レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

某アンケートでの人気作家ベストテン

2013-10-30 15:44:46 | 
 先日、どこかのネットで見た、好きな作家を30代男女千人に調査した結果は、
1.東野圭吾 2.宮部みゆき 3.司馬遼太郎 4.松本清張 5.村上春樹 6.夏目漱石 7.池波正太郎 8.西村京太郎 9.五木寛之 10.赤川次郎、内田康夫

 だいたい常連の名前だろう。
 私は、
東野:全く読んでいない  
宮部:全部読んでいる  
司馬、清張は、割合読んでいるが全体が膨大な量なのでごく一部である、機会があれば手を出すことに抵抗はない
村上春樹:日本語娯楽の乏しい環境の中で『ノルウェイの森』のみ
漱石:ほぼ読んだはず
池波:新選組ものだけ
五木寛之:井上靖『おろしや国酔夢譚』と重なる題材の『ソフィアの歌』だけ
内田:日本語娯楽の(中略)で『恐山殺人事件』

 数作読んでいて、面白くない!と言えるのが西村京太郎と赤川次郎。
 前者は、書店に置いてある冊子の連載で既に4本くらい「十津川警部」を読んだ。連載中にはそれなりに続きが気になることもあるが、最後まで読んだらつまらないという感じ。「、」が多すぎて目障り。そして、「十津川警部」の個性が感じられない。4本も読んだのに、どういう奴なのかキャラがく浮かばない、これでは同一人物を出してくる意味があるのかと疑問に思う。 (こういうふうだと映像化する際のハードルが下がるという利点はあるかもしれない、誰が演じてもいいから)
 後者は、ユーモアミステリーというわりに容赦なく人が死ぬとか、結末が納得できないとか、どうも後味が悪くてすっきりしないとか。エッセイの印象は悪くないので、作家当人に対して悪意は持っていない。

 ところで、上記のようなアンケートは、調査対象でいくらでも変わってくるだろう。たまに読む、時々読む、いつでも読む、個人差が激しいし。
 現役作家が過半数である中で、とっくに古典の漱石が混じっていることがなんだか奇妙に見える。
 私が答えるならば、現役では、清水義範、宮部みゆき、三浦しをん、阿刀田高あたりを挙げる。故人ならば井上靖が筆頭。

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来月出る文庫では

2013-10-20 16:47:17 | 
 今月買った文庫新刊は、
『残酷な王と悲しみの王妃』by中野京子 集英社文庫
『王女ベリータ カスティーリヤの薔薇』上 榛名しおり 講談社ホワイトハート
 の2冊。
 『王女ベリータ』は、新刊リストでタイトルを見た際に、榛名さんは西洋史ものを書く人だし、カスティーリアということは、イサベル女王?と期待したが、それは正解だった。続けて下巻が出るのでまとめて読む予定。

 11月の新刊リストをチェックしてみて注目するのは、
清水義範『ドン・キホーテの末裔』 岩波現代文庫
キャロル・ネルソン・ダグラス『おめざねですか、アイリーン』 創元推理文庫
 前者はまえに出た単行本の文庫化。
 後者は、ホームズの人気キャラアイリーン・アドラーを主人公にすえたシリーズ。やっと2冊目が出るのか。1470円は文庫としては高い、でもこのくらいのがいまは珍しくないのが辛い。敬遠しているとますます部数を控えて高くなるという悪循環・・・。 前作は市内の図書館にも置いてないし、今回も期待はできない。

「文春文庫 秋の100冊フェア 2013」
 100冊セレクトの冊子を置いてあるだけのものだけどいちおう貼っておく。

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風の影 死者の声なき声

2013-10-14 13:07:55 | 
『風の影』 カルロス・ルイス・サフォン  集英社文庫

 新刊というわけではない。BOで購入してから数ヶ月。講義のためにスペイン文学を読みまくった名残。
 舞台はバルセロナ。1945年、古書店を営む父と二人暮らしの10才の少年ダニエルは、秘密結社めいた書庫に連れて行かれ、好きな本を選ぶように指示される。フリアン・カラックスという無名の作家の本を選んだダニエルはその本に魅了されるが、やがて奇妙な事態に巻き込まれていく。
 内戦の時代も絡んできて歴史もの要素もある。
 陽気なイメージの強いスペイン、当然ながら血塗られた深い闇の歴史もたっぷりとあるということを強く感じさせる物語である。
 最後はけっこうほのぼの感。


『死者の声なき声』 フォルカー・クッチャー 創元推理文庫

 新刊。ドイツ産。
 『濡れた魚』に続く、戦前のドイツもの。
 凶悪殺人犯を射殺したがその父親が影響力を持つ新聞屋で、故郷ケルンにいられなくなってベルリンに移動した若い警部ゲレオン・ラート。
 今回は1930年の3月~4月の事件。大恐慌の直後。そして、映画界では無声からトーキーへの移行が賛否両論を呼んでいた。そんなおりに女優が行方不明となり、そして変死体で見つかる事件が続く。
 謝肉祭の季節で、故郷でのそれを懐かしがるゲレオンの様子が興味深い。被害者の残していた犬を引き取って可愛がっているのは微笑ましい。
 ナチ党と共産党の対立もちらちらと背景に出てくる。某ナチ党員がつまらん死に方をしたけどそれが無理やり持ち上げられて・・・という事件は、ああアレね、という楽しさがあった。

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元祖・体育の日!

2013-10-10 14:52:23 | 雑記
 根っからスポーツしたくない私には本来どうでもいいことであるが、そもそもは今日が「体育の日」である。東京オリンピックに由来する、歴史的な由緒ある理由なのである。
 「ハッピーマンデー」などというもののために月曜に移されてしまったいくつかの祝日の一つ。
 2020の東京開催決定に対してほとんど関心のない私であるが、この機会に、10月10日が再注目されるべきだ!とは大いに叫びたいのである。

 元祖「敬老の日」にも似たようなことを書いていたけどそちらは削除したのであしからず。

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完全版とか愛蔵版

2013-10-06 14:23:29 | マンガ
『動物のお医者さん』は「花とゆめコミックス」(以下HC)12巻をはじめとして、文庫、コンビニ本などいろいろなバージョンで出てきた。私はそれらを何度も買って、手放してきた。
 今回、「愛蔵版」が出るというので、その1、2を買った。全6巻。これはHCの2冊ずつの収録なのだろうか。
 某掲示板では、「カラーがないのでは完全版ではないだろ」「愛蔵版だから」という内容のやりとりがあった。
 そもそも、コミックスの「完全版」という呼び方じたいがヘンなのだと私は思う。では通常のコミックスが不完全だというのか、未収録があったというわけでもなかろうに、と。いつのまにか、「完全版」といえば、本誌掲載時のカラーはカラーで復活させているもの、ということになっている。(あとで描き換えや修正があったものはどうなるのだろう)
 「愛蔵版」の定義もかなりあいまい。私の記憶にある最初の「愛蔵版」は、70年代の『ベルばら』5巻本であり、ハードカバーの立派なもので、値段も小中学生には手を出せない感じであった。あの印象のせいで、後年多く出た、分厚くて紙質のたいしてよくない「愛蔵版」が安っぽく思えてしかたなかった。
 ーーこのへんの話題はまえにも書いたけどかまわずまた書くーー
 今回の「愛蔵版」は、サイズがB6であり、HCや文庫よりも大きい。(ドラマ化の際に出ていた『月刊動物のお医者さん』は本誌と同じB5版だった)
 紙質はたぶんHCよりもいい。
 各話の扉絵が収録されている点が文庫より良い(初期の白泉社文庫は、タイトルページが真っ白の編集だった。話数の多い作品だとかなりの損失である)。
 総合して、やはりこれがいちばんであろう。
 もしかして、いつか「完全版」が出るのだろうか・・・。

 白泉社は「40周年記念」で「愛蔵版シリース続々登場!」ということで、
『愛蔵版 CIPHER』 『櫻の園 完全版』がオビに宣伝が載っている。「愛蔵版」と「完全版」とは区別しているのだろうか。
 マンガそのものをもれなくという意味での完全版を、『忘却シリーズ』『ペパミントスパイ』出してもらいたいものだ。作家が違うけど『天上の愛地上の恋』『マジカル・ダイナマイト・ツアー』も。

 『セーラームーン』が近いうち「完全版」だか「愛蔵版」だかが出るという話である。欲しい気はある・・・しかし既に本棚に持っているという点が『動物のお医者さん』との大きな違い。
 私はこのマンガは、99年にBOでそろえた。そのあと「新装版」が出た。そもそも中古で買ったから状態がたいして良くなくて、買い換えたいのもやまやまだったけどとうとうしなかったのは、ドイツ語訳が旧版準拠だから。あちらで、「新装版」からの出直しなんてあるのだろうか。(※)
 画集の再版があるならば嬉しいのだけど。全5巻のうち、3と5を持っていない。ドイツで出た「廉価版」はそろえてあるけど、各巻の綴じ込みポスターがこれには載ってない。(ドイツでも、「廉価版」でないものの訳も出ていたのだ、念のため。「廉価版」は、5巻を6巻に分ける、ハードカバーでない表紙、作者コメントにページをさかずに各ページ隅っこに入れてある、ポスターなし、という違い)


16年8月10日に付記。
ドイツでもいまは新装版に基づいたバージョンが出ている。過去の版はアメリカ版・フランス版からの重訳であったが、新版は日本語から。誤訳の訂正されている部分も、相変わらず間違っている部分もある。私が見たのはごく一部だけど。別の記事でも言及済み。

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