<3522> 奈良県のレッドデータブックの花たち(106) クロミノニシキゴリ(黒実錦織木) ハイノキ科
[学名] Symplocos paniculata
[奈良県のカテゴリー] 絶滅寸前種(旧絶滅危惧種)
[特徴] 池畔や沢沿いなど水辺の近くに生える落葉低木で、よく分枝し、高さ2~8メートルになる。樹皮は灰褐色で、縦に裂ける。葉は長さが3~10センチの長楕円形で、先が短く尖り、基部はくさび形。縁には鈍鋸歯。短い柄を有し互生する。
花期は5~6月で、新枝の先に円錐花序を出し、白い花を多数つける。花冠は直径8ミリほどで、5深裂して平開する。雄しべは多数。花糸は長く、葯は黄色を帯び、目立つ。実は核果で、長さが6~7ミリの卵球形。秋に黒く熟す。同属のサワフタギに似るが、本種は花序の軸が無毛、また、葉の鋸歯が浅い。
[分布] 日本の固有種。本州の中部地方から近畿地方。
[県内分布] 奈良市、天理市。
[記事] ニシキゴリ(錦織木)はサワフタギ(沢蓋木)の別名で、この名はこの木の灰汁を紫根染めの媒染剤に用いたことによると一説にある。クロミ(黒実)はサワフタギの藍色の実に対し、本種は黒色に熟すため。
写真はクロミノニシキゴリ(2016年、奈良市佐紀町の磐之媛命陵の外濠畔で撮ったものであるが、以後、姿を消し、現在ない)。切り株が残っていないので、移植された可能性が高いが、果たしてどうなったのか。「東海から近畿中央部にかけての特産種」として奈良県版レッドデータブック2016改訂版では絶滅の危険性が高いとして絶滅危惧種から絶滅寸前種に変更した経緯がある。
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