レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

弓と前と刀で「なぎ」

2009-04-29 05:52:25 |   ことばや名前
『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ』(光文社新書)は、まえにここで言及したこともある、字幕翻訳者太田直子さんのエッセイである。そこで、「許しがたい敵」とされていたのは、「混ぜ書き」。一語の中で漢字とカナが混じった書き方。「だ捕」、「誘かい」、「危ぐ」など、「ほとんど冒涜的」だと主張されている。同感だ。この人の場合、常用漢字に縛られると字数が増えてしまって困るという問題もあるが、そういう事情のない私もしばしば怒りを覚える。
もっと挙げてみるならば、「破たん」、「補てん」、「ら致」、「障がい」(「体の不自由な」人々に配慮して「害」というネガティブな字面をやめようという意図があるそうだが、もうちょっと工夫のしようがあるのではないか)。
 「美ぼう」に「復しゅう」となるともう殴りたくなってくる。せっかくの凄みのある言葉がだいなしだ。
 たとえ知らない字があったとしても、基本的なところを知っていれば意味を推測できるのが漢字のいいところのはずだ。児童相手の本ならば我慢もするが、大人が主に読む場では、醜い「混ぜ書き」に目くじらを立てずにいられない。

 「草なぎ」という書き方を見て改めて感じたので投下。このパソコンでは、「草薙」のほうは出てくるけど弓と前と刀の字は出ない。
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「全○マン」

2009-04-27 06:21:09 | マンガ
 コミケにはもう5年も行ってないが、友だちに頼まれて買っていた『銀英伝』サークルの「フェザ○ンBANDAI」(無意味な伏字)の本は、原作を読むまえから笑って読んでいた。そこでの忘れられない傑作がある。
 (前提:原作では単に「絵心がある」というだけの設定であるカスパー・リンツは、同人二次創作の世界では、軍人兼漫画家、という設定が定着している)
 フライングボール(というスポーツがあの世界には存在する)の試合がファンサービスデーで、コスプレした客はタダになるという。ローゼンリッター連隊の連中がそれに行こうとする、しかし衣装の用意をしている間はない。それで、リンツの代表作、全裸で戦う正義の味方『全裸マン』のコスプレだと言い張って単にハダカでおしかける。

 「全裸マン」という名前だけで既に笑いをとってしまうよこれは・・・。
 そういえば、「花ゆめ」の読者欄に、『ぼくタマ』のモク=レンのコスプレとしてハダカで出る!というカットが載ったことがあるな。
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ノアと相撲とサトウ・ハチロー

2009-04-26 07:37:04 | 
 前回ヘンなヤツの話をした流れで三つ。

1. 旧約聖書のノアの箱舟の続きにこんなのがある。

さてノアは農夫となり、ぶどう畑をつくり始めたが、彼はぶどう酒を飲んで酔い、天幕の中で裸になっていた。カナンの父ハムは父の裸を見て、外にいるふたりの兄弟に告げた。セムとヤペテとは着物を取って、肩にかけ、うしろ向きに歩み寄って、父の裸をおおい、顔をそむけて父の裸を見なかった。 (創世記第9章)

 これ、ほかの二人は孝行心から見ないようにしたと説明されているけれど、私は自分の尺度で考えるならば、--見たくなかっただけじゃないのか親父のハダカなんてグロテスクなものを!?

2.芥川龍之介の『藪の中 将軍』(角川文庫)に載っていたエッセイ『世の中と女』にあった。

 「不公平という意味は、必ずしも、男だけが得をしているという意味ではない、いや、どうかすると、私には女のほうが得をしている場合が多いように見える。たとえば相撲である。我々は、女の裸体はめったに見られないけれども、女は、相撲を見にゆきさえすれば、いつでもたくましい男の裸体を見ることができる。これは女が得をして男が損をしている場合であると思う。」
  
 ・・・見たくもないけどなぁ。

3.佐藤愛子さんのエッセイに書かれていたこと。
 兄サトウ・ハチローは自宅でしばしば全裸で過ごし、人が来たときには団扇で前を隠しただけで玄関に出たそうである。
 おにいちゃんは上野の山でおまわりさんと追いかけっこをしています、という手紙が来たこともあるとも書いてあった(かつての流行り言葉で言えばストリーキングだ)。
 あいにく本は手元にないのでこれらは引用できない。 
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自宅でならば問題ないのだな

2009-04-24 06:10:15 | 雑記
 きのうからニュースで騒がしいのは、クサナギ某の事件。
 母の知人の話。町内に露出趣味の男が住んでいるという。マンションの上階の自宅ですっぽんぽんになり、カーテンを開けた状態でウットリしている。それに見物人がけっこういるという。でも、距離があるのでよく見えるわけではないそうだ。
 逮捕されたりしたら、ローカル欄に小さくは出るだろうけどそういう話もきかないので問題ないのだろう。いろいろな趣味の人がいるものだ。
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太陽の性別

2009-04-23 15:42:41 | ドイツ
 私がときどき覗く2ch少女漫画板のあるスレッドで、たまたまドイツ語の名詞の性別の話題になっていた。「朝」「昼」は男性で「夜」は女性だというのはいいのだが、「月が女性で太陽が男性」と書いてあるのは、--ちが~う! 即座に書こうとしたけど、アクセス規制中。ここで書いたところでそのスレッドの読者の目にはいるということもないだろうけど、話のタネにさせていただく。
 ドイツ語では、「太陽」が 女性名詞 die Sonne 、「月」が男性名詞 der Mond
フランス語は(スペイン語やイタリア語も)逆。
(ロシア語の太陽は中性なんだそうだ)
 神話では、北方ゲルマンでは太陽(ソール)が女、月(マーニ)が男の設定(%)、
南のギリシア・ローマでは太陽神と月の女神なので、その対応で覚えればよかろう。
 日本では「アマテラス」が女神なので(もとは違ったという説もあるそうだが)、日独防共でこじつけるか? でも神話の「ソール」はアマテラスと違って活躍してないな。
 「ゾンネ」はドイツのレストランや宿の名前としてよくある。月絡みでは「ルナ」「ディアナ」を見た。「アポロ」もあったけど「モーント」は知らない。あまりめでたそうではないな。

% 「別冊マーガレット」時代の市川ジュン作品『りんごの園』では、北欧神話が取り入れられていて、キャラ名が「ソール」(女の子)と「マーニ」(男の子)だった。当時は由来なんてわからなかったけど。
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よく寝た

2009-04-19 08:49:51 | 雑記
 通常は朝5時半に起きるけど、日曜だけは目覚ましをかけない。たいていは7時ごろに目が覚める。今朝、5時に一度起きて寝直し、次に目が覚めたのは8時だった。これならば昼ごはんまでさほど時間もないことだし、朝食は軽くする。・・・昼が楽しみである。

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ドイツイメージその他

2009-04-16 05:43:46 | ドイツ
 新学期が始まった。
 初回は、ドイツの歴史に関してざっと。最重要年号は、1517年の宗教改革と、1871年の統一だろう。
 アンケートとして、ドイツのイメージやら関わりやら書いてもらった。
 挙がるのはやはり、サッカー、ビール、ソーセージ、ベートーヴェン、ヒトラー、音楽、医学等々。カタそうなイメージを持っている人は多い。
 プリントに、『ヘタリア』と『聖おにいさん』からカットを使用した。さすがに、知っている学生はいた。『聖~』は、「やっぱり免罪符は売っちゃいけないよ!ルターさんの努力を裏切ることになる!」の部分。『ヘタリア』は「ドイツ」キャラ紹介部分。1巻からも使ったのは、「イタリア観光大好き」を話題に入れたいから。『君よ知るや南の国』もあるし。
  ところで、『ヘタリア』の「ドイツ」は、外見がシェーンコップで性格が少佐みたいだーーという例えはどのくらい普遍性を持つのだろうか。ドラマCDは概して合った配役だと思う(知ってた声優はほとんどいないけど)。

 ついでに。
 数年前の調査では、ヨーロッパ人男性の身長のデカさは、1、オランダ 2、デンマーク 3、ドイツ という結果だったという。やはりゲルマン人でかい。(侵入されたローマ人は怖かったことだろう) ドイツはまだしも、オランダにデンマークなんて面積狭いのに住民の体格は巨大なのかと思うと笑える。
 『ヘタリア』アニメの設定資料(雑誌に載ってた)の背比べの図を見ると、いちばんでかいのがロシア、ついでドイツになっている。小さいのは「日本」。かわいくていいけど。イタリアが初めて日本と会ったとき「俺よりちっちゃい!」と言ってたのは、国土ではなくヒトの体格を念頭においての設定なのだろうか。
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図書館でもったいないこと

2009-04-12 06:30:59 | 
 去る1週間、地元図書館は整理のため休館していた。いまはたぶん、例によってリサイクル棚が出て処分本が並んでいるのだろう。あの棚は、手放す本をいつでも置いてこられるように常時おいてほしいと思う。
 図書館といえば、たいていは本にビニールカバーがぴったりと貼られている。カバーをはずすと表紙にまたなにかしかけがある本もあるのだけど、そういうのはもったいない。
 新潮文庫とか角川文庫とか、その他なにか応募券でもらえる品がある本は少なくない。ああいうの、図書館の本でもきっちりもらっておけばいいのに。イベント(あれば)の景品にするとか、バザーで売って本購入費の足しにするとか。禁止する規定でもあるのだろうか。ヘンに切られてビニールカバーの下になってるのを見るともったいなくて仕方ない。
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もどきキャラだらけ

2009-04-10 05:51:20 | マンガ
 マンガなり小説なり、これは先行作品に似ているとか影響を受けているだろうとか思ったときに、ネガティブな感情を持つことは、私はあまりない。その私が珍しく抵抗を感じたことについて書きたくなった。

 同人二次創作をしている人の場合、それらの対象作品から自分のオリジナル作品に影響が及ぶことは珍しくない。
 設定やキャラが重なるとか、チョイ役で「もどきキャラ」を出してくるとか、ネーミングの元ネタにするとか。
 例を挙げれば(ここで挙げているのは非難の対象ではない)
・昔はララにいたけどいつのまにかレディコミにいっていた日高七緒さん、『シュラト』のレイガもどきがチョイ役で2度使われていた。
 同じく日高さん、なんだか『炎の蜃気楼(ミラージュ)』を思い出す舞台背景の話があった。ほか、「北条」のお嬢さんとそれに仕える「風魔」忍者の子孫のラブストーリーなんてあったし、たぶんこの人もハマっていたのだろう。
・高群保さんの『HEAVEN』、人物配置が割りに『ミラージュ』と重なるものがあった。『海に似た空の色』は、イラストを担当していた小説を彷彿させる始まり方だった。
・灘ひなたさんの小説(イラストは七星秋生さん)で、当時あのコンビがハマっていた某アニメのもどきキャラがちらっと出ていた。
 七星さんの『永遠よりなお遠く』は、『ミラージュ』『間の楔』を思い出す点がやはりあった。

 これらの場合、ちょっとした遊び、または、全体としてオリジナリティが優っているので、ああアレね、ですむ(私は)。
 しかし。登場人物の外見が、ロコツに『ミラージュ』キャラだらけのマンガを私は二つ見たことがある。BL系、ということは同人系雑誌で。 『ミラージュ』は、個々のキャラはそれほど特異なデザインになっているわけではないので、せいぜい主人公か主役カップルが似てる程度ならば気にしないでもいられるのだけど(現にそういうマンガも目にした)、アレやアレの場合、登場人物の全部がモロにだったのだ。おいおいあんまりでないかい・・・。(そもそも作者たちに対して悪意なんか持っていなかったけど。) 読者の大半はわかったろうから、こっそりがダメという点にはあてはまらない。モト作に対する愛情、これは明らかにあったはず。ではなにが抵抗を感じさせたのか、・・・やはり、類似の程度が甚だし過ぎたということになるのだろう。さらに言えば、既成の人気キャラに似ていることによって、読者は実際に描かれている以上に好意的先入観を持ってしまう(可能性がある)、それに依存しかねないというふうに見えたのか。 オリジナルならば白紙からスタートして魅力を創りあげるという勝負、原作(歴史なども含む)ありならば、そのキャラたちならではの性質を生かすべしという拘束との兼ね合い。しかし、オリジナルのくせに既成キャラのモロ模倣なのはどっちつかずで、そこが問題点なのかもしれない。

 (フィクションでモデルありキャラが悪いというのではない。成功すれば、「一粒で二度おいしい」になる。)
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コンビニ本「まんが偉人ものがたり三大美女編」

2009-04-08 05:51:50 | 歴史
 コンビニで見つけた、
「まんが偉人ものがたり 三大美女編
歴史に見る美貌の秘訣 
ジャンヌ・ダルク マリー・アントアネット クレオパトラ」

長い、どこをタイトルと見做せばいいんだか。
集英社の「学習漫画・世界の伝記」の3冊ぶんがまとめてある。パトラとアントワネットは千明初美、ジャンヌは高瀬直子、両者ともこの手の学習マンガにはよく出てくる人。でも表紙のカットは違う絵、きれいな絵なのだけど誰だか明記がない。
 「偉人」なんて言葉を軽々しく使ってもらいたくないなぁ。3人とも、めったにないほどドラマチックな生涯であったことはもんくないけど。
 「美貌の秘訣」って看板に偽りありもいいとこだ、そういう内容では全然ナイ。
 いつから「三大美女」はこのメンバーになったんだ。これは、かつての『週刊100人』の「美女」投票の上位3人と同じ顔ぶれだ。

 これは、「集英社ガールズリミックス」のレーベルになっている。一応は少女マンガの扱い。元々は児童書なんだけど。
 歴史もの・コスプレものマンガ好きにとっては、学習マンガの歴史・伝記はけっこう穴場である。
 千明さんの同じレーベルの作品では、「マリー・ローランサン」もあるけど、上記の3人に比べてネームバリューが落ちるのだろうな。またコンビニ本になるとしたら、女性「偉人」の定番の3人、ヘレン・ケラー、ナイチンゲール、キュリー夫人(私としては「マリー・キュリー」と表記したいけどね)のほうが可能性が高い。
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