弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

審査期間短縮対策案

2006-06-21 00:06:51 | 知的財産権
先日の日本知財学会主催の学術研究発表会会場で、「知的財産推進計画2006」の冊子をもらってきました。その冊子をつらつら眺めているうちに、特許の審査期間短縮対策案をひとつ思いつきました。

現在、審査待ちの滞貨が大量に発生し、審査に要する期間が増大したということで対策が案出されています。任期付き審査官を大量に採用するとか、審査請求済み出願を取り下げたら審査請求料を全額返還するだとか、そもそも出願公開によってノウハウが流出するだけだから出願を減らすようにキャンペーンを張るだとか、なりふり構わずです。

審査待ちの滞貨が増えたのは、従来の審査請求期間が7年だったのに対し、2001年10月出願分から審査請求期間が3年に短縮されたのが原因です。現在は、7年期間と3年期間の審査請求がダブってされているので、定常時の2倍近い審査請求件数になっているわけです。
逆に言うと、このダブり期間数年間が過ぎれば、審査請求件数は低減して元のレベルに戻ると言うことです。

出願から3年の期間内で審査請求された案件の中には、権利化を急がない案件がたくさんあります。半分以上はそうでしょう。そうであれば、「この出願は権利化を急がないから、審査の順番を下げてもらって結構です」と意思表示させ、そのような出願については審査請求料を値引きするというのはどうでしょうか。半額ぐらいがうれしいですね。そのような出願を不急出願と呼びましょう。
そして、平均審査期間の算定にあたっては、不急出願を除いた出願のみについて計算するのです。

不急出願といっても、永久に後回しにされたのでは困ります。せいぜい、不急出願の審査所要期間が、不急出願を除いた出願の審査所要期間より3年以上長くならないようにしてもらう必要はあるでしょう。

特許出願の目的のひとつとして、特許になる確率は非常に低いけれども、「特許出願中」というステータスで競業他社ににらみをきかせたいという目的があります。この場合、拒絶査定ができるだけ遅くなることが大事です。
不急出願の審査請求料を安くするという制度を作れば、ずいぶん多くの出願がこの制度を利用するようになるでしょう。

我ながらグッドアイデアです。といっても、すでに提案している人はいるでしょうね。
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