レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

ゲッツの年齢

2010-02-28 06:47:57 | 
 このごろ、ゲーテの作品をいくらか読み返している。潮出版社の全集、薄いグレーとブラウンの間の色をした本は、大学の図書館で読んだ。黄色、より詳しく言えばカラシ色の、人文書院の全集も見覚えがあり、こちらは女子高の図書室で読んだものだな。 いちばん好きなのはやはり『ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン』。古風で剛毅な騎士ゲッツが、皇帝に忠誠を感じながらも、邪な僧正らのたくらみや暴徒の争いにより、獄中に果てる。15-16世紀に実在した人物を扱ってはいるけどかなりの美化が施されているとの由。
 それはともかく、気になるのはゲッツの年齢設定である。実在のゲッツは1480-1562と、釈放されてからけっこう長生きしている。戯曲では、皇帝マクシミリアン(1世であろう)が死にそうなころとしてあり、この皇帝マックスは1519年没。では、ゲッツは40まえ程度。しかし戯曲では、「白い頭」だの、「歳を考えて」だtのとむしろ年寄り扱いなのだ。そのくせ息子はまだ幼い。
 ゲッツと敵対して和解して、その妹と恋仲になりながらもまた裏切って悪女にたぶらかされて、しまいにはその女に毒殺されるヴァイスリンゲンという重要キャラがいる(役者にとってはこういうやつのほうが演りがいありそうだが)。これとゲッツはかつて一緒に小姓奉公をしていたということになっている。では二人にそれほど年齢差があってはおかしい。そしてこのヴァイスリンゲンは色男扱いだし、ゲッツの妹は年頃の娘のようだし。  爺さんになるまえに髪が白くなる人もいるから、ゲッツは40くらい、ヴァイスリンゲン30代半ば、妹マリアが二十歳くらいと見なすのが妥当なセンか? そりゃ、トシくってから結婚して子供つくる人もいるから、白髪頭で幼い子がいても非現実的ではないのだけど。そして、年寄り扱いの枠は時代で変わるものだけど。(昔の本だと、40代で「初老」でびっくりする。) 私がこういったことに少々目くじら立てるのは、(男)主人公に対してよりも、「ヒロイン」にははるかに若さが求められている前提に不快を感じるからである。聖母マリアが初々しいのに夫ヨセフがじじい化されることへの反発ともいくらか共通した不満である。
  ところで、『ゲッツ』の「ヒロイン」って誰だ? 最も印象が強い女は、マリアよりもむしろ悪女アーデルハイトのほうだと思う。
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ローマもののあるサイト4つ

2010-02-26 06:05:31 | ローマ
 わりに最近知った、ローマ部門のあるサイト。

「歴史系倉庫」

「starbuck」

「劉寓の遣」
「BL注意&15禁」。 もっとも、ローマについてはいまのところきわどいものではありません。 


2017.9.13に付記。
「歴史系倉庫」はしっかり健在ですが、あとの二つは、しばらく行かずにいたらリンク切れになってしまった残念なケースの一部です。いまはこちらに移転している、または閉鎖済という情報がありましたらお知らせ下さい。



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逢坂剛さんによる『燃えよ剣』賛歌

2010-02-24 06:12:59 | 新選組
 先日、新選組の知人が送ってくれた本。

PHPエル新書『時代劇(チャンバラ)への招待』 著者「六人のチャンバリスト」の中に、逢坂剛さんがいる。
 まえにも書いたとおり、逢坂さんは『新選組血風録』上映会のゲストだったことがあり、結束脚本、栗塚主演の一連の作品群のファンであることは既に知っていることであるが、私が『俺は用心棒』も見たあとで逢坂さんによる紹介・プッシュを読むといっそう感慨深い。そうそう、舟橋元さんの近藤さんはいい味だった、『俺用』の中野誠也の渡世人もかっこよかった! 「小田部。香月、西田らは、『天を斬る』にもレギュラー出演していた。これらの役者は、すでに亡くなった人たちも何人かいるが、一連の結束作品を支える陰の功労者だ」--そうそう! そして言うまでもなく、栗塚土方、島田沖田、最高! おーーっ!!
 この本は2004年のものだけど、逢坂さんに感謝の念が沸いたので、イベリアシリーズの最終巻が出たら(これまでこの連作は文庫買い+単行本は図書館だったけど)単行本でさっさと買ってしまって御礼にしようかなんて思っている。

北影雄幸『司馬遼太郎作品の女性だち』 文芸企画
 『血風録』の『沖田総司の恋』と、『燃えよ剣』が含まれている。
 司馬作品の醍醐味はやはり、かっこいい男の活躍にあると思うが、歳三xお雪のロマンスはわりに好きである。壮烈な物語をリリカルにしめくくるのもこの要素。この本の筆者もたっぷりと想いいれがあることがよく伝わる。


 付記。
図書館で逢坂さんのエッセイ『メディア決闘録ファイル』を借りた。これにも、結束・栗塚『血風録』賛が含まれている。
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アンジェリク、 ジーヴス

2010-02-21 06:36:19 | 
『アンジェリク 緋色の旗』
by藤本ひとみ、去年出た本。フランス革命が背景で、地方都市グルノーブルの司令官を父に持つ小貴族の娘アンジェリクが、暴動で父を失い、庶民(というよりは犯罪者)の中に身を潜めつつ、婚約者の行方を気遣いながら過ごしている。
 たいへん知名度の高い大河小説と同じ名前を持っており、その是非は?と首をかしげたものである。読んだうえでの意見、--わざわざ同じのを使わなくてよかっただろうと私は思う。「パクリ」と言うほど似ているわけではないし、柔軟で前向き、自分のできることを生かして堅気の仕事をしようと努める姿勢は好感が持てる。この名前のせいで美女だと決めつけてしまったけど、特に美女設定というわけではない。


『ジーヴスの帰還』
英国のユーモア作家P.G.ウッドハウスの人気シリーズ。
ロンドン在住の青年貴族バーティと敏腕執事ジーヴスのコンビの活躍・・・と言うのは適切ではないな、おバカで人のよいボンボンが、うるさい伯母さんやらハタ迷惑な悪友どものせいで窮地に陥り、切れ者執事の知恵で救われる話である。
 この巻では、まえにバーティと婚約したことがある(思えばこの連中、たびたび婚約しては解消している)ボビーと、バーティの幼なじみキッパーのごたごたで始まる。扱いにくいオヤジのグロソップ博士が故あって執事のふりなんかしている様子はなかなか愉快である。
 このシリーズは「メロディ」で勝田文がマンガ化しているが、美形キャラではないけど愛すべき人々の多い世界にこの絵は合っていると思う。
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珍しいドイツツアー

2010-02-17 06:06:03 | ドイツ
 ヨーロッパのパックツアーの広告が出ていると、行く予定などないけど目をやる。どうしてこんなに慌しいんだ、と思うのが常である。
 このまえ、「クラブツーリズム」の「ドイツ3大街道 8日間」というものを見たら、

1日め フランクフルト着  (着いて寝るだけ)
2日め ライン河クルーズ ボン市内観光 (ケルン泊)
3   午前ケルン  午後ハイデルベルク  ファンタスティック街道をドライブ (シュトゥットガルト泊)
4 ホーエンツォレルン城  (新幹線で)ミュンヘンへ  市内観光  (ミュンヘン泊)
5 ノイシュヴァンシュタイン城  ヴィース教会  オーバーアマガウ (ミュンヘン泊)
6 ロマンチック街道をとおりディンケルスビュールへ  午後ローテンブルクへ  (ローテンブルク伯)
7 午前にヴュルツブルク  午後、フランクフルト市内散策  夜に出発、翌日日本着。
  一箇所に半日で慌しさはあるけれど、そう遠くはない範囲でまとめている点が好ましい。それに、ボンのベートーヴェンハウスが入っているとか、多少なりとフランクフルトにも時間を当ててあることも○。
 ヴィース教会とディンケルスビュールとホーエンツォレルン城は私は行ってない。交通の便が悪そうなので、こういうところは団体で行くほが便利だろうな。(オーバーアマガウは、ミュンヘンからの日帰りツアーでバスでゆっくりと通過しただけ)


 「クラブツーリズム」からはなにももらっていないので念のため。
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『ヘタリア』のグッズ

2010-02-14 05:56:54 | マンガ
 アニメイトにたまに行き、『ヘタリア』のグッズを物色する。
 前回行って出ていたのは、「くるみボタン」、「ヘアゴム」。使ってある絵は同じで、値段は「くるみボタン」のほうが安いけど、背景が国旗色になっているので敢えてヘアゴムのほうを枢軸3国ぶん購入。しかし使いみちはさしあたりナイ。
 このグッズの「デスクマット」を敷いたおかげなのか、机上は案外整理された状態が保たれている。
 「ミニおやつプレートセット」はほぼ毎朝使用している。
 このまえ行ったら、クリアファイルが出ていた。単に国旗がデザインされているだけのイージーな品であるが、それだけにオタク色は乏しくて使いやすいのかも。(三頭身キャラの絵を小さくくらい載せていてもいいのにと私は思う。キャラでなければせめて各国の名物ーードイツならビールやソーセージ、アメリカはハンバーガーとコーラーーのカット) 4セットあり、A:イギリス アメリカ 日本 フランス B:ドイツ イタリア スペイン プロイセン C:ノルウェー デンマーク アイスランド カナダ D:ギリシア スウェーデン フィンランド トルコ  Bセットが早く売り切れていたらしいのは、プロイセンの鷲の旗がかっこいいからだろうか。(いまは存在しないのにね。州の名前にも残ってない。)  これらのメンバー、登場の度合いとは一致していない。出番ならばロシアと中国のほうが北欧勢よりも多いのに。
 続々出る様々なグッズ、アニメイトのHPでも情報誌でも網羅されていないのは困ったものだ。全部なんて買う気はないけど把握はしたうえで選びたいのに。

 付記。
 上記のクリアファイル、ほんとにヘタグッズなのかと疑わしい気持ちになった。「クリアファイルセット 世界の国旗」とだけ書いてあって、『ヘタリア』の名ははいっていない。アニメイトでそういうコーナーに置いてあったけど、アニメイトのHPでヘタグッズとしては載ってない。しかしな~、プロイセンなんていまは存在しない国の国旗、あのマンガを意識したのでなくてわざわざ入れるか? 「トイズ・プランニング クリアファイル 世界の国旗」で検索したところ、ヘタリア関連として売っているネットショップもちゃんとある。謎だ。
 いまはない国でもいいならば、ローマ帝国も欲しいぞ。
 もちろん、ヘタキャラの絵も描かれた国旗ファイルも。
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『阿修羅のごとく』

2010-02-12 16:21:02 | 
 by向田邦子。新潮文庫「おとなの時間」に入っていたので買った。昭和54年&55年に放映されたテレビドラマのシナリオ。
 それぞれに問題を抱えた老夫婦と4人の娘のホームドラマ。長女:華道の先生、未亡人、不倫中。次女:主婦、夫は浮気している。 三女:司書、硬いオールドミス(敢えて死語で)。四女:ボクサーと同棲中。 三女が、興信所に調べさせて、父が浮気していることを知って姉妹たちに相談するのが話の始まり。
 結婚を焦る年齢が早いところなんか時代を感じさせるけど、ふつうの人々のリアリティは決して古びない。長女の不倫相手の妻と次女との会話で、(くだいてまとめると)「あなたのお姉さんがうちの主人と浮気してるんですよブチブチ」 「わかりますよ、うちもだから。実家の父もそうでした、そのせいで母が死んだようなものです」 「・・・・・・」   喫茶店を出るときに、ありがちな、私が払います、いえ私が、とやって、「私たちがつかみ合いするのもヘンですね」 「相手が違いますね」  シリアスな場面なんだけど可笑しい。
(正確な引用ではありません)
 四女はボクサーとデキ婚して、彼がチャンピオンになって一躍ハデな生活をするものの、彼が倒れて植物人間状態、姑にも責められる辛い状況で、ゆきずりの男とついホテルへ。その男が、相手が有名人の妻だと知って強請ってくる。それに対して三女が、男をボクサーの入院している病院に呼び出して、可愛そうさを見せ付けて、かつ、うちの主人興信所に勤めてるから、そちらのこと調べ上げて表を歩けなくしてやる!と、情と脅しで撃退するくだりは痛快だった。

 ところで、四姉妹といえば『細雪』の連想があるけど、だれかといえば視点が次女にあって、あちこちに目配りして気苦労が多いこと、三女が(いちばん美人だと言われてるけど)嫁き遅れであること、四女がカルいことが共通している。
 この話、マンガにするならばレディコミだろうな、少女マンガにするには登場人物の年齢が高すぎる。
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『地団駄は島根で踏め』

2010-02-10 05:55:02 |   ことばや名前
 byわぐりたかし、光文社新書の、最新刊というほどでもない、出たのは去年。冊子『本が好き!』(最近休刊になってしまった)で確か『来て見て触る語源の旅』という題で連載されていた。様々な言葉の由来をめぐっての紀行。「ちんたら」とは、焼酎づくりの装置が熱でチンチンいってアルコールがタラタラしたたる気の長い作業からきているとか、「あこぎ」とは実は親孝行息子の悲話が秘められているとか、話のタネにしたくなること満載である。
 たいてい、その地の名物や土産物にも言及されているのだけど、餅菓子とか漬物など正直なところ私はあまり気乗りしないもののほうが多いなぁと思った。「醍醐味」で出てきた、ノルウェーの、キャラメルふうだというチーズは食べてみたい。
 「火ぶたを切る」の章では、長篠の戦の「三段撃ち」ーーいまの研究では否定に傾いているらしいけど私は正直なところそれを淋しく思っているーーが現実に可能であったことを地元団体が検証しようとしていると書いてあり、なんとなく嬉しくなった。
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背表紙のカラー

2010-02-07 07:02:34 | 
 先日部屋の一部を片付けた際、2年前の新聞がまだ転がっていた。掲載されている『あたしンち』byけらえいこ で、みかん(女子高校生)の同級の某男子が、ポリシーとして本のカバーははずすと語っていた(ひとり想像インタビュー)。そのほうが本棚に並べたときの見た目がいい、最悪なのは本屋のカバーそのままで題書いて並べるヤツ!だそうだ。そういえば、私の知る限りでは、公共図書館ではカバーの上からビニールカバーをくっつけてあり、学校ではカバーをはずしてあることが多いように思う。
 
 講談社現代新書は、かつては、クリーム色のカバーに表紙は薄赤紫だった。それが数年前にデザインが変更された。カバーは、白の地にカラーの正方形が描かれ、背はカラーの中に題字が白抜き。これは、表表紙を向けて並んでいれば可愛くなくもないのだが、背が並んでいると、色がごちゃごちゃしてたいへん見苦しかった。(それに、カラーの選び方になんの法則性も見られなかった) 私の見たネット上でも知人たちの間でも評判は散々なものだった。 たぶん広く不評だったのだろう、やがて、背の部分は、白地に黒でタイトル、小さいカラー正方形に変更されて、かなりましになった。
 ところが、つい先日気がついた、カバーをはずすと、やはりてんでんばらばらな色をしているのだ。では、カバーをはずして並べる図書館であれば、やはり見苦しい状態は続いているのか・・・。
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2月3日の日記

2010-02-03 15:45:09 | 雑記
 関西発でまたたくまに広まった「恵方巻き」、うちでもしている。ラクで楽しいことだから普及もしやすいだろう、これが「年の数だけ腕立て伏せをする」だの「恵方に向かって祈りを捧げて断食をする」では真似したくもなるまい。ところで豆まきの豆って、たくさん食べたいころにはたいして食べられず、たくさん食べられる歳になったころにはたいして食べたくもないのではなかろうか。
 昼に巻き寿司を食べ、少し部屋を片付ける。ごちゃごちゃと積み上げてあった品々の中に、2008年11月23日の新聞の日曜版なんてまだあった。1年以上手つかずだったということか。
 季節にちなんで、『しばわんこの和のこころ』のDVDの、節分の章を見る。小オニがやってきて、みけにゃんこのまたたび酒を飲み、しばわんこの料理を食する。オニが来てもカカシが来ても動じない太っ腹のしばわんこ。(『ヘタリア』日本やチョビたちとおともだちになってる情景が想像される)
 
 このごろ、YouTubeで柴犬の動画をたびたび見ている。
「4匹の柴犬の仔犬」
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