弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

クローズアップ現代・アフガニスタンでの日本の復興戦略

2009-07-08 21:54:41 | 歴史・社会
NHKクローズアップ現代、7月8日(水)の放送は「混迷のアフガニスタン(2)日本の復興戦略」でした。
「外務省は、今年5月、外国の軍隊主体の地方復興チームに文民を派遣した。場所はアフガニスタン中部のチャグチャラン。軍隊に守られながら、学校や病院建設などの復興支援を行う初めての取り組みである。一方、これまで活動してきたJICAやNGOからは、軍民が一体となる支援は地元の感情悪化を招くという懸念の声もあがっている。」(番組紹介から)
上記「外国の軍隊主体の地方復興チーム」とはPRTのことです。

日本の文民が外国の軍隊に守られながらアフガニスタンで活動を開始したことについて、このブログでは今井千尋さんがアフガニスタンへアフガンを支援する日本人女性たちで取り上げてきました。しかし通常の新聞やテレビニュースではほとんど見るチャンスがありません。まとまった映像としては今回のクローズアップ現代がはじめてでした。

アフガン中西部チャグチャランで活動を開始した石崎妃早子さんの様子をカメラは捉えていました。地域で何に援助を向けるべきか、リトアニアの軍隊に守られながら、現地に出かけて調査を進めていました。どうかくれぐれも安全と健康に留意してください。

アフガニスタンでの文民による援助活動は、今回のPRT以前からJICAが推進してきました。番組では、JICAのカブール事務所の様子も取材しています。事務所内での会議の様子が映されました。左端にちょっと写った女性、野村留美子さんのような気がしました。カブールの治安悪化に伴い、JICA事務所の日本人スタッフはほとんど敷地内に缶詰状態です。アフガニスタンの大統領選挙前の治安悪化を予想し、日本人スタッフを一時的にしろ減らすことを計画しているようです。

スタジオには緒方貞子JICA理事長が登場しました。この10年近く、アフガニスタンにおいてJICAが推進してきた日本の援助の実績を強調していました。このブログでも1年半前に「緒方貞子氏が見たアフガニスタン」として紹介しました。

番組キャスターの国谷裕子さんは、「アフガニスタンにおける日本の活動が、軍隊とともに行動する今回のPRTのような形態で本当にいいのだろうか」という観点で話を進めます。
私もその点は疑問に感じます。

去年11月に参議院外交防衛委員会で中村哲氏が主張した点()もそこにあります。
また、伊勢崎賢治氏も同様の意見です(1年前国会での参考人発言「自衛隊の国際貢献は憲法九条で」 )。
中村医師のペシャワール会における活動、伊勢崎氏の武装解除における活動で、日本が軍隊を派遣しないことが、アフガニスタン復興支援を行う上で大きなプラスになっていました。
オバマ大統領は、「アフガニスタンの治安を回復するために米軍の増派を行う」というスタンスです。しかし逆に、米軍をはじめとする外国軍がある地域に進出すると、その地域はそれまでよりも治安が悪化する、という現実があるようです。

このような中で、日本がPRTに文民を派遣すると決めた今回の決定が、はたして好ましいことだったのかどうか、そこは大いに議論すべきでしょう。
一方で、派遣する日本人文民4人のうち2名が女性であるということ、これは日本がPRTに参画することによるマイナスを打ち消すプラスの影響を及ぼすように思います。

今まで、アフガニスタンの人々が日本に対していだいていたイメージ「日本は軍隊を派遣せずにわれわれを助けてくれる」をできるだけ壊さないよう、日本が活動することを願っています。
コメント
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