yoshのブログ

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慈恩塔に題す 荊叔

2024-03-23 05:55:25 | 文学
晩唐の詩人、荊叔の五言絶句を紹介します。(「唐詩選」にもとられています)

  題慈恩塔

  漢国在山河
秦陵草樹深
暮雲千里色
無處不傷心
 
         「読み方」

   慈恩塔(じおんとう)ニ題ス

   漢国 山河在リ
秦陵 草樹深シ
暮雲千里ノ色
處(ところ)トシテ心ヲ傷メザルハ無シ

         「訳」
長安の漢の地には、山河が変わらぬ姿を残している。
しかし、秦の始皇帝陵には、草木が深く生い茂っている。
日暮れの雲は、千里の彼方まで同じ夕べの色が続いていて、
どこを眺めても、心を傷めない処は無い。

         「鑑賞」   
       唐代の詩人。荊叔(生没年 不詳)
慈恩塔は、大慈恩寺の境内にある塔(通称、大雁塔)のことです。(下 写真)。652年に玄奘三蔵がインドから持ち帰った経典や仏像を保存するために、高宗に申し出て建立した塔で、7層64メ-トルの仏塔です。
荊叔の生没年は不詳ですが、この塔に上って唐王朝の栄枯盛衰に想いを馳せて 詩作したようです。
杜甫の詩「春望」の、「国破れて山河在り、城春にして草木深し」と趣が似ています。

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