弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

はやぶさ着々と帰還準備

2007-01-30 22:19:49 | サイエンス・パソコン
小惑星イトカワを探査した日本の惑星間探査機はやぶさについては、このブログでも昨年の3月9日6月4日9月8日12月3日とフォローしてきました。

本日1月30日、JAXAのサイトで確認したところ、はやぶさの最新情報がアップされていました。

「概要
「はやぶさ」運用チームは、昨春の通信回復後に故障が発覚したバッテリの再充電を昨秋から今月まで継続したのち、1月17~18日に「はやぶさ」探査機内の試料採取容器を地球帰還カプセルに搬送、収納し、外フタを密閉する運用を実施しました。その結果、バッテリを使った形状記憶合金などの稼動部品は、すべて正常に動作したことが確認されました。今後は、今春に電気推進エンジンを再点火し、地球への帰路に旅立つ準備として、探査機の姿勢制御プログラムの書き換えを行います。」

記事を読むと、この間の運用チームの努力と活躍の成果は凄いです。地球から遥か彼方、電波が往復するのに7分半もかかるところに今のはやぶさは位置しています。このような遠方の飛行体に電波で指令を与えながら、故障したリチウムイオン二次電池の復旧を成し遂げ、その電池を使って、小惑星の試料が入っている(かもしれない)容器を地球帰還カプセルに無事収納したのです。

リチウムイオン二次電池というのは、高いエネルギー密度によって電池を小型軽量にできるため、宇宙用として開発が進められていますが、実際に宇宙機に搭載したのはこのはやぶさが最初だとのことです。リチウムイオン二次電池は、過放電すると電池内部が変質してしまい、充電が困難になという特質を持っているのですが、1年前にはやぶさがイトカワに再着地して離陸した後に猛烈なトラブルに見舞われ、その過放電をやってしまったのです。11セルのうち4セルは使用に耐えない状況でした。
運用チームは電池の専門家と知恵を出し合い、健全セルと不健全セルのいずれにも無理をかけずに健全セルの充電を成し遂げました。

容器の回収は、形状記憶合金を使って動作するらしく、やり直しがきかないワンチャンスのトライです。また機体の温度を上げすぎると、機内に残留して氷結している可能性のあるヒドラジンが蒸発し、機体が異常運動する可能性があります。性能が復帰した電池を動力源として、慎重に運用し、無事にすべての動作を完了したのです。

この間の詳細を記述した運用チームのレポートには力が入っています。チームに大きな自信を植え付けたことがわかります。

「これをもって、復活したバッテリは有終の美を飾り、サンプラーは想定時期を一年以上遅れてなお、全て正常に稼動し終えました。カプセルの次の出番は、三年半後の地球帰還時の分離・放出です。現在は、電気推進エンジンを使って姿勢を安定させながら、地球への帰路に就くための準備作業が始まっています。」

すごいですね。はやぶさは不死身ですね。この調子でこの春にはイオンエンジンを作動させ、ぜひ地球への長旅を成功させて欲しいものです。
コメント
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