レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

昔の名作と「残念要素」

2016-04-28 09:58:07 | マンガ
 先日mixiで、後世に残したい70年代少女マンガランキングという記事が載っていた。

1.ベルばら 2.キャンディ 3.ガラスの仮面 4.エースをねらえ! 5.はいからさんが通る 6.パタリロ! 7.生徒諸君! 8.王家の紋章 (8.として「どれも知らない」があるので、候補から選んで投票する形式だったのだろう) 10.悪魔の花嫁
11.あさきゆめみし 12.ポーの一族 13.エロイカ~ 14.アラベスク 15.トーマの心臓 16.風と木の詩 17.炎のロマンス  砂の城  19.アリエスの乙女たち 20.花ぶらんこゆれて・・・

という結果であった。

 こういったところに並ぶタイトルを見たときに私が思うことは、「私はどれを読んでいるか」「どれが好きか」、そして、「残念要素」の有無。(上記で私が一部なりと読んだのは1,2,3,4,5,6,8,10,11,12,13,14,15,16,19,20. 部分的にではあるが愛着が強いのは『ベルばら』『エロイカ~』)
 14年9月21日に書いた内容と重なるのでそこ引用。

 こういうふうに、過去の名作がいくつか取り上げられる機会は時々あるが、私が「幸せな作品」だと感じるかどうかのチェック点が三つ。
1.きちんと終わっている・よけいな続編や外伝で過去を汚していない
 2.その作家の現在の作品も評価されている
 3.作家当人の言動がヒンシュクをかったりしていない
 これらの点で、『ポーの一族』や『はいからさんが通る』などは幸せな作品に分類している。

 引用終わり。上記の「幸せ」を裏返したものを私は「残念要素」と呼んでいる。つまり、ダラダラとまだ終わっていない・蛇足の続編などが過去の栄光を汚している、その作家はほかにヒット作がない・現在の作品は面白くない、作家自身の言動が叩かれる ということ。
 それを上記のアンケート結果にあてはめるならば、上位10作のうちで残念要素なしは『はいからさん~』だけである。


 mixiに紹介された「コミックナタリー」の記事から。

 萩尾望都「ポーの一族」の新作が、5月28日発売の月刊flowers7月号(小学館)に登場する。本日4月28日発売の同誌6月号にて告知された。
 これは月刊flowersの創刊15年を記念した企画の一環。「ポーの一族」は永遠の命を持った吸血鬼(バンパネラ)の少年を主役に、彼が過ごす200年以上の時間を描いた幻想奇譚で、続編が描かれるのは40年ぶりとなる。新作は前後編にて展開。物語は1944年、戦火を逃れてウェールズに来たアランとエドガーが、ドイツ人の少女と出会うところから動き出す。
 また7月号には、同じく萩尾の代表作のひとつである「トーマの心臓」に登場するオスカー・ライザーを主人公にした番外編「訪問者」と、「トーマの心臓」の後日譚「湖畔にて」を収録した小冊子も付属。加えて萩尾と山岸凉子の対談も掲載される。

 引用終わり。私は『ポー』『トーマ』に対して思い入れがあるというほどではないが、flowersという雑誌はレベルが高いと思っているし、この際買ってみてもいい気になっている。
 『ポーの一族』は近々けっこう高い「復刻版」が出るのでその宣伝でもあろう。 それにしても、萩尾さんの絵は当時とは相当変わっているんだが、まあ、話はきちんと面白いことを期待しよう。
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アマゾンの中古買い

2016-04-23 12:55:12 | 
 このところ、アマゾンで中古本を買うことに多少ハマっている。稀少本というわけではない。読みたいけどBOで見かけず、市外の図書館にはあるけど取り寄せるよりも買ってしまったほうが簡単だというもの。

 スウェーデンのリザ・マークルンド『ノーベルの遺志』上下巻のうち下巻だけBOで見つけて、下巻はふつうに買おうとしたらもうなくて、上巻は市外で借りて済ませるか、それともアマゾンを利用するか?と考えて結局中古を買ったことに始まる。(中古といってもきれいなものであった)

 90年代から10年ほどに渡って集英社文庫で7冊ほど出ていた『シャーロック・ホームズの愛弟子』byローリー・キング というシリーズがあり、読んでみたいと思った。BOで最初の2冊を入手した。市内の図書館にはない。市外ならば全部ある。
 アマゾンには一部出ており、持っていないものは3種。そのうち本体が1円(送料257円)のものを買った。同じシリーズなのに、なぜか6千円以上もする巻があるのはいったいなぜだろう。

 アマゾンの支払い方法は、着払い、カード、コンビニなどでの決済がある。私はコンビニでの支払いを選ぶ。
 送料と合わせて258円ならば、BOで(108円でない場合)よりも安い。図書館の市外取り寄せ待ちの面倒と秤にかけて考える。

 江守備『アイアムシーザー』も気になっているけど、コンビニ支払いがないこと、たいして安くなっていないことでまだ実行していない。先日続編が出たらしい。『シーザーラヴズローマ』・・・ なんとかならんのかこのタイトルのセンス! アイアムって、なんで英語なんだよマヌケな! もしも続いて、オクタ坊やまで出てくるならばさっさと買うけどね。

 本とは関係なく、母が欲しがるのでティッシュカバーをいくつかアマゾンで選んで購入した。上記の古本は封筒入りで送られるが、普新品だと箱入りで来る。その箱が大きすぎるってば!いろいろサイズを考慮する手間や費用を惜しんでいるのだろうか。

 それにしても、届くのが早い。ありがたいけどそのぶん送り手の負担も大きいのだろう。事故など起きない程度にほどほどにね、と言いたい。
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アレックス・デュマ 悪いお姫様 山賊ホセ・マリア

2016-04-17 12:32:30 | 歴史
 もう数か月「歴史」カテゴリーに投下がないので、断片でためていたのもこの際放出してしまおう。

トム・リース『ナポレオンに背いた「黒い将軍」 忘れられた英雄アレックス・デュマ』 白水社
 白水社からは新刊情報ペーパー「白水社の本棚」が送られてくるので、読みたい本をあらかじめ探すことができる。
 文豪デュマとその父と息子三代については佐藤賢一が三部作で描いているのでおおざっぱなところは知っていた。
 フランス貴族を父に、黒人奴隷を母に持って、現ハイチであるサン・ドマングに生まれたアレックスは、革命前のフランスで軍隊に入り頭角を現す。大柄でたくましくハンサムな彼は駐屯先で、投宿した宿の娘と恋仲になり、のちに娘婿として受け入れられる。

 --ここまで書いたところで中断していた。サトケンが描いたら不良要素が加わるけど、こちらの本では良い夫・父の印象であった。


『悪いお姫様の物語』リンダ・ロドリゲス・マクロビー
 副題「おとぎ話のように甘くない24人の悪女の真実」。mixiで紹介されていた記事の出典ということで知った本。
「悪いお姫様の物語」
 私の知識が西洋に偏っているので、この本はむしろ、非西洋の顔ぶれが目立っていて新鮮に見えた。
 

『スペイン ホセ・マリア伝説』
「スペイン ホセ・マリア伝説」
 スペイン文学をいろいろ読んだ時期に、巻末の広告で関心を持ったが、県内の図書館になかった本、しかし最近検索したらあったので読んだ。ヨセフ&マリアだと思いこんでいたけどそうではなかった。一部は『カルメン』のドン・ホセのモデルとなった、19世紀初頭の人物を扱っている。恋人にちょっかい出した農場主の息子を殺して逃亡し、のちに山賊の頭として活躍(?)、庶民たちに支持される。国王の恩赦の際に軍隊に取り立てられるなどという出世を果たすが、盗賊間の争いで殺害されたという劇的な一生。マンガにもなりそう。


 もう一つ。
 数か月まえの、mixiの某記事からの引用。


 なぜ「三国志」はビジネスパーソンに人気なのか?
特に中高年の男性を中心に三国志ファンは多いため、女性や若い人の中には「自分が楽しめるコンテンツではない」と食わず嫌いになっている人もいるかもしれないが


 引用終わり。そして5年前の私のブログからの引用。

『英国中世ブンガク』 桜井俊彰 勉誠出版 99
 この本は『アーサー王の死』のときに言及した。文学や歴史はこーーんなに面白いんだぞ!という叫びが伝わってきて好ましい本である。
 しかし、二つツッコミ。
 引用「 どこの国でもそうだが、文学というやつはただ武骨、勇ましい、忠義というだけでは、男どもはともかく世界人口の半分を占める女性にはそう易々とは通用しない。『三国志』オタクにあまり女性がいないのもうなずける。」
 このあと、その点アーサー王物語は恋愛要素が多いので女受けもする、という文脈である。
 「『三国志』オタクにあまり女性がいない」に対して、--んなことねーよっ!!!と言いたくなる人々は大いに違いない。(ネットで、「歴女」にムカツク!という主旨の投稿に対しての同感意見の中に、『三国志』はまだ侵略されてませんなんて声があって、これまたどこを見ているのかと思った) この著者、昨今の「歴女」ブームをどう思っているのやら。新選組ファンが女の子主流であることにもびっくりするんだろうか。11.3.27


 なにを言いたいのかおわかりであろう。
 書店の棚の分類として、「歴史」が「ビジネス」と同じ場所であったり、某読書ガイドで「歴史・ノンフィクション・ビジネス」がひとくくりにされていることに対して私はたいへん反感を覚えるのだが、多数派の認識は相変わらずこんなものであろうか。
コメント (2)
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懐かし少女マンガ 黒髪ロング

2016-04-11 19:16:58 | マンガ
 約2か月ぶりにアニメイトに行った。買ったのはヘタリアの新しいクリアファイル。枢軸トリオが天使の恰好をしている図。セーラームーンの新商品はないかと思ったけど、なかった。

 『セーラームーンCrystal』の「デス・バスターズ編」が4月から始まるということだったのでニコニコ動画を気をつけていたのだが、どうも今回の放送はネットでなくテレビなのだな、ちぇっ。・・・あとでレンタルに頼ろう。

 『ヘタリア』は画集の第2弾が出た。まえのは、「限定」でたしかB4サイズでシールやトランプつきで高価なものだった。のちに「普及版」が出た。次回は始めから普通ので出してほしい!と希望を書いたものである。今回はふつうと言えるのだろうか。バカ高いものではない。シンプルに絵を収録してある、このほうがいい。
 (だいたい、やたら大きい版は本棚に収納だってしにくいんだ!)
 本屋の店頭でヘタリアからのガイド本の一環で『ヘタリア的世界遺産 古代ローマから欧州誕生まで』が出た。今回は中世までなのでその続きもある予定。


「アラサーが読み返したい少女マンガランキング」
 上記の記事がmixiで紹介されていた。ベストテンには『動物のお医者さん』がはいっている。アラフィフの私としては、88~93年のこれが「懐かし」にされていることに大いに抵抗がある。そして私は本棚の手を伸ばせる場所に置いてあるし、簡単に読むことができる。『セーラームーン』は92~97年でさらに新しいし、私の本棚にある。『ベルばら』は、所持はしていないけどほぼ頭にはいっているので、「読み返したい」というのはしっくりこない。なにか挙げるとすれば、『ポーの一族』あたりだろうか。一度読んだきりでさほど詳しくは覚えていない。
 これらほど有名でないものならば、70年代半ばごろの「りぼん」や「別マ」だろう。あるいは草創期~80年代前半の「ララ」。コミックスになっていない作品の中にも良作がたくさんあった。そこで一例として思い出すのは読み切り『舞踏会の夜』(芥川龍之介の『舞踏会』をちょっと思い出す)、・・・あれ、記憶の中に浮かぶあの絵はもしかして?と思って「コミックホームズ」で検索したら、やはり宮脇明子だった!
 こういう、印象に残っていた佳作が、有名作家のものだったことがわかることにはある種の感慨がある。小学生のころに「りぼん」で読んだ『ねじれた時間』が「奥友志津子」のデビュー作であったことを、まえに言及した「大好きだった!少女マンガ 80年代篇」で知った。かつて「ぱふ」で高い評価をされているのを目にしていて、でも読んだことはない作家であったけど、実は読んでいたのか。

 mixiの「つぶやきネタ」に、「黒髪ロングのキャラといえば」があった。
 私は、『緋色い剣』のハルドレ、『趣味じゃない園芸』の小野山蘭、セーラーマーズ・火野レイと『マリみて』の小笠原祥子さま、そして少佐を挙げておいた。しかし少佐のは少女マンガとしてはたいした長さではない。
 アンドレはあてはまるのだろうか、あれも、校則ならば違反になるけど少女マンガとしてはたいして長いとは言えない。
 木原さんなら『アンジェリク』のジョフレ。
 『あさきゆめみし』みたいに、時代物だとたいていの人が黒ロングなのでわざわざ挙げるのが無意味に思える。
 女と男でも長さの基準が違うし。
 あ、少佐よりもティリアンのほうが適切だった、といま思い出した。
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今日は好天

2016-04-06 16:39:51 | 雑記
 いい天気だった。明日は雨の予報だけど洗濯物はよく乾いた。お天道様は偉大なり。神社の桜はまだ満開であった。

 『吾輩は猫である殺人事件』by奥泉光 の文庫を買う。

 たいへん少しばかり部屋を片付けた。CDやDVDの棚に置いてある湿気取りを交換した。

 男女の差として、女がダラダラと話すことを男は苦手としており、オチを求めたがるとよく言われる。
 ダラダラした話を延々聞かされるのは苦痛だろうとは思うが、芸人でもプロ作家のエッセイでもないのだから、オチなんていちいち求められても困る。○○した、面白かった。~~ということがあった、腹立った。そういう話をしたいだけなのがそんなに不思議だろうか。

 たいていの詩や文芸は、だからなんだ?と言われても、なんてもない。論文だってそうだ。
 『草枕』も、だからなんだということはない、極め付けだろう。「美しい感じ」が残ればよい、と作者は書いているが、それならば成功している。
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月の夜は暗く

2016-04-01 09:35:49 | 
アンドレアス・グルーバー『月の夜は暗く』

 ハヤカワ文庫。
 ミュンヘンの若い刑事ザビーネ・ネーメスの母が行方不明になり、惨殺死体で発見、離婚した父に容疑がかかる。ほかにも、奇妙な状態の他殺体が発見される。オランダから招かれた分析官、マールテン・S・スナイデルは優秀だが傲岸不遜な態度で摩擦を起こしまくり。やがてザビーネは、一連の殺人が「もじゃもじゃペーター」を模したものであることに気づく。
 『もじゃもじゃペーター』は、19世紀にフランクフルトの医師ハインリヒ・ホフマンによって描かれた絵本で、ヴィルヘルム・ブッシュ『マックスとモーリッツ』と共に古典である。悪い子がこっぴどい罰を受ける話の束で、確かにこれは見立て殺人のタネに恰好であろう。
 これはシリーズ化されていて、ほかの作品も文学作品が素材になっているということで、続く紹介が楽しみである。
 ところで、読書家設定のスナイデルが「もじゃもじゃペーター」を知らなかったのは意外だった。オランダでは子供はほかの本で育つと言っていたけどオランダでは有名じゃないのだろうか。英国で大戦中に『もじゃもじゃヒトラー』というパロ本が出ていたという話はこのブログの2007.9.16に話題にしている。


トーマス・ブレツィナ『男の子おことわり、魔女オンリー』 さ・え・ら書房 2006
 児童書をたくさん出している作家で3つのシリーズが邦訳されている。この4冊シリーズがいちばん面白かった。
 犬猿の仲だったティンカ(カタリーナ)とリッシ(ルイーザ)は、親の再婚で義理の姉妹になる。おまけに、学校の課題として近所の年寄りに話をききにいく際にペアにされた。そのばあさんに「魔女」仲間として認定されたけど、その魔女力は二人が一緒でないと発揮できないという。そういうわけで和解の成り行きに。
 ほかに『タイガーチーム』『冒険ふしぎ美術館』のシリーズが出ている。
 『~美術館』のレオナルドの巻にはサライが出てはくるけど、・・・美少年じゃない!絵もむしろデブってるし。レオナルドがこんなの弟子にしておくわけないだろ、けしからん!

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