<2221> 余聞、余話 「2018年・若草山の山焼き」
山焼きやよく燃えたるはまことよし
奈良の新春を彩る若草山の山焼きが第四土曜日の二十七日夜行なわれた。例年通り、午後六時十五分から行なわれ、十五分間打ち上げ花火があった後、午後六時半に点火され、山焼きがスタートした。寒波による厳しい冷え込みの中、空気が乾燥し、適度な風もあって、よく燃え上がり、午後七時には山のほぼ全域を焼いた。
山焼きが終わると、間もなく立春であるが、奈良に本格的な春が訪れるのは三月一日より行なわれる東大寺二月堂のお水取りが終わってからと言われる。まだ、当分の間、寒い日が続くことになるが、春は一歩一歩やって来て、山焼きの後の末黒(すぐろ)にも芽出しが見られるようになる。
山焼きのよく燃えたればよき年に
山焼きは、一種祈願成就の予祝の意味も込められているから、よく燃えることはよいとされる。その燃えをよくするには草原の豊かさ、殊に若草山が産するイトススキの生育とその日の気象条件にかかっている。よく燃えれば、草地の芽出しもよく、成長が期待できる。言わば、山焼きが勢いよく燃えることは五穀豊穣にも通じるわけで、盛んに燃え上がることをよしとする。そして、今年の山焼きはよく燃えた。 写真は若草山の山焼き。大和郡山市山田町より撮影。約二十分間の多重露光による。