レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

もう文庫フェア?

2017-06-29 07:16:43 | 
 夏には新潮と集英社と角川で文庫フェアをするのが恒例だけど、今年はそれが前倒しされているようで、私の見た限りでは集英社と角川はもう始めている。

「新潮文庫 2017」

「集英社文庫 ナツイチ」

「カドフェス 2017」

 気になるのはラインナップと景品。カドフェスは、ブックカバーで「かまわぬ。」はちょっと欲しいけど、わざわざ買おうというほどの本がこれといってない。集英社もそんな感じ。新たに出てきた「よまにゃ」というキャラクターは中々かわいいと思うけど、--ネコ派と思われることはしたくない、イヌ派だからといってネコ嫌いなわけではないけど。でも「よまにゃ」の絵はシンプルでかわいくていい感じだ。漱石の『猫』にはちょっとのどか過ぎないだろうか。--香日ゆらさんがカバーイラストを担当なんてことになったら買うぞ。
 新潮文庫の景品はまるっきり気乗りしない。  


 ところで、集英社文庫が「40周年」ということで冊子『青春と読書』が臨時号まで出している。しかし、私の記憶するところでは、私が小学生の時に「集英社文庫コバルトシリーズ」が出ていた。ウィキペディアから引用。


前身は1965年創刊の、集英社コバルト・ブックス[1]。このシリーズはジュニア小説の叢書で、B6サイズのソフトカバーの形態で1971年までに149冊出版された。
このコバルト・ブックスの後継として、1976年5月(奥付上は6月)から『小説ジュニア』誌の作品を文庫化し集英社文庫コバルトシリーズとして創刊したのが最初である。創刊時は前述のコバルト・ブックスで出版されていた作品が文庫化された[2]。
母体となった『小説ジュニア』は少女文学誌であるので、少女向けのライトノベルに分類される作品が当初より多いが、SF作品(豊田有恒『ロマンチックSF傑作選』、横田順彌『2095年の少年』)や川端康成『万葉姉妹』、山本直純の詩集といった作品が創刊翌年の1977年に発刊されるなど、必ずしも少女向けライトノベルに限定されてはいなかったようである。なお、『小説ジュニア』は1982年にコバルトの名前を押し出す形で雑誌『Cobalt』へリニューアルされている。
発刊当時は「集英社文庫」単体のレーベルは存在せず、集英社漫画文庫がコバルト文庫と別に漫画の文庫化としてスタートした後に、約1年後の1977年5月に大人向けの文庫シリーズとして集英社文庫が発刊されている(よってコバルト文庫は、集英社文庫の元祖であるとも言える)。


 引用終わり。
 やはりそうか。ウィキペディアにはしばしば間違いもあることを知っているが、私自身の記憶とも一致しているし、これは信用しておく。

 おい集英社、無視するな!

 私は「コバルト」が「小説ジュニア」だった時代も、文庫でなくB6サイズでわりに紙質のぱっとしない本であった時代もしっかり覚えている。もしもあのころに挿絵がきれいなマンガ絵であったら私はもっと読んでいたであろう。
 『若き日の詩集』のカバーが大島弓子で珍しかった。同じ編者の『愛の詩集』は買わなかったけどこちらを買ったのは装丁のおかげ。特に大島弓子ファンではないけど正統派少女マンガのきれいなものだったので。
 本を手にとる際に装丁ってけっこうだいじ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地元(?)博物館に行く

2017-06-22 07:48:56 | 
「相模原市立博物館」
 図書館で借りた本には、貸出期限のスタンプを押した紙片がはさまれてくる。先日のそれは、裏面が博物館の特別展の宣伝になっていた。そのデザインに魅力を感じ、そして地元の博物館に行っておきたい気持ちになったので、このまえ行ってみた。
 駅から「徒歩20分」、こういう○分は、迷わずにスタスタ歩いた場合を指すもので、初めてだとあてはまらない、それより長くかかる。いい運動になった。

 考古学の範囲まで古いと関心がいま一つわかないのだけど。某旧家の模型は、母屋のほかに、離れがあり、いくつもの蔵があり家畜小屋があり、作業所たる庭ももちろんあり、花輪邸ほどではないにしても、あ~広い。
 恐竜の骨の一部、アラスカのヘラジカ(?)の剥製なんてものがある。角がでかい。あんなのを頭に乗せてて重くないかい?
 すごく面白いというほどでもないが、まあまあ楽しかった。
 ミュージアムショップで、名産品の組みひもと、組みひもを使った帽子止めを買った。

 そして冊子『まんが ほしのはなし 夏の巻』。絵は、上手というわけではないが下手と言いたくなるほどではなく(えらそうに)ダサいとは決して思わないし可愛い。例えれば川原泉のギャグタッチを思い出す感じ。好き嫌いを言えばこの絵は好き。「夏の巻」以外もあるなら欲しい。マンガ担当の「内田綾」という名前で検索すると、芸能人がたくさん出てきてしまってわからん。「企画・製作」の「ナチュラリストクラブ」は以下のものが出てきた。ここで紹介されているグッズの一部は市立博物館でも売られていた。
「ナチュラリストクラブ」

 次に来る時にはプラネタリウムを見よう。
 家族連れの様子が微笑ましかった。休日のレジャーで博物館に来るというのはたいへん好ましい。
 すぐ近くには「宇宙科学研究所」なるものもあって、ここに入っていく家族連れもいたので、一般人が見学するところもあるのだろう。
「宇宙科学研究所」

 淵野辺駅南口からバスはある。しかし逆に「市立博物館」乗り場から駅への便は、平日は朝1本だけであとは昼からで、土日休日は昼からしかない。今回の私のように、朝のうちに来て昼前に帰ろうという訪問者にとっては、帰りはバス使用できない。

 帰りには久しぶりにここの図書館に寄った。地元にできるまえはたまに来ていた。いまでも市内では一番の規模である。


新刊、三浦しをん『ぐるぐる博物館』実業之日本社
 ここに出てくる中で気乗りするのは、ボタンの博物館 龍谷ミュージアム 国立科学博物館。「国立~」は、去年ミュージアムショップだけ行った。たいへん充実している。「ボタン~」は、大阪にあったけど閉館、東京で再開されるということなので行ってみたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ふたつの海のあいだで ベイカー街少年探偵団

2017-06-15 08:48:10 | 
『ふたつの海のあいだで』カルミネ・アバーテ

 図書館のHPの「新着図書」で見つけた本。イタリアのもの。主人公はハンブルク在住で、ドイツ人の父とイタリア人の母を持つ少年。母の家は、先祖は歴史ある宿屋で、文豪デュマが忘れていった原稿(?)を家宝にしている(当時の宿の側では届けようとして追ったけどついに会えなかった)。その宿は。盗賊たちが滞在中に警備隊に囲まれて火をかけられて燃えてしまったという歴史があった。母方の祖父は、その先祖の宿に誇りを持ち、再建することに情熱を燃やしていた。しかし、土地のヤクザにみかじめ料を要求されて断ったので嫌がらせを受け、堪忍袋の緒が切れて殺人を犯して刑務所に入れられた。その祖父がついに出所して、再建がふたたび始まる。
 ささやかな、しかし当事者にとっては大切な歴史と、少年の自意識と身内への感情が淡々と描かれた佳作。


真瀬もと『ベイカー街少年探偵団ジャーナル』全3巻 角川文庫
 「ベイカー街少年探偵団」の部分は「ベイカーストリートイレギュラーズ」と読ませている。もちろんこれは、ホームズが下町の少年たちを情報収集などで使っている設定を応用した二次創作である。第1作めは「理論社」から出ていたがあとが続かずにいて、それがこちらで復活して完結したーーと思われる、しかしそういうことが説明されていないのはおかしいだろうに。
 リアム・マッギャン、いかにもの名前でアイルランド系の少年。もとスリだけどホームズに出会って盗みはやめた。父はどうやらアイルランド独立運動の元テロリストだったらしい(と読者には早い時点で推測できる)。リアムたちに関わってきた少年エドワードは貴族の跡継ぎだが、死んだ母親の出自ゆえに周囲から冷遇されている。乳母は、エドワードの母の死に不審を感じてホームズに依頼してきた。
 頭の切れる高飛車な美少年のエドワードが、私の発想ではオクタヴィアヌス坊やとダブる。
 結末は、ホームズ「正典」を知る読者にとっては、そうつながるか!と手を打つところ。


『吸血鬼カーミラ』で知られるレ・ファニュの『墓地に建つ館』を先月読んだ。その中で牧師の説教の場面で、「セント・アウグストゥスの「神の足は毛織の足、しかれども手は鋼、限りなき優しさの陰に厳しさを持ち給う」という厳粛な言葉を一同に思い出させた」という記述がある。これは、「アウグスティヌス」だろうな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

かわいい・美人

2017-06-07 10:56:21 |   ことばや名前
mixiで紹介されていた記事から部分的に引用する。

こんにちは、トイアンナです。
「かわいいは、作れる!」とヘアケアブランドのエッセンシャルがCMで流した時、あまりの衝撃に電流を流された思いでした。
メイク、ヘアセット、ネイル、ファッションと美容へ心血を注ぐ女性たちを勇気づけるキャッチコピーです。
ですが、残酷なことに「かわいい」は整形せずに作れません。ここで私が書いているのは男性基準での可愛さです。
男性と女性では「かわいい」と判断する基準が異なります。そして女性が「かわいいは、作れる!」と信じているのはあくまで女性基準のかわいさなのです。
〈女性のかわいさは、ケアの完璧さ〉
では女性基準の「かわいい」とは何か。答えはひたむきな美への努力です。
髪の毛には天使の輪が広がり、王道ながらトレンドを押さえたコーディネート。
ネイルは甘すぎず辛すぎないジェルで覆われ、季節ごとにバッグを変える。頭の上からつま先まで手抜きがないモデル体型の美ボディ。これが女性基準の「かわいい」に必要な最低条件です。
さらに女性基準の「かわいい」には、マナーのよさ、言葉遣いの丁寧さ、屈託のない笑顔、友達を立てる謙虚な性格といった中身に関する条件も入っています。
友達が落ち込んでいたら真っ先に慰めてくれるような、同性モテする性格もそなえた女性を「かわいい」と呼ぶのです。
〈男性基準のかわいさは、造形で決まる〉
では、男性基準では何を「かわいい」とするのでしょうか……顔の造形です。
顔のパーツがシンメトリーに近く、鼻が高くて目が大きい。すっぴんでも美人な顔が「かわいい」と呼ばれます。だから整形でもしない限り、男性基準での「かわいい」は満たせないのです。
 
 引用終わり。
 「美人」よりも「かわいい」のほうが主観性が大きく入るし、日本の女の子は好ましいものなんでも「かわいい」でくくってしまって語彙が乏しいとはたびたび揶揄されることでもある。80年代に「ぱふ」で「かわいいキャラクターベストテン」という人気投票があった際も、男性読者はひたすら、自分がカノジョにしたいような「かわいい女の子」に入れていたのに対し女性読者は老若男女問わず、人間でも動物でも、「錯乱坊(チェリー)」さえも対象にしていたという話はたぶん前にも書いた。
 「かわいい」の意味が男女で違うといえば、例えば合コンの時、女が「かわいい子連れていくね」と言って連れてきた子が可愛かったことがないなんて話をよく目にする(実体験ではない)。これに関して、意地悪で単純な解釈は、競争相手になるのにかわいい子連れて行くわけないだろというもの。まあそれはなくもないとしても、もっと妥当な解釈は、女が言う「かわいい子」は、性格や雰囲気なども加味した総合的なものである、というもの。少なくとも、「美人を連れて行く」よりも「かわいい子」のほうが容姿のハードルは低くなってもおかしくない。
 上記の引用に対して私が抵抗を感じた部分はいろいろある。
その1 「かわいいは作れる!」なんて、「かわいい」を名詞のように扱うことが目障りである。「キレイの秘密」とか。
 まあそれは単純なこと。
その2 ここで挙がっている「ケアの完璧さ」、そして中身の条件。--ハードル高すぎないかい!?そんな完璧な女に「かわいい」という言葉はむしろ似合わん。
 私は、並の上以上の容姿に、ほどほどのお洒落と性格の良さ、そういう人ならば「かわいい」と言って推薦できると思う。そんなに難しい要求ではない。
その3 「すっぴんでも美人な顔が「かわいい」と呼ばれます」ーー「美人」と「かわいい」は違うだろう!!!美人であっても可愛くない顔、美人でなくても可愛い顔はある。『アンジェリク』の主演女優は凄い美女だけど可愛くなかった。レオナルド・ダ・ヴィンチの描く絵が本人に似ていたならば、きっとレオナルドは(美男でも)可愛くなかったに違いあるまい。


 ところが、その後、以下のような記事が載った。抜粋して引用。

「俺らが言う美しいはこれ!」男性が美人だなと思う女性の特徴【恋愛コラム/モデルプレス】美人という言葉を聞いた時、女性は顔の美しさなど見た目について考えてしまいがちですよね。しかし、男性から見た美人というのはそういった見た目だけに関わらないことがあるのです。では、一体どんな女性になれば男性から美人だと思われるのでしょうか。今回は、男性が美人だなと思う女性の特徴をご紹介します。
♥一緒に居るだけで元気が出る
♥自分相応の美意識を持っている
♥バランスが取れている
♥感情や心が安定している
♥口調が優しく正しい日本語が使える
顔やスタイルに関係無く、男性から美人だと思ってもらえるポイントはたくさんあります。
意識すれば改善できることもありますので試してみる価値はあります。(modelpress編集部)

 引用終わり。
 なんだよ、「かわいい」の記事とは逆のこと言ってるじゃないか。
 だいたい、ここで挙がっている条件は、だいじなことではあるけど「美人」とまるで関係ないだろうに。
 私は常々、「美人」という言葉をもっと単純に、容姿の良さに限定して使いたいと主張している。このことは、容姿以外の美徳や魅力をないがいしろにすることではない。美貌は美貌として見ればよかろう(そして個人に惚れこんだならばそんな区別はどうでもよくなるだろうけど)。
 「美人だなと思う」じゃなくて、「素敵だ」「魅力的だ」でいいだろうに。
 美男美女はほんの一握り、しかし、素敵な人・好ましい人はもっと幅が広いはずである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ジョン、全裸連盟へ行く』

2017-06-01 05:41:25 | 
『ジョン、全裸連盟へ行く』 北原尚彦 ハヤカワ文庫
 『シャーロック』は、ホームズ物語を現代に移してアレンジしたテレビドラマであることは知っている、見たことはない。そもそも、オーソドックスなホームズ実写を私は見たことがないので、どうせ見るならそちらが先でなければいけないような気がするのである。
 しかしこの二次小説はもう読んだ。ドラマ同様(たぶん)、それぞれ原典のなにかを下敷きにしている。
 表題作は、もちろん『赤毛連盟』、プラス『三人ガリデブ』。裸でいることの好きな男が、安い料金で個室で全裸でくつろげるクラブを知って至福の時を過ごしていたが、退会させられてしまう。納得できなくてシャーロックの元に依頼してくる。
 ・・・いや~~笑える!
 『三恐怖館へ行く』は『三破風館』が元ネタ。
 不審な屋敷買取の話をきいての
「この屋敷に何か貴重品はありませんか?オラース・ヴェルネの描いた名画とか、シェイクスピアのファースト・フォリオとか?」「では宝石は?ボルジア家の黒真珠とか、青い紅玉とか」がツボ。
 『まだらの紐』ネタは、男女を逆にしてある点も斬新。
       しかし、「全裸連盟」は、女の話だと笑えないだろう、サベツだろうか。

 北原氏は、珍本コレクターでもありその方面の本も出している。『本屋で買えないマンガ』は、企業のPRや地方の町おこしなど普通に本屋で売っていないマンガを扱う。
 そこで発見した:
 「マンガを描いているのは井上大助。このマンガ家はあまりにも多種多様なマンガを描いているため、どの系統のマンガのファンであるかによって、代表作として取り上げる作品が替わってしまうだろう。」
 そして系統として ガンダム、アニメ三銃士、トンデモ、怪奇、ミステリ、グルメ、が挙がる。
「学習マンガの類もたくさん、いや大量に描いている」

 ーーそのへんは私もたくさん知っている。集英社から2002年に出た20巻本、文庫では10巻で出ている世界史マンガでギリシア・ローマを担当していた。ほかにアメリカ初期も。(同じ作家が2巻担当しているのは二人だけである)
 『その時歴史が動いた』マンガ版でも見た。
 ふ~ん、そんなにあれこれ描いているのか。

 そういえば(?)、新選組サークルで「斎藤みじめ」というPNで描いていた知人がいる、というよりも、描いている知人がいた(とんとご無沙汰なのでこの表現)。結婚相手がマンガ家で、学習マンガなどを描く人なので、新選組出てくる時は任せて!と言っているそうだ、という話を人づてにきいたのはもうかなり前のこと。どうしていらっしゃるだろうか。

 月初めなので、てっとりばやく投下。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする