レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

放言・まずい国美味い国 1

2010-08-31 14:45:50 | 地理
 どこの国の食べ物はウマイらしいorまずいらしいという話題で無責任に書いてみる。
 よそさまの食べ物を簡単にマズイと断じるのはよくないと頭ではわかっている。しかし、うわさにきく限りでは、マズイという話のほうが楽しいと思う。

 去るワールドカップのとき、リーグ戦の各組を見ながら、「食べ物はどこがいちばんおいしいか?」「美形の多いのは?」「行くならどこがいいか?」なんてヒマなことを考えた。日本・オランダ・カメルーン・デンマークの組では、たぶん日本がいちばん美味しいと思う、ほかにはぜんぜん行ったことないけど。 
 『ヘタリア』の主要8カ国を、おいしい国とまずい国に分ければ、おいしいほうにイタリア、日本、フランス、中国が入り、まずいほうにイギリス、アメリカは間違いあるまい。ドイツもグルメ国とは決して思われてはいるまい。
 特に、「イギリス」は料理が壊滅的にヘタだという設定になっている。


 ヘッセの1912年の作品(紀行)に、料理と音楽のセンスがあればイギリス人は一級の国民だろう、と書いてある。音楽はともかく、料理のことでドイツ人に言われたくねー!と思われるかもしれない。

 さくらももこさんのエッセイでも、イギリス人はいったいどういうつもりでこんなものを食べているのか、と書いてあった。

 10年以上まえに「ムービック」から出ていた海外旅行のコミックエッセイアンソロジーでも、『ロンドンはまづいよ』その他散々な言われようだった。 

 (紅茶とスコーンはおいしいときいている。)

 ロシア語通訳者米原万理さんの本でも、イギリスやアメリカは母国の食べ物がまずいから遠くまで侵略に行けるのだろうという説が紹介されていた。

 フランスの国際的有名マンガ『アステリックス』で、ガリア人のアステリクスたちがあるたくらみのためにローマ軍の外人部隊に入っている場面で、食事をみんながまずいと文句たれる中で、ブリテン人のみ「ワンダフル!」と言っていた。フランス人が描いたものだからよけいに笑える。
 
 4月2日の読売新聞の、欧州総局長の「緩話急題」から、恣意的な引用。

  「英国はフィンランドに次いで食事がまずい」
   これはシラク仏大統領(当時)の5年前の悪口で、聞き役は独露両首脳。(中略)
 一方、シラク氏の考えの及ばない変化が英国で進行していた。「食への目覚め」である。
 「英国人が食を楽しみだしたのです」と  (略)

 英国の食はまずくなくなったのである。 この変化はグローバル化の波にうまく乗った英国の経済成長がさ支えた。
 ただ、「食に目覚めたのは、まだ国民の10~15%」。新鮮とは言い難い白身魚に衣をつけて揚げ、ジャガイモの揚げ物を添え、塩と酢を振ってよしとする大衆の「味覚」は一夜には変わらない。

 偏った引用終わり。
 ものすごーく無責任なことを言えば、オシャレでグルメなゲルマン人なんてイヤだ!と思うことと同様、英国人があんまり美味を追求するようになるのもなんかイヤだ。
 ところで、「フィッシュ&チップス」というやつも、おいしく作れば充分おいしくなりそうだと思うのだが。

 言い訳めくけど、グルメ度が低そうだと私が言う場合、そこに悪意や軽蔑の念はないのだと添えておこう。美味いのマズイのとあんまり熱心になるのはみっともないという価値観も根にあるのだ。--わざわざますいもの食べたくもないけど。

 引用にあるシラクの言葉、私は別のところでは、「フィンランドはイギリスの次にマズイ」と見た覚えがある。要するに、フィンランドも美食ではないということか。  役人がマジメで子供が勉強できて食べ物がまずい国フィンランドーーなかなか立派そうではないか。
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はらぺこガズラー

2010-08-29 06:21:30 | 
『はらぺこガズラー』
 ハアコン・ビョルクリット さく  かけがわやすこ やく ほるぷ出版
(たぶんいまはもう出てないだろう)

 私が半年ごとに検診に行く歯医者の待合室に置いてある絵本。
 たいへん大食らいの猫のガズラー、飼い主がもてあまして、海に捨てようとしていることを知って先手をうち、だんなとおかみさんを食べてしまって出ていく。そして会った人々・動物を次々と食べつくしていく。
「はらいっぱい くったかね」
「どうしてどうして。おれがくったのは   ーーたったのそれだけさ。まだ、はらぺこで、しにそうだ。だから、いっちょ、ちょっくら、おまえのことを、くってやる」
 この「くったのは」と「たったのそれだけさ」の間に、それまでに食べたものが入って、どんどんそれが増えていくのだ。まずは、でぶぶた、 煙突掃除、牧師(バチあたりな・・・)、--中略、王様、月。そして太陽も食おうとしたら、さすがのガズラーも破裂して、それまでに食ったものが飛び出してきてめでたしめでたし(?)。
 そうか~、やはり太陽が最強か。
 作者はノルウェーの人。北の国ならばいっそう太陽が恋しいだろう。
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粗品のコップ

2010-08-28 15:38:43 | 雑記
 先日、郵便局でとある手続きをしたら、翌日、記入ミスがあったので(私がではなく局員)、今日か明日に再度来てほしいという電話があった。その日のうちに行って済ませ、お詫びに「粗品」としてガラスのコップをもらった。なんの変哲もない品(郵便局マークも入ってない)で、メイドインXXだし高級品ではあるまい。しかし、まだまだ夏気分で冷たい飲み物の消費されるこのごろなので、けっこう喜んで使用している。氷入れるとただのお茶でも涼しげに見えていい感じ。
 だいたいは、ドイツの知人から頂いたクリスマス市の陶器(?)カップを使っている。デザインは地味だけど手にしっくりなじんでいる愛用品。   フライブルクのクリスマス市のガラスカップは、4つのうちもう2つも割ってしまったので使うのに緊張するのだ、その点今回の品はそういう遠慮がなくて助かる。
 光りものよりも「透きとおりもの」が好きだ。だからステンドグラスは大好きだ。
 このごろ、ゼロカロリーセリーをいろいろ買いこんでいる。牛乳やジュースで作ろうと予定してゼラチンも買ってある。透明ではないけどプリンも好きだ。--暑いとこういう水っぽくてぷるぷるしたものがよけいおいしい。
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今日の購入

2010-08-24 17:53:59 | 
和久井香菜子『少女マンガで読み解く乙女心のツボ』
西村亨『源氏物語とその作者たち』
ソル・フアナ『知への賛歌 修道女フアナの手紙』
穂村弘『もうおうちへかえりましょう』『世界音痴』

 買おうと決めてたのは『乙女心のツボ』だけで(本人のブログで知った)、あとは目に入った。まえから探していたものや、発売を知らなかったもの。

 コミックス新刊では、『ぼんくら』1(原作宮部みゆき) 『クオ・ヴァディス』7 by佐伯かよの(シェンキェーヴィチの小説とは無関係。原作は新谷かおる、つまり夫妻合作)
言い訳する必要もないが、ドイツの友人知人へ送るものである。
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「オチ」という言葉

2010-08-22 06:41:27 |   ことばや名前
 『フランダースの犬』アニメを私は見ていないが、評判だけはよく目にする。舞台になったベルギーのアントワープ(アントウェルペン)では知られていなかったものが、観光局の職員ヤン・コルテール氏が日本人観光客を通じてこの作品について知り、熱心に調べ始めたことから地元でもいろいろ取組み始めたという。日本通としても認められたコルテール氏がしかし、2008年に妻(日本人)刺殺して無期懲役になったという記事をネットで私が読んだのは去年あたりだったろうか。その後どうなっているのか、ふと、先日また検索してみた。結果を言えば、なにもわからなかった。
 しかし、これについて言及したあるブログで、「日本人と結婚したがその妻を殺害して逮捕されたというどえらいオチが」と書かれていたのでどうもひっかかった。
 「オチ」という言葉を辞書でひくと、「落語の終わりのしゃれ。さげ」のほかに、「終わり、結末。「失敗するのがおちだ」 」という説明も載っているので、悪いニュアンスでも使うことは確かだ。しかしなぁ、多くの場合、笑える終わり方、またはフィクションでの意外性のあるひねった結末、という意味で使われるのではなかろうか。それで、上記のような、実際にあった不幸な事件について使うのは、どうも、不謹慎に思えてしまったのだ(書き手に悪意なんかないだろうけど)。
 たまたま目にした最相葉月さんのエッセイで、言葉の意味の誤解をテーマにしていた。オリンピックかなにかのときに、政治家が「せいぜい頑張ってください」と言ってひんしゅくをかっていたけど、辞書によると、「精一杯」の意味もあるので本来は嫌な感じではないはずなのだ、と書いてあったので、私もこれで初めて知った。
 意味が本来のものとはずれてしまうことは珍しくはなく、正しく使って誤解されることもある。「乱れ」と取るか「変化」として許容するか立場はいろいろで、私はどちらかといえば保守的。100年200年の歩みの中でならともかく、10年20年でそう簡単に変わられてはたまらんわ、と思っている。
 「こだわり」なんて極力使うもんかっ! 
 ズボンを「パンツ」なんて言いたくない。(「ショートパンツ」、「ランニングパンツ」のように、組み合わせた語はいいけど、単に「パンツ」ならばそれは下半身下着!)
 「鳥肌がたつ」は褒め言葉じゃない。

 結局のところ、なにを受け入れられるかダメかは主観になってくるけど。抵抗くらいするぞ。
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8月の新刊コミックス

2010-08-20 15:25:06 | マンガ
今月購入した・するコミックスの新刊。

ひらのあゆ『ラディカル・ホスピタル』19巻
やまざき貴子『LEGAの13』4巻
『華の姫~茶々ものがたり~』3巻
よしながふみ『大奥』6巻

大和和紀『イシュタルの娘』1巻
飴あられ『君がために 楠正成物語』

 あとの2冊は、あらかじめチェックしてあったのではなく、新刊コーナーで見てのこと。まだ読んでないけど。
 歴史もの要素ゼロなのは『ラディホス』だけか。
これらのほかに、MANGA BUNGOシリーズもあるけど。
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ドイツと洗濯物

2010-08-18 05:18:09 | ドイツ
 こういう話、まえに書かなかっただろうか、検索しても出てこないので書くことにする。重複しててもご容赦を。

 ドイツでは、外から見えるところに洗濯ものを干すことは禁じられている。地下室を使うことが一般的らしいが実際に見たことはない。私が留学していたときには、アパートでは廊下に洗濯物干しが出ていた。(私は下着は部屋の中に干していたが)
 中庭らしいところに干しているのを見たことはある。映画『ベルンの奇蹟』では、外で干す場面があったが、通りから見えるような場所ではなかったと思う。
 美観の問題と、日光が日本よりも乏しいことが理由であろう。上記の映画でも、ドイツ国内ではさほど美しくないとされているルール地帯が舞台であるし、裕福とは言えない人々の暮らしぶりだった。ヨーロッパでも、南のほう、イタリアなどは狭い通りで建物の上方で洗濯物が下がっていてその下を通行人が、という場面はよく出てくる。
 ドイツで旅行中には、下着やTシャツを洗って部屋または風呂場に干したものだけど、空気の乾燥具合が違うのだろう、こういうときの乾き方は日本でよりもよかったと記憶する。
 肌の露出に対する感覚の違いは『ヘタリア』でもタネになっているが、公園のベンチなどで半裸になって日光浴をしている光景はよく目にした。洗濯物をさらすのが恥ずかしくて裸はいいのか・・・。
 (まえにも書いたような気がするんだけどなぁ・・・? まぁ、読んだことすべてを覚えているというものでもないからまた書いてもいいんだけど)

 28日に付記。デュッセルドルフの知人F田さんのメールから抜粋。一つの実例として紹介します。

家の場合、一年の半分ほどの間洗濯物は外に干します。垣根に囲まれた庭に、クモの巣状に洗濯コードをはりめぐらしたものを立てます。見かけは巨大な傘の骨を逆さにしたような物です。直接道を歩く人の視界には入らないけれど、お隣さん達の2階からは丸見えです。しかし、Bauhausなどの大手のお店で堂々と売っているのということは使ってヨシと判断。(女性群の下着は外干ししませんが。)残りの期間は地下室に干しますね。乾くまでやや時間はかかりますが、空気が乾燥しているので早く乾きます。何となく外干しの洗濯物はアイロン掛けが大変なような。
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猛暑の取り柄

2010-08-16 16:53:57 | 雑記
 30度以上を真夏日、35度以上を「猛暑日」と呼んでいるようだ。30度程度ではたししたことないような気がするこの夏。

 猛暑のいいことは、洗濯物がよく乾くことだ。今朝7時ごろ干したぶんは、午前中に充分に乾いた。もう一回洗濯しても余裕がある。
 布団も干して軽くなって気持ちいい。

 一部の天気予報では「洗濯指数」なんてものがある。これは、外に干す文化圏ならではだろう。
 「ビール指数」、「アイス指数」、「熱中症指数」なんて言葉はいつから出てきたんだ。私はビールよりも麦茶のほうがいい。冷蔵庫に常備してあるのはほうじ茶だけど。減り方が早い。
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シェイクスピア時代のローマもの劇

2010-08-14 05:49:53 | ローマ
 数年前に出て先月読んだ本、
『ハムレットは太っていた!』by河合祥一郎

 この本の主旨はいまはおいておく。
 巻末に、シェイクスピアの時代に演じられた芝居とその出演者の記録が載っている。それらの登場人物の名前からすると、ローマ史が題材と思われる作品はいくつかある。
 『メッサリーナの悲劇』は、「皇帝クローディアス」だの「母レピダ」だの、『ハンニバルとスキピオ』はタイトルからしても間違いない。『ボンデューカの悲劇』は、「大将スエトーニアス」、「女王ボンデューカ」なんて名前からしてボウディッカだろう、英国だけにこういうのがあるのは納得。『ローマの俳優』の「皇帝シーザー」、「皇帝の従妹ドミティッラ」、「皇帝の姪ジュリア」など、実在の人々なのか、史実に沿ってるのかと気になる(この「シーザー」は暴君らしい)、『タイタス・アンドロニカス』みたいに、ローマを舞台としているけど該当する皇帝は実在しないという例もあるし。しかしなんといっても注目なのは、『セジェイナス、その没落』。「ローマ皇帝ティベリウスの寵臣セジェイナスの栄光と没落を描いた」悲劇だそうだ。「セジェイナス」を倒そうとするマクロのキャラが、その直後に書かれた『オセロー』のイアーゴーに影響を与えているという。--私にとっては、ティベリウスの晩年をいっそう暗くしたセイヤヌスは地獄へ堕ちろと言いたいやつなのであるが、それが悲劇の主人公にされていたとは~~! (ティベを演じたのがシェイクスピアだそうだ) 私はむしろ、セイヤヌスがイアーゴーみたいに芝居上手だったのかも、と思っていたので、よけいに意外だ。
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残暑見舞いの時期

2010-08-12 05:15:57 | 雑記

 多くの人が、「残暑」なんてウソくさい!と思っていそうなこのごろ。
 「暑中見舞い」は7月20日から、「残暑見舞い」は立秋から9月7日ごろだそうだ。

 こういう話で思い出すのは、20年以上まえに新聞の投稿欄で読んだもの。投稿者は世間の多数派の感覚でおばあさんといってよさそうな人。7月初めに知人の若い女性から暑中見舞いが来た、正しくは20日からなのに、このごろの若い人はものを知らない、という内容。
 --性格の悪いばあさんだと思ったね。もう暑いと思ったからこそ、「暑中見舞い」を書いたんだろう、形式にはずれたところがかえって真心を感じさせるくらいじゃないか。苦笑する程度ですませればいいものを、嘲る投稿をするなんて。年の功というものに欠けてる。

 私に決める権限があるなら、「原則:7月20日~8月7日」としたうえで、「容認」、七夕からもうOK、印刷したものならば8月まで使ってよい、ということにする。
 そんな権限ないけど。
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