レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

ほととぎす

2008-05-31 05:46:02 | 
不如帰、 ホトトギス、 時鳥。連想することは多い。
 
 「鳴きつる方をながむれば~」は百人一首にもはいっている。
 「そのかみやまの旅枕 ほのかたらひし空ぞ忘れぬ」は式子内親王、実は意味をよく知らないけど語感がきれいで好きだ。
 
 信長・秀吉・家康の「鳴かぬなら~」の例え。誇張ではあるけど「キャラ立ち」をうまく伝えているとは言えるだろう。

 高浜虚子『ホトトギス』もある。私は名前しか知らないのでなにも言えない。
 
 『不如帰』徳富蘆花、明治のヒット作。嫁いびりされて結核で死ぬ話、ということはわりあい常識に属しているはずだ(若年層はともかく)。 私はこれを読んではいない。柴門ふみ『恋する文豪』と、堀江珠喜の本(『純愛心中』だったか、『「人妻」の研究』だったか?)で言及されているのを読んだだけである。だから、ここで書く非難も一方的かもしれないとは断っておく必要がある。
 夫の武男が出征中に結核になった浪子がオニのような姑のせいで離縁される。危篤状態になっての「ああつらい! つらい! もうーーもう婦人(おんな)なんぞにーー生まれはしませんよ。ーーあああ!」が名セリフとして有名なのだそうだ。
上記の本双方に出てきた。
 私が抱く疑問、もっと言えば不満。彼女の不幸の元凶の姑だって女ではないか。こいつを恨むほうがスジというものだろう。(小説に書かれているのかもしれないけど) 女に生まれたからには仕方のない不幸だとでもいうのか。姑への憎しみや、夫婦の愛より家の存続を優先する慣習への怒りを叫ぶほうが私ははるかに納得できるというものだ。 せめて、(ジョージ1世妃ゾフィア・ドロテアのように)あの世から呪い殺してやるとか、ヤツが守ろうとした「家」を断絶させてやるくらいしてほしいものだ。・・・しかし、そういう女だったら薄幸のヒロインとして世にもてはやされなかったのだろうな。
 同情はするけど、少なくともこのセリフにはイライラする。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小さなグチ

2008-05-29 05:41:00 | 
4月に中公文庫で辻邦生『春の戴冠』が出た。ルネサンスのフィレンツェ、ボッティチェリの友人である古典学者(たぶん架空)を語り手として、ロレンツォの時代前後、華の都の栄華と没落の影を上品に描く長編。実はほんの数ヶ月まえに、図書館で借りて読んでいたのだけど。文庫になったのは結構なことだ。てっきり、全4巻が毎月1巻ずつ出るものだと思ったのに、5月の新刊にこれの2巻がないのは嬉しくなく意外である。

 幻冬舎から出ている『ポンツーン』『星星峡』、本屋にタダで置いてある冊子だけど、出版PR誌にとどまらず既に小説誌といっていい種類に属する。今月ぶん、『ポンツーン』は先週手にいれているけど、なぜか『星~』はない。こちらだけすぐになくなってしまうというのも不自然なんだけどな。まぁ、小学館の『きらら』も普段よりも遅れて本屋で発見できたから、これもそうなるといいんだけど。いっそ、もう置かなくなったというならば諦めもつく。ぽつんと1冊抜けるというのがいちばんイヤだ。

 (付記。4日に地元のいつもの店に行ったら『星星峡』6月号もあった。)

 二つだと収まりが悪いので、強引にもう一つ。
 角川の冊子『本の旅人』にかつて連載されていた柴門ふみ『日本レンアイ文学入門』は、単行本にまとまったら読みたいと思っていた。今月の文庫新刊で『恋する文豪』は、もしかしてコレか?と思ったらその通りだった。それはいい。「2006年9月、小社より刊行された単行本を文庫化したものです」、え、既に単行本になってたのか、気がつかなかった。連載からもうそんなにたってたのか。それにしても、初掲載がいつどこでだったのかも明記しておいてほしい。(これは、再録の多いレディコミ雑誌、一部のコミックスにも常々思うことだ) ついでに言えば、藤本ひとみの本に載ってる著作リスト、改題されたものについてはその旨も書いておけ!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

半年ごとに

2008-05-26 13:03:07 | 雑記
 マンションの、各部屋の火災報知器の点検が半年ごとに来る。その予告があると、では部屋を片付けなくては、と構える。普段からキレイにしてあればどうということもないことなのだが。 そしていま、その点検からまだ日が浅いので、その続きのように部屋がマトモな状態にある。これを長く保つことが整頓の秘訣なのだろう。
 ほかに、「毘沙門天管弦楽団」のコンサート、歯医者の検診も半年ごとにあるものだけど、これらはなにも準備のいるものではないからな・・・。コンサートは行かなくても自由だし、歯の検診は都合が悪ければ日を変更してもらえるが、報知器はそういうわけにはいかないし。

 上記のように書いてから数日。せっかくだからと少し部屋の掃除をした。天気がいいので布団を干して、掃除機もかけた。 もっとも、別の片隅にはそれはそれでまだモノが積み上げてあるけど。いずれこちらもどうにかしよう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『密偵ファルコ 地中海の海賊』

2008-05-22 14:16:08 | ローマ
 『ファルコ』の新刊。すでに16巻め。
 ローマの「日報」(壁新聞)のゴシップ欄担当者が行方不明になり、同僚たちに捜査を依頼されたファルコは、避暑も兼ねて妻子同伴でオスティアへ聞き込みに赴く。そして、表向きはもう撲滅されているはずの「海賊」による連続誘拐事件も絡んでくる。おまけに、誘拐の手引きをしているのは、数十年前に失踪した伯父?という疑惑まで浮かんできて事態はますます混迷する。
 
 ヘレナとのラブラブっぷりや、幼い娘たち、困った身内にふりまわされるファルコが例によって微笑ましい。親友ペトロはファルコのしっかり者の妹マイアと交際続行中。ファルコの身内家系図を見ると、内縁関係が多いな。元老院議員の娘などというヘレナの身分を考えれば身分違いもいいとこのはずなんだけど、怪しげな娘婿を受け入れてくれてる彼らは太っ腹なものだ。次男は兄の婚約者と結婚してしまったという状況だし、ひとりくらいフツーに結婚してもらいたいところだろうな。
 ファルコの母方の伯父たちに添えられている説明の、「道楽者」「極道者」が端的で笑える。「誰も話題にしない人物」が今回のカギだった。・・・やはりヘンなやつであった。親父の不良ぶりも拍車がかかっている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

文庫のサイズ

2008-05-18 06:21:45 | 
 「文庫本サイズ」といえば広く通じる言い方であるけど、実のところ少しは差がある。岩波、角川、講談社は14,9センチ、新潮15,1<中公<集英社<文春15,3.
 ところが、先日ハヤカワ文庫から新訳の出た『エデンの東』を読むために、たくさんそろえてあるカバーをかけようとしたら、これがけっこうキツい。なんとか入ったけど。本を測ったら、タテが15,8もあった。文庫サイズブックカバーの標準(たぶん)は約15センチということになっているけど、これよりもだいぶ余裕を持たせてあるのだな。コンサイスの「文庫(大)」は16センチということで、でも店においてないので一つ注文した。--ここまでしなくてもよさそうなものだとは我ながら思う。

 しかし気がついた、ハヤカワ文庫の中で、一部のレーベル(たとえば『エデンの東』は「epi文庫」)だけが上記のように大きく、ほかの大多数は15,3だ。
 そして、注文したコンサイスのカバーを入手したその日に、「角川ちょっくらぶ。」のブックカバー(50ポイントつまりオビつき本10冊ぶんでもらえる)も届き、これも大きめサイズだ。まあ、悪いデザインではないから、次にたまったときにはもう一つ色違いをもらおうと思っているけど。 大は小を兼ねるから、ふつうサイズの本で大きめカバーを使ったってソンというわけではないけど。なにか、なにかちょっと悔しさを感じる・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「パスタ」と「講義」

2008-05-14 05:39:26 |   ことばや名前
 先月、新聞の投書欄の「流行り言葉」というテーマで、スパゲッティと言わずに「パスタ」、甘いものを「スイーツ」ということに抵抗がある、という声が載っていた。私も「スイーツ」などキザったらしいと思う。それに「パスタ」は総称でないのか?「スパゲッティ」は「パスタ」に含まれるのでこれは間違いとは言えないけど。「スリップ」も「ショーツ」も「ブリーフ」も「下着」ですませてしまうようなものだ。
 それらとはある意味で逆に、大学の教室でする勉強をなんでも「講義」と言うある傾向には抵抗を感じる。語学授業もゼミもあるのだ、まとめてならば「授業」といっておけば間違いない、その中に「講義」が含まれるのだから。なんでもかんでも「講義」ですますのはやめてほしい。私がこう感じるのは、某掲示板が年齢制限を設けている場合、書きこみで「授業」という言葉を使っただけで、高校生以下だと決め付けてくる例がままあるからでもある。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

5月11日なので

2008-05-11 06:59:39 | 新選組
 新選組話題をぼつぼつ。

 浅田次郎『壬生義士伝』を、ながやす巧がマンガ化(あれは劇画と言える)していて、その単行本1巻が出た。なんとまあ緻密な絵だろう。リアルなだけに、描き分けも豊かで安心できる。
 長くなるだろうなぁ。

 『燃えよ剣』原田左之助・西田良さんから、舞台の案内が(母に)来た。『近藤を待ちながら』--演劇に縁のある人ならば必笑タイトル。

今日はたぶん「歳三忌」開催なのだろうな。ちょうど11日にあたるのは運がいい(?)。集まった人々に幸いあれ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初夏とアスパラガス

2008-05-08 15:56:32 | ドイツ
5月といえば、ゲーテの『五月のうた』、ハイネの『いと麗しき五月に』、ほか『来たれ、愛する五月』等々、ドイツ抒情詩の世界では春の盛り、人々が浮かれ心弾ませている季節になっている。一方、日本の暦では初夏としての扱いもあり、春だったり夏だったりどちらともとれる、いずれにせよ心地よい季節である。
 日本での「初鰹」にあたるものが、ドイツではアスパラガスだといわれる。大きく太い、白アスパラガス。マルクトでも山と積まれる。皮むき器があり、ゆでて、チーズがメインのオランダソースとやらをかけるのが一般的な食べ方であるらしい。ハムと組み合わせるのもあり。淡白なものなので、ツルツルといくらでもはいってしまう、・・・といっても、もう長いことご無沙汰であるけど。アスパラの缶詰は日本でもあるけど、サイズがどだい違う。
 99年の2月、ハイデルベルクに3泊した。アイヒェンドルフ詣での一環。「哲学の道」のはずれにある詩碑や、町はずれの縁の店を見学することが主目的だった。観光の中心地にあるレストラン「Schnookeloch」には、この詩人に関して展示された部屋があるというのでここでも食事をしたのだが、あとで、この店はホテルでもあることを知った。次に機会があれば泊るぞ。なおこのときは、アイヒェンドルフとその兄が、コルンマルクト近くに宿をとったことがあるというので、そのへんに私も選んだのだった。「アム・コルンマルクト」、よい場所だった。
 この3日のうち1日、近郊のブルッフザールに足を伸ばした。見所は宮殿で、臨時にバービー人形の展示をしていた(のは、確かここだったと思うけど、記憶違いかもしれない)、コスプレの中に、シシィの姿のバービーもあった。
 ここの近くのシュヴェッツィンゲンはアスパラガスが名物で、季節には人々が採りにいくのだと話していたのは宿の人だったろうか。

 私のお弁当に欠かせないのは冷凍グリーンアスパラだけど、なんだか白いのが食べたくなってきた・・・(たとえ缶詰でも)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本のカバーイラスト

2008-05-04 10:43:26 | 
 岩波文庫の棚で『じゃじゃ馬馴らし』が目についた。見覚えのある美女の絵が表紙、正確にいえばカバー。これは、トラファルガー海戦の英雄ネルソン提督の愛人として名高いエマ・ハミルトン夫人ではないか。いったいなんの脈絡があってこれが出てきたんだ!?
 岩波文庫といえば、シンプルな装丁が伝統だけど、ときどき変わったデザインのカバーも見られるようになっている。

 漱石の代表作などは、新潮文庫も角川も岩波も出している。外国ものならば翻訳も選択要素になるだろうけど、日本文学だとそれがない。替わるとすれば解説・注か? 長編1本だと、装丁が大きくものをいいそうだ。新潮の場合、「YONDA」グッズへの応募券というオマケがある。(講談社はブックカバー。) 角川文庫だとまだ新刊でオビのついているうちしかポイントを貯めることができない。迷ってないですかさず買え!と言ってるのかもしれん。
 漱石本では、かつては、わたせせいぞうの絵がカバーだった。それに対して、初期の明るいものはともかく、重い作品にこれは合ってないだろう、という批判の投書を新聞の読者欄で読んだことがある。いまは、わたせ絵は一部になっている。私は新潮で買うことが多いのだが、『三四郎』だけは、絵が気に入らんので岩波文庫を選んだ。 いっそ、『吾猫』を坂田靖子、『デミアン』萩尾望都なんてやってみたらどうだろう。『アン』市川ジュンならば私は買う!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

先月と今月のコミックス

2008-05-01 14:20:48 | マンガ
 5月のコミックス新刊で買う予定は、『お伽もよう綾にしき』、『風光る』(早く話を進めてくれな)、『海の綺士団』。新刊率、少女マンガ率が珍しく100%。
(ここでいう「新刊率」とは、旧作の復刊ではないという意味)
 なんだか先月は、あらかじめチェックしていて買ったものがなかった。『ヘタリア』と、『風が強く吹いている』1巻。後者は、コンビニで目にはいった。原作は一昨年出た三浦しをんの小説だ。直木賞受賞作がマンガ化されて連載中なのは知ってたが(山田ユギは、けっこう面白いとは思うけど好みの絵ではない)こちらは知らなかった。カケルのギザギザ髪(男ものマンガによくある)は好かんのだけど、全体としてはうまいキャラデザインになっていると思う。ヤングジャンプということは、青年誌か。この話は、やはり少年誌か青年誌向きかな。レディスは明らかに違う。

 きのうの読売夕刊の「本よみうり堂」に、『聖おにいさん』と『ヘタリア』が紹介されていた。
「本よみうり堂」
 「両作品に共通するのは、宗教や戦争など大きな存在を身近に引き寄せながら、悪意や毒のある過激なギャグではなく、登場人物のとぼけた行動を笑いにつなげていること。」
 私は、予備知識があればいっそう面白い、ということも挙げたい。広い意味で歴史ものとも言える。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする