yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

木村栄

2012-11-15 06:48:41 | 文化
木村栄(ひさし、1870-1943)は金沢市出身で東京帝国大学理学部物理学科に進学しました。

田中舘愛橘教授のもとで地球物理学を学んだ天文学者、理学博士で、茅誠司元・東大総長の岳父でもあります。
地球の自転軸は南北軸と完全に一致せず、約23.5度傾いていますが、一定の周期で変動します。
その公式は次の通りです。
      Δφ=Xcosλ+Ysinλ+Z
    ただし、Δφは極運動による緯度変化、λは観測点の経度を表します。

木村栄は、この公式におけるZを初めて導入し、世界に認められました。この功績により、下記の受賞をしました。

1911年 学士院恩賜賞受賞
1936年  イギリス王立天文学会 ゴールドメダル(天文学のノーベル賞と言われる賞です。)
1937年  文化勲章受章

Z項導入の経緯を以下に記します。
明治32年(1899)に極運動観測を目的として国際緯度観測事業(ILS)が開始され、日本も
これに参加し、北緯39度08分線上にある水沢(岩手県)に、木村栄を所長とする臨時緯度観測所を設け、同じ緯度上に置かれたアメリカ3ケ所、イタリア、ロシアの観測所とともに緯度
変化の観測を始めました。
この結果、水沢の誤差は他の観測所に比べて特に大きく、信頼度が低いと評価されました。窮地に立った木村は恩師の田中舘愛橘とともに測定系の全面点検を行い、測定方法にはなんら欠陥が無いことを確認しました。ここに至って、誤差の原因が自然現象側にあると考え、世界各地の観測結果を再検討しました。そして、各観測所に共通の天文緯度変化が存在し、その大きさが年周的に変化していることを見出したのです。木村はこれを公式の中にZ項を入れることにより表現しました。これは世界に認められました。彼の生存中には、Z項のもとになる物理
現象が何かはわかりませんでしたが、木村の没後10年にして、緯度観測所の若生康二郎(わこうやすじろう)がZ項の主な原因が半年周章動の補正係数にあることを突き止めました。

      若生康二郎編 「地球回転」 恒星社厚生閣
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 従軍行三首 其三 | トップ | 将棋プロから白星をあげる方法 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

文化」カテゴリの最新記事