画家について書くつもりだったのに、それが少しになってしまった。でもやはり「趣味」に入れておきます。
10年くらいまえ、沼津校舎に通っていた。授業が朝の時間で遠方なので前夜からホテルに泊まりで、毎週小旅行のようだった。「グランドホテル」なんて名前は看板に偽りありだったな、なんてことはこの際ほっとこう。御用邸跡公園とか、芹沢光治良の記念館とか、歩いて行ける範囲にも見所はいくつもある町だった。いや、不安になってきた、歩いていったはずだ、記憶があいまいだけど、タクシー使ったりバスに乗ったりした覚えはない・・・。井上靖が中学時代に下宿していたというお寺には記念碑があり、当時の悪友たち(『夏草冬涛』にみごとに作品化されている)の詩も一緒に書かれていることに感動した。
沼津からバスで行く距離に「井上文学館」があることは知っていたのだが、これがバスの本数が極端に少ないので、学期の終わりにとっておいた。駅から30分の山の上に文学館はあり、たくさんの本、草稿、書簡、写真等々豊富な展示。
この近所に、フランスの画家(当時は存命だった)ベルナール・ビュフェの美術館があるのでここにも行った。たいへん特徴のある画風である。新潮文庫のサガンの本のカバーはたいていビュフェの絵だった(いまは一部変わっている)。丸くはなく、むしろとんがった感じ。なにしろ、紫陽花の葉まで長く描いてしまうのだ。本人は丸顔なのに自画像は細い・・・。
それにしても、ひとけのない場所だった。車道に寝転がっていても、20分くらいは起こされずにいられるのではというくらい車も来ない。空気が良さそうだし、ひたずら勉強するためにこもるにはああいうところに別荘でもあれば最適な場所かもしれんと思った。もう10年もたって今はどうだろう。とにかくバスの本数が少なかった。
読売新聞の読者投書欄のカット描きの熊沢厚子さんの犬の絵が好きだ。切り取ってコピー便箋をつくったこともある。小犬とかウサギとかぷっくりとした動物が可愛い。上記ビュフェの例で、ご本人は案外細いのだろうかと余計なことを思ってしまう。
「クレマチスの丘」
「美術館」に、井上文学館も載っている。「オススメ情報」の「周辺観光」からは沼津の観光案内にも飛べる。宣伝料ももらってないけど宣伝。沼津良いとこ一度はおいで、とは言いたい。魚や山葵などお土産も豊富だし。