マデリン・ミラー『アキレウスの歌』 東京創元社 2014年
文庫本にはさんである広告で気になっていた本の一つ。タイトルが示すとおりギリシア神話もの。語り手はパトロクロスで、身内の間で居心地悪く過ごしていたが諍いで人を殺して異郷に追われ、そこでアキレウスと出会う(実際には過去にも見知っていたが)。劣等感の大きいパトロクロスは、天性の輝きを持つ美貌のアキレウスに強く惹かれ、深い絆で結ばれるーー心身ともに、これは時代を考えればぜんぜん不自然なことではないのであるが。
周知のようにトロイア戦争となり、母テティスの命令で女装で隠れさせられているが、オデュッセウスの策略でそれが露見する、この剣を使っての場面はビジュアルとして中々かっこよく想像できる。
これまで私の見たトロイア戦争の映画では、アキレウスをヒロイックに描いたものが案外少ないのであるけど、この小説では少女マンガ並にキレイ。
サラ・シムッカ『ルミッキ』全3巻 西村書店 2015年
フィンランド産。ミステリーに含まれるのだろうか。
都市タンペレに一人暮らしする女子高生ルミッキ。頭が良く群れない、やや変わり者の17歳。家庭にはなにか秘密があることを感じており、彼女自身も過去の恋の痛手を秘めている。
警官の父を持つ同級生の美少女エリサが、自宅の庭に投げ込まれた血に汚れた札束を手に入れたことからトラブルに巻き込まれ、頼られたルミッキも奮闘する。
それが1巻での話。
作者はヤングアダルトを多く手掛けているということで、それも納得、高校生の生活ぶりも興味深く読めた。
女の子が男の気をひくためにバカでかよわいふりするのはこの地でもあるんだな、ということも。
(女がカマトトして男がそれを喜ぶとか、異端を迫害するなどが日本人の悪のように軽々しく言われがちだけどね)
ぶりっこだったエリサが父の隠し事を知って頭を使い、バカな男友達よりも賢明なルミッキとの信頼を選んでいく有様が好ましかった。
2巻では、休みにプラハに旅したルミッキが、父の隠し子(彼女の異母姉)と名乗る女性に出会う。
3巻では、学校の劇で新釈白雪姫を演じることになったルミッキ、新しいBFと交際中、別れた人が再び現れる、さらにストーカー、そして彼女の過去の記憶が復活する。
両者とも、少女マンガにしてもおかしくない。
文庫本にはさんである広告で気になっていた本の一つ。タイトルが示すとおりギリシア神話もの。語り手はパトロクロスで、身内の間で居心地悪く過ごしていたが諍いで人を殺して異郷に追われ、そこでアキレウスと出会う(実際には過去にも見知っていたが)。劣等感の大きいパトロクロスは、天性の輝きを持つ美貌のアキレウスに強く惹かれ、深い絆で結ばれるーー心身ともに、これは時代を考えればぜんぜん不自然なことではないのであるが。
周知のようにトロイア戦争となり、母テティスの命令で女装で隠れさせられているが、オデュッセウスの策略でそれが露見する、この剣を使っての場面はビジュアルとして中々かっこよく想像できる。
これまで私の見たトロイア戦争の映画では、アキレウスをヒロイックに描いたものが案外少ないのであるけど、この小説では少女マンガ並にキレイ。
サラ・シムッカ『ルミッキ』全3巻 西村書店 2015年
フィンランド産。ミステリーに含まれるのだろうか。
都市タンペレに一人暮らしする女子高生ルミッキ。頭が良く群れない、やや変わり者の17歳。家庭にはなにか秘密があることを感じており、彼女自身も過去の恋の痛手を秘めている。
警官の父を持つ同級生の美少女エリサが、自宅の庭に投げ込まれた血に汚れた札束を手に入れたことからトラブルに巻き込まれ、頼られたルミッキも奮闘する。
それが1巻での話。
作者はヤングアダルトを多く手掛けているということで、それも納得、高校生の生活ぶりも興味深く読めた。
女の子が男の気をひくためにバカでかよわいふりするのはこの地でもあるんだな、ということも。
(女がカマトトして男がそれを喜ぶとか、異端を迫害するなどが日本人の悪のように軽々しく言われがちだけどね)
ぶりっこだったエリサが父の隠し事を知って頭を使い、バカな男友達よりも賢明なルミッキとの信頼を選んでいく有様が好ましかった。
2巻では、休みにプラハに旅したルミッキが、父の隠し子(彼女の異母姉)と名乗る女性に出会う。
3巻では、学校の劇で新釈白雪姫を演じることになったルミッキ、新しいBFと交際中、別れた人が再び現れる、さらにストーカー、そして彼女の過去の記憶が復活する。
両者とも、少女マンガにしてもおかしくない。