レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

先月買った新選組マンガ2種

2006-04-11 13:34:41 | 新選組
鈴宮和由『とってもひじかた君』
20年くらいまえに「サンデー」に載ってた作品が、ソノラマ文庫から復活。作者は女の人で、いくらか少女マンガ的な絵。新選組のメンバーをモデルにした、学園ラブコメへのトレース。ケンカっぱやい転校生の土方歳三、彼になぜか初対面から懐いている、物怖じしない坊や沖田総司、ごつい顔の近藤先生、エトセトラ、つまり、もろに実名で出てくる。だから、女キャラは名前が出ただけで誰の相手かわかってしまうんですな(幕末の知識があれば)。
 トシの家が薬局で、姉はもちろん「のぶ」だけど、兄が「良循(よしゆき)」で医学部生という設定が細かい。史実のトシの兄の一人で医者の家に養子に行った「良循」がいるので。
 トシのキャラづけが、「どすけべ!」になってるあたりは少年マンガならではなんでしょうかね、もっとも、本命の「雪緒」さんが絶対ではあるけど。もちろん司馬『燃えよ剣』の「お雪」からきてます。だいたいは司馬調のノリ。

斎藤岬『ひなたの狼』
 現行の新選組マンガでこれがいちばんのお気に入り。画風はそれほど好みでないけと、「美少女顔」のトシのキャラデザインは好きです。髪形についてはまるっきり時代を無視していて、だ~れも髷をゆってない。でも面白いから私が許す!
 沖田を美形にせず(かといって見苦しいわけではないが)、ひょろりとノッポ(※)のひょうひょうとした剣術バカ青年にしてるあたりも好感度高し。原田や藤堂のほうが美形に見えるのは史実に沿ってる。
 勘定のとりたてに来た呉服屋の妾のお梅が、無頼漢の初代筆頭局長芹沢鴨に手籠めにされて、なぜかその後愛人になってしまい、という展開はたぶん史実で、ここにも出てくる。初めて人を斬って動揺気味の土方が、狼藉にあった帰りのお梅とすれ違う場面では、この二人の雰囲気がオーバーラップするように描かれていてなんともアヤシイ。おまけに、この件で芹沢に抗議した土方は「破瓜をむかえた娘のような顔をしているぞ」な~んて言われてしまうんですからな。これ、青年誌だよね、いいのか?
 先月の4巻では、「美男五人衆」の佐々木愛次郎&町娘あぐりの悲劇、大阪で悶着のあった力士たちとの和解イベント、芹沢の大砲ぶち込み、「蛤御門の変」といった事件が出てきた。商家経験もある土方が相撲大会でお茶や酒を売らせるけど、斎藤&永倉が売りながら飲んでしまうので、「うわばみどもに酒売らせたのが間違いだった 酒飲めないやつに代わってもらう 誰かいないか?」--で一斉に指差されて、自分がそうなってしまうのが可愛かった。
 次の5巻で一区切りーーということは、やはり芹沢一派の粛清までなんでしょうな。『俺の新選組』と同じパターンだな。
※ 隊士募集の場面で、大男の島田魁を見て沖田が「うわ でかい人!」と遠慮なく叫び、トシが「おまえもだ」と小さくツッコんでいてそこはかとなくおかしい。
コメント (4)
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桂文珍『落語的笑いのすすめ』

2006-04-11 13:30:26 | 
 新潮文庫の先月の新刊。
 かつて「クイズ 日本人の質問」という番組があり、そこに文珍さんが出演しており、時々見ていた私は面白いと思っていました。そのうち、ある雑誌(歴史もの?)で、この人が新選組について言及していて、そこで栗塚歳三をヨイショしてくださったので、私の中でこの落語家への好感度はさらにぐっと上がったのでした(いいのかそんな価値基準で)。
 この本は、2000年に慶応義塾大学で行われた講義録です。「関西のここがわからん」「慶応の~」その他、学生たちへのアンケートから話を始め、笑いの効用やら落語の歴史やら、文学的な伝統にも絡めて語られています。頭の体操のような問題もあり。落語そのものを演じて下さってる部分もあるし、読んでこんなにオカシイのだから、ライブではどんなに大ウケだったろうかとしのばれます。
 慶応では、公式の場(式典など)では教職員も学生も「君」づけで呼ぶ習慣なので、ーー
「私も「桂君」と呼ばれました(笑)。「桂君」だなんて、私は別に勤王の志士でもなんでもないんですけれども(爆笑)」 この「爆笑」は、聴衆つまり学生のほうなんでしょうね。 
 多くの人にお勧めできる1冊です。 
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花見の話

2006-04-11 13:25:52 | 雑記
ほんの聞きかじりで不正確な表記だけど:
「明日ありと思ふ心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは」と親鸞が7歳で詠んだという。・・・なんて、悟りきったかわいくないガキなんだろう。心がけよすぎて鬱陶しいぞ。

 うちの近所の「幼児園」(なぜか「幼稚園」ではない)には変わった桜があり、同じ木に色の違う花が咲いている。今日は夜に大雨だと予報なので、朝方せっかくだからその幼児園に足を運んだ。うん、薄いピンクの中に、色の濃いピンクの花をつける枝が混じっている。謎だ。
 その隣の家にも、2種類の桜の木がある。祭りの装飾のような枝の細い感じのと、色の薄いぽてっとした感じのものと。
 今月初め、立川の「昭和記念公園」にもっと一般的な(?)花見に足を伸ばした。梅や水仙も鮮やか。日本各地の桜の写真展や、桜各種の紹介もあった。「楊貴妃」という桜は、たっぷりとして重みのある印象。豊満タイプを象徴しているのに違いない。「クレオパトラ」というバラはありそうだな、思いっきりゴージャス系で。(私は彼女を美女と設定はしていない)
 絵葉書といい切手といい、春にふさわしい品はたくさんある。この季節は楽しい。
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