。高利貸しよりもこいつこそ諸悪の根源。過去話では、娘がつまらない男と結婚して一男一女を残して、男児が父親似で女児(ネル)が母親似だと語られる。ネルの兄はろくでなしになるけど、バカ祖父はたぶんネルだけひいきしていたこともバカ兄がぐれる原因になったに違いない。 どんなに愛があっても、分別のない大人が子供の保護者であってはいけないと強く感じた。(こういうジレンマは現代の福祉・民生関係者にもあるのだろうな)

『リトル・ドリット』
 作者の父親はお役人だったけど、お金におおざっぱすぎる人だった。当時「債務者監獄」というものがあり、犯罪者ではなく、借金が払えない人が入れられた。作者の父がそれで、一家まるごと監獄にいた時期もある。これは作者にとってたいへん屈辱の体験であり、作品にもたびたび反映されている。
 この話も、そこそこの身の上だったけど債務者監獄に入れられたドリット氏が発端で、末娘エイミーは監獄で生まれ育っている(タイトルはこのエイミーの呼び名)。外に地道に働きに行ってけなげに育っている。父ドリットは牢名主のような扱いを受けて、相変わらず「紳士」ヅラしている。・・・甲斐性もないくせにこのヤロー、と読んでる私は思う。
 やがて一家は出られて金持ちになり、兄姉父は簡単にそれに馴染むけど、エイミーは慎ましさが抜けなくて、それをとがめられたりする。  あ~、この父親もぶん殴りたい。
 こちらはちゃんとハッピーエンドだけどね。

『我らが共通の友』
 多くの登場人物がいるし、悪い奴もいい奴もうようよ。
 貧乏な家で育った美しいベラは、お金が欲しい、お金持ちと結婚したいと願っていたけど、彼女を養女分にしていた善良な成り上がり夫妻の秘書の青年に求愛される。  「わたしゃ愛より金が好き」と思っていたけど、やはり愛を選んだら、相手は金持ちでもあった! ううむ少女マンガ。 相手の青年からすると、親の押し付けた縁談に逆らっていたけどやはりその相手と恋をして結婚した、少女マンガ!
 (古典的なパターンというものを少女マンガでも取り入れたということなんだけど)
 脇役のジェーンは、まだ小娘で不具者だけど、人形の衣裳つくりの仕事で稼いている。飲んだくれの親父がいる。しかし、ソーニャのようにしおらしくない。父を「放蕩息子」扱いして、容赦なく叱りとばし怒鳴りつける、ーーいいぞ!
(飲みすぎがたたってぽっくり死んだときには泣いてやってたけど必要以上にめそめそしてないし) 私はこのキャラが大好きだ。
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『テルマエ・ロマエ』関連で

2012-05-09 05:21:23 | ローマ
 まえのぶんの「ローマ」カテゴリーの記事がもう前の画面へと移動したので、これを投下する。

「世界史の遺風 (5)ハドリアヌス」

 (1)が「大カトー」で、5回目でローマは二度目。

 『テルマエ・ロマエ』上映中。私は映画館へ行く予定はなく、DVDを買って見てドイツの知人へ送る予定。日本のが見られるデッキが調達できていますように。(こういうの、世界共通でないことが不便でたまらん) 
 既に書いたけど、ノベライズで、リウィアとマルクスが不倫という点ばかりは気に入らなかった。

(ついでに言えば、アニメのDVDにはテレビ放映していない話も収録されていて、コミックス2巻の最初の話が含まれている。ここではリウィアは原作通りに登場している。こんなに、友に協力してくれているマルクスがあんなことにされて・・・と改めて不満を感じた)

 「ヒロイン」は、映画でのマンガ家志望娘のほうが、マンガでのスーパー芸者よりも自然だと思った。
 やはり、ローマ学者と芸者といっぺんにという設定には無理があったのではなかろうか。温泉と芸者という結びつきじたいはムチャとは言えないけど。 ローマ学者ないしマニアが温泉に来て、作者がやらされたという芸者体験をやってみる、それでこの職業のハードな専門性を痛感するーーという流れならば、ゲイシャに対する安直なイメージを打破したいという作者の意図にもかなったのではなかろうか。本格的な芸者たちは年配者を登場させてくれるとなお良し。 私だって「芸者」の実情に詳しいわけではないけど、きちんと修行をつむならばそれなりの年季というものがいるだろうと思う。
 それにしても、芸事を披露する、客の接待をする、そういう職業の女たちはどこの文化圏にもいると思うのだが、なぜ「ゲイシャ」はやたらと(誤解を伴って)有名なのだろうか、やはり『蝶々夫人』のせいか?


 むりやりローマ絡みでもう一つ。
 『ヘタリア』の日丸屋秀和さんが「スピカ」の記事で、「会ってみたい歴史上の偉人」という質問に「ウェルキンゲトリクス」と答えていた。 『ヘタリア』にスパルタクスはちょびっと登場させていたことが既にある。
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コメントに希望すること

2012-05-07 16:18:15 | 注意書きと「準・ブックマーク」等
 とある掲示板で、「あるサイトの掲示板で、「URL」の欄に自分のサイトのアドレスを記入したら、それだけで「宣伝!」と決めつけられたという内容があった。 そういえばーーとも言えないが、私が某サイトの掲示板に書いたとき、問題のある内容とも思えないのに、管理人さん始めだ~れもレスをつけてくれなくて、かなりムカついたことがある。もしかして、URLを記入したことがマイナスに働いたのか?とちょっと思った。そこではほとんどURLを載せている人がおらず、たまにあるとそれは、例えば展覧会の情報提供ならばその展覧会のHPだったり(それならば本文中に貼るものでは?)
 うちの場合、ご自分のブログやサイトのアドレスを残してもそれを悪くとったりは致しません、(必ず訪問やコメントをすると確約はしませんが) お気軽にご記入下さい。

 こんなことを書く気になったのは、5月5日夜の、とあるコメントが原因である。
 翌朝それを見た私は、即座に削除した。 たぶん単なるミスだとは思うが、名前欄にメルアドが書かれていて、モロ出しで危険極まりない!と思ったからである。
 ご自分のブログへのお誘いが書いてあったが、そのブログのURLはなく、メルアドのほうが(名前欄に)書いてある。ここにメールしたらブログへ案内するから、という意図だろうか。いきなりブログへのリンクを貼るよりもこのほうが控えめだと判断なさったのだろうか、上記のようなケースもあるので、そういう解釈も可能だ。しかし、私の感覚では、個人にメール送るほうがはるかにハードルの高い行為なのである。自サイトへのお誘いならば、はじめから貼って下さるほうがいい。それで実際に行って・コメントするかはまた別の問題としても。
 これまで、mixiで知らない人々からの接触があった場合、そのメッセージが、確かに私の文章を読んで下さったうえでの内容である場合にはお返事をしてきている。中には、まるで接点のない、相手かまわず出してるのでは、というものもあるので、そういうのは無視している。ブログへのコメントやTBも、記事と関連の認められない、盲滅法なんじゃないかという例が過去に存在する。  だから、(私が既に知っている方はともかくとして)初めてコメントやメッセージを下さる場合には、一言二言でも、具体的な感想、読んでくれたということのわかる言葉、どこにだって使える文章でなく個別に伝えたい言葉を入れて頂きたいと思う。
 そして、顔文字絵文字乱舞のはじけ過ぎたノリは控えて下さいとも加えておこう。

 

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メジャー5作品

2012-05-04 06:18:28 | マンガ
 コミックスベストセラーに並んでいるタイトルを見ても、読んでいるものがほとんどない、そういう状態になって長い。その中で珍しく、ここ数年世間で割に注目されていて私も支持している作品は、『大奥』 『チェーザレ』 『ヘタリア』 『聖おにいさん』 『テルマエ・ロマエ』である。すでにこれは何度か書いた覚えがある。最も絵が上手いのは『テルマエ・ロマエ』で「かわいい」のは『ヘタリア』、では「きれい」は・・・『チェーザレ』だろうな、これまたたびたび書いている。
 
 メジャーさに伴うというか、ニワトリとタマゴであるが、
メディアミックス  キャラクター商品化  海外進出
という要素はこれらの作品に関してどうだろうかとふと考える。


 先月、かなり久々に出た『チェーザレ』by惣領冬実、じっくりの進みで9巻、まだまだ若者、前巻はなにかと歴史上事件の多い1492年だった。ロレンツォ・ディ・メディチの命は風前の灯火。息子たちは(実力はともかく)心がけ良いようで、次男ジョバンニにはついにアンジェロがお供につく。 そのアンジェロの祖父が、ユダヤ人のミゲルを偏見なく歓迎している様は、読んでいるこちらもなにかくすぐったさを感じて、「居心地が良すぎて居心地が悪い」というミゲルのつぶやきがわかる気もした。あの身内にしてあの子(アンジェロ)ありか(乳母も愛情あふれているようだし)。
 有名どころでは、レオナルドやらミケランジェロやらも出てきて楽しい。
 女率の低いこのマンガ、9巻でいちばんの美女は、回想のひとこまのアンジェロ母。
 上記の5作品は多かれ少なかれ歴史もの要素があるけど、正統派歴史ものと言えるのはこれだけ。
 メディアミックスはなし。海外ドラマがオビで宣伝されてたくらいだし、これはわざわざこのマンガを使う機会もなさそうだ。
 グッズは・・・どうもピンとこない。
 海外進出は・・・翻訳されてるかな? あっても差し障りはあるまい。


『テルマエ・ロマエ』は、フランスとイタリアで少なくとも出ているという。差し障りはないだろう。
グッズはいくらか出ている。 入浴剤、買ってしまった。
アニメ化と映画化済み。
 映画はいずれDVDを買う予定。先にノベライズを読んだ。ヒロイン設定は、原作のスーパー芸者さつきよりも、漫画家志望の真実のほうが無理がない。原作のあれこれのエピソードの入れ方はまあまあ。ただし、リウィアとマルクスが不貞という変更ばかりは気に入らない! 長い留守の間に実家に帰ってしまったという原作通りで構うまいに。 


『ヘタリア』  アニメ化済み。グッズはたくさん。翻訳は、アメリカ、イタリア、ドイツ、ポーランド、チェコ、タイ、台湾で出ているらしい。ドイツ語版を早速送っていただいた。(これについてはまたいずれ) 2巻は6月。差し障りは、もしかしたらあるかもしれない。(現に、アニメの放映が某国の苦情でだめになったし)


『聖おにいさん』
 アニメ化ドラマ化を作者が必死で止めているーーという噂をネットで見たけど信憑性はさだかでない。
 グッズはあってもいい気がする。
 フランスでは出ているという。


『大奥』
 さらなる映画化、ドラマ化があるということは、まえの映画はそこそこ成功していたのか? 主演男優に関しては不評ばかり目にしているけど。
 グッズにはあまり向いている感じしない。書店での非売品でクリアファイルを見たことはあるけど。
 翻訳は・・・ジェンダーテーマの作品に与えられるアメリカの賞を取ったというから、英訳は少なくとも出ているのだろう。注釈がたっぷり必要だろうな。


 上記の「三要素」、マンガじたいを終わらせても金もうけするにはどういうテがあるのかな?と考えてみて出てきた発想である。でも、外国で売れることで日本の出版社や作者にどの程度のもうけになるのかは知らない。旧約聖書マンガ化したあずみ椋さんだって、どれだけの国で出てるのかいちいちお知らせがあるというわけではないみたいだし。
 
 人気あるからって引き伸ばしで劣化させることを私が心から憎んでいるということはいつも同じ。

 


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死を哭く鳥 ドルード 評決

2012-05-02 15:30:44 | 
スウェーデンのミステリー「エリカ&パトリックの事件簿」第4弾『死を哭く鳥』  集英社文庫の先月新刊。
 前巻の引きで、エリカの妹アンナがとんでもないことに・・・だったけど、そちらはあっさりとカタがついて、結婚式前で忙しい姉のぶんまでテキパキと働いてくれている。
 パトリックは、事故死だけど不審な点のある事件を調べるうちに、過去の類似事件を発見していく。
 クライマックスは、倒錯的破滅的な魅力を感じた。

 今回の引きは、エリカの母の過去っていったい? なんだけど、私はむしろ、パトリックのダメ上司のほうが心配になっている。


ディケンズ『エドウィン・ドルードの謎』
 わりに古い創元推理文庫。
 たぶん『クリスマス・キャロル』がいちばん有名な19世紀英国の小説家であるディケンズ、多くの作品にはミステリアスな要素があるけど、これはその性質が明らかな例。 裕福な青年エドウィンと、継父に虐待されていた過去を持つ青年ネッドが諍いをし、周囲の仲立ちあって和解に落ち着くが、エドウィンが行方不明になり、ネヴィルに嫌疑がかかる。エドウィンの元婚約者に彼の若い叔父が激しい恋ごころを燃やしており、脅迫まがいに告白する。
 作者の死によって未完に終わったが、作者の覚書によると犯人はほぼ叔父であるらしい。かなり屈折・倒錯した解釈の可能な問題作のようである。


『ブラック・コーヒー』
 アガサ・クリスティのポアロもので戯曲。家庭では暴君の老科学者が危険な発見をして、謎の死を遂げる。
 併録の『評決』は、ミステリーを期待した当時の観客には受けが悪かったらしいけど、人間ドラマとしては面白いと思う。正義感が強く、それゆえに国を追われた教授、病で車椅子生活の疲れた妻、その従姉妹、教授に強引に迫る金持ちの女子学生。  この金持ち娘が実にヤな奴で、もっとこいつひどい目にあってもよかったと思う。


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