大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2022年02月22日 | 植物

<3688> 奈良県のレッドデータブックの花たち(181) ツルシロカネソウ(蔓白銀草)         キンポウゲ科

                     

[別名] シロカネソウ(白銀草)

[学名] Dichocarpum stoloniferum

[奈良県のカテゴリー]  絶滅危惧種(旧絶滅寸前種)

[特徴] 山地の湿った落葉広葉樹林下やその林縁の草地及び岩場に生える多年草で、匐枝を伸ばして小群落をつくる。草丈は30センチ前後で、根生の葉一個と対生する茎葉があり、茎葉は複葉で、小葉は菱状卵形、欠刻状の大きな鋸歯が見られる。

  花期は6~8月で、上部の葉腋から花柄を伸ばし、その先に1花をつける。花は白い長楕円形の花弁状の萼片5個がやや上向きに開き、やさしい感じで目につく。花弁はシロカネソウ属の仲間と同じく、蜜腺を有し、萼片の内側に5個見られ、黄色の杯状をしている。多数の雄しべと2個の雌しべはともに白色で、混在して見える。実は豆果特有の袋果で、熟すと2個にわかれる。

[分布] 日本の固有種。本州の神奈川県から近畿地方の太平洋側

[県内分布] 東吉野村、川上村、天川村。

[記事] 奈良県のレッドデータブック2016版には「本種は群馬県から和歌山県にかけて不連続に分布する。そのうち関東、中部に分布するものは比較的小形で葉は紫色を帯び、葉の表面は光沢があり、しばしば落葉広葉樹林下に生育するが、岐阜県以西の特に紀伊半島のものはやや大形で、葉の表面には光沢がなく、主に水の流れる岩上に生育している」とある。自生地は人や動物が容易に近づけない食害の心配がない崖地であるが、植生の遷移が懸念されるという。

 写真は小群落をつくって花を咲かせるツルシロカネソウ(左)、葉と花と実の姿(中)、花のアップ(右・花弁状の白い萼片5個の内側に黄色い蜜腺を有する小さい花弁が見える)。(東吉野村)

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