レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

「可愛い系イケメン」

2018-09-27 05:27:41 |   ことばや名前

 mixiで紹介された「マイナビウーマン」の記事にこんな書き出しがあった。


 可愛い顔をした男性を「可愛い系イケメン」などと呼ぶことがあります。どういう男性を指しているのでしょうか。可愛くてイケメンとは、なんだか相反する言葉にも思えますよね。実際にどんな人が「可愛い系イケメン」という認識なのでしょうか。女性陣へ聞いてみました。

 引用終わり。
 このあとはどうでもいい。
 私がからんでやりたくなったのは「可愛くてイケメンとは、なんだか相反する言葉にも思えますよね」の部分!
 「イケメン」という言葉を私は大嫌いであることは散々書いているけど、それはおいといて、この言葉を、顔のいい男という意味だと解釈するとして、それならばなぜ「可愛い」と相反するなどと思うのか。(「かわいい」と「美人」はたびたび混同して使うくせに!) 「可愛い」と、「ニヒル」「渋い」の組み合わせならば納得できるけど。
 「可愛い系イケメン」といって私が真っ先に挙げるのは、ドイツサッカーのクローゼである。
 『相棒』の亀山君、つまり寺脇康文もその典型であろう。
 もちろん栗さん。この人の場合、ニヒル、渋い、という言葉も満たしている。端正で上品でキリリと凛々しく、かつ可愛さもある。

 その周辺から挙げれば、栗塚トシさんとゴールデンコンビだった近藤役の舟橋元さん、『燃えよ剣』の新八の黒部進さん(ハヤタ)。
 
 「可愛くない系美男」は、たぶん、レオナルド・ダ・ヴィンチ。絵が本人に似ているならば。

 「可愛い系美女」、オードリー・ヘップバーン、ソフィー・マルソー。
      シシィ マダム・レカミエ
 「可愛くない系美女」 ミシェル・メルシエ(『アンジェリク』)
   ジャンヌ・モロー ソフィア・ローレン

「可愛い」のは好きだけど、甘ったるくてバカそうなのは嫌いだ。

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ネロの濡れ衣?

2018-09-23 14:45:01 | ローマ
 先月、本村凌二さんの『教養としてのローマ史』を読んだ。
 最も興味を引かれたのは、ネロといえばキリスト教徒迫害が悪名高いけどそれは事実なのか?という点。該当箇所はコピーしたけどそれがいま見当たらないので記憶で書く、
 出典は中世に発見されたタキトゥスの著作の写本であるがそれ以外にはない。
 当時、クレストスとかいう紛らわしい名前のユダヤ人の扇動者がいたので、その一味を掃討するように命じていたことが書かれていたのが、書き間違い・誤解でキリスト教徒への迫害にされてしまったのではないか?

 ーーということだった。

 そう言われてスエトニウスの『皇帝伝』を手にしてみると、確かに、ローマの大火がネロの放火と噂されたとは書いてあるが、だからといってキリスト教徒に罪をなすりつけたとはここには出てこない。

 歴史上の、キリスト教徒にとっての3大悪人はヘロデ、ユダ、ネロだろうけど(私が勝手にそう推測しているだけ)、ヘロデの「嬰児虐殺」だけでなく、ネロの虐殺にも疑義が出てくるとは面白い。
 ネロは目立ちたがりだから濡れ衣も気にしないのではという本村さんの見解。
 八月皇帝からすると不肖もいいとこの子孫だけど。

 尊厳者誕生日なのでこの小ネタを投下。
コメント (6)
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セーヌ川の書店主 愛なき世界

2018-09-21 06:22:10 | 
『セーヌ川の書店主』 ニーナ・ゲオルゲ 集英社
 ドイツの小説だけど舞台はフランス。
 ジャン・ペルデュ50才独身。セーヌ川に浮かべた舟を書店とし、訪問者と話をしてふさわしい本を紹介する。過去に辛い恋があったが、彼女マノンからの手紙が長の月日を経て再発見される。彼の元を去ったマノンは病で死が間近く、ペルデュの来ることを望んでいた。そのことをいまさら知ったペルデュは矢も楯もたまらず、彼女の故郷を目指して船を出す。同じアパートの新しい住人である青年作家ジョルダンもスランプ脱出のためその船におしかけ、南への旅が始まる。

 プロヴァンスといえば風光明媚で知られる(宮廷恋愛の発祥地でもある)。旅の途上の描写も美しく、これは映像にしたらさぞ映えるだろうと思わずにいられない。
 
 本に対する愛にもあふれている。出てくる本を読みたくもなって困ってしまう。

 本筋とあまり関係なく注目した点2か所。

 7歳の女の子を連れた母親が、子に熱心にせがまれて高価な百科事典セットを分割払いで購入する。
「勇敢で、賢明で正しいと思いますよ」
「利口すぎて男性に嫌われないかしら?」
「愚かな男にならありえますね、マダム。しかしそんな男を望む者がどこにいますか?愚かな男は女性をダメにします」
 --カマトト女が好まれる日本はダメだ、と安易に言われるけど、そういう傾向はよその文化圏にだってあるだろ、と言いたくなる、その証明。もちろん大きな目で見ればいいことではないんだけど。

 「彼女は女性が男装することで可能性を大きく広げ、成長していく類の歴史小説が大の好みだ。
 それでそういうテーマの本は?手元にはもう一冊もない。」
 --私も大いに好みであるが。そんなにそういう類の作品は多いのか?彼女は少女マンガという世界を知っているのだろうか。教えてさしあげたい。(彼女というのは常連客の一人である、出番はここだけ)
 


三浦しをん『愛なき世界』
 新刊。
 男主人公・藤丸陽太は、T大近くの食堂の住み込み店員・料理人。常連客のT大院生の本村紗英に恋をするが、彼女は研究対象の植物に愛を注ぎきっていて人間を相手にする余地がない。でも出前その他で屈託ない態度で交流は続いていく。
 先生も学生たちもかなりの変人ぞろいで楽しい。
 主人公が第2章になって初めてフルネーム「本村紗英」で出てくるが、ほとんど「本村」と書かれている。先輩の女子学生も専ら「岩間」と書かれ、下の名前は・・・そもそも出てきたのか、読み終わって思い出せない。エッセイで、「青酸カレー事件」の、「林~」でなく「真須美容疑者」という言い方に「女に公の人格はないというのか」と批判していた作者なので、これは意図してやっていることに違いない。下の名前で書かれるのは、藤丸の師匠(70のやもめ)のカノジョの「はなちゃん」(60くらい)だけではなかろうか。
 「愛なき世界」と言いながら、一般的な「恋」とは違った愛の漂う物語で、たいへん良い読後感。
 

 ぜんぜん違う二つの長編をほぼ並行して読み終えた。
 いいものを読んだ。
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ありがとうSEIKO 

2018-09-15 09:30:44 | 雑記
 昨日は雨が降ったりやんだり。自転車で駅付近に買い物その他。図書館に取り寄せ本(貸し出し中であったわけではない本について予約という言葉は適切だと思わないので敢えて「取り寄せ」と言う)が4冊以上あり、でもそれらを先にすると重いのでほかのから買う。腕時計が、遅れたり止まったりするようになったので時計屋に持っていったけど、電池交換してもまたへんになる、古い品なので修理ができるかどうかあやしいと数日前に言われたので、この際だから新しい品を買うことにした。物色していくつか候補があがり、名前を口実にRikiの品にした。これまでの品とある程度近い。

 前の品、なにしろ38年使っていたからなぁ。あれでドイツにもポーランドにも行った、ドイツで留め金交換もした。ベルト部分は何回替えただろうか。よくもった。ありがとうSEIKO!


 ところできのうは「メンズバレンタインデー」というものだったという。去年もそれに対して書いたし、感想は同じである。mixiの記事から引用。

 本日2018年9月14日は、「メンズバレンタインデー」。男性から女性に下着を送って愛を告白する日として、日本ボディファッション協会によって1991年に制定されました。 
 Pouch では2015年と2017年にもメンズバレンタインデーをご紹介しているのですが、2018年になってもまだまだぜ~んぜん世間に浸透していないようです。
 やはり男性から女性に下着を贈るというのは、ハードルが高いことなんでしょうかねぇ!?

 引用終わり。あたりまえだばかもの!
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シェルバネンコ マイクル・イネス

2018-09-06 16:03:54 | 
ジョルジョ・シェルバネンコは、イタリアの戦後ミステリを代表する作家だそうだ。医者であったが、死期の近い老婦人の患者に頼まれて安楽死させたことで罪に問われて、服役後は警官になったランベルティを主人公とするシリーズ4作のうち3作が邦訳されている。
 私は、読んだ本に関して、ここで話題にするものもあれば、まったく記録もしないものもある、そして読んだかどうか忘れてしまうということももちろん。
 最悪なのは、わざわざ市外の図書館から借りたのに忘れてまた同じことをしてしまうこと。なるべくそれは避けたいので、読んだことだけはノートにメモすることがある。
 イタリア産ミステリに関してのそのページに、

シェルバネンコ
 裏切者 まあまあ? 傷ついた女神

と書いてあった。これらは上記のランベルティシリーズ。『傷ついた女神』、読んだ覚えがない。市外の図書館からの取り寄せにはリクエスト用紙への記入が必要で、私はその用紙をたくさんコピー(私の名前と貸出カード番号を書いたうえで)して用意してある、そういう用紙にその『傷ついた女神』もある。読んだならば処分しているはず。とりあえず取り寄せてもらって、読んで、やはり記憶にはない。面白かったからもはやどっちでもいい。
 同じシリーズの『虐殺の少年たち』は、うら若い女教師が、非行生徒たちに惨殺されたという事件で始まる。ランベルティは、酔った未成年者たちの無軌道な行為でなく、計画した大人が背後にいると推測して捜査を進める。

 犯人は地獄へ堕ちろ。

 展開と関係なく注目した部分:

 戦前には、「統帥(ドゥーチェ)!」とか「黒シャツを着せてくれ」と叫びながら死んだという話もあったが、もちろん、一般的には「マンマ」と呻いて死ぬ者のほうが多かった。

 引用終わり。
 「もちろん」なのは、日本のことを思っても容易に想像できるし、ましてやイタリア、日本兵よりもおおっぴらに「マンマ・ミーア」だったに違いない。


『ハムレット復讐せよ』 マイクル・イネス  国書刊行会
 (いま、「こくしょかんこうかい」の変換で最初に「酷暑刊行会」と出た。)
 新刊というわけではなく、先日の記事で触れた「ビブリオミステリーズ」で紹介されていた本の一つ。エジンバラ出身の作家のアプルビイ警部シリーズの一つだそうだ。
 公爵家での素人芝居『ハムレット』上演、いまではすっかり名物行事のようになっている。集まる顔ぶれも豪華で、学者や貴族や政治家もいる。そして上演中に殺人。スパイ絡みの疑惑も持ち上がる。
 シェイクスピア時代の演劇その他に関するうんちくもたっぷりと出てくるし、こういう世界に杉下右京さんが混じっても似合いそうだと思った。
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本を買う動機

2018-09-01 07:35:11 | 
 本を読みたい時、それを購入するか、図書館を待つか。
 新刊として買い、それを読んだあとで手元に残しておかないとあらかじめ、ほぼ決まっている場合のルート。
1.売る。ブックオフよりも有隣堂へ持っていく。
2.あげる。
3.図書館へ寄贈する。

 2の場合、最も高くついてしまうのがドイツのF田さんへ送るというコース。でも、F田さんご本人にウケなくても当地(日本のコロニー、デュッセツルドルフ)の日本人コミュニティにまわれば読者はいるだろうという気持ちで、たびたび送ってい・・・た。悲しいことに去年亡くなってしまったので、まえほどたくさん送らなくなっている。三浦しをん本は、単行本は買って読んだあとは図書館へ、好きな作品ならば文庫で出た時に買って再読して、ドイツへ・・・だったのだけど、先日文庫化された『あの家に暮らす四人の女』はそういうわけでいまのところ買っていない。宮部みゆきの新刊も、買っていない。
 岩波文庫が「50冊」選から3冊ぶんの応募券でクリアファイルプレゼントをしていたので3冊を買った。うち1冊は、市内の図書館の蔵書になかったので寄贈。1冊は手元におく。残り一冊(芥川)は従来ならばF田さん送りにしていただろう、どうしたものか。

 近々出る本では、来週、また三浦しをんの小説単行本と『貧乏お嬢さま』、月末にマギー・ホープシリーズを買う予定。10月末には創元推理文庫でネレ・ノイハウス。これらは図書館へ寄贈組。

 きのう本屋に行ったら、8月末日=夏の終わりまでなのだろう、文庫フェアのぶんがまだ並んでいた、なんとなく、『心に太陽を持て』を買ってしまった。青少年向き健全本。「限定プレミアムカバー」は『文豪とアルケミスト』とやらの絵。角川の『文豪ストレイドッグス』と張り合っているみたいだな。
 今日はもう夏フェアの棚は片付けられているのだろうか。


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