レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

戦場のコックたち 他

2019-12-31 09:16:49 | 
『雪が白いとき、かつそのときに限り』 ハヤカワ・ポケット・ミステリ

 まえにここで『元年春之祭(がんねんはるのまつり)』に言及した中国人作家のミステリー。今回は現代が舞台。
 女子寮で、イジメにあっていた一人の生徒が冬の夜に締め出され、ナイフを手にした刺殺体で発見される。不審な点が多々あるが自殺として処理される。寮長、生徒会長らが探り始める。
 これもまた、神秘的な、ある意味ぶきみな切れ者美少女が存在感を放っていて、ライトノベルの雰囲気もある。
 マンガ化してもよさそう。

深緑野分『戦場のコックたち』
 第2次大戦、ルイジアナで雑貨店を営む家の子テイムは、料理上手な祖母の影響で料理に関心を持って育つ。戦争に志願し、管理部つきコックになる。
 初めて参加した戦闘がノルマンディー上陸作戦(『史上最大の作戦』)、そしてマーケット・ガーデン作戦(『遠すぎた橋』)、アルデンヌの戦い(『バルジ大作戦』)、重要な戦闘が次々と出てくるし、強制収容所開放もあるし、伝聞だけだけどオラドゥールの虐殺も。大戦の大きなポイントがたくさんおさえてあって、そこに各章ごとにミステリー要素の味付けがある。個性ある仲間たちもいる。
 エピローグは、89年、壁の開いたベルリンで数人の生き残り仲間たちとの再会。
 ティムが、結婚はしているけど実子でなく養子を迎えているのもいい点だ。
 山下友美さんあたりにマンガ化してほしい。

須賀しのぶ『荒城に白百合ありて』
 話題の新刊。
 江戸育ちの会津藩士の娘・鏡子、薩摩藩士の青年伊織。
 恵まれた身でありながら、心底からの情というものを持たないことを自覚している二人は、同類と感じながらもすれ違う。
 予想できるように、悲劇の会津戦争。
 ロミジュリ状況に何層のも屈折が加わって怒濤のクライマックスへ。
  映像化されるならば、まっすぐな中野竹子がもうけ役だろう。
 マンガ化は内水融氏ーーとなんとなく。

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稟議 りんぎ ひんぎ

2019-12-29 07:23:41 |   ことばや名前
mixiに載っていた記事で、威張っている上司が「稟議」を「ぼうぎ」とよんでいた、と書いてあった。もう一つの間違い例は私も正解を知っていたが、これは私も知らなかった。文字全体がはっきり見えない、下半分の部首がノギヘンなのでそれを頼りに漢和辞典をひいて、「稟」の字は「ひん」「りん」であり、「稟議」は本来は「ひんぎ」、慣用で「りんぎ」だということがわかった。確かにどちらでも変換できる。
 手元にある小さい辞書では
「りんぎ」のほうに載っていて、「正しくは「ひんぎ」 会議を開かず関係者に案を回して承認を求めること」とある。
 使ったことのない言葉である。

 ついでに、メモ書きから。
「小人」←→「大人」は「しょうにん」「だいにん」とよむ、「中人」は「ちゅうにん」だとどこかの記事に書いてあった。
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パトラと鉄十字 いたるさんと再会

2019-12-27 06:15:30 | ローマ
真鍋譲治『パトラと鉄十字』1巻 竹書房
 クレオパトラが第二次大戦中に復活して、王国の再興を目指す話だという情報は、mixiで紹介された「コミックナタリー」の記事で知っていた。それが単行本になった。
 彼女が若さと美貌を保ったままでいるのは、アヌビス等の神々が力を与えているためで、神々もまた人間たちの信仰がなくなっているので力が弱っているという(そこで私はあずみさんの『戦士の宴』での設定を思い出すのであった)。
 彼女を拾ったのは、イタリア軍のマーカス・アントニオ中尉――名前からして誰を引き継いでいるのかすぐにわかる。気のいいにいちゃんといった感じのキャラ。そしてドイツ軍のカイゼル将軍、ハゲたおっさん、これまた名前からして・・・。一方、イギリス軍の側には妹アルシノエがついていてパトラへの敵愾心を燃やしている。 
 オクタは?イギリス軍でオーガスタスとかいうキャラが出てくるのだろうか?でも「カエサル」と敵というのもヘンな感じだなあ。
 いずれにせよ、枢軸は負けるという史実はどうにもならないけどな。
 アヌビスがふつうのイヌ型になっているときはたいへんかわいい。

 ところで、真鍋譲治は読むの初めてである。ララ等で同じ白泉社の少年誌(青年誌?)の広告でカットは見たことがある、『アウトランダーズ』とかいうのが代表作ではなかろうか。ファンタジーっぽい世界でバトルもので、そのくせやたら露出の多い恰好の巨乳ねえちゃん、おまけに高橋留美子亜流って感じの絵で(#)・・・つまりたいへん私のキライなタイプの印象であったのだ。しかし、『パトラと~』では私の嫌いな画風ではなくてほっとした。
 # 私は、高橋留美子は好きなほうだが、その亜流のような絵は嫌いである。これまた読んだことはないが、『GS美神』なぞもそのクチ。いや作家じたいに悪意なんか持つ理由はないのだが。

 常連のリキさんが、コメント欄に紹介して下さったツイッターのおかげで、かつて行きつけだったけど見失ったサイトを発見した。ローマ、ユグノー戦争(ヴァロア朝末期)のマンガがあるので、ここでも貼っておく。サイトの名前は特に決まっていないのでアドレスからとってserといちおうしておいてとのこと(訂正すべきならばお申し出くださいね)
「ser」
 ここのマンガでは、ユリアがアグリッパにラブラブな点が特徴。人物紹介で、アグを軍事だけでなく平時でも働いたことをしっかり書いてある。


コメント (2)
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メモ書き トランプのキングその他

2019-12-26 06:06:57 | 雑記
机上の片づけをしていると、メモがいろいろ出てくる。

・スペード:ダビデ クラブ:アレクサンドロス ダイヤ:カエサル ハート・カール大帝
  これは、Eテレの高校講座「世界史」の「ヨーロッパ世界の形成」(「成立」だったかな?)でカール大帝について触れた時に出てきた。トランプのキングはそれぞれ誰かという話。

・ギーズ 88
 3   89
 4   1610
――これはなにかと言えば、『王妃マルゴ』で扱っている、16世紀末フランスの「三人アンリ」の没年。アンリ・ド・ギーズが1588年、アンリ3世が89年、ヴァロア朝が終わりアンリ4世からブルボン王朝が始まり、そのアンリ4世は1610年。・・・みんな暗殺されている。萩尾さんの『王妃マルゴ』はこのまえの巻がギーズの暗殺で終わっていた。命じた3世もどうせ翌年には殺られてしまうけどね。

・Auf in den Heldentod!
Tokyo Girls---Was waere  wenn・・・?

 ドイツのMANGA出版に関するHP
「The Incomplete Mangaguide

はたまにチェックする。トップページの左側、Homeの下のAktuelle Ausgabenは新刊近刊が表紙つきで出ているので、ドイツ語のわからない人でもOK.
 ああ、あのタイトルがこういうふうに訳されるのか、と興味深かったのでメモしておいたのが上記の2件。水木しげるの『総員玉砕せよ!』と、東村アキコの『東京タラレバ娘』である。いずれも読んではいないけど。

 以上3件、ここにメモしたので処分する。大掃除の一環?まあ小そうじくらいはする。
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ブラックナイトパレード 七王国のバラ

2019-12-23 09:53:50 | マンガ
中村光『ブラックナイトパレード』
 マジメでお人よしの日野三春(ひの・みはる)は大学入試にも就職にも失敗して、コンビニバイトで3年。あやしいスカウト男に拉致されるように、極北にあるブラックサンタ会社に就職する。いわくありげな同僚たち、なにやら謎のありそうな父の死の真相。
 4巻が先日出たので、始めから通しで読み返した。
 チビ三春のけなげさはやはりじんわりくるし、一方で不穏さも増してますます目が離せない。
 ところで、ネズミたちが敵みたいだけど、『くるみ割り人形』が意識されての設定なのだろうか。


戸川視友『七王国のバラ』 冬水社 既刊5巻
  戸川さんは、ルネサンスを背景にした『白のフィオレンティーナ』、16世紀・マルタ騎士団やスレイマンの登場する『海の綺士団』、そのあと『王のいばら』、『天と献上姫』は架空設定(でもなんとなくヨーロッパがモデルではある)が続き、いまもまたそのタイプ。
 原初、3つのバラが世界を創世した、そしてそのバラを受け継ぐ三者がそろうと世界を手に入れる。
  傭兵隊長の娘として剣の腕を磨いてきた少女セレは、10才で、エルナタン王国の王子アルベリク(12才)と結婚させられる。その際、自分が滅びた王国の王女であったことを知らされる。しかし婚礼の日に傭兵隊の襲撃をうけ、アルベリクは行方不明となり、セレは隊長ラディスラスに捕らわれる。セレは「バラ」のしるしをその体に持ち、それゆえに狙われる。そしてアルベリクもラディスラスもまた「バラ」の持ち主であった。
 お約束のように、アルベリクもラディスラスも美形で強くて、おまけに王子様、ザ・少女マンガ!
・・・クールに見ればいわゆる「中二病」と言われそうな設定かもしれんけど、こういうデカデカとした世界観のコスプレものは、少女マンガにしっかりと生き残ってもらいたいと強く願う。

 雑誌「いちラキ」は無くなったあと、単行本の描きおろしで作品が発表されている。ある意味読者にとっていちばんありがたい状況だと思う、〇〇とか××とか、こんな形で再開されたらどんなに嬉しいことか・・・!
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NHK-FMの番組

2019-12-21 14:48:58 | 雑記
「NHKラジオ らじるらじる」
 私がこの数か月、ラジオをきくようになったことは前にも書いたし、読まされて面白いとも思わんけど、不快になる人もあまりいないだろうから書く。
 ほとんど音楽番組、多くはクラシック。
・一番好きなのは「弾き語りフォーユー」、ピアニストの小原孝さんがリクエストに応じていろいろな曲を弾く。月曜から木曜の昼前11時から20分、翌朝5時に再放送。火曜日は1限からなので4時に起きてお弁当作り等して、5時にはスマホでこれを聞きながら朝食にしている。  欲を言えば、どちらかといえば夜のリラックスタイムにききたいタイプである。 平日は、これのために早起きしているような感じになっている。(いや、5時起き原則はまえからだけど)
・ 月曜~金曜朝6時台の「古楽の楽しみ」、中世~バロックの音楽。
・ 土曜朝6時台の「ビバ!合唱」
・ 日曜朝の「吹奏楽の響き」
・ 火曜の午後に本放送、8日後の午前に再放送する「クラシック・カフェ」
どういう曲目かで、ぜひききたい!か、どっちでもいいかに分かれる。
・日曜午後に本放送、翌日午前に再訪する「きらクラ!」  曲を流すほかに、イントロクイズや、小説の一節に適切なBGMをつけようという企画等がある。
・ 「オペラ・ファンタスティカ」 
金曜の午後。4時間もあるので全部はたいていきけない。演目によるけど。
・「アニソン・アカデミー」
 土曜の午後。これのHP、曲目がまえもってHPに書かれていないのはなんとかならんものかな。知っているものはほぼないんだけど、部屋にいるならばつけている。
・「世界の快適音楽セレクション」
 土曜の午前。ジャンルはいろいろ。
・ 「歌謡スクランブル」
月曜~土曜の午後。演歌ならパスだけど。きいたことのある歌だけどなにか知らなかったものの名前がわかるのは多少嬉しい。中学生くらいの時に、「とんでとんでとんで~~まわってまわってまわってまわる~~」という歌が流行っていたが、『夢想花』by円広志と初めて知った、だからなんだというのでもないけどね。
(「クラシックカフェ」で、『ぶらぶら美術・博物館』のOPで流れるのは、コダーイの組曲『ハーリ・ヤーノシュ』の一部だと知った)
・ 「音楽遊覧紀行」
月曜~木曜の9:20(40分)に本放送、翌週の午後に再放送。映画音楽、童謡、世界の民族音楽等。
 
  音楽ではないけど、『青春アドベンチャー』というラジオドラマの番組で、『紺碧のアルカディア』という西洋史もの、ビザンツが舞台の話を半分ほどきいて、なんだか切なさを感じた。再放送されてほしい。
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年末年始に向けて図書館で延長期間

2019-12-15 13:41:32 | 
 年末年始には1週間閉まるので、今日借りるぶんから、通常の2週間から3週に伸びる。
 しかし、今日私が借りた5冊はすべて、紫紙(次に待っている人がいるからねという印)つきなので、そこまで伸ばすつもりはない。予約者÷所蔵冊数からいって、まずは小路幸也からだ(42人待ち、5冊)。


『最後の手紙』 アントニエッタ・パストーレ 亜紀書房
 日本文学の翻訳をいろいろ手がけているイタリア人による初めての小説。
 日本人男性と結婚したイタリア人の「私」は、夫の故郷の広島を訪れ、叔母であるゆり子に関心をひかれる。ゆり子は被爆して生き残るが、復員した夫は気落ちしており、やがて離婚に至る。その離婚の隠れた理由はーー『黒い雨』とも共通した問題であり、かつ、東日本の大震災後の差別とも重ねられている。重いテーマであるけど陰気ではない。しっとりしているがじめじめはしていない。


『夢は人生 四幕のメルヘン劇』 フランツ・グリルパルツァー  水声社
 裕福な商人の甥として平穏な生活をおくる青年ルスタン、しかし奴隷にそそのかされて野心を抱き、村を出ていく。獣に襲われた王を助けるために矢を射たが、本当に獣を倒したのは別の者だった。偽りを拒絶しようとしたルスタンだったが、王の娘に一目で心を奪われ、そのまま虚偽を重ねてしまう。
 ――結局は夢だったという結末は、タイトルが示すスペインの戯曲よりもむしろ、「一炊の夢」に近い。
 ところで、グリルパルツァーといえばドイツ文学史では常識の存在で、19世紀オーストリアの劇作家・小説家である。母と弟が自殺したというトラウマ持ちの、なにやら暗そうな履歴を持つが、本人はけっこう長生きしているし名声も得ている。
 『オトカル王の栄華と最期』、『ハプスブルク家の兄弟争い』、『トレドのユダヤ女』など、歴史もの好きとしては読んでみたいタイトルがいろいろある。もっと訳されてもらいたい。
  なお、『近代文化史』のエーゴン・フリーデルは、グリルパルツァーはタイトルが下手!と評している。『主君の忠僕』なんてまるでマゾッホ、『オトカル王の栄華と最期』なんてドサまわり!だそうだ。

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書店の値引き券

2019-12-08 12:15:49 | 
 地元で行きつけの本屋は主に二つあり、その片方K店から、サービス券をもらっている。来月15日までの期限で、1500円以上の買い物につき、1回目は2%、次に3%という具合で、その後5%、8%、10%の値引き。(税込み)1500円以上という条件なので、それなりに考えなければいけない。すでに発売された本で、中野京子さんの『もっと知りたい「怖い絵」展』、にしうら染さんがマンガを担当している『はじめての西洋絵画』は別の書店Yでは棚に出ているので、K店で、美術の本はどこですか?と尋ねたら、このへんの雑誌程度です、という答えだったので、急ぐわけではないから取り寄せようとした。すると、『はじめての~』はいま店にあるという。税込みで1430円なので、もう少し、文具でも加えようと物色、ホチキスの替え芯でちょうど1500円!それで1回目の2%引きで買った。それで『怖い絵』のほうを取り寄せ頼んだら、これまた1冊あった。こちらは2千円以上するので単独でOK、3%引き。
 さて、このあとなににしようかな。深緑野分『戦場のコックたち』が文庫で出たのが気になっている。この作家の『ベルリンは晴れているか』が去年の秋に出て、賞の候補で話題になっていた去年のいまごろ、あの値引き券でこれや宮部みゆき新刊を買ったのだったな。・・・無理やり使わなくてもいいんだけどね。でも5回のうち2回済ませたのでなんだか欲も出てくるというものだ。術中にはまっているのだろう。1500円以上を5回、つまり7500円は買うということなのだから。
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主義に反するが、80円の冬もの切手がたくさんあるから妥協する

2019-12-06 16:17:04 | 雑記
 私は、郵便料金はケチりたい。封書を送る時にはきちんと計って、ちょうどよい額に切手を貼るようにしている。
 しかし。この数年の間に数回料金が上がり、10月に封書が82円から84円に、ハガキが62円から63円になった。うちには50円や80円切手がまだまだあるのだ。だから10円、20円、1円、2円の切手が追加でたくさん必要である。先日郵便局に行った際、冬物を買おうかとも思った、しかし、たくさんあるものから使ったほうがいいのではと判断して買っていない。
 そして、クリスマスカードの季節である。私は、年賀状を出す相手の一部を(主として独文科時代の先生)クリスマスカード(らしいデザインのハガキ)で代用する。それならば冬らしい切手が欲しい。・・・50円もうちにほとんどない。80円ならばたっぷりあるのだ。私の主義には甚だ反していて不本意だが、80円を消費しよう。また郵便局に行くのも面倒だし。
 切手を貼り、宛名を書き、リターンアドレスのハンコを押す、そこまでしたらあとは本文を書いて投函するだけ。来週中にはすませる予定。
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