鈴宮和由『とってもひじかた君』
20年くらいまえに「サンデー」に載ってた作品が、ソノラマ文庫から復活。作者は女の人で、いくらか少女マンガ的な絵。新選組のメンバーをモデルにした、学園ラブコメへのトレース。ケンカっぱやい転校生の土方歳三、彼になぜか初対面から懐いている、物怖じしない坊や沖田総司、ごつい顔の近藤先生、エトセトラ、つまり、もろに実名で出てくる。だから、女キャラは名前が出ただけで誰の相手かわかってしまうんですな(幕末の知識があれば)。
トシの家が薬局で、姉はもちろん「のぶ」だけど、兄が「良循(よしゆき)」で医学部生という設定が細かい。史実のトシの兄の一人で医者の家に養子に行った「良循」がいるので。
トシのキャラづけが、「どすけべ!」になってるあたりは少年マンガならではなんでしょうかね、もっとも、本命の「雪緒」さんが絶対ではあるけど。もちろん司馬『燃えよ剣』の「お雪」からきてます。だいたいは司馬調のノリ。
斎藤岬『ひなたの狼』
現行の新選組マンガでこれがいちばんのお気に入り。画風はそれほど好みでないけと、「美少女顔」のトシのキャラデザインは好きです。髪形についてはまるっきり時代を無視していて、だ~れも髷をゆってない。でも面白いから私が許す!
沖田を美形にせず(かといって見苦しいわけではないが)、ひょろりとノッポ(※)のひょうひょうとした剣術バカ青年にしてるあたりも好感度高し。原田や藤堂のほうが美形に見えるのは史実に沿ってる。
勘定のとりたてに来た呉服屋の妾のお梅が、無頼漢の初代筆頭局長芹沢鴨に手籠めにされて、なぜかその後愛人になってしまい、という展開はたぶん史実で、ここにも出てくる。初めて人を斬って動揺気味の土方が、狼藉にあった帰りのお梅とすれ違う場面では、この二人の雰囲気がオーバーラップするように描かれていてなんともアヤシイ。おまけに、この件で芹沢に抗議した土方は「破瓜をむかえた娘のような顔をしているぞ」な~んて言われてしまうんですからな。これ、青年誌だよね、いいのか?
先月の4巻では、「美男五人衆」の佐々木愛次郎&町娘あぐりの悲劇、大阪で悶着のあった力士たちとの和解イベント、芹沢の大砲ぶち込み、「蛤御門の変」といった事件が出てきた。商家経験もある土方が相撲大会でお茶や酒を売らせるけど、斎藤&永倉が売りながら飲んでしまうので、「うわばみどもに酒売らせたのが間違いだった 酒飲めないやつに代わってもらう 誰かいないか?」--で一斉に指差されて、自分がそうなってしまうのが可愛かった。
次の5巻で一区切りーーということは、やはり芹沢一派の粛清までなんでしょうな。『俺の新選組』と同じパターンだな。
※ 隊士募集の場面で、大男の島田魁を見て沖田が「うわ でかい人!」と遠慮なく叫び、トシが「おまえもだ」と小さくツッコんでいてそこはかとなくおかしい。
20年くらいまえに「サンデー」に載ってた作品が、ソノラマ文庫から復活。作者は女の人で、いくらか少女マンガ的な絵。新選組のメンバーをモデルにした、学園ラブコメへのトレース。ケンカっぱやい転校生の土方歳三、彼になぜか初対面から懐いている、物怖じしない坊や沖田総司、ごつい顔の近藤先生、エトセトラ、つまり、もろに実名で出てくる。だから、女キャラは名前が出ただけで誰の相手かわかってしまうんですな(幕末の知識があれば)。
トシの家が薬局で、姉はもちろん「のぶ」だけど、兄が「良循(よしゆき)」で医学部生という設定が細かい。史実のトシの兄の一人で医者の家に養子に行った「良循」がいるので。
トシのキャラづけが、「どすけべ!」になってるあたりは少年マンガならではなんでしょうかね、もっとも、本命の「雪緒」さんが絶対ではあるけど。もちろん司馬『燃えよ剣』の「お雪」からきてます。だいたいは司馬調のノリ。
斎藤岬『ひなたの狼』
現行の新選組マンガでこれがいちばんのお気に入り。画風はそれほど好みでないけと、「美少女顔」のトシのキャラデザインは好きです。髪形についてはまるっきり時代を無視していて、だ~れも髷をゆってない。でも面白いから私が許す!
沖田を美形にせず(かといって見苦しいわけではないが)、ひょろりとノッポ(※)のひょうひょうとした剣術バカ青年にしてるあたりも好感度高し。原田や藤堂のほうが美形に見えるのは史実に沿ってる。
勘定のとりたてに来た呉服屋の妾のお梅が、無頼漢の初代筆頭局長芹沢鴨に手籠めにされて、なぜかその後愛人になってしまい、という展開はたぶん史実で、ここにも出てくる。初めて人を斬って動揺気味の土方が、狼藉にあった帰りのお梅とすれ違う場面では、この二人の雰囲気がオーバーラップするように描かれていてなんともアヤシイ。おまけに、この件で芹沢に抗議した土方は「破瓜をむかえた娘のような顔をしているぞ」な~んて言われてしまうんですからな。これ、青年誌だよね、いいのか?
先月の4巻では、「美男五人衆」の佐々木愛次郎&町娘あぐりの悲劇、大阪で悶着のあった力士たちとの和解イベント、芹沢の大砲ぶち込み、「蛤御門の変」といった事件が出てきた。商家経験もある土方が相撲大会でお茶や酒を売らせるけど、斎藤&永倉が売りながら飲んでしまうので、「うわばみどもに酒売らせたのが間違いだった 酒飲めないやつに代わってもらう 誰かいないか?」--で一斉に指差されて、自分がそうなってしまうのが可愛かった。
次の5巻で一区切りーーということは、やはり芹沢一派の粛清までなんでしょうな。『俺の新選組』と同じパターンだな。
※ 隊士募集の場面で、大男の島田魁を見て沖田が「うわ でかい人!」と遠慮なく叫び、トシが「おまえもだ」と小さくツッコんでいてそこはかとなくおかしい。