レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

3月3日BSーTBS『地球絶景紀行』ではホーエンツォレルン城

2017-02-26 13:15:02 | ドイツ
「地球絶景紀行」

 次回この番組で、ホーエンツォレルン城を取り上げる。プロイセン王家縁の、しかし南ドイツにある城。ノイシュヴァンシュタイン城などに比べてはるかにマイナーであるから、こうしてテレビに出る機会も少ない。うちのいまの録画機器では、BSの番組はDVD等に移すことができないことがものすごく腹立たしい。授業で見せることもできない。

 せめてここで宣伝くらいしておく。

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コミック密売人 飛び込み台の女王

2017-02-24 13:11:00 | 
ピエルドメニコ・バッカラリオ『コミック密売人』 岩波書店
 「10代からの海外文学 STAMP BOOKS」「ティーンの喜びや悩みをつづった作品のシリーズです」
 イタリアの作品で、舞台はハンガリーのブダペスト。15才の少年シャーンドルは、謎の男が提供してくれるアメコミを、自分もハマりながら仲間たちと共に密かに売りさばいている。折り合いの悪い継父や、実は秘密警察と思われる不審な男や、学校の教師などの目から隠れながら。そしてシャーンドルも自分たちの想像力でコミックヒーローのアイディアを練っていく。
 ここで出てくるタイトルには、名前だけ知っているものもあり、まったく知らないものもあり。たぶん私から見れば面白くもないものだろうけど、夢中になる気持ちには充分共感できる。あれこれとキャラ設定を考えてわくわくするのも、私だけでなく、多くの人がうなずいてしまうに違いない。
 この話は1989年の設定で、冷戦崩壊への雪崩れ込みがクライマックスにくる。いまでは日本のMANGAもきっとかの地にも入っているのだろう。


マルティナ・ヴィルトナー『飛び込み台の女王』
 上記の本と同じレーベル。これはドイツ産で舞台もドイツ。
 ナージャ(母がロシア人)は飛び込み競技に打ち込んでいるスポーツエリート校の生徒、12歳。隣人のカルラは親友であり、同じ競技の「女王」的存在。しかし、母に恋人ができたことでカルラは動揺し、ナージャの活躍に注目が集まってしまう。
 「友情、努力、勝利!」を思わせるけど、ちょっとほろ苦さもある終わり。
 ところで、小学生でもう専門家たちが様子を見に来て、各競技からスカウトされて進路を決めるしくみはだいぶ日本と違っていそう。(スポーツの世界なんて日本での事情もよく知らんけど)
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ルートヴィヒ2世の悲劇 美女と野獣オリジナル

2017-02-18 12:34:44 | 
『鉄格子のはめられた窓 ルートヴィヒ二世の悲劇』 クラウス・マン   論創社
 図書館の新着図書。
 クラウス・マンはトーマス・マンの長男。タイトルの通り、ルートヴィヒ2世が精神異常の汚名をきせられて監禁されて死を遂げるまでの短い期間を扱っている。
 サイズはB5で100ページにも満たない。大人の書籍としては大きめの活字。半分近くのページに絵か写真がある。一見するとまるで絵本のようでもある。しかし、作者が同性愛者であることを大きく打ち出しており、間違って児童が手を出したら多くの大人が慌てるであろう。
 縁の地であるリューベック、ミュンヘン、バイロイト、もちろんノイシュヴァンシュタイン城の紹介もされていて、ビジュアルとして楽しい本ではある。



『美女と野獣 オリジナル版』  白水社 ガブリエル=シュザンヌ・ド・ヴィルヌーヴ
 「ボーモン夫人」という名前は知っていたが、さらに原典があったことは初耳だった、というよりもきっと印象に残っていなかったのだろう。プロテスタント貴族の家に生まれた17~18世紀の人。1740年に発表されたけど、その後、ジャンヌ・マリー・ルプランス・ド・ボーモンが短くして自分の教育読本に載せたものが有名になって、原著(者)が忘れられたとという(著作権とかオリジナリティの感覚は現代と大きく違っていたのだろう)。
 確かにこの話はそれなりに長い。呪いが解けたあと、王子の母がベルの身分に不満を述べて中々承知しなかったり、王子が呪いをかけられたいきさつ、そのまた父上の昔の話やらが出てくる。
 王子が養育のために預けられていた妖精が王子に懸想して迫って拒絶された恨みがあり、彼女は父王にもふられた恨みがあったり・・・。でも、老いて醜いということが理由であることが、なにか、すっきりできないものを感じる。
 うわべに惑わされてはいけないという教訓がくりかえされるけど、おまけに、野獣の姿に変えられた王子は機知を活用することさえも禁じられてしまっているけど、それで女心をつかむのは相当にハードルが高い、高すぎるのではなかろうか。感謝が大切なのはわかるけど、それと恋とは明らかに異質なものだろうし。
 (『クレーヴの奥方』のクレーヴ氏は、愛妻が、自分に対して感謝・敬意は抱いているけど、他の男に恋してしまったことに苦しんで死んでしまった。)
 いろいろと考えさせられるところのある、少なくとも興味深い物語である。
 
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シャーロット・ホームズ

2017-02-10 07:14:54 | 
ブリタニー・カヴァッラーロ『女子高生探偵シャーロット・ホームズの冒険』上下巻 竹書房文庫
 このごろ、なんとなく、ホームズの二次創作をたびたび読んでいる。ホームズ・パスティーシュというものは膨大な量がある。
 これはアメリカの作家によるもので数か月前に出た。ホームズの子孫の少女とワトスンの子孫である少年が故あってアメリカの高校へ送られている。
 カバーイラストがマンガ絵であることからしても、ライトノベル風。
 解説によると、作者は「事件そのものや解決のクライマックスよりも、博士がベイカー街221Bの部屋でホームズとまったりくつろぐ場面や、同乗した馬車でロンドンの街を飛ばす場面を読むのがお気に入りだそうです」  やおいの魂を感じる。
 私は、天才で危うい美少女ホームズと、心の底でぞっこんなワトスンの組み合わせに、オクタとアグがダブって見えるという不純な楽しみを感じている。
 これは続きも出ているらしい。女版といえば高殿円『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』という作品もあったけど(文庫化されたので買った)あれはあれっきりなのだろうか。気になる要素はたっぷりなんだけど。


岩崎正吾『探偵の冬あるいはシャーロック・ホームズの絶望』
 舞台は横浜。財を築いた実業家は英国人の妻をめとり、酔狂にもロンドンに似せた一角を作りあげた。その孫息子が事故にあい、意識が戻ったら気がふれていて、自分をホームズだと思い込んでいる。その弟の精神科医はワトスンのふりをして兄の推理につき合う。
 タイトルが『ヒーローの研究』だの『バスかビル家のイヌ』だのとダジャレで笑わせるけど(悪役の店が森谷亭だし)、ラストはなかなか切ない。



『サマセット・モーム未公開短編集』  創造書房
 図書館の棚で発見。モームを数年前に読みまくった時に気が付いていなかったのは不思議である。やはりHPの「新着図書」は漏れがあるのではなかろうか。
 2000年に出たころには未邦訳であったけど、そのあとで出た本で私が読んでいるものが2編。時間がないとか食べないとか言いながら遠慮もなく次々と高いものを注文しまって「私」に散在させる『従妹のエイミ』は確かに読んでいる。図々しい女を描くのが上手い。
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バサジャウンの影

2017-02-01 07:53:35 | 
ドロレス・レドンド『バサジャウンの影』 ハヤワカ・ミステリ
 新刊。スペイン産。舞台はバスク地方。
 少女たちへの連続殺人事件、地元出身のアマイアが捜査の指揮を任されて故郷に戻る。精神に異常のある母に酷い仕打ちを受けていた彼女にとって、故郷には辛い記憶もあった。いまはアメリカ人彫刻家である夫と仲睦まじく過ごしているが、子供をせっつかれ始めたのも気がかりの一つになっていた。
 
 アマイアの過去や家族間の確執なども興味深く読めるがムカつくキャラたちもいる。クソ母はとっとと死んでほしい。


 アマイアの妊娠を暗示して終わっているけど、ならないほうが好みだった。
 三部作だというので続きは期待する。


 

今月の文庫新刊では、「ソフロニア嬢」が出るので買う。
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