レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

言葉は1対1ではない

2011-12-31 06:48:17 |   ことばや名前
ネット上の、ニュースというほどでもない話題の中で、「メリークリスマス!」と24日に言ったら「今日じゃないだろ」と言われた、という話題があった。その指摘した人は、24日は「イブ」であって「クリスマス」は25日であることを言いたかったのだろう。
 英語やそれに近い言葉での挨拶表現はあらかた、「私はあなたに~~を望む」の「~~」部分が独立したものだろう。ドイツ語の「こんにちは」のGuten Tagは、文字通りには「良い日を」である。
 英語のクリスマスソングで、We wish you a merry Christmasがある。(日本語版は「おめでとうクリスマス」) これを例文代わりに覚えていたことはだいぶ役にたった。 この「メリークリスマス」の部分が単独で使われる場合、当日に言うこともあれば、そのまえにバイバイするときに言うこともおかしくない。「私たちはあなたに望む」その目的語は、これから先のことでもいいのだ。
 この歌は、同じフレーズを繰り返したあとで、and a happy new year! と結ぶ。この言葉は、日本語にすると、年内は「良いお年を」、明けてからは「あけましておめでとう」になる。

 連想するのは、「ありがとう」とthank you やdankeは全く同じではないという件。まえにも書いたことがあるが、歌人の穂村弘さんのエッセイで、トイレの張り紙に「いつもきれいに使っていただきありがとうございます」に対して、見てるのか!?とツッコミを入れているくだりがあった。「ありがとう」は、先んじて使ってあるとおしつけがましいこともあるが、きれいに使って下さいのあとにthank youで結べば、「よろしく」に解釈できる。

 外国語同士のズレは珍しくないけど、その一例。

 ところで、人種も宗教も混在しているアメリカでは、メリークリスマスの代わりにHappy Holidays!と使うときいた。ニュース内の「ニューヨークスタイル」にクリスマスツリー用の木を売っている店が出てきたとき、街角に下がっているプラカード(?)には確かにHappy Holidays と書いてあった。  ほとんど異教徒である日本ではてんでかまわずメリークリスマスなんだけどね。
 
 『クリスマスツリー物語』はYouTubeで見られるらしい。お勧め番組。

 では、訪問者の皆様、Ein gutes neues Jahr! 良いお年を!
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ラストページの余白

2011-12-29 05:44:53 | 
 遠藤周作『深い河』を読んだのはもう12年まえであり、講談社文庫だった。そのときと本の状態がいまは変わっているのかどうかは知らない。いずれにせよ、主要人物の一人が瀕死であることを告げるセリフがラストにあった。そのページの最後の行まで。そしてページをめくるともう小説の続きはない。ーーどうもそれは落ち着きの悪さを感じた。

 本屋のレジあたりに置いてある出版社の冊子をもらってくることは既に何年も習慣で趣味になっている。それらの冊子のうち、幻冬舎の「星星峡」は、作品によって一段組と二段組の違いがあるが、その号の最後のページで、余白があるならば「終」または「続く」と書かれているのに、ページのぎりぎりまで文章が達している場合にはそれがない。右側のページでそれならばまだいいが、左側ページの最後の行まで文章があるのに、めくったらほかのになっている、これはなんとなくイヤだ。

 同様の冊子であるポプラ社の「asta」は、連載にせよ読み切りにせよ、その号の最後には「*」みたいなマークをつけている。そうでなくとも、最終ページには余白が充分に出るようにページを組んである。
 小学館の「きらら」は、「続く」と書かれる。

 小さいことながら、雰囲気というものは大切だ。特に、物語の最後には余韻を味わいたい。なるべくならば、最終ページにはいくらかの余白を持たせる構成を望む。
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『テルマエ・ロマエ』 4巻

2011-12-27 05:42:24 | ローマ
 いまローマ関連の話題といえばまず、『テルマエ・ロマエ』の4巻だろう。
 思えば、3巻すぐあとのぶんは本誌で読んでいたが、アエリウスの死後、ルシウスがまたタイムスリップしたところで、そのあとどうなっているのか知らないままだった。
 ローマへ帰ろうとして様々なポーズで飛びこみ続けるの図は最大の笑いどころ。(そもそも、裸の男というものがかなり喜劇的なしろものではなかろうか) 人体デッサンがきちんとできてないとこんなの描けないんだろうなぁ。
 温泉旅館での労働なんてなかなかできないことだし、この経験が帰還後どう生かされるのだろうか。
 現代日本でラテン語のわかる人を出すならば神父さんあたりが妥当なセンだと思うけど、それが美人芸妓になったのはやはり、ちっとは華が求められたのだろうか。さつきちゃんのローママニアっぷりは明らかに作者のダンナがモデルだ。
 (木原敏江『摩利と新吾』での、「ほほうさすがは文明開化ですなー ドイツ語を話す芸者とは!」を思い出す。)

 ところで、私はルシウスよりもアエリウスのほうが(ヒゲのせいで)年長だと思い込んでいた。だから、映画での配役、ルシウスに阿部寛、アエリウスに北村一輝ときいて、大河『天地人』で上杉謙信とその甥の景勝であったことの連想から、なんだかへんな気がした。(謙信と景勝の年齢差は25。濃い顔どうしの配役なので血縁者設定には合っていた)
 『テルロマ』の第1話でAD128、第2話で129。4巻の時点で137年、その時にアエリウスが30歳ならば、たぶんルシウスのほうが年上だ。 
 検索すると、阿部寛が1964年生まれで北村一輝が69年、5つしか開いてないのか。
 同じ『天地人』で秀吉だった笹野高史が「平たい顔族」での出演であることにはものすごく納得できる。

 この流れとは関係ないけど、
 「平たい顔族」らしくない顔、いわゆる、彫りが深くて「ガイジン」ふうの顔と、「濃い」顔とは必ずしも一致しない。
 私がヨイショする栗さん(「土方役者」として知られる栗塚旭)などは、純日本人だけどハーフかと思われがちなタイプだったけど、「濃い」とはだいぶ違うし、暑苦し系ではなくて涼やか系だ(画像検索してみても、どうも、これだ!と証拠になりそうなものが見つからない。映像で見てもらいたい)  西洋人だってみんな「濃い」わけでもないし。
  ーーアウグストゥスは「濃い」と合わないと思う。アントニウスは肖像からしても濃い感じ。

 

 今年で「たのみこむ」が終了してしまうという連絡はもう数ヶ月まえに来ていた。
 数はわずかながら、投票して下さってた方々にお礼申しあげます。

 28日に付記。
 上記のように書いたら、今朝届いていたメールで、「たのみこむ」はとりあえず続行という連絡が来た。
 だから、これからでも賛同者はどんどんご署名下さい~~!

 『テルマエ・ロマエ』の、ラテン語を話せる日本人が芸者になったのは、神学関係者と話す展開だと、ルシウスがその後のローマの歴史をどうしても知ってしまいそうだから、も理由かもしれないと思った。まぁ、さつきとの会話でも、時の隔たりがわかる機会はありうるけど。いまのところはまだ、空間的な距離しかわかってない様子。
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児童もの(?)3本

2011-12-22 15:05:27 | 
『鹿と少年』 光文社新訳文庫 上下巻  
 新刊でもなく、図書館頼りで。
 『小鹿物語』というタイトルで児童書として知られている作品だそうだけど、私は初めて読んだ。 森近くで暮らす少年が小鹿を可愛がってたが、成長して作物を食い荒らすようになってしまい、やむなく射殺するーーという話だとはきいたことがあった。
 実際その通りなのだけど、その小鹿が登場するのは物語上巻も終わり近くなってからだし、それ以外の、クマとの戦いとか隣人一家とのつきあいとか、たくましい両親とか、そういう要素のほうがむしろ印象に残った。


『そばかすの少年』 ジーン・ポーター
  これもまた光文社古典新訳文庫を借りて読んだ。
  「そばかす」と呼ばれる孤児の少年が、材木工場の支配人である紳士に雇われて、勤勉に誠実に働いて認められていく。
 鳥の写真を撮ってまわるご婦人「バードレディ」や、天然美少女で銃も操れてしまう「エンジェル」がやたらかっこいい。竹宮恵子がマンガ化してるらしいけど、なるほど少女マンガにも向いているだろう。
 ところで、この話といい、『家なき子』といい、児童ものではないけど『トム・ジョーンズ』に『ジョウゼフ・アンドルーズ』、実はいいとこの子だった! という結末はよくある。(古代ローマ喜劇もそうだ。) アメリカでさえこういう話が書かれるあたり、「貴種」に対する憧れは理屈でないのだろうか? 
 舞台が「リンバロスト」、これで思い出すのは、小学校の「学級文庫」で読んだ『リンバロストの乙女』、佐川節子の絵だった。同じ作家である。 


『川の名前』 by川端裕人 
  「ハヤカワ文庫の100冊」から。
  多摩川の支流「桜川」(架空)の流れる町で、小学生の男の子たちが川を観察するうちに発見したのはなんとペンギンだった。たちまち話題になり、マスコミもでしゃばってくる。
 川や自然をモチーフにした子供の物語ということで、小学生のときの課題図書『白い川の白い町』や『はしれ!おくめ号』を思い出して懐かしさを感じた。

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絵葉書のような市庁舎

2011-12-20 14:27:16 | ドイツ
ドイツ語教科書の新刊見本が、これまでよりは少ないけど送られてきている。その中の1冊にあった会話、日本人がドイツ人に日本の写真を見せているという設定で。
「このみっともないコンクリートの建物はなんですか?」
「それはうちの市の役所です」
「なんですって!?」
「おっしゃりたいことはわかりますよ。ヨーロッパではたいてい、市庁舎は古いきれいな建物ですよね」
「そうです。町のシンボルです」
「日本ではたいていこんなふうです」
  ここで札幌の市役所の写真が出ている。オリンピック前に莫大な費用をかけて創ったものだそうだ。市民が怒るのじゃないか?
 私は、みっともないとは思わないし、ステキだとも感じない。そもそも日本では、お役所に魅力的な建物なんて期待しないのではなかろうか、便利で清潔であれば充分で、絵ハガキになるようなものを望んではいない。(駅舎ならばたまに名物もあるけど、役所はどうかな?)
 上記の会話ページ、札幌と並べてあるのがミュンヘンの写真なのは、姉妹都市という縁だろうか。これまた思いっきり豪華なのだ。観光名所でもある。
「ミュンヘン新市庁舎 仕掛け時計 」
 「市庁舎」で検索すると、ミュンヘンとストックホルムとウィーンが出てくる。
 これはフライブルクの例。
「 フライブルク名所(5)」
 もう一つ、ボンの例を。
「ボン 」
 ベートーヴェン像はよく絵葉書にもなるので、その背景の薄黄色の建物も目にする機会が多い。いま郵便局で元貴族の邸宅、これもわりにかわいい。ここから小包を送ったことがあるのも懐かしい。

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なにゆえに下巻が先に来る!?

2011-12-18 06:24:07 | 
 図書館で予約をよく利用する。PCで登録しておくと、自分の借りてある本や予約した本の状況がわかる。
 順番待ちの場合、「返却待ち」「○人目」と出て、だんだん「○人目」が減っていき、「配送中」になり、「取り置き済」へ。もっとも、私の前に借りた人が同じ図書館に返却するならば「配送中」の段階はない。「返却待ち」の間は、PCからキャンセルができる。
 先月、ドイツのミステリーを予約した。上下巻なので「セット予約」をするつもりであったけど失敗してバラバラに。まあ、前後して来るならばいいかと思ってほうっておいた。
 木曜日の朝の時点で、上下巻ともに私の順番は5人目だった。ところが、同日の夜には下巻だけが「配送中」になっていた。ひとりくらいならば、下巻を借りている間に上巻も来る望みがある、しかし4人も済まないだろう。しかたないので、下巻はいったんキャンセルして(翌日出向いて)、また新たに予約を入れた、10番目になった。

 上下巻なのに、待ち人数が一致していないことはある。
 下巻のほうが多いのは、上巻がすいすい読み終わってまわってるけど下巻でつかえているのだろう、不思議ではない。
 その逆は、
1、上下いっぺんに来たら読み切れるかどうか心配なので、または続きはパスかもしれないので、上巻だけまず予約している
2 先に来た上巻を読んで、
   つまらないので下巻はキャンセルした  または  待ちきれなくて下巻は買ったのでキャンセル
ということが考えられる。ーーいや待て、「2」は結局上下ともに同じだけ残り人数減ってるからそれはないか。

 それにしても、ほんの数時間の間に私の前の4人がいなくなったということが不可解なのだ。私と同様に下巻が先では仕方ないのでキャンセルしたにしても、一日のうちにこんなに? 電話でのキャンセルができるかどうかは知らないけど。偶然その4人がその日に図書館に出向いてバタバタと断ったのか? う~むわからん。どちらも1冊ずつしかないのに。
 付記している月曜日、くだんの本は上巻が5番目、下巻が10人目。来年冬の間にまわってくるだろうか。   
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歴史小ネタばらばら

2011-12-16 15:07:28 | 歴史
「Books Index」で見たときには『駆け足で読むローマ帝国史』というタイトルであった。
「 世界一わかりやすいローマ人の歴史」
まえに目にした記事ではさほど期待もしていない著者だけど、書店で手に取りはする。 
 買う気はないけれどーーなんと購買意欲をそそる表紙!
 かつて某歴史同人誌で、『君主論』はそもそもメディチ家に捧げられた本なのに、某文庫の表紙がチェーザレの肖像であることにツッコミがはいっていたものである。

 同じ文庫リストによると、来月、朝日文庫で『偉人の残念な息子たち』という本が出る。たぶん、『不肖の息子』の改題。これは図書館で数年前に読んだ。買おうかな。  姉妹編で『国を傾けた女たちの手くだ』(娘編)という本もあった。

 買うつもりでまだ実行していない本、『密告者ステラ』by小松はるの(原書房)  『ドイツメルヘン街道夢街道~グリム童話・伝説・魔女の町を歩く~』by西村佑子(郁文堂)』。


 おととい、うちの昼がソバだったのは、前日にテンプラだったときの常であるが、討ち入りの12月14日にかこつけてソバを食べた人々はいることだろう。私自身は「忠臣蔵」に対してさほど知識も愛着もないが、せっかくだから『忠臣蔵にヒーローはいなかった?』by菊地明 を再読した。思い入れはあるけどそれに溺れず、史実と創作をきちんと分類して述べてある良書。
 「まんがタイムファミリー」で好評連載中の『教師諸君!』by駒倉葛尾、、先月号で、クリスマスイブに映画のオールナイトというものが出てきた。いろいろなオールナイトがあって、中には『忠臣蔵』もある・・・ってどのくらいほんとなんだろうか。「吉良上之助は地元では慕われてたのにいい」との叫びに私はむしろ共感する派だけどね。 かつて映画が娯楽の王様であった時代には、年末には各映画会社が競作で忠臣蔵を創っていたそうだから、オールナイトぶんくらいは平気であることは容易に想像つく。
 あ、いま思い出した。30年以上まえにテレビで見た、日本人というものを説明した番組、フランスのだったか、それとも、あちこちでの紹介を引用していたのだったか。 個人<集団 という傾向を言うのに、「最も人気のある英雄物語でも集団で登場する」として四十七士が挙がっていた。新選組を出してもますます納得されてしまいそうだ。『平家物語』もだな・・・。
 (新選組を、「大衆化された平家物語」と評したのは誰だったか)

 12月16日がなんの日かといえば、ベートーヴェン誕生日である。ドイツ人にとっては、12月6日(聖ニコラウスの日)ほどではなくても重要な日だそうである。
 日本人にとっては、誕生日が重要視される人物って誰だろう。


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ベーカリーへ行こう!

2011-12-14 14:59:07 | 雑記
 私はご飯が好きであるけど、パンも劣らず好きである。えり好みはパンに対してのほうが強い。
 文庫フェアのときに物色することが楽しいのと同様、毎月新しい商品が出る店だと、それも月初めの楽しみになる。
 いちばんよく行くのは、地元駅にある「ルパ」。ここの4枚切り食パンまたはバタールはうちの定番で、新商品を買った余りがない場合にはこのどちらかがあるようにしている。この店は地域が限られているようだけど。
「ルパ 」

「ヴィドフランス 」
 町田は私にとって乗り換え駅なので、学期中には週に2度行く。この店は1日と16日に新商品が出る。ポイントもたまるけど、景品がいまのところ欲しい品がない。

「カンテボーレ 」
地元駅近くのデパート(?)にあるのでたまに行く。

「北欧 」
 なぜか数年ご無沙汰していたけどこのまえ久々に行ってみた。ここはメロンパン系統が美味いと思う。クリスマス品として出ている紅茶クリームのパンはシュークリームのよう。「パネトーネ」のパンふうのものも良い。

「ポンパドウル 」
クリスマス品で、ホワイトなんとか?が可愛くておいしい。
 
「アンデルセン」
 シュトレンから甘さを抑えたような感じの品がいいな。

「サンジェルマン 」
 マヨナンロールは長いことのお気に入り。

 ベーカリーといえば、町田のデパートの中の店で、「パンの祖」江川太郎左衛門の絵が掲げてあるのを目にしたことがあるけど、あれはもうなくなったのだろうか。

 いまの時期がいちばん楽しい、と店の側でも言ってたそうだ。確かに、クリスマス商品は見た目もかわいい。
 ケーキはカロリーが気になるからめったに買えないけど、パンのほうがその点手を出しやすい。
 さあ、パン屋へ行こう!
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海外進出マンガとグチとリクエスト

2011-12-11 05:26:35 | マンガ
 いま地元の図書館の片隅で、「マンガを外国語で読もう」というテーマで、蔵書のうちから日本マンガの翻訳が数冊並んでいる。『あさきゆめみし』や『のだめカンタービレ』の英訳、どこかの国の『ONE PIECE』など。『ベルばら』のフランス語版は、「愛蔵版」(私はああいうのはむしろ「廉価版」だと言いたくなるが)準拠だということは知っていたが、「外伝」が単に「3巻」となっていたとは驚いた。  『ベルばら』の「外伝」と呼ばれるものは二種類あって、本編連載が終わって間もなく74年に前後編で出た『黒衣の伯爵婦人』(バートリをモデルにしている)、これはコミックスの10巻にはいっている。もう一つは、84-85年に「JAM」に連載されたもので、絵の変化が激しい。後者は「JAMばら」と呼ばれているーーのは、私の属していたサークルでだけなのだろうか。
 MANGAが世界語になりつつあるとはいえ、多くは別のジャンルつまりアニメやゲームを媒介として紹介されているようなので、メディアミックスとは無縁の名作はあまり出ていくことがなさそうで残念で仕方ない。
 よそのブログで知ったが、安彦良和『我が名はネロ』はイタリア語で出ているという。それは結構なことである。安彦氏はアニメ「ガンダム」の作者(?)でもあるからそちらの縁だろうか、それとも、ローマ史が理由だろうか。歴史が理由であるならば、『ジャンヌ』や『アレクサンドロス』も訳される理由があるぞ。
 さいとうちほ作品はドイツでもわりに出ていて、これはアニメ『ウテナ』がきっかけだろう。イタリアで『花冠のマドンナ』が出ているのはたいへん嬉しいぞ。
 氷栗優が出てるのはゲームのデザインを手がけたからだろう。『ルートヴィヒ2世』がドイツで出たことは歓迎する。『カンタレラ』はイタリアでも出てるだろうか。
 惣領さんの『チェーザレ』は? 『テルマエ・ロマエ』はイタリアでロケやったくらいだから、原作が翻訳されることだって決して無理な話ではあるまい。国際問題にも日本の恥にもならんだろうし、ぜひやってもらいたい!
(やめろ日本の恥!と言いたくなるマンガも出てしまっていることも事実なのだ。)

 素材・舞台が理由で(だけではないが)欧米に出したい作品
里中さんの『マンガギリシア神話』『マンガ名作オペラ』
あずみさんの北欧ものおよび『ニーベルングの指環』
木原さん『アンジェリク』、『杖と翼』
萩尾『トーマの心臓』 『ポーの一族』
青池『Z』(こちらのほうが『エロイカ~』よりまとまりがいいので)

外国ものと関係なく紹介されてほしいもの
『動物のお医者さん』、『カルバニア物語』

 外国での映画祭で、日本のなになにが受賞したという報道を見ても、ぜんぜん関心の向かないものだったり、なんであんなのが、と思うことはある。逆に、外国の作品で日本で有名になっていても、そこの国ではそれが嬉しくもない人々が当然いるに違いない。
 国際的知名度と、地元での受けとは必ずしも一致しないはず。
 
 外国に紹介されるマンガがたいてい私のシュミでない(という以前に、ほぼ読んでない)ことにひがんでも空しいので、好きな作品が少しでももっと広まる機会を得るように祈ろう。声を大にして叫ぼう。

 あずみさんの旧約聖書が各国でどんどん売れますように! ドイツでも出ますように!


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オリエント急行その他

2011-12-07 11:22:21 | 
ハヤカワの「強い100冊。」で気乗りする本をいくらか読んでみている。
 買ったのは、『オリエント急行の殺人』と『長いお別れ』。両方ともすでに古典に属する。
 『オリエント~』、豪華車両で起きた殺人、被害者は実は誘拐殺人犯だった。さまざまな国の人々が乗り合わせた列車で、探偵ポアロが謎解きに挑む。
 たいへん胸のすく結末である。
 騒々しいのがイタリア男とアメリカのおばさんであり、感情を表さないのがイギリス人たちという描き方も注目した点。主人公をベルギー人という、こう言ってはなんだけど、わりにマイナーな国の人(少なくとも、アメリカだのイギリスだのに比べると、どういうステレオタイプがあるのかが浸透していないと思う)に設定してあることにも意味があるのだろうか。
 100冊に入っているのは村上春樹訳『ロング・グッドバイ』だけど、こういうカタカナタイトルが嫌いなので(村上訳でもまともな日本語でついたものはちゃんとあるけど)敢えて古いほうを選択。もっとも、こちらもなにかひっかかる表記があちこちあったけど。
 探偵マーロウが偶然知り合った富豪の娘婿、そのわがまま娘が殺害されて夫が容疑者になり、彼も謎の死を遂げる。真相を探っていくマーロウ。
 途中でやや退屈して、ラストでそれなりに納得して、でももうチャンドラーはいいや、と思った。『さらば愛しき女よ』をまえに読んだけど、まるっきり覚えていない。
 クリスティは、ヨシノリン(清水義範)推薦の『アクロイド殺し』を読んでみようかという気持ちになったけど。

 スパイもの冒険もので、ジョン・ル・カレとレン・デイトンを、ゲルマン的とラテン的として評していた解説があった。私は、ル・カレを数冊読んだけどどうにも合わない。レン・デイトンは『爆撃機』しか読んでいないけどこれは良かった。私がゲルマニストなのに・・・なんだかシャク。
 ルパンとホームスでは、ルパンはフェアにはいってた1冊を読んで、そこそこ面白くはあったけどそのまま。ホームズは次々と読破できた。

 『指環物語』は1巻目だけ読んだけど続きを読みたいという気にはならなかった。同じ時期にヒットしていたFTということで『ハリー・ポッター』も少しは読んでおくほうがいいだろうか。
 『ナルニア国物語』は、川崎苑子『あのねミミちゃん』で、ミミがそれを読んでいるひとこまがあったのでその名を知った。アガサ・クリスティの名も、川崎苑子さんが好きだということで覚えたのが最初だったな。

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