レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

落しもの・忘れもの・失せもの

2009-06-30 05:53:14 | 雑記
 このまえの本紛失の一件からのつながりで。

 本といえば、ライトノベルの菅野彰さんがエッセイで書いていた:十代のうちに『赤毛のアン』を読んでおかないと女性としての感受性が育たないという学説を大学の講義できいたので、それはたいへんと買ったら、電車の網棚に忘れてくることを2度3度繰り返したので、縁がないものとそのときは諦めた。のちに、テレビで『アン』の映画を見たあとでようやく読んだ、という話。
 別の人で、『燃えよ剣』を何度も忘れてる話も読んだことがある。
 
 私は傘を忘れてくることはめったにないが、過去2回はあった。1回は、どの便に忘れたかをしっかり覚えていて、駅に連絡もしたけれど該当する品は見つからなかった。もう1回はなにもしなかったと思う。まだ新しい品だったので悔しさもひとしお。

 財布をなくしたことは1、2度。「新撰組」とデカデカと書かれており、しかも中には「土方歳三」のテレホンカードがあった。

 本や傘や財布ならば、腐るわけではないから持ち主が出てくることを待っていることができるけど、食べ物・ナマモノはどうするんだろう? 私が落とし主だったら、だれか食べてくれてあとでお金払ってもらえるのがいちばんありがたいだろう。

 某校の生徒証を忘れたことがある。そこの備品をうっかり持っていってしまったので、その旨を駅(地元)の公衆電話から連絡して、そこに置いてきてしまった。自分では気づかず、数日後に学校から電話があったので、警察に引き取りに行った。(駅から警察へ渡り、警察から学校へ連絡されたのだろう。私の住所は書いてなかった。) ふつうならば、拾い主にお礼をするものだけど、駅とお客さんなのでいらないという話だった。
 身分証のように、換金価値のないものだと、ふつう言う「一割」のお礼はどう勘定するのだろう?

 ドイツから、送る品・送り返す品の小包を数十個送った。そのうち1個が届かなかった。調べてもらう手続きはしたけどわからずじまいで、請求通りに弁償金はうけとった。 主に衣類で、カシミアのセーターがあったことは確か。デリケートなものでクリーニングに出さなければいけない品なので、何回か着て汗のついた状態で送り返すところだったのだ。あれがいちばんの高価品だったが。 どこにいったのだろう。ネコババすることは不道徳だとわきまえでいるひとならば、もらってくれてかまわないのだけど。
 さらにおかしなこともあった。本をつめて送った便に、私が買った覚えのない1冊が混じっていた。子供用の言葉(ドイツ語)の本らしい。そして、入れたはずなのに欠けていたのは、「セーラームーン キャラクターブック ちびうさ」。税関かどこかで検査をしたときに間違えたのか? 「ちびうさ」を受け取ってしまった人は周囲に誤解されたのではあるまいか。
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消えたフランケン

2009-06-28 06:05:59 | 
 いま開催中の創元推理文庫のフェアは、対象の本2冊ぶんで応募できる懸賞。『リュパン』と『千年の黙』で一口応募した。3日前、『修道女フィデルマの叡智』と『フランケンシュタイン』を買ったーーのだけど、帰宅してみると、ない。買ったデパート(といってよいだろう)で、手提げ袋からリュックへ中身をいくらか移すために、「お客様の声をおきかせください」のコーナーで持ち物を一度置いたから、そのときに本屋の紙袋を忘れてきたかもしれない。それで電話してみたけどそういう届け物はなかった。その2日後にまた行ってみたけど、やはりなかった。
 また同じものを買うほどの気合はない。読みたければ図書館を待つことにしよう。
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『杖と翼』番外編その他

2009-06-26 05:42:40 | マンガ
 コミックス新刊(?)の話題いくつか。

津寺理可子『星少女』
 「ロマxプリ」連載で、4回のうち3回目まで1巻に収録。
 舞台は大正時代。母の死後、父を探して上京した七生は、大河内伯爵家のメイドに雇われる。仕事で英国にいるはずの当主、贅沢な奥方、軍人の長男、遊び人の次男。イジワルされながらもけなげな美少女、実はその出生は!?なんて、もうお約束の王道なんだけど、絵の美しいことに圧倒されてしまう。それに七生の性格も、イジメにあっても言うべきことはしっかり言う気丈さや、よその屋敷に売られても周囲の人々の善意に目を向ける前向きさがたいへんよろしい。
 これはぜひ続いてもらいたい。


『エロイカ~』35巻
 番外編2本と、いま進行中の第1回目(この続きが最新号)掲載。
 『聖夜の善き訪問者たち』はこれで初めて読んだ。
 父上の訪問から逃げて、ミスターLの留守宅に避難した少佐が、よその家でもキレイ好きを発揮したり、メタボ犬を運動させたりしているのはいかにもの行動で楽しい。
 それにしても、メリンダちゃんは「レディ・ダイアナは健康美人」「チャールズはうまくやった」のときに7歳だったのだ、なぜいま8つなのだろう・・・。やはり「サザエさん」状態はつらい。それに父上いつまで健在なんだ。


木原敏江『悲歌(エレジー)』

 『杖と翼』は、本編が終わってから番外編がぼつぼつと出ている。フランス革命の時代の「逃がし屋」コンビの活躍の物語で、本編のキャラもいくらか登場している。一般論として、本編が終わってもずるずるひきずるのは悪い結果になることがしばしばあるけど、これはまだ悪い目には出ていないと思う。
 本編と同じ「フラワーズ」に1作載って、そのあとなぜか掲載誌が「プリンセスGOLD」になった。ま、歴史ものコスプレもの大好きな私には歓迎だけど。
 それでコミックスはプリンセスCとして出た。
 本誌で読んでいなかった『薔薇に影さす』、

   ネタバレするのでイヤな人はこの先読まないで下さい

 
 リュウ&ファーブルのコンビは、女伯爵ローズ・アフロディトを逃亡させることを依頼され、領地にやってくる。しかしローズはその依頼人の名に心当たりがないと言う。その名のとおり美貌のローズにはよく似た庶出の兄レーヴェがいて、女中と恋仲らしい。身分制度が崩壊しているいまでも結婚できない深い事情が彼にはあった。
 --彼らの秘密とは、ローズ=レーヴェは両性具有の体で、一人二役していることだった。「男装のときは男らしく、女装のときは女らしく、声も性格も変わるのだ 面白かったぞ」
 『リボンの騎士』以来の少女マンガ不滅のテーマ「性別越境」、そのひとつの極みがここにあると言えるかもしれない。
 ローズと恋に落ちた旅の青年は、彼女の秘密を知って衝撃で去っていったが、やはり想いは変わらず、彼女のために香水をつくり、無理がたたって死に、その父親が息子の恋人のために「逃がし屋」に依頼していたのだった。
 一方、レーヴェを慕う女中は、秘密を知って脅すならず者に誤って撃たれる。
 ローズ=レーヴェは、我が身と共に城を爆破させる。
 二人(?)とも、それぞれ、体の秘密を知ったうえで、男として、女として、受け入れてくれる相手がいたということで、なんと幸せなことか。変則的ではありながら、「少女マンガ」の花道をいく傑作である。

 ところでこの話、ドイツ・ロマン派のアイヒェンドルフの『デュランデ城』にけっこう重なる。フランス革命が背景、共に果てるけなげな娘と貴公子、爆破炎上する城。(アイヒェンドルフをマンガ化するなら、華やかでリリカルでノスタルジックということで木原さんがモロにハマるのだ、そもそも。)
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○○「が」好き

2009-06-23 05:58:45 |   ことばや名前
『ちびまる子ちゃん』に登場する「城ヶ崎さん」はクラス1の美人で、ちょっといばってる面はあるけど決してイジワルではない。2ヶ月ほどまえのアニメでの話:まる子は彼女がほかの同級生たちとの会話で「さくらさんが嫌いだからよ」と言うのを耳にして気にする、しかし彼女の態度にはぜんぜんそれらしいところはない。
 真相は、「(私が)さくらさんをキライ」なのではなくて、「さくらさんが(バラの香りつき消しゴムを)キライ(だからそれをプレゼントにするのはやめたほうがいい)」と話していたのだった。
 「好き」および「嫌い」は、助詞として「が」でも「の」でも、主格か目的格かがまぎらわしい、少なくともそのまえに来る名詞がヒトだと上記のような誤解が生じる。目的語をとる場合は「を」にしたほうが無難だろうな。
 ついでに言うと:「○○のことが好き」という言い方を私は好まない。「こと」があると、はっきりとはするけれど、ど~~もカッコ悪さを感じる。○○「を」 がいちばんすっきりとすると思う、でも、「が」のほうがよく使われているのだろう。
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マイブームいろいろ

2009-06-21 06:01:28 | 雑記
 「マイブーム」という言葉はまだ使われているのだろうかと思って検索してみたところ、すでに広辞苑と、『死語大全』という本の双方に載ったという。「マイ箸」、「マイバッグ」などの「マイ」とは意味合いが異なることはわかる。

 ふとふりかえってみると、ここ2,3年の私の「マイブーム」は、アロマ、鉛筆キャップ、色彩名が挙げられる。たいして場所をとるものではない。
 「ブーム」を超えて好きなのは、ブックカバー、クリアファイル、切手。このまえ『タンタン』のクリアファイルを数枚買った。惜しまずにどんどん使っている。
 好きだけど、既に余ってるくらいだからとりあえず買わないのは、マグカップ、トートバッグ・エコバッグ。たいへん好きなキャラや作品のグッズとして出たらその限りではないけどね。(そういえば『ヘタリア』のパスタ皿は買った) 「しばわんこ」湯呑みが市販されたら欲しいな。
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珍しくフランクフルト

2009-06-17 05:45:08 | ドイツ
 ドイツのパックツアーで、国際空港のあるフランクフルトはたいてい最初に泊まるだけの扱いを受けていることはもったいない、とまえに書いた。(07.03.11.、 07.09.16.の記事参照)
 先日、新聞の広告で、珍しくここに見物時間を割いているツアーを見つけた。レーマーやゲーテハウスがあったろうか。そのあと、ハイデルベルクとかローテンブルクとか白鳥城など一般的なところをまわり、ミュンヘンに2日ほどあてた企画。あとでその広告を探したけど見つからず、それとは別の、
1日目 フランクフルト泊  2日目 終日自由行動  3日目 ハイデルベルク、ローテンブルクを観光  4日目 白鳥城とヴィース教会を見る、ミュンヘン泊
5日目 ミュンヘンを発 機中泊 6日目 成田着
 というツアーの広告を発見。
 フランクフルトにまる1日あてたのは珍しい。あそこはたくさんの博物館があるし、動物園とか植物園とか、恐竜の骨のある自然史博物館とか(私は「恐竜に会える」「ゼンケンベルク博物館」よりも、バラ園のある「パルメンガルテン」のほうがいい)、話のタネになる見所は充分にある。見直されるならばよいことだ。「りんご酒電車」という観光用の路面電車もある(これを体験できなかったことが心残りだ)。マイン川にも観光船があるらしい、たいへんマイナーだな。

 ところで上記のツアーは、ミュンヘンが泊まるだけ? ホーフブロイハウスでビール飲むことくらいは用意されているんだろうな。
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もったいないもの

2009-06-14 05:30:25 | 雑記
 納豆にはたいてい、カラシとタレがついているものだけど、私はこれらを使わないのでどんどんたまっていく。タレは(母が)煮物に使うらしいけど、カラシはなぁ、冬場ならば、おでんのときに大量消費するけど季節ものだ。ホットドッグはソーセージが必須で、そういつも食べるわけではない(食べることじたいやぶさかではないけど)。私はいちおうためておいてなるべく使う機会をつくるようにしているけど、ここでは後入れ先出し法を採用し、あんまり古くなってしまったものは捨てざるをえなくなるのは悔しいものである。
 飲みきりサイズの飲料にはたいていストローがついている。しかし、不必要なことも多い。家で飲む際にはほとんど不要だ。
 洗剤にはいっている計量スプーン、あれもたまる。そもそも、なければないでかまわないものだ。

 レジ袋ばかり目の敵にしないで、ほかのムダにももっと目を向けてもらいたい。
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創元でのフェア

2009-06-12 15:11:13 | 
 創元推理文庫のフェアで、懸賞にブックカバーがあったので応募する気になったけど、応募一口には2冊ぶんの応募券が必要だ。期間限定カバーがわりにかっこいいので買った『怪盗紳士リュパン』、さてもう1冊なにかないかと思っておととい本屋で物色したが、そのときはそれというものがなかった。4~6月の新刊が対象なので、HPの予告を見ると、今月の『千年の黙』(清少納言や紫式部が出てくるらしい)、歴史ミステリー『修道女フィデルマの叡智』が気乗りする。すると計3冊になってしまうのでもう1冊? 期間限定カバーの中にある『フランケンシュタイン』は、また読んでみることはやぶさかでないけど、そのカバー絵がブキミすぎる・・・。
 そうまでして、あたるかどうかもわからんブックカバーを狙わなくてもよさそうなものなのだけど。
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6月のしばわんこ

2009-06-09 05:39:51 | 雑記
 数年間、『しばわんこの和のこころ』カレンダーを使っている。過ぎた年のぶんは、カレンダー部分を落として壁掛けとして残してあり、今年は合計3種類かかっている。6月は、一つは、二人(?しばわんこ&みけにゃんこ)が縁側に出ていて、庭では紫陽花が咲いて雨がしとしと、部屋の中には洗濯物。しばわんこは腕に紫陽花を抱えていて、みけにゃんこが花瓶を持ってきている。雨のしっとり感が伝わる。 一つは、蓮の花の咲く池を雨傘の下で見物している二人。
 今年のは、みょうがを乗せた冷奴を嬉しそうな顔で見ている図、見るたびに楽しくなってしまう。

 シバといえば、『幼獣マメシバ』、文庫新刊コーナーでノベライズを目にした。映画を見る予定はないのだが(地元で上映予定もないし)、フォトブックを買ってしまったよ。
「 幼獣マメシバ オフィシャルサイト」
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『怖い絵 3』中野京子

2009-06-07 06:48:30 | 
 西洋絵画の新解釈シリーズ。
 なるほど・・・と興味深かったのは、伝ブリューゲル『イカロスの失墜』。しばしばヒロイックなイメージを付与されるイカロスの神話が素材であるけど、周囲の人々はまるで注目していない、平静すぎる風景、それはスペインの圧政下にある当時のフランドルの「見ざる言わざる聞かざる」民衆の態度だろうか、という解釈。
 確かに、異常を異常と思わないことは、異常な事件よりも怖ろしい。昨今、通り魔に殺されるよりも、毒蛇などに刺されて死ぬほうがよほど「変死」だ、ということにも通じる(?)。
 題材として興味があるというか、そうだそうだ、と思うのは『聖家族』ミケランジェロへの意見(ほんと、なんとごついマリアか!)、ヨセフへの同情。
 マリアを、イエスを産んだあとでも処女としておく設定のために、生殖能力のなさそうなジジイとしてしまうことに対して、私はたいへん憤りを感じている。

 レオナルドの『聖アンナと聖母子』、本のテーマとは関係ないところで私が注目したのは、レオナルドの手稿に書かれているというエピソード、「幼児のころひとりで寝ているとハゲワシが飛んできた。怖かったが逃げられなかった。ハゲワシはわたしの上に乗り、尾で何度も何度もわたしの口をつついた」、これで私はどうしても、アウグストゥスを連想する。『皇帝伝』に記されている、やはり幼少のころの話、食事しているところにワシがおりてきて、彼の手からパンをとって舞い上がり、また降りてきてパンを戻した。これは、ワシ=ユピテルが貢物を受け取り、そして改めてそれを下賜した=世の支配権を委ねた、という解釈が成り立つだろう、ほかのエピソード(キケロの見た夢など)と考え合わせても。上記のレオナルドの話はフロイトがたいへんいかがわしい解釈を与えているそうだけど、アウグストゥスの場合も、誘拐された美少年ガニュメデスなど念頭におくと、いささかあやしい雰囲気を帯びてくる。トゥリヌス坊や(アウちゃんの幼名)もさらわれるところだったのではなかろうか。
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