図書館の「新着図書」で知った『日記は囁く』の解説をきっかけとしてドイツ児童文学・ヤングアダルトの注目作をいろいろ知ったので、このごろいろいろ読んでいる。
オットー・シュタイガー『泥棒をつかまえろ!』『フリー・スクール』『海が死んだ日』
スイスの作家。
『泥棒を~』、主人公はギムナジウムの男子生徒ペーター。彼らが教師の引率のもとキャンプに行くが、お金が盗難にあう。警察に届けると、最近イタリア人の泥棒が捕まったけどまた逃げられたのでそいつに違いないと言われる。自分で捕まえたら、と警官が無責任に言ったことから本当にそういう成り行きに。つかまえた泥棒に過度の暴行を加えてしまったことに対して、ペーターは屈折したやりきれなさを感じてしまう。おまけに「泥棒」は人違いだった。
少年たちが泥棒を捕まえるという大筋は明らかにケストナーの『エーミールと探偵たち』が意識されているのだが、底には人種偏見や貧富の意識などの陰りがある。 もっとも、解説にあるほど読後感が暗くはなかった。ペーターは離婚家庭で周囲の生徒たちよりは貧しく、GFのカーリンの家はうんと金持ちでその兄アルトゥールが同級生。アルトゥールはペーターに絡んでくることはあるが、最後近くの会話でペーターに、おまえ自分とこが貧乏だって意識しすぎてウサい!(意訳)とずけっと言うのはわりに救いに思えた。
『フリー・スクール』
14歳、ベルンに住むエリアーネは、父の浮気から母と共に祖父母の下に移る。キャンプに参加するという口実でベルンに戻ろうとするが、途中で持ち金を盗まれて、キャンピングカーで暮らす放浪青年の世話になる。
もちろんこれで連想するのは『ふたりのロッテ』であるし、『点子ちゃんとアントン』も重なる。離婚が阻止できるのか、それはわからない。
『海が死んだ日』
70年代、フランスでのタンカーの事故で原油流出してブルターニュ沿岸が大損害を被った事件をモデルにした物語。
舞台はブルターニュの寂れ気味の漁村。16才のガストンの父ジュールは雑貨屋とバー、バカンスシーズンにはホテルを経営している。村長は、アメリカの石油会社がこの村に土地を買おうという話に飛びつき、それに反対するジュールは孤立させられていく。しかし沖での事故で状況は一転した。
これはもちろん、いまの日本でも他人ごとでない。
ついでに、『緑衣の女』byアーナルデュル・インドリダソン アイスランドのミステリー。まえに言及した『湿地』の同じシリーズ。昔の死体発見の謎と、刑事の家庭の事情と並行して進む。 ミステリーというジャンルはしばしば外道な奴が出てきて、こいついつ殺されるんだろうと期待しながら読むということがあるが、これもそうだった。
オットー・シュタイガー『泥棒をつかまえろ!』『フリー・スクール』『海が死んだ日』
スイスの作家。
『泥棒を~』、主人公はギムナジウムの男子生徒ペーター。彼らが教師の引率のもとキャンプに行くが、お金が盗難にあう。警察に届けると、最近イタリア人の泥棒が捕まったけどまた逃げられたのでそいつに違いないと言われる。自分で捕まえたら、と警官が無責任に言ったことから本当にそういう成り行きに。つかまえた泥棒に過度の暴行を加えてしまったことに対して、ペーターは屈折したやりきれなさを感じてしまう。おまけに「泥棒」は人違いだった。
少年たちが泥棒を捕まえるという大筋は明らかにケストナーの『エーミールと探偵たち』が意識されているのだが、底には人種偏見や貧富の意識などの陰りがある。 もっとも、解説にあるほど読後感が暗くはなかった。ペーターは離婚家庭で周囲の生徒たちよりは貧しく、GFのカーリンの家はうんと金持ちでその兄アルトゥールが同級生。アルトゥールはペーターに絡んでくることはあるが、最後近くの会話でペーターに、おまえ自分とこが貧乏だって意識しすぎてウサい!(意訳)とずけっと言うのはわりに救いに思えた。
『フリー・スクール』
14歳、ベルンに住むエリアーネは、父の浮気から母と共に祖父母の下に移る。キャンプに参加するという口実でベルンに戻ろうとするが、途中で持ち金を盗まれて、キャンピングカーで暮らす放浪青年の世話になる。
もちろんこれで連想するのは『ふたりのロッテ』であるし、『点子ちゃんとアントン』も重なる。離婚が阻止できるのか、それはわからない。
『海が死んだ日』
70年代、フランスでのタンカーの事故で原油流出してブルターニュ沿岸が大損害を被った事件をモデルにした物語。
舞台はブルターニュの寂れ気味の漁村。16才のガストンの父ジュールは雑貨屋とバー、バカンスシーズンにはホテルを経営している。村長は、アメリカの石油会社がこの村に土地を買おうという話に飛びつき、それに反対するジュールは孤立させられていく。しかし沖での事故で状況は一転した。
これはもちろん、いまの日本でも他人ごとでない。
ついでに、『緑衣の女』byアーナルデュル・インドリダソン アイスランドのミステリー。まえに言及した『湿地』の同じシリーズ。昔の死体発見の謎と、刑事の家庭の事情と並行して進む。 ミステリーというジャンルはしばしば外道な奴が出てきて、こいついつ殺されるんだろうと期待しながら読むということがあるが、これもそうだった。