レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

「日本史の最重要人物」

2015-03-29 12:38:57 | 歴史
 このブログは画面に10の記事が出るように設定してあり、その中になるべく多くのカテゴリーが含まれていることが望ましい。いまマンガが4つ、本が2つ、雑記2つ。地理、言葉。「歴史」がないので小さいのを投下。

 mixiで、下記のページに基づいた記事が載った。
「日本史の最重要人物」
 日本史での有名どころ、人気の筆頭といえば信長と龍馬である。いまのところは信長はまだ出てきていないがそのうち出るだろう。
 こういうの回答するのは歴史家というわけではないし、もちろん好みで発言しても構わないだろうけど、龍馬は過大評価されているのだろうなあという気は大いにする。ドラマティックでヒロイックではあるけど。なんといっても司馬遼太郎という「ペンのスポンサー」が大きい。
 重要性ということであれば信長のほうが納得できる。「好み」ということで言えば龍馬よりも、というよりは、龍馬と違って嫌いだけど。(魅力があることは大いに認めるけど)
 もし私が誰かの名前を挙げるならば、頼朝や家康にする。
 頼朝による武家政権の創設は大きな転換点である。
 家康の敷いた幕府はなんだかんだと260年も続いた、これは凄いことではないか。その前の支配者の信長、秀吉のほうが存在がハデだけど、存命中しかほぼもたなかった。「「地味」が創設、帝政と幕府」と、家康とアウグストゥスを評したのはサトケン。もっとも、私は家康に対して愛は抱いていない、そこは大きな違い!

 同じ、幕府の創設者であっても尊氏はあまり念頭に浮かばない。人気不人気という以前に、あまり登場させられる機会がないのだ。戦前の悪玉扱いが尾を引いているというわけではあるまい、南北朝時代を扱うと「差し障り」があるからそのとばっちりか。私の知る限りでは(大河を別として)市川ジュン『鬼国幻想』(護良親王に恋する娘を主人公とする)、河村恵利短編のいくつかくらい。ひかわきょうこ『お伽もよう綾にしき』の二人は、尊氏の弟とその養子(甥。尊氏の実子)の関係がヒントになっているとあとがきにあった。

 国文学者は紫式部を挙げたいだろうし、マンガ&アニメを重要視すれば手塚治虫の名がはずせまい。ああだこうだと好き勝手を言って楽しめばいい。
 もっとも、いくら私が好きでもここで土方歳三なんて言い出すほど私は無分別ではない。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

桜のピンクの不思議

2015-03-25 10:54:32 | 雑記
 だいたい週に1回、コナミに行って運動している。今月始めに行ったあと、次の週は休んだので、その次まで2週間以上間が空いてしまった。その間に、途中にある公園の桜が満開になっていた。
 河津桜なのか知らんけど、少なくともああいう色の濃いタイプ。近くでよく見るとピンクとしては淡い色なのに、離れて全体を見ると濃く見えるのは少々不思議である。
 地元にある小さい神社の普通の(つまり白に近いような色の)桜はこのまえの日曜にまだ咲いてはいなかった。

 桜色、桃色はあるのに「梅色」という名称はない。梅干のほうの連想になってしまうからだろうか。

 今日mixiニュースに出ていた、桜に関連した名前の記事では、アクセス数の多いものとしていくつか出ていた。予想はできたけど非常識なものが並ぶ。

「1位は「さくら」「おとめ」「もあ」などの読み方を持つ「桜愛」となった。2位は「桜花」で、読み方は「おうか」「さくら」「ももか」など。
3位は「咲」で、「さき」と読む他、「さくら」「えみ」と読ませている。 」

 「読み方を持つ」じゃないだろう、読ませているだけだろう!「さくら」という名前にするならば素直に「桜」にしておけばいいのになぜ不要の文字までつけるか。
 「桜花」で「ももか」では、桜も桃も立場なし。
 11位の「紅葉」で「さくら」に至っては頭がおかしいとしか思えない。(「金星」で「まあず」くらいひどい) こんな名前を候補にあげることからして狂っている。

 桜は往々にして狂気を象徴するものでもあるが、こんな耽美性のかけらもないおかしさは御免である。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

天上の虹 一の食卓 軍神ちゃん

2015-03-20 07:15:33 | マンガ
『天上の虹』22巻・23巻
 30年かかってついに完結。22巻が出てからあまり待たされずにすんでよかった。
 あるべきところに落ち着いてさほど波乱はなかったけど(史の妻三千代の先夫との息子が氷高に熱をあげるのはなんだか微笑ましい)、しっくりくる終わり。
 老けない額田が出てこなかったのはある意味ほっとした。
 里中さんお疲れ様でしたと素直に言いたい。

『一の食卓』1巻 樹なつみ  白泉社 B6
 メロディ連載。
 幕開けは明治4年。東京でフランス人シェフのもとで修行する15歳の少女、西塔明(さいとうはる)。築地ホテルで岩倉具視から謎の男を店の「下男」として預からされる。その男藤田五郎はかつての新選組の斎藤一であった。

 たとえて言えば、『るろうに剣心』+『懐古的洋食事情』といったところか。斎藤一に美男説なんてないけど、そこは樹さんらしくクールでかっこいいキャラになっている。
 明は上野戦争の際に気のたった彰義隊士に親を斬られた過去があるが、助けてくれたのも彰義隊士。たぶんその助けてくれたのが原田左之助ということになるのだろうな、2巻で登場するということは、のちに満州馬賊説でいくのだろう。

『軍神ちゃんとよばないで』1巻 柳原満月  芳文社 A5
 4コマ誌「まんがタイムファミリー」連載中。
 謙信=虎千代はぐーたらなひきこもり姫なのに、タイミングと誤解で「軍神」と崇められてしまった。
 (小説『女人謙信』は凛々しい美女なんだけど大違いのキャラ)
けっこう単純バカな鬼小島弥太郎が側近としてがんばっているけど、こいつも誤解に拍車をかけている。
 強い敵と戦う以外なにも考えていないバカの柿崎景家、切れ者宇佐美、報われない病弱兄上晴景、それそれ史実を思うと複雑だけど、どこまで描かれるのやら。
 (この柿崎と、『航海王子の優雅な日常』の副長と、『アテナの初恋』のアレス、外見が似ている。柿崎とアレスは共々バカである。アレスの競馬場にいる姿がハマってて傑作!)

 「まんがタウン」で連載の始まった『山本さんちのガン・ガール』、銃の好きな会津娘の山本八重、これは「新島八重」だよね、友達の「高木時尾」って、のちに斎藤一と結婚するあの人だし、もう一人の友達「日向アキ」も歴史に名を残している。お気楽そうなノリだけどわざわざ「監修」なんてついている。
 本来シリアスな題材をギャグ・ほのぼので描いた路線だと、どこまで行けるのかとある意味心配になることがある。『踊る!アントワネット様』はうまくまとまっていた。
 


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『北欧女子~』『日本のことはマンガとゲームで~』等

2015-03-16 06:59:14 | 地理
 一般のコミックスは「コミックス」の発売リストをチェックしてあらかじめ買うものをだいたい決めておくけど、そこには載っていないものもある。

『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』オーサ・イェークストロム  メディア・ファクトリー
『日本のことは、マンガとゲームで学びました。』 ベンジャミン・ボアズ 青柳ちか 小学館
『「国際人」はじめました。』海野凪子 ゆづか正成  大和書房
『アラスカ・ワンダホー!』世鳥アスカ  イースト・ブレス 
『日本人、ここがステキで、ここがちょっとヘン。』 サンドラ・ヘフェリン  片桐了  大和出版

 以上の5冊は、ここ数カ月の間に買ったものだけど、エッセイコミックの棚、しかも紀行・海外というジャンルに置いてあった。内容の点でも、この際「マンガ」よりも「地理」のカテゴリーに入れてみた。日本人から見た異国、およびその逆。

『日本人、ここが~』は、まえに言及したかどうか覚えていないけど私は買って読んだ『ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』と同じ原案者による。
 「欧州人は仕事に命かけません 恋人や家族に命かけます!」というけど、警察や軍人は命かけてくれないと困ると思う。『エロイカ~』をむこうの人が読んで、少佐のキャラに納得してくれているのだろうかときいてみたい。
 「日本のお菓子で外国人に人気なのが「柿の種」」ーーこれはほかでもきいた。
 アジア人が日本語ペラペラよりも、金髪青目の人がカタコト話すほうがほめられてしまうという指摘。「日本語上手」と簡単に言い過ぎるという声もどこかで見たなぁ。

『アラスカ~』
 そもそも「プリンセスGOLD」の連載。私が購読をやめるころに始まっていた。秋田でなく、このてのものをよく出しているイースト・ブレスから出たのは納得できる。でもアラスカといって少佐を連想する読者だって当時いただろうに。
 親の転勤で高校~大学の4年をアラスカで過ごした筆者の体験記。
 ケーキがジャリジャリしていたとか蛍光ピンクがいちばんインパクトを感じるのは『ヘタリア』の刷り込みだろう、さすがアメリカ・・・。
 サーモンやイクラが食べ放題はうらやましい。釣りの場で時々ほかの釣り人からイクラをもらえるらしい(彼らは食べないので)。

『国際人~』は、『日本人の知らない日本語』の「凪子先生」監修。「レレレのおじさん」のような眼に描かれている。外国人に接する際に気をつけたほうがいいこといろいろ。外国語できる=国際人 ではないこと、外国語能力以前に伝えたいことがあることが大切なこと等。

『日本のことは~』
 4歳で「マリオ」にハマり、14歳で「らんま」に初恋だったという経歴を持つアメリカ青年ベンさんのあれこれ。高校で日本語を勉強しようと決意して、でも授業がなかったので学校とかけあって開講にこぎつけてしまったというくだりには、・・・さすがアメリカ、と思わざるをえない。
 大学での友達の帰省に一緒に行ったら鹿児島で言葉がわからなくて落ち込んだというくだりは笑う。なにしろ暗号替りにされたくらいだから。NHKのドラマで標準語字幕がつけられたこともあるくらいだから。
 この絵、『ダーリンは外国人』の小栗左多里さんとよく似ているけど別人なんだろうね。

『北欧女子~』
 日本以外にも違った性質のマンガはあるので、いつも日本流感覚で測るわけにはいかない、しかし日本式を意識して描かれているならばやはりその尺度で見てしまうのはやむをえまい。
 まわりくどい前置きをしたけど、日本マンガの美意識に照らして、日本のマンガの中においても、この絵は遜色ない!と言いたいのである。かわいい。
 ストックホルム出身の筆者が13才でセーラームーンを見て人生が変わり、スウェーデンで漫画家・イラストレーターとして数年仕事をしたあと2011年に日本に引っ越したという。
 『ベルばら』『NANA』『ウテナ』が好きだというオーサさん、「少女マンガの強い女性主人公が日本マンガを好きになった理由の第一かもしれません」、ぜひお友達になりたいものである。
 「スウェーデンでは傘は雨の日しか使わないものだけど日本では・・・雪の日にも役に立つのか!」 ーーえ、雪に傘を使わないの?
 「スウェーデンのメンズウェア」は「オシャレなファッションはまだフェミニンなイメージ」「スウェーデンの男性ファッションはつまらない印象です」  え、そうなの? 北欧諸国ではいちばん垢抜けたイメージがあるけどね。


 「マンガ」でなく「地理」カテに入れたので、多少はそれらしい話題を。

 「アラスカ」といえば私の連想は、まずは『エロイカ』、少佐の部下たちの左遷先。辺境のような扱いを受けていることに対して、30年ほどまえに読んだ青池系サークルの本で、かつて住んでいた読者からある種の異議申し立てが載っていたことも思い出す。
 90年秋にドイツに行った時はデュッセルドルフ空港だったが、給油のためにアラスカ・アンカレッジ空港で数時間過ごした。このとき「アラスカンマラミュート」という犬のポストカードを見つけて、ハスキーみたいな犬の存在を知ったものである。
 
 スウェーデンといえば・・・
 40数年前だと、「フリーセックス」なんて言葉が出回っていた。
 税金が高くて高福祉。
 劇作家ストリンドベリ。
 美女大国。イングリッド・バーグマン。グレタ・ガルボ(見たことないけど)。
 グスタフ・アドルフ、クリスティナ女王。グスタフ三世、フェルゼン。
 第2時大戦では苦渋に満ちた中立。
 ミステリー大国。マルティン・ベック。エリカ&パトリックの事件簿。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『大人の少女マンガ手帖』

2015-03-14 14:35:57 | マンガ
 ヒットして長くなったマンガは、変化することが珍しくない。絵が変わったり、傾向が変化したり、メインキャラが交代したり。進んでから初期のぶんを見ると、「・・・別世界。」と思うことさえある。
 しかし、紹介記事が載るときは、1巻の表紙が出てくることが多い。ただのファンである私が「うおぉ~やめてくれぇ~!」とわめいたところで仕方ないのだが。


「コミックナタリー」
 宝島社から『大人の少女マンガ手帖』というムック(?)が出た。私の買った書店では雑誌の棚に置いてある。「黄金時代少女マンガランキング」と大きく出ている。去年の夏に出た『大好きだった!少女マンガ 70年代篇』(双葉社)とかなりラインナップは重なっている。両方とも表紙は大きく『ベルばら』、さすがだ。

 話題にしている作品は内容の引用でなければコミックスの表紙をつけているが、『ベルばら』は10回も、1巻の表紙が載っているのだ、まだ髪をおろしている少女然としたアントワネット、これを見るだけではただお姫様の話としか思えないだろう。10回も出てきているのだから、多少は別の巻を、もっと主役らしいオスカルの目立っている表紙を使ってくれてもよさそうなものだ。例えば、10巻収録の『黒衣の伯爵夫人』についてのコメントに添えるならば、その10巻の表紙を添えるくらいの気を利かせられないものか。
 そして『エロイカより愛をこめて』は、周知のように、2話から登場した少佐のほうが人気をさらっている。しかし1巻の表紙では伯爵が一人でポーズをとっている。これを見ただけならば、のちのアクションもののイメージはわかないだろう。この表紙が4回出てきている。
 『ガラスの仮面』などは、1巻の表紙を使われていてもなんら違和感は生じない。『王家の紋章』も、たぶん1巻の表紙をいま見てもほとんどギャップを感じないのではなかろうか。
 しかし、『ベルばら』と『エロイカ』は、1巻の表紙を出されると私は激しくイヤである!

 『エロイカ~』の紹介がどうなっているかを書き写してみる。
・「耽美な男たちによる魅惑のスパイアクション」
 「基本的に半目、ときに共闘。愛か腐れ縁か、二人は行く先々で遭遇しまくる。眠りこける少佐がこの後、無事だったのかがいまだに心配。」ーーこれはN0.5(東西首脳会談の話)のラストに添えてある。
・「世界中で仲良く(?)追いかけっこ」 「男色の美術品窃盗犯「怪盗エロイカ」こと伯爵と、「鉄のクラウス」こと少佐を軸に展開される、ハチャメチャ・スパイ・ストーリー。綿密な政治考察を織り込んだ物語こそ硬派だが、モーホーな香り漂う美青年たちが奇想天外な立ち振る舞いを繰り広げる姿は、ゲイバーのショーさながら!?「耽美」ではなく「クイアー」なセンス、ハードさとギャグのバランスの絶妙さから男性ファンも多い作品だ」
(「立ち振る舞い」は、「立回り」と言いたかったのであろう)
・「少女マンガの限界を超えたハードボイルドな世界観で熱烈なファンを持つ大ヒット作。男色の大泥棒エロイカと、NATOのエーベルバッハ少佐が世界中で繰りひろげるドタバタ活劇は、世界情勢を的確に反映したリアルな描写と相まって、唯一無二の魅力を放つ。冷戦終結後にいったん中断されたが、1995年に再開。いまだに絶賛連載中である。『魔弾の射手』『Z』などのスピンオフ作品も人気」
・「乙女のイケナイ妄想を刺激する最強コンビ」「美に生きる金髪軟派の伯爵と使命に生きる黒髪硬派の少佐は、ルックスも性格も正反対ゆえに並んだ姿も会話もスリリングでサマになる。伯爵が美少年好きなだけで直接的なカラミはいっさいないが、乙女の妄想をこれでもかとかきたてる!」 これは『パタリロ!』と並べての紹介。
 伯爵は美少年よりも美青年趣味だろうとか、「綿密な政治考察」なんてシロモノではないしそんなもの求めてないだろうとか、少佐の「硬派」をもっと強調してくれないと誤解をまねくだろうとかツッコミどころはある。

 大きく取り上げた作品には、「○○を好きな人に捧げる」として、共通点のある作品を勧めている。
『ベルばら』のは、『アンジェリク』『白ゆりの騎士』『カリブの女海賊』『7つの黄金郷』『オルフェウスの窓』『伯爵令嬢』『地中海のルカ』、ーー7つのうち5つ読んでいるぞ。

 現役マンガ家たちへの質問で、さいとうちほさんが「お気に入りベスト3」が『ポーの一族』『ベルばら』『アラベスク』、「憧れたキャラクター」がオスカル、影響を受けた作品の一つに『アンジェリク』ーーーものすごく納得のいく回答!

 80年代版も出る予定はあるのだろうか? 双葉社の『大好きだった!少女マンガ』は「70年代篇」としていたから、好評ならば80年代篇も計画のうちだと推測できるけど。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「愛読書」のニュアンス  『大いなる遺産』

2015-03-09 10:24:59 | 
mixiでの「つぶやきネタ」で「愛読書は?」というお題がある。

 「好きなテレビ番組は?」という質問ならば、毎週好きで見ているものを答えればいいので簡単である。現在の私ならば『欧州鉄道の旅』『世界水紀行』等を挙げる。しかし「好きな映画は?」だと答えにつまる。「好きな映画」として挙げるのは、何度も見ているのでないとしっくりこないと思うのだ。部分的に何度も見ているというものは『史上最大の作戦』などあるけど。
 「愛読する作家」ならば、井上靖とか清水義範の名前を挙げる。「ジャンル」と尋ねられたら、「歴史もの特に西洋史」、「図書館の新着図書でドイツ文学は一通り点検する」。
 しかし、愛読「書」。
 まず、ある程度のボリュームがなければならない、質・量ともに。
 そして、本棚にあって繰り返し読んでいること。
 「好きな本・作品」ならばこういうことまで気にならないけど。
 このように感じているので、『燃えよ剣』『鷲は舞い降りた』は挙げにくい。ともぞうじいさんの「心の俳句」に倣って「心の愛読書」ならばいいけど。『燃えよ剣』はたしかいま本棚にはなかったはず。要所要所を覚えてはいるけど。『鷲は舞い降りた』は通しでは1回しか読んでいないし。

 岩波文庫で新訳の出たディケンズの『大いなる遺産』を借りて読んだ。親とは死別して姉とその夫のもとで暮らす庶民の少年ピップは、あるクリスマスの夜、脱獄囚に脅されてヤスリと若干の食べ物を運ばされる。結局その男は捕まって流刑にされたが、その経験は恐ろしいものとして残っていた。地元の奇妙な老嬢の富豪とその養女との出会い。ピップは謎の財産家からの申し出で「ジェントルマン」教育を受ける。
 これを読むのは3度目だと思うが、今回がいちばん読みやすく心にはいりこんだ。
 財産家のミス・ハヴィシャムは、悪い異母弟とグルになった男に騙された過去がある。美しく育った養女エステラを、男心を翻弄し苦しめる存在にして復讐を図っている。
 脱獄囚のマグウィッツは、「ジェントルマン」ふうの風采で人をだます詐欺師への敵意から、ささやかな恩人であるピップを自分の得た大金(オーストラリアで流刑囚が儲けることは実際あった)で「ジェントルマン」にすることでうっぷんをはらそうという気持ちである。
 そういう意味ではピップもエステラも似た立場である。
 そして、ピップの姉の夫、たいへん善良な鍛冶屋のジョーは、そういった囚われた部分はなく、一貫して誠実な姿勢を崩さない。やはり慎ましく誠実なビディさん、ピップが結婚を申し込みに行ったらなんと・・・という点は忘れていたので驚いた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

まんがタイムスペシャルの1月号が行方不明

2015-03-04 15:53:11 | マンガ
この数年購読している雑誌は、4コマ月刊誌が3つ。芳文社の「まんがタイムファミリー」「まんがタイムスペシャル」、双葉社の「まんがタウン」。
 雑誌の処分はたいていまるごとではなく、根元からバラバラにしていくつかの作品をとっておく。上記のはあまり厚いものではなくて中綴じなので、そのホチキスを外してハサミで切る。
 数冊たまったところでその作業をして、ある程度のページになったらホチキスで止める。
 きのうけっこう久しぶりにこの作業をしたところ、「まんがタイムスペシャル」の1月号のぶんが欠けていることが判明した。そもそもの目当てであった駒倉さんの連載は終わってしまったけど、ほかにも好きな作品が多いのでまだ買っているのである。
 瀬戸口みつき『ローカル女子の遠吠え』  勤勉でカタい性格の有野りん子が東京から故郷の静岡に引き上げてきて、ふるさとに癒されるというよりはいまさらな戸惑いやらギャップやら、キリギリスとは別のアリの悲哀も実感しつつ地道に働いている。絵が好みだし、りん子さんのキャラにも好感持てる。
 縞はるひ『アテナの初恋』  クインビーでなく女の子にも優しいアテナ、こういうのは好き。ふんわりしたヴィーナス、美形のわりに抜けてるアポロン、初々しいアルテミス、いかにもバカっぽいアレス(競馬場にいるのがおかしさのツボにはまった)。 
 ナントカ『メェ~探偵フワロ』  実はドロボーであるエロ作家の名前がラウールなのはルパンなんだな。「鳥人20面相」はまだ1巻目には出てきていないので、このためにも2巻がきちんと出てほしい。
 これらは、単行本が出れば買うだろう。
 はて、1月号はまだ解体してなくてまるまるの形のままなのか、あるいは上記の作品等だけの状態なのか、私の狭い部屋のどこかにあるはずなのだが。
 いつ出てくるのかわからんが、その前にコミックスのほうが出ればそれはそれでいい。


 このまえ「メロディ」を立ち読みする機会があった。
 『大奥』は、家斉編が終わった。大奥に悪い影響も残したけど疫病対策は大前進した。12代家慶は男で(まるまる飛ばしたのか?)、13代目に女将軍家定が就任、というところまでが次の巻なのだろう。
 家定といえばアホ説と賢い説とあるけど、アホには見えん。


5月20日に付記。
 見つかった!バラバラにしてとっておく部分だけにしたものが本棚につっこんであった。あーほっとした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いま手元で読まれるのを待っている本その他

2015-03-01 07:22:27 | 
いま、手元にたまっている本は

図書館の本 期限は延長して11日、まあそれまでにはなんとかなるけど。
井上靖『白い炎』 昔の文春文庫 読みかけ
ディケンズ『大いなる遺産』下巻 岩波文庫の新刊
予約していてじきに来るであろうものはアーヴィング『スケッチ・ブック』下巻、プルースト『楽しみと日々』

最近買った本
清水義範『朦朧戦記』
森鴎外『椋鳥通信』中  上巻もまた読み終わってない。
数ヶ月前に買ったコバルトのアナスタシアが題材の話もまだ読んでいない~。

 3月に出る文庫新刊では、
・講談社ホワイトハートの『女伯爵マティルダ』by榛名しおり
・中野京子『愛と裏切りの作曲家たち』 光文社知恵の森文庫
・三浦しをん『舟を編む』の文庫化
を購入予定。
 創元推理文庫の『国王陛下の新人スパイ』byスーザン・イーリア・マクニール は、シリーズ1作目の『チャーチル閣下の秘書』だけ借りて読んだけど、2作目『エリザベス王女の家庭教師』はまだ手配していないな~と思っているうちにもう三作目になってしまった。  続きが出るのは幸せなことである。『ブーリン家の姉妹』シリーズ、『密偵ファルコ』等、何年も出ていなくて気になるものはいくつもある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする